著者
井出 浩希 工藤 浩 杉森 一仁 松原 美由紀
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.1267-1271, 2015 (Released:2015-12-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】大腿骨近位部骨折術後患者において、入院期間中の摂食嚥下機能の低下に影響を及ぼす因子を検討することを目的とした。【対象及び方法】当院にて大腿骨近位部骨折に対し手術を施行した26例を対象とした。摂食嚥下機能は入院期間中の食形態を指標とし、食形態が変化しなかった群 (A群) と、食形態の調整または水分にトロミが必要となった群 (B群) について検討した。【結果】A群に比べ B群は入院時 CRP値 (p=0.04) 、施設からの入院割合 (p=0.03) が有意に高かった。入院時血清アルブミン (Alb) 値、入院時 Body Mass Index (BMI) には統計学的有意差を認めなかったが (いずれも p=0.08) 、B群で低い傾向がみられた。【結論】施設からの入院例、炎症を認める症例、入院時 Alb、BMIが低値で低栄養が疑われる症例は、入院期間中に摂食嚥下機能が低下しやすく注意が必要であると考える。
著者
富田 隆 工藤 賢三
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.535-539, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
8

医療施設や介護施設では,嚥下障害をもつ患者や入所者の誤嚥を防止するため,食事や服薬の際にとろみ調整食品が繁用されている.最近,薬剤服用時のとろみ調整食品の使用は,製剤の崩壊や溶出に影響をおよぼすことが分かってきた.本稿は,とろみ調整食品が,速崩壊性錠剤の崩壊,溶出,薬効におよぼす影響について,筆者らの検討事例を提示し,錠剤服用時のとろみ調整食品使用の参考資料として供するものである.
著者
遠藤 秀紀 山崎 剛史 森 健人 工藤 光平 小薮 大輔
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.21-25, 2014-03-31 (Released:2014-05-31)
参考文献数
12

ハシビロコウ(Balaeniceps rex)の咽頭腔と舌骨を三次元 CT画像解析により検討した。咽頭と頭側の食道は,左右両側へ著しく拡大していた。巨大な咽頭と頭側の食道,固定されていない柔軟な舌骨,退化した舌が観察された。これらはハシビロコウがその採餌生態に特徴的な大きな食魂を受け止めることを可能にしていると考えられた。ハシビロコウの咽頭腔領域の構造は,大きな食塊を消化管へ通過させる柔軟な憩室として機能していることが示唆された。また,舌骨,口腔,咽頭腔,頭側の食道腔に左右非対称性が観察された。この非対称性もハシビロコウが大きな魚体を嚥下することに寄与している可能性がある。
著者
久田 智之 工藤 慎太郎 颯田 季央
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101248, 2013

【はじめに、目的】腰背筋群は内側筋群の多裂筋と外側筋群の最長筋・腰腸肋筋からなると言われており,内側筋群と外側筋群は神経支配,機能とも異なることが知られている.その中で,内側筋群である多裂筋の機能は姿勢保持や腰椎のコントロール,障害予防など臨床的に重要である.多裂筋の筋機能を測定するために表面筋電図が多く使われているが,筋電図学的には腰背筋群を脊柱起立筋群として捉えていることが多く,内側筋群・外側筋群を分けて考えられていない.また,多くの研究で使われている筋電図電極貼付け位置は海外の報告を引用していることが多く,日本人の体型に適しているのかという検討はされていない.さらに,我々は第47 回本学会において,超音波画像診断より内側筋群において多裂筋の同定は困難な例も存在し,横突棘筋と捉えることが望ましいと報告している.そこで,本研究の目的は超音波画像診断装置を用いて,多裂筋を含む横突棘筋における従来の筋電貼付け位置の妥当性を検討することとした.【方法】対象は腰部に障害を有してない健常成人男性20 名(平均身長172.8 ± 6.1cm,平均体重61.6 ± 9.2kg)の右側とした.超音波画像装置にはMyLab25(株式会社日立メディコ社製)を使用し,測定はBモード,プローブには12MHzのリニアプローブを使用した.腹臥位にてL2・4 棘突起から3cm,L4 棘突起から6cm外側の3 部位を測定部位とし,短軸像を撮影した.固有背筋の同定は先行研究に従い,横突棘筋と最長筋を同定し,L2・4 棘突起から3cm外側の位置での横突棘筋の有無を観察した.さらに(a)棘突起から横突棘筋外縁までの距離,(b)棘突起から横突棘筋最表層までの距離,(c)棘突起から3cmの位置に存在する筋の筋厚を計測した.すべての測定は同一検者が行い,測定方法においては検者内信頼性が高いことを確認した(ICC(1,1)=0.90 〜0.99).また,L2・4 の棘突起から横突棘筋外縁までの距離と身長,体重,腹囲,上前腸骨棘間の距離の関係をspeamanの順位相関係数により検討した.【倫理的配慮、説明と同意】対象には本研究の趣旨,対象者の権利を説明し紙面にて同意を得た.【結果】L2 レベルにおいて棘突起3cm外側に横突棘筋の存在した例は2 例,最長筋の存在した例は18 例であった.L4 レベルでは横突棘筋の存在した例は4 例,最長筋の存在した例は16 例であった.L2・4 レベルともに,横突棘筋の表層に最長筋が存在した.L4 棘突起6cm外側にはすべての例において腰腸肋筋が存在した.また,(a)棘突起から横突棘筋外縁までの距離はL2 レベルで2.55 ± 0.41cm,L4 レベルで2.76 ± 0.36cmであった.(b)棘突起から横突棘筋最表層までの距離はL2,L4レベルともに0.39 ± 0.07cmであった.(c)棘突起3cm外側に存在する最長筋の筋厚はL2 レベル2.69 ± 0.01cm,L4 レベルで2.63 ± 0.55cmであった.棘突起から横突棘筋外縁までの距離はL2 レベルにおいて,上前腸骨棘間の距離のみ相関関係を認めた(r=0.44,p<0.05).【考察】表面筋電における多裂筋の電極貼付け位置はVinksらにおけるL4 外側3cmの位置が多く引用されている.しかしながら,本研究の結果からL4 レベルにおいて棘突起から外側3cmの深層には多くの例で多裂筋を含む横突棘筋は存在しないことが明らかになった.さらに,多くの例でL4 レベルの棘突起外側3cmには最長筋を主とする外側筋群が2 〜3cmの厚みで存在する.そのため,現在までの表面筋電における報告は腰背筋群の外側筋群の筋電位を測定している可能性がある.表面筋電の電極貼り付け位置として,横突棘筋が最表層部に来る位置が考えられるが,棘突起から横突棘筋最表層部までの距離は3 〜4mmとなり,棘突起に非常に近く,アーチファクトの影響を受けやすいと考えられる.また,Vinksらは最長筋の表面筋電の電極貼り付け位置として,L2棘突起外側3cm を提唱している.今回の計測においても,L2 外側3cmには最長筋を主とする腰背筋群の外側筋群が存在していた.そのため同部位での筋活動の測定は最長筋の筋活動を測定できている可能性が高い.L2 棘突起から横突棘筋外縁までの距離と上前腸骨棘間の距離に相関がみられた.骨盤から起始し,下位腰椎に付着する横突棘筋は隣接する椎体に停止する線維束と幾つかの椎体をまたいで停止する線維束に分類できる.後者ほど筋束の外縁を走行するため,より高位の横突棘筋は骨盤の大きさと相関したと考えられる.つまり,Vinksらの結果は黄色人種と比較して,大きな人種を対象にしているため,今回の測定結果の相違が生まれたと考えた.【理学療法学研究としての意義】本研究により従来の多裂筋の表面筋電でよく引用されていた電極貼り付け位置は多裂筋ではなく外側筋群の筋電を測定していた可能性がある.そのため従来の研究結果は電極の種類や貼り付け位置を考慮する必要がある.
著者
工藤 祥子
出版者
大谷大学
巻号頁・発行日
2017-03-17
著者
下澤 駿介 ⼯藤 優 伊藤 颯亮
出版者
一般社団法人 日本運動器理学療法学会
雑誌
運動器理学療法学 (ISSN:24368075)
巻号頁・発行日
pp.202230, (Released:2023-09-28)
参考文献数
32

【⽬的】⼈⼯膝関節全置換術(以下,TKA)後における,膝関節屈曲可動域および股関節伸展位での膝関節屈曲可動域(以下,膝屈曲E 値)が遊脚期最⼤膝関節屈曲⾓度(以下,Sw ⾓度)に及ぼす影響を検討することとした。【⽅法】膝関節屈曲可動域および膝屈曲E 値を術前および退院時,Sw ⾓度を退院時に測定した。Sw ⾓度を従属変数,退院時における膝関節屈曲可動域と膝屈曲E 値を独⽴変数とし,Sw ⾓度への影響因⼦を探索した。また,膝関節屈曲可動域および膝屈曲E 値は,術前と退院時の差について検討した。【結果】Sw ⾓度の影響因⼦として膝屈曲E 値が抽出された。また,膝屈曲E 値は術前から退院時で有意な減少を認めた。 【結論】Sw ⾓度には,膝屈曲E 値が影響する可能性が推測され,TKA 後の歩容改善を図る上で膝関節屈曲可動域のみならず膝屈曲E 値への評価・介⼊の必要性が⽰唆された。
著者
山田 和彦 工藤 孝浩 瀬能 宏
出版者
神奈川県立生命の星・地球博物館(旧神奈川県立博物館)
雑誌
神奈川自然誌資料 (ISSN:03889009)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.35, pp.41-44, 2014 (Released:2022-04-17)

The ichthyofauna of Sagami Bay was surveyed on the basis of landed fishes on Misaki Fish Market. Although 593 fish species had been recorded since 1986, we newly added seven species in this report. Among the above seven species, Minous pusillus of them is new to the bay.
著者
工藤 彰 村井 源 徃住 彰文
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.18-36, 2011-02-23 (Released:2011-04-13)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

本論文の目的は,作家の作風変化を科学的に検証することである.対象としたデータは,現代の日本を代表する作家,村上春樹の長篇12作品とした.12長篇の中で近似的作風を持つ作品群を明示化するため,テクストから得られた語彙を計量化して品詞と意味カテゴリの両分類から特徴ベクトルを抽出し,それぞれの特徴ベクトルからクラスタ分析を行った.その結果,品詞分類からは通時的な区分によってのクラスタが形成され,村上の文体が時代とともに変化しているのが確認できた.また,意味分類からは主題や内容に影響されたクラスタが形成され,村上の関心が個人から社会に向かっていくのが実証できた.

7 0 0 0 OA 条約原論

著者
工藤武重 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1893
著者
工藤 俊
出版者
駒沢女子(短期)大学 学長 光田督良
巻号頁・発行日
no.26, pp.63-74, 2019-12-25

This paper presents a descriptive analysis of Japanese teen slang mazi-manzi "マジ卍" or manzi "卍" in comparison with yabai "やばい." One of their significant characteristics is that they can describe either positive or negative situations: Tesuto goukaku, mazi-manzi! "I passed the exam, woo-hoo!" (positive) or Ame-ni nure-ta, mazi-manzi. "I got wet in the rain, shoot." (negative), and Kono wan-piisu yabai-yo-ne! "This dress is super cute!" (positive) or Kaoiro yabai-yo." You look so pale."( negative).While yabai has often been discussed in terms of syntax, phonology, semantics, andpragmatics in previous studies (Takeuchi(2007), Horasawa and Iwata (2009), Sano (2012), Konno( 2015) etc.), mazi-manzi has not because of its specificity and temporality.The interpretational similarity given above might lead us to consider that they share the same or similar linguistic features. A closer look at these two, however, reveals that they are to be distinguished. In particular, I would like to claim that (i) while yabai shows adjective-like behavior, mazi-manzi displays adjectival noun-like behavior, (ii) while yabai has adverbial use, mazi-manzi does not, and (iii) mazi-manzi imposes more burden of inference in the discourse than yabai.
著者
小林 和法 倉沢 真澄 丹 美香 工藤 大樹 赤塚 秀貴 大場 愛
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.212-217, 2011-09-20 (Released:2013-09-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1

肌の「ハリ」は理想の肌の要素のひとつとして挙げられることが多い。従来「ハリ」といえば肌に触れたときの感覚としてとらえられ,真皮にアプローチした改善策がとられてきた。しかしわれわれは,「ハリ」には視覚的要素も含まれていると考え,視覚的なハリという点に着目して検討を行った。健常日本人女性の顔面を対象に行った肌の官能評価スコアを用いてクラスター分析を行ったところ,「目で見て感じるハリ (視覚的ハリ) 」は「視覚的うるおい感」と非常に距離が近く,一方で「触覚的ハリ」とは別のクラスターに分類されることがわかった。また,視覚的ハリは角層水分量や経表皮水分蒸散量と関係することがわかった。この結果から,角層水分状態の改善が視覚的ハリの向上につながるのではないかと考え,化粧料の連用試験を行い,角層水分状態が改善されたときに視覚的ハリスコアがアップするかどうかをみたところ,角層水分量の有意な増加とともに視覚的ハリの有意な向上が確認され,一方で触覚的ハリには有意な変化が認められなかった。これは,視覚的ハリと触覚的ハリには,それぞれに最適な改善アプローチが別々に存在する可能性を示唆している。
著者
工藤 純也
出版者
岩手県立大学
雑誌
総合政策 (ISSN:13446347)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.1-19, 2015-11

東北地方太平洋沖地震により、岩手県沿岸地域は甚大な被害を被った。地域の産業としての観光業は機能の多くを失ったが、被災地では「復興応援」や「支援」と銘打ったパッケージツアーが多数実施されている。被災地における観光を通じて、被災地の住民と観光客との間に意識のギャップが生じたり、地域の社会的アイデンティティが消費されるという問題は従前から指摘されてきた。そこで、これまで明らかになっていなかった、震災後に増加した「復興応援バスツアー」の全体像を、独自に構築したデータベースによって把握するとともに、観光客、観光地に暮らす住民、観光業従事者への聞きとり調査・質問紙調査を通じて、岩手県沿岸地域における東日本大震災後の観光の実態把握を行った。調査の結果、多数の復興応援バスツアーが被災地で実施されている一方、観光業従事者、地域住民、被災地を訪れる観光客との間の意識と関係性には、ズレが生じていることが明らかになった。このことをふまえ、地域住民と観光客、観光業従事者とを結びつける仕掛けの必要性について論じた。
著者
桑山 恵真 工藤 恵理子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.109-118, 2010

People are unaware of the psychological processes that attenuate negative feelings, thus resulting in affective forecasting errors. Since people are unaware that these processes work more efficiently during intense negative feelings, they may expect intense negative feelings to last longer than mild ones. This study aimed to elucidate these affective forecasting errors and demonstrate that they occur in the absence of an external need for affect regulation. Additionally, people's predictions of the emotional states of others in the same situation were investigated. Those who only imagined receiving feedback (forecasters) predicted their affective states would be more negative five minutes after very negative feedback than after mildly negative feedback. However, the affective states of those who actually received very negative and mildly negative feedback (experiencers) differed less than those of forecasters and were less negative than the forecasters' predictions. Furthermore, predictions of an average student's feelings indicated that experiencers predicted that an average student's negative affective state would last longer than their own.