著者
山口 健太郎 谷本 圭志 長曽我部 まどか
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_173-I_181, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
30

今日の社会が抱えている社会的課題の多くは,複数の分野にわたる「子課題」を内包している.防災はその典型であり,高齢者など弱者の支援,被災後のまちづくり,防災投資の経済効果などの子課題を内包している.このような課題の解決に向けては,子課題に精通している専門家が総合的な解決策を模索するための協働的な体制づくりが必要である.しかし,それぞれの専門家の関心を直ちに把握することができないため,適切な構成員の人選には試行錯誤を伴うのが一般である.そこで本研究では,テキスト情報の背後にある関心を解析する手法を用い,専門家が発信するテキスト情報から個々人の関心を定量的に評価し,その結果を活用して体制づくりを支援するための手法を検討する.
著者
山口 健太郎 谷本 圭志 長曽我部 まどか 前波 晴彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題) (ISSN:21856621)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_111-I_121, 2018 (Released:2019-02-19)
参考文献数
12

わが国における防災に関する社会的な関心は高く,またその関心に応えるための防災研究の推進が期待されている.しかし,社会的な関心/学術的な関心の状態と,それら双方の近接(もしくは乖離)の度合いを知ることは容易ではなく,このことは,社会的関心(社会ニーズ)に基づいた防災研究の戦略立案の困難さの原因となるであろう.この困難さの根本的な要因は,学術的な関心にせよ社会的な関心にせよ,それらを定量化するための手法が十分に開発されていなかった点が挙げられるが,近年ではテキスト解析手法が開発され,これらの分析が可能になってきている.加えて,分析するためのデータについても入手が容易になっている.そこで本研究では,テキスト解析を用いて,防災に関する学術的な関心と社会的な関心の近接度を実証的に分析する.
著者
矢羽田 彩乃 北川 雄一 大窪 歩 大久保 喬平 曽我 公平 大島 朋子 竹村 裕
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2020 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp.2P1-F12, 2020 (Released:2020-11-25)

This study shows the possibility of plaque detection by near-infrared hyper spectrum imaging (NIR-HSI) and machine learning without plaque stain. While the plaque stain shows where the plaque is, the plaque stain leaves color and may cause anaphylaxis. Near-infrared images are obtained from the plaque cultured teeth by NIR-HSI. RGB images of stained teeth are obtained and superimposed on the near-infrared image. The G channel of the RGB image is corrected to label the spectral data plaque or no plaque. Learning and prediction were performed by Artificial Neural Network. The proposed method showed that plaque could be detected without staining about 70% accurate.
著者
佐藤 憲昭 阿曽 尚文 三宅 和正
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.192-195, 2002-03-05 (Released:2011-02-09)
参考文献数
14

超伝導体における遍歴電子は引力相互作用によって互いに束縛されクーパー対を形成している. 通常の超伝導体でグルー (接着剤) の役割を果たしている準粒子はフォノンであるが, 磁気秩序と超伝導が共存する不思議な化合物であるUPd2Al3におけるグルーは一体何であろうか? 本稿では磁気励起子と呼ばれる磁気モーメントの集団運動が超伝導引力を媒介していることを示す.
著者
小木曽 裕 根本 和晃 藤崎 健一郎
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.753-756, 2013 (Released:2014-05-08)
参考文献数
17
被引用文献数
2

The aim of this study is to elucidate how residents’ perception and use of green belts (“forests”) in housing complexes changed when such spaces were redeveloped in order to meet residents’ needs to eliminate parts considered as obstacles from the viewpoints of perception and utilization. The opinion of residents about the forest space in Tamadaira was that its balance was improved by the redevelopment, its overall atmosphere was lightened, and the space became easier to use. Consequently, the forest was considered to have become more valuable. The use of forests preserved in the area also increased as a result of redevelopment, and the residents’ perception of the forests was improved. This higher evaluation is attributed to the comprehensive improvement of forests in accordance with the needs of residents, whereby the presence of forests was the objective of planning and scholarship through long-term workshops and green academic seminars.
著者
松山 淳子 畑 邦彦 曽根 晃一
出版者
鹿児島大学農学部演習林
巻号頁・発行日
no.34, pp.75-80, 2006 (Released:2011-03-05)

2001年5月から12月にかけて、鹿児島大学農学部附属高隈演習林(鹿児島県垂水市)の3林分と鹿児島市城山において、ホンドタヌキの新しい糞を採取し、その内容物を調査した。タヌキの糞には、植物の種子、果肉、組織、昆虫類、その他の節足動物、軟体動物、ほ乳類や鳥類の骨などが含まれていた。このうち、夏は昆虫を中心とした動物が多く含まれ、秋から初冬にかけて植物の種子や果肉の割合が増加した。糞に含まれる昆虫や種子の種類は林分間で異なり、市街地と接している城山では、人間の生活に関連していると考えられるプラムやウメの種子の他に、ビニールやアルミホイル、布なども回収された。これらの結果から、タヌキはその生息環境に応じて、その食性を変化させる能力を持っていると考えられた。人間との接触機会が増加しているタヌキの個体群の保全について考察した。
著者
岡田 昌己 曽我部 夏子 高田 安希子 山本 菜月 西村 一弘 田邉 解
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.311-320, 2019

<p>A survey was conducted involving female soccer players who belong to a top-level soccer team in the Japan Women's Soccer League (top players) and junior/senior high school players who are members of its affiliated club for young soccer players (young players), to examine their awareness of health management and diet as well as their dietary habits. Both teams are from female soccer clubs to which many players represent Japan. To the question : "Do you know about the three primary characteristics of female athletes (a lack of energy, menstrual abnormalities, stress fracture/osteoporosis)", the rates of top and young players who answered "Yes" were 80 and 48%, respectively ; the difference was significant (p<0.05). There was a significant difference in the status of milk intake (p=0.013) ; whereas 55% of top players "rarely drank milk", 48% of young players "drank it almost every day". There was a significant difference in the status of cheese intake (p=0.033) ; whereas 40% of top players "rarely ate it", 52% of young players "ate it twice or three times a week". The rate of supplement intake was higher among top players (32%) compared with young players (5%). Regarding reasons for eating and drinking after soccer games, "recovery from fatigue" was cited as a cause by 100 and 55% of top and young players, respectively, and 44 and 86% of top and young players ate and drank "from hunger", respectively ; the differences were significant (p<0.01 each). The results of the survey provided the following valuable knowledge required to support female athletes in the future : it is necessary to implement education on the three primary characteristics of female athletes for young soccer players who may be selected as members of the national team ; there is a difference in milk/supplement intake between top and young players ; and they eat and drink for different reasons after soccer games.</p>
著者
真木 利江 曽田 龍士 宮崎 真吾
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.77, no.676, pp.1499-1506, 2012-06-30 (Released:2012-07-27)
被引用文献数
1 1

This paper intends to shed light on the spatial composition of Claremont Garden, one of the most representative English landscape gardens in 18th century. We focused on the garden's creation by Charles Bridgeman with Sir John Vanbrugh and later development by William Kent, and reproduced the original plans based principally on 3 maps. The spatial composition was analyzed by axis, geometrical composition and landform. In conclusion, Bridgeman and Vanbrugh designed the garden based on some axes abstracted from the landform, but some geometrical relationships between them were hidden. Kent disposed of some axes and emphasized both ends of the ridge.
著者
金銅 誠之 江口 徹 伊藤 由佳理 伊山 修 馬 昭平 菅野 浩明 長尾 健太郎 向井 茂 島田 伊知朗 小木曽 啓示 吉川 謙一 宮本 雅彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

いくつかの方程式の共通零点の集まりとして定まる図形(代数多様体)の構造や対称性および図形のある種の分類(モジュライ空間)を行うことが代数幾何の大きな問題である。楕円曲線の2次元版としてK3曲面と呼ばれる代数多様体が19世紀に発見され、現在、数学および数理物理でも興味を持たれている。本研究において、K3曲面のモジュライ空間の構造の解明や、K3曲面の対称性を表す自己同型群の記述などの成果を得た。またK3曲面の対称性とマシュー群と呼ばれる有限単純群との間の不思議な関係を示唆するマシュームーンシャイン現象と呼ばれるものが関心を集めているが、この方面での研究においても成果をあげた。
著者
金銅 誠之 島田 伊知朗 小木曽 啓示 伊山 修 馬 昭平 菅野 浩明 江口 徹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2015-05-29

研究代表者は標数2、Artin 不変量1の超特異K3曲面を標準被覆に持つエンリケス曲面は3種類に限ること、およびそれらの具体的な構成を与えた。分担者 馬はジーゲルモジュラー多様体上の普遍アーベル多様体やそのコンパクト化上の多重標準形式とジーゲルモジュラー形式の対応を与え、久我族の小平次元の評価を得た。分担者 菅野は複素 Chern-Simons 理論の正準量子化から導かれる U(1) 同変な変形 Verlinde 代数とある種の 4 次元超共形場理論の超共形指数が定める2次元位相的場の理論の対応関係に関して研究を行った。分担者 島田は超越格子のディスクリミナントが小さい特異K3曲面上のエンリケス対合を分類し、さらに階数10の双曲的ユニモジュラー偶格子の交点形式を2倍にしたものから階数26の双曲的ユニモジュラー偶格子への埋め込みを分類した。分担者 小木曽は複素Enriques曲面の自己同型の正エントロピーの最小値を決定し、さらに素体上超越次数が正である任意の奇素数標数の代数閉体上、K3曲面と双有理な滑らかな射影代数曲面でその全自己同型群が非有限生成であるものの存在を示した。また、素体上超越次数が零である任意奇素数標数の代数閉体上では、K3曲面と双有理な滑らかな射影代数曲面の全自己同型群は常に有限生成であることも示した。近年のCohen-Macaulay表現論は、導来圏・三角圏を制御する傾理論の影響を大きく受けて発展していが、分担者 伊山は主要な研究成果に関するサーベイをICM 2018のproceedingsに執筆した。
著者
信田 幸大 前田 泰宏 曽根 智子 衛藤 久美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.210-222, 2020-10-01 (Released:2020-11-09)
参考文献数
38
被引用文献数
1

【目的】勤労者に対し,管理栄養士によるセミナーと野菜飲料提供による環境サポートを組み合わせた栄養教育プログラムを実施することで,野菜摂取量及び野菜摂取に関する行動変容ステージに及ぼす影響を検証した。【方法】勤労者男女を研究対象者とし,層別化無作為比較試験を実施した。解析対象者は194名(介入群100名,対照群94名,平均年齢43歳)であった。栄養教育プログラムは介入群のみに実施した。主評価項目は,行動変容ステージ及び野菜摂取量とし,副次評価項目として野菜摂取に関する意識や行動の変化が生じる要因とした。【結果】野菜摂取量の変化量については,プログラム終了直後では対照群に対して介入群で有意に高かったが,終了6週間後の調査では有意な差は認められなかった。一方,行動変容ステージの事前から終了直後の変化量は,対照群に対して介入群で有意に高く,終了6週間後でも同様に群間差が見られた。また,本プログラムは,野菜摂取に関する意識や行動の変化が生じる要因のうち,健康に対する利益や関心,セルフエフィカシー,所属する組織や地域からの環境サポートといった因子に対して働きかけていたことが示唆された。【結論】管理栄養士によるセミナーと野菜飲料提供による環境サポートとを組み合わせた栄養教育プログラムを実施することで,勤労者の野菜摂取に関する意識や行動が変化し,野菜摂取量が増加することが示唆された。
著者
渡邉 亮 遠藤 俊太郎 曽我 治夫
出版者
日本交通学会
雑誌
交通学研究 (ISSN:03873137)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.39-46, 2017

鉄道の廃線敷は、土地利用の転換・活用が難しく、特に地方部で有効に活用されている事例は少ない。しかし、一部では観光施設として有効活用されている事例もある。本研究では、国内3事例、海外1事例について、誕生の背景や施設の保有・運営形態、採算性等をヒアリング調査した。その結果、鉄道時代を上回る集客力を有し、一定の収支を確保している事例が確認でき、廃線敷を活用した施設が新たな観光資源として都市と地域の交流を生む可能性を秘めていることが明らかとなった。
著者
荒川 翔平 山本 有悟 川合 健太郎 有馬 健太 山崎 大 丸山 龍治 林田 洋寿 曽山 和彦 山村 和也
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.389, 2020

<p>我々は数値制御プラズマCVMによる中性子顕微鏡用Wolterミラーマンドレルの作製に取り組んでいる.プラズマCVMは化学的な加工法であるため,材料除去率は表面温度に依存する.マンドレルは先細り形状の合成石英棒であるため,プラズマ照射時の温度上昇は先端ほど大きく,材料除去率の上昇分を照射時間で補正する必要がある.本報ではプラズマ照射時間の補正後に,マンドレルを形状修正した結果を報告する.</p>
著者
村上 仁 神田 未和 中島 玖 澤柳 孝浩 曽我 建太 濱田 憲和 池上 清子
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.49-64, 2020

<p><b>目的</b></p><p>  本研究の目的は、日本でSDGsの保健目標(目標3)とジェンダー目標(目標5)を相乗的に達成していくために日本が取るべき具体的方策を、ジェンダー分析に基づいた日本とイギリスの比較から明確化することである。</p><p><b>方法</b></p><p>  日本では、ジェンダー平等を目指して活動する機関のジェンダー専門家8名と産婦人科医2名に、イギリスでは、保健とジェンダーの分野に深く関わりのある政府組織、市民社会、アカデミアから9名に、性と生殖に関わる健康・権利ならびにジェンダーに基づく暴力対策の現状につき、詳細面談および文献調査を実施した。テープ起こしをした原稿につき、質的内容分析を実施した。</p><p><b>結果</b></p><p>  「避妊・人工妊娠中絶」、「性感染症対策」、「性教育」、「婦人科系がん対策」、「ジェンダーに基づく暴力対策」の各項目につき、ジェンダー視点からみた日英の現状を明らかにした。比較の結果、特に「避妊・人工妊娠中絶」、「性教育」、「ジェンダーに基づく暴力対策」につき、両国の取り組みに差が見られた。イギリスではジェンダー・トランスフォーマティブ(女性の状況の改善だけでなく女性の社会的地位を改善し、彼女たちが権利を十分に行使できることを目指す)な取り組みが行われている一方、日本ではそのような取り組みに未だ踏み出していない施策として、1)避妊法の選択肢の確保と費用の低減化(緊急避妊薬へのアクセス改善を含む)、2)人工妊娠中絶を女性の意志のみで実施できるようにすること、3)人間関係を含めた包括的な性教育の体系的な実施、4)ジェンダーに基づく暴力に対応する戦略策定の4点が明らかとなった。</p><p><b>結論</b></p><p>  結果から導かれた4点を進めることで、日本においてSDGsの目標3と目標5を相乗的に達成していけると思われる。そのためには、政策決定への市民社会の参画の拡大と、女性議員比率の向上が助けになると考えられる。</p>