著者
村田 純一 河野 哲也 染谷 昌義 池上 高志 長滝 祥司 吉澤 望 石原 孝二 柳澤 田実 佐々木 正人 三嶋 博之 工藤 和俊 柴田 崇 丸山 慎
出版者
立正大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

わたしたちの生活はつねに多様な人工環境によって支えられている。この「人工環境・内・存在」のあり方を生態学的現象学、技術哲学、生態学的心理学、さらには、認知科学や建築学などの知見を利用して解明すること、これが第一に取り組んだことである。第二に、この知見に基づいて、バリアフリーデザイン、ユニバーサルデザイン、そして、人間中心設計などの設計観の意義を明らかにし、具体的な人工物の製作過程への応用可能性を検討した。
著者
西尾 千尋 工藤 和俊 佐々木 正人
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.73-83, 2018 (Released:2020-06-20)
参考文献数
30
被引用文献数
3

乳児が一歩目を踏み出すプロセスを明らかにするために,乳児3名について家庭で観察を行った。独立歩行開始から1ヶ月以内の自発的な歩行を対象に,歩き出す前の姿勢,手による姿勢制御の有無,一歩目のステップの種類,物の運搬の有無の4つの変数を用いて歩き出すプロセスを分析した。まず乳児ごとに歩き出すプロセスを分析したところ,立位から正面に足を踏み出すだけではなく,ツイストして一歩目から方向転換をする,物を拾い立ち上がりながら一歩目を踏み出すなど多様なプロセスが現れた。最も頻繁に用いたステップの種類はそれぞれ異なり,各乳児に特徴があった。さらに,それぞれの部屋において,乳児が歩き出した場所と歩き出しのプロセスの関係について検討したところ,歩き出す前に進行方向と同じ方向を向いているのかどうか,その際に姿勢を保持するのに利用出来る家具があるのかどうかにより足を踏み出す方法が制約されていることが示唆された。歩行という運動の発達を,個体とそれを取り巻く部屋という環境から成る一つのシステムに現れるタスクとして捉えられることについて考察した。
著者
棚橋 ひとみ 渋谷 惇夫 長 澄人 工藤 翔二
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.35-40, 1999-02-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1

In this study, we examined how the height of the pillow on which a person's head rests affects the respiratory function. We measured tidal volume (TV), vital capacity(VC), expiratory reserve volume (ERV), forced expiratory volume in the first second (FEV_<1.0>), percentage of forced expiratory volume in the first second (FEV_<1.0>%), obstructive index (OI), and angle of the cervical region under the conditions of various pillow heights (3cm, 7cm, 11cm), pillow materials (urethane, buckwheat chaff feather), and postures (sitting position, supine position). The high pillow decreased VC, ERV and FEV_<l.0>, while increased OI. The subjects complained of a choking sensation in each of the experiments. The angle of the cervical region increased in direct proportion to the height of pillow and a choking sensation.
著者
川畑 公平 川嶋 洋一 工藤 なをみ
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第42回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-77, 2015 (Released:2015-08-03)

【目的】フッ素化界面活性剤であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)は難燃剤、乳化剤、撥水剤等に使用されてきたが、化学的に安定で環境中に残留し、また、ヒトにおける半減期が長いため、ヒトの健康への影響が懸念されている。PFOAをラットに投与すると、脂質代謝が広範に撹乱され、脂肪酸のβ酸化に関与する酵素が誘導されることが報告されている。一方で、ペルフルオロカルボン酸を投与すると肝臓にトリグリセリド(TG)が蓄積される。そこで本研究では、肝スライスを用いてPFOAにより脂肪酸のβ酸化が亢進するかを評価した。【方法】9週齢の雄性WistarラットにPFOA0.01% (w/w)含有飼料を1週間摂取させた。ラットより肝臓を採取し、precision cut sliceを調製し、Krebs-Henseleit buffer中で[14C]16:0また[14C]18:1n-9とインキュベートし、ex vivoで代謝物の生成速度を測定した。また、肝ホモジネートを用いて、in vitroでのミトコンドリアとペルオキソームのβ酸化活性を評価した。肝TGおよびリン脂質の量は、構成脂肪酸をGCで分析することにより定量した。【結果および考察】肝スライスを用いると、PFOA群における16:0および18:1n-9のβ酸化活性は、それぞれ対照群の約1.5倍、1.7倍に上昇した。ホモジネートを用いて評価したところ、16:0および18:1n-9のβ酸化活性はミトコンドリアでそれぞれ1.9倍、2.4倍、ペルオキソームでそれぞれ3.2倍、1.9倍に上昇した。PFOA群における肝臓中の総脂肪酸量は対照群と比較してむしろ有意に増加した。以上の結果より、PFOAを投与すると肝臓のβ酸化活性が上昇するにもかかわらず、肝臓中の脂肪酸量は低下しないことが明らかとなった。
著者
淺見 貞晴 高瀬 麻以 工藤 正美 田中 美江子 ザーリッチ 陽子 徳丸 剛 伊藤 敬市 土屋 輝幸 飯島 勝矢 菊谷 武 丸山 道生
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.17-23, 2022-04-30 (Released:2022-08-31)
参考文献数
19

【目的】インフォグラフィックの手法を用いた資料を製作することで,嚥下調整食学会分類を西東京市内の在宅ケアスタッフに普及する.【方法】インフォグラフィックの製作は,東京大学高齢社会総合研究機構(以下,IOG)の「多職種協働による食支援プロジェクト」の一環として,西東京市で2019 年4 月に開始された.プロジェクトチームは,市内の医療系専門職,市役所職員,IOG 特任研究員により構成された.制作にあたっては,ステークホルダーである在宅ケアスタッフに嚥下調整食学会分類普及のためのニーズや課題をヒアリングし,それをもとに,インフォグラフィックの内容を決定した.インフォグラフィックを印刷する媒体は,移動の多い在宅ケアスタッフがいつでも手に取って見られるよう,クリアファイルを選択した.クリアファイルの使い方を伝えるため,西東京市のYouTube チャンネルに解説動画をアップロードした.その後,西東京市内6 施設104 名の在宅ケアスタッフに,クリアファイルの有用性についてアンケート調査を行った.【結果】インフォグラフィックには,1)問題提起と背景,2)嚥下調整食学会分類の使用が推奨される理由,3)嚥下調整食学会分類の説明を内容として含めた.アンケートでは,86 名の食支援に携わる在宅ケアスタッフのうち,85.5% が当資料を今の業務で使う機会があると回答し,92.8% が今後の業務の中で使いたいと回答した.【結論】インフォグラフィックを用いた資料は,在宅ケアスタッフへの嚥下調整食学会分類普及に有用である可能性が示唆された.
著者
重田 匡利 久我 貴之 工藤 淳一 山下 晃正 藤井 康宏
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.61-67, 2007 (Released:2007-09-28)
参考文献数
21
被引用文献数
1

マムシは琉球列島を除く日本の全土に分布している毒蛇であり春から秋にかけて多くみられる。本邦では年間,約10名前後が死亡する1)。田畑や山中での被害報告が多く農村医療では重視される。平成11年から平成18年においてマムシ咬傷35例を経験し臨床像および治療とその経過について検討した。患者は7歳から80歳 (平均60歳) 男性17名,女性18名であった。全例に咬傷部の腫脹と疼痛を認めたが,全身症状は16例 (46%) に認め眼症状が高率であった。血液検査上の異常はCPK高値を24例 (69%) で認め重症度と相関していた。治療は切開排毒処置のうえ原則全例入院とし,独自のマニュアルを初期治療に活用した。治療の結果,症状改善傾向が認められるまでの中央値は3日であった。入院日数の中央値は7日であった。腫脹などの局所症状の消失には時間がかかり治療期間の中央値は31日間であった。受傷から受診までの時間により重症度に差を認め重症化した1症例では集中治療を必要とした。マムシ咬傷では迅速かつ適切な初期治療が必要であると思われた。
著者
工藤 万里江
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.26-48, 2018-09-25 (Released:2020-06-15)
参考文献数
16

A British theologian Elizabeth Stuart (1963-) argues that theology is fundamentally “queer” enterprise since Christianity tells us the fact that all socially constructed “identities,” including sexual and gender identities, have no absolute importance. According to Stuart, whereas “gay and lesbian theology” attempts to interrogate theology based on one’s sexual or gender identity, “queer theology” attempts to interrogate the notion of sexuality and gender based on one’s Christian identity. In this paper, Stuart’s understanding of “queer theology” will be explored through an examination of her arguments about baptism, ecclesiology, and eschatology. I will also analyze her use of the term “queer” as well as the term “theology” and clarify some issues inherent in her understanding of “queer theology.”
著者
中塚 幹也 小西 秀樹 工藤 尚文
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山醫學會雜誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.113, no.3, pp.273-278, 2001-12-31
参考文献数
11
被引用文献数
3
著者
小山田 隆 江坂 幸敏 工藤 上 吉川 尭
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.574-578, 1996-08-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
28
被引用文献数
3

1992年7月~1995年12月に青森県東部地域で集められた18種の淡水魚総計44, 724尾について, 日本顎口虫の幼虫寄生を検索した.ドジョウ, ナマズ, ウキゴリ, ヤマメおよびウグイの5魚種から, 第3後期幼虫計322虫体を検出した.幼虫が検出された魚種はいずれも人への感染源になり得ると思われ, 特にヤマメを含むサケ科ならびにウグイを含むコイ科魚類は, 北日本で発生している人の日本顎口虫症の感染源として重視すべきものと考えられた.
著者
板垣 文雄 工藤 千恵 片桐 幸子 忍足 鉄太 高橋 秀依 夏苅 英昭 渡邊 真知子
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.521-527, 2013-09-10 (Released:2014-09-10)
参考文献数
13
被引用文献数
4 4

After meropenem hydrate (MEPM) injection and amino acid infusions are mixed, the MEPM residual ratio sequentially decreases. This incompatibility is probably due to the nucleophilic attack on the β-lactam ring of MEPM by L-cysteine (L-Cys) present in the amino acid infusion. This study aims to identify the influence of L-Cys on the reaction between MEPM injection and amino acid infusions through an initial incompatibility test between MEPM and L-Cys at pH 4 to 8, followed by an incompatibility test between MEPM injection (MEPM plus additives) and 18 types of amino acid infusions. In the MEPM and L-Cys incompatibility test, as the pH increased, the MEPM decomposition speed was observed to increase after mixing of the two components. This reaction progressed as a secondary reaction, the linear relationship between pH and the logarithm of secondary reaction speed constant, k2, was established (ln k2 = 1.632 × pH - 15.631, r2 = 0.998). In the incompatibility test between MEPM injection and amino acid infusions, as the concentration of L-Cys increased, the MEPM residual ratio was observed to decrease. At 10 and 30 minutes after the mixture of components, a strong correlation was observed between the estimated MEPM residual ratio from the reaction velocity and the measured value (10 minutes: r2 = 0.985, RMSE: 5.44%; 30 minutes: r2 = 0.986,RMSE: 4.55%). The results above indicate that the residual ratio of MEPM obtained through the L-Cys incompatibility test matches the measured residual ratio of MEPM using the MEPM injection and amino acid infusions. Therefore, L-Cys has been identified as the main cause of incompatibility between MEPM injection and amino acid infusions.
著者
工藤 遥
出版者
福祉社会学会
雑誌
福祉社会学研究 (ISSN:13493337)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115-138, 2018-05-31 (Released:2019-06-20)
参考文献数
24
被引用文献数
1

本稿では,「専業母」も利用できる保育・子育て支援として拡充が進められている「一時保育」に焦点を当て,都市部で乳幼児の親を対象に実施した質問紙調査から,母親規範意識との関連を中心に一時保育利用の規定要因を分析した. その結果,一時保育の利用経験群は,非利用群に比べて,親族に託児を頼れず,育児ストレスや夫の育児に対する不満が高く,高所得層が多いといった特徴に加えて,三歳児神話を支持しながらも,親の都合で子どもを預けることに肯定的な意識を持っているといった特徴が明らかになった. また,利用経験群の中でも,特に「リフレッシュ利用」で一時保育を利用している母親は,親都合の託児に抵抗感が少ない傾向がみられた.一方,非利用群の大多数は夫や親族による託児サポートや保育所等の利用を理由に一時保育の利用ニーズを持たないが,2 割未満ではあるものの制度利用に困難を抱えている層や,託児への強い抵抗感から利用していない層もみられた. 「子育ての社会化」として,三歳児神話の否定の上に「専業母」の一時保育利用が公に肯定され,制度の推進が図られている中で,三歳児神話は根強く支持されたまま,一方では親都合による託児を肯定する意識が広がっているという母親規範意識の複層性がみられた.「母親が子育て役割に専業すること」と「母親が自分の都合のために子どもを預けること」は,併存可能な論理として解釈されつつあることが示唆された.
著者
中村 瑠香 工藤 綾乃 南條 優 若月 陸央 萩原 ほのみ 森下 孟 佐藤 和紀
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.2, pp.68-75, 2022-06-27 (Released:2022-06-27)

本研究では,GIGAスクール構想下における,1人1台の情報端末のICTを活用した授業実践を把握し,小学校の授業実践に関するDXの現段階を検討することを目的として,2021年1月から2021年11月までに出版された「GIGAスクール構想」「1人1台端末」に関する書籍21冊に掲載された小学校の1人1台端末を活用した授業実践を,SAMRモデルを用いて分類した.その結果,①中学年になるとM・R(変換)の授業実践が増加すること,②教科全体ではS・A(強化)の授業実践が多いが,総合的な学習の時間ではM・R(変換)の実践が多いことが確認できた.
著者
工藤 晋平
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.161-170, 2006 (Released:2006-03-31)
参考文献数
28
被引用文献数
2 1

成人愛着スタイルの1つであるおそれ型の攻撃性の高さについては,これまで一貫性のない報告がなされてきた.本研究は攻撃性の抑圧,特にその防衛的な側面の抑圧という観点から,この攻撃性のあり方を検討することを目的としている.P-Fスタディを用いて攻撃性を,日本語版RQを用いて愛着スタイルを測定し,大学生・大学院生の女性206名を対象に分析を行った.その結果,他の愛着スタイルと比べておそれ型には潜在的な水準での攻撃性の抑圧が存在し,特に攻撃性の自己防衛的な側面が抑圧されていることが示された.この結果から,これまで一貫性のなかった知見は,攻撃性の抑圧という同じ現象の異なる側面として捉えられることが示唆された.
著者
久志本 成樹 工藤 大介 川副 友
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.399-407, 2016 (Released:2016-08-05)
参考文献数
69

要約:外傷患者の急性期死亡原因としての出血はきわめて重要である.従来,外傷後の急性期に認められる凝固異常は,アシドーシス,低体温などの生理学的恒常性の破綻や,輸液・輸血による希釈などに起因するものであり,治療に伴う副産物であるとされてきた.しかし,この10 年間,転帰に大きな影響を与える外傷急性期凝固障害の存在が広く認識された.外傷とこれに伴うショックにより惹起される線溶亢進病態であるacute traumatic coagulopathy,治療に関連する因子が加わり形成されるtrauma-induced coagulopathy がこれらを形成するが,そのメカニズムは必ずしも明確ではなく,病態解明のためのさらなる検討を要する.凝固障害の回避と治療であるdamage control resuscitation を理論的背景に基づき施行することは,今後の重症外傷に対する治療戦略としての中心的課題である.
著者
工藤 浩
出版者
日本社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会全国大会研究発表論文集 日本社会情報学会 第23回全国大会
巻号頁・発行日
pp.210-215, 2008 (Released:2010-02-10)

I have been researching the moderator's legal responsibility and accountability through several typical civil suits of Japan and the United States of America. The decisions of these trials clarified that not only the moderator would be requested to delete all of the improper data but also s/he would be demanded to maintain all of those as evidence. Here, I discuss the criminal charge as well as the civil liability of the moderator, especially in the case where s/he did delete all of the data that never had seemed so appropriate beforehand before the trouble would be well known.