著者
岡 照晃 小町 守 小木曽 智信 松本 裕治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1641-1654, 2013-04-15

生の歴史的資料の中には,濁点が期待されるのに濁点の付いていない,濁点無表記の文字が多く含まれている.濁点無表記文字は可読性・検索性を下げるため,歴史コーパス整備の際には濁点付与が行われる.しかし,濁点付与は専門家にしか行えないため,作業人員の確保が大きな課題となっている.また,作業対象が膨大であるため,作業を完了するまでにも時間がかかる.そこで本論文では,濁点付与の自動化について述べる.我々は濁点付与を文字単位のクラス分類問題として定式化した.提案手法は分類を周辺文字列の情報のみで行うため,分類器の学習には形態素解析済みコーパスを必要としない.大規模な近代語のコーパスを学習に使用し,近代の雑誌「国民之友」に適合率96%,再現率98%の濁点付与を達成した.
著者
吉峰 正彌 山﨑 廉平 岡崎 加奈 小木曽 令実 鴨井 久博 浅木 英理
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.58-73, 2020-06-30 (Released:2020-06-26)
参考文献数
26

TiO2の光触媒機能,太陽電池を搭載した歯ブラシが,口腔内環境の改善に有用であることが報告されているため,本研究では,それらを応用した歯ブラシであるSOLADEY N4Ⓡ(株式会社シケン)を用いて,ブラッシングによるプラークコントロールの改善効果を,臨床パラメーターから検討した。被験者は,SPTに移行した10名とし,5名ずつ第1群,第2群に封筒法にて割り付けたクロスオーバー試験とし,1クールを4週間として,TBI後に第1クール,第2クールにてSOLADEY N4Ⓡ,プラセボを各被験者に交互に使用させ,それぞれをTEST群,CONTROL群とした。診査項目は,Rustogi Modification Navy Plaque Index(RMNPI)によるデンタルプラークの付着状態,歯肉溝滲出液(以下GCF量),口腔内細菌数とした。その結果,TEST群ではCONTROL群と比較して,SOLADEY N4Ⓡの使用により,口腔内全体,平滑面,歯頚部,隣接面全ての部位で,よりプラーク付着の抑制が認められ,それに伴いGCF量の減少,口腔内細菌数の減少が認められた。SOLADEY N4ⓇをTBI後に継続的に使用することで,TiO2の光触媒抗菌作用によりプラークコントロールが良好に維持,改善され,それに付随してGCF量および口腔内細菌数の口腔内環境も改善が認められることが判明した。
著者
曽野綾子著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
1984
著者
金山 彰宏 小曽根 恵子
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.9-13, 1997-09-25 (Released:2019-07-11)
参考文献数
8
被引用文献数
3

潜伏場所から出て,活動場所で行動するチャバネゴキブリの夜間の活動を,カメラを用いて観察した.観察の結果,雄成虫の活動は極めて活発で,餌場はもとよりその周辺部にも広く分散する様子が観察された.一方,卵を持った雌成虫では,その活動範囲は非常に狭く,潜伏場所に潜む個体数に関係なく夜間の行動は少なかった.卵を持たない雌成虫は,餌場に集中する傾向が強かった.雄雌成虫が示す行動パターンは雌雄成虫,幼虫が混在した条件でも大きく異なることはなかった.食堂内の開放された場所に設置した粘着式トラップに捕獲されたチャバネゴキブリ成虫の構成比をみると,雄成虫は64%,卵を持たない雌成虫は32%,卵を持った雌成虫では4%であった.このことは実験室内で観察されたチャバネゴキブリ成虫の行動特性を良く現していると思われる.
著者
曽我 芳枝
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.297-313, 2008
被引用文献数
1

It is thought that the &ldquo;singing dance&rdquo;, a childcare technique advocated by Fr&ouml;bel, was first performed in Japan at Tokyo Women's Normal School Kindergarten, which was opened in 1876 (9th year of the Meiji era). The part played in its introduction by Clara Matsuno, the first senior kindergartner, Fuyu Toyoda, Hama Kondo and others was clearly recorded, but there has been little study of the role played by the <i>Reijin</i> (musicians) belonging to the <i>Gakubu</i> (Japanese Imperial Court Music Department), Board of Ceremonies, Imperial Household Ministry, to whom composition of <i>Hoiku-shoka</i> (childcare songs) was requested, especially in relation to &ldquo;singing dance&rdquo;.<br>In this study, the author attempted to clarify the creation process of the <i>Hoiku-shoka</i> by reference to the <i>Gagaku-roku</i> (The Official Document Of Japanese Imperial Court Music), preserved at the <i>Gagaku-ka</i> (Japanese Imperial Court Music Section) and <i>Shoryobu</i> (Archives and Mausoleum Department, Imperial Household Agency).<br>The research revealed the following facts:<br>1. Creation process of <i>Hoiku-shoka</i><br>1) Teaching place, schedule, honoraries to the <i>Reijin</i><br>2) There was selection examination for the songs chosen (composed) by Hama Kondo, a kindergartner.<br>3) There was a plan to publish the <i>Hoiku-shoka</i>, but its realization took a long time.<br>2. Introducing process of &ldquo;singing dance&rdquo;<br>1) The concerned <i>Reijin</i> not only composed but also choreographed <i>Tamigusa</i>.<br>2) <i>Shinado-no-kaze</i> (Wind of Shinado) was originally a &ldquo;singing dance&rdquo;.<br>3) At the <i>Gakubu-daienshukai</i> (Great recital of dance and music) held on 30th and 31st October, 1880 (13th year of Meiji), the <i>Gagaku-ka</i> was thought to have organized a performance of <i>Hoiku-shoka</i> by the students of Tokyo Women's Normal School and the children of its kindergarten.<br>These findings clarify the contribution of the <i>Reijin</i> of the <i>Gagaku-ka</i> to modernization of kindergarten education early in the Meiji era by not only selection of the <i>Hoiku-shoka</i> but also its involvement in choreography of the &ldquo;singing dance&rdquo; and its teaching.
著者
呉 魏 青山 栄一 廣垣 俊樹 池ヶ谷 守彦 越前谷 孝嗣 曽田 浩義
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2016年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.331-332, 2016-03-01 (Released:2016-09-02)

噴流を利用した綿状のナノファイバーの新しい製造方法を検討した.さらにそのファイバーの医療・工業における応用方法についても検討した.
著者
町田 宗仁 大澤 絵里 野村 真利香 曽根 智史
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.471-478, 2020-07-15 (Released:2020-07-31)
参考文献数
11

目的 将来的な国際保健政策人材となることが期待される,日本人の国際保健人材が,より多く国際的組織に採用されるために,国際的組織で求められるスキルやコンピテンシーの獲得に繋がるキャリアパスや,国際保健人材育成の際に考慮すべき支援内容の抽出を目的として,国際的組織に勤務する保健関係日本人職員9人に聞き取り調査を実施した。方法 調査期間は2017年10月から2018年2月であった。質問項目は,①基本属性(年代,現所属組織,現所属先の職位,留学経験,現場・フィールド経験,採用前の職業)に加え,②国際機関に応募することになったきっかけ,③現在の仕事をする上でとくに重要だと感じている能力やコンピテンシー,④国際機関に採用されるために結果として役立ったこと,⑤国際機関で働く前の在職中ないし在学中の準備,⑥国際機関で受けた面接の内容,⑦これから一人でも多くの日本人が国際機関に採用されるために必要な後押しの7項目とした。結果 9人全員が修士課程以上の海外留学とフィールド経験を有していた。留学,語学,フィールド経験,ネットワーク,専門性が採用に役に立っていた。職務上の重要な経験,能力,コンピテンシーとして,海外での修士号,フィールドの経験,サブ(業務に関する専門性),スキル(業務を遂行する上で必要な技術)が挙げられた。応募準備として,語学,履歴書作成や面接対策が行われていた。面接では,国際機関等から示されているコンテンツ,公募情報の内容,マネジメント能力に関して質問されていた。今後,多くの日本人を国際機関に送り出すためには,現場経験を積むための環境,ポストを得やすくするためのプログラム創設,国際機関の意思決定プロセスへの日本人の関与,政治的サポート,公募ポストの周知が挙げられていた。結論 将来的に国際的組織で勤務を希望する者は,語学習得の機会,海外留学,また,現場・フィールド経験を積むキャリアパスにより,まずは国際機関との繋がりが持てる仕事,経験を得ることに繋げられるという流れが考えられ,これらを通じてコンピテンシーも体得でき,採用に関して望ましい方向に働くことが一定程度明らかとなったと言える。また,採用試験準備,公募情報の周知や理解の促進等は,人材育成支援策のポイントであり,採用試験に向けた研修等を提供する組織的活動は,将来的に一人でも多くの日本人を国際保健人材として送り出せる可能性を生むものと考えられた。
著者
中曽根 悦子 山沢 英明 瀧上 理子 中山 雅之 間藤 尚子 中屋 孝清 坂東 政司 杉山 幸比古
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.205-209, 2013-03-25 (Released:2016-10-29)
参考文献数
14

背景.インフルエンザA (H1N1)2009では,鼻咽腔拭い液の迅速検査の感度は低いことが知られており,確定診断を得るのが時に困難な場合もある.症例. 33歳,男性. 2011年2月,発熱,咳嗽が出現し近医にて鼻腔拭い液のインフルエンザ迅速検査を施行したが陰性であった.その後呼吸困難が悪化,胸部X線で両側のすりガラス陰影を認め,当科を紹介受診した.鼻咽腔拭い液の迅速検査は計4回陰性,鼻腔拭い液のインフルエンザA (H1N1) RT-PCR検査も陰性であったが,気管支肺胞洗浄液のRT-PCR検査が陽性であり,インフルエンザA (H1N1)肺炎と診断した. ARDSに至る重症肺炎であったが,ペラミビルの連日反復投与を中心とした治療で改善した.結語.重症インフルエンザA (H1N1)肺炎では,下気道検体を積極的に採取しRT-PCRを施行することは,確定診断を得る上で有用である.ペラミビルの反復投与の有効性について,さらなる症例の蓄積が望まれる.
著者
小林 弘明 高木 浩光 有田 隆也 川口 喜三男 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.285-286, 1994-03-07

知識モジュールやシステムが状況変化に対して柔軟に適応できるかどうかという、柔らかさと呼ばれる概念が注目を集めはじめている。我々はプログラムを柔らかく記述する方法として概念制約式と呼ぷプログラム記述要素を提案している。本稿では概念制約式を用いて表現されたプログラムから実行可能なプログラムを生成するコンパイル手法について述べる。
著者
有田 隆也 高木 浩光 河村 忠明 曽和 将容
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1896-1897, 1989-10-16

機械語命令レベルからレジスタトランスファレベル程度の細粒度における並列実行方式であるPNアーキテクチャでは、プロセッサ内の複数の処理ユニットにそれぞれ命令流を独立に与えることによって並列実行を行う.各処理ユニットが独立に動作し、必要に応じて高速通信を行うので、VLIW方式のようにコンパイラで完全にスケジューリングを行い実行時には同期を行わない方式より、きめの細かな並列度を抽出する可能性かあり、またタイミングの不安定なメモリなどのハードウェアを組み込むのも容易である.処理ユニット数を3としたプロトタイプモデルは、従来の逐次的な機械語命令を、(1)データ転送命令(2)演算命令(8)フロー制御命令、の3つに分類し、制御フロー計算モデルに基づいた通信を行いながら、それぞれを専用の処理ユニットで実行する・フロー制御を行う処理ユニットに独自の命令流を与えたことにより、分岐判断の先行実行が可能となり、分岐処理に要する時間を大幅に減ずることも特長のひとつである.本稿では、PNアーキテクチャの分岐命令の処理方式について比較検討する.
著者
高木浩光 有田 隆也 川口 喜三男 曽和 将容
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告
巻号頁・発行日
pp.73-80, 1994
被引用文献数
1

効率的な並列実行のために,タスク間のデータ依存関係などにより必要となるプロセッサ間の同期操作を,高速に実現することが重要である.同期操作のソフトウェアによる実現では,同期操作自体に浪費される時間が無視できないほどに大きいものとなりうるのに対し,バリア同期の専用ハードウェアによる実現は,高速でしかも実現コストが小さいという特長を持っている.本稿では,ソフトウェアによる同期操作を一切併用することなく,バリア同期のみによって,与えられたプログラムの正しい実行を保証するような,バリア挿入位置を求めるアルゴリズムについて議論し,プロセッサの実行タイミングを推定しながらタスク割当てと同時にバリア挿入位置を決定することで,できるだけ全体の処理時間が短くなるような割当てを決定するアルゴリズムを示す.