著者
竹澤 邦夫 二宮 正士 吉田 康子 本郷 千春 徳井 和久 伊東 明彦 竹島 敏明
出版者
システム農学会
雑誌
システム農学 (ISSN:09137548)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.121-127, 2009-04-10

リモートセンシングデータを用いて水稲の収量を高い精度で推定する方法として、当該年次と過去の年次のデータに異なった重みをつけることが考えられる。その際、過去の年次のデータに対する重みとして年次によって異なる値を用いることができる。その際の重みの値を最適化するために確率的な最適化手法を試みた。回帰式として重回帰式を用いた。その結果、ここで用いたデータに関しては年次によって異なる値を用いた場合はむしろ予測誤差が大きくなってしまうことが分かった。過去のデータと当該年度のデータに対する重みとして全て同じ値を用いた場合に予測誤差が最も小さくなった。これは、回帰におけるパラメータの数を多くしすぎると過剰適合によって予測誤差が大きくなる現象の一例と考えられる。しかし、最適化された重みに対して収縮手法を用いることによって全ての重みの値を等しくした場合よりも予測誤差が小さくなることも分かった。
著者
本郷 次雄
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.116-126, 1982-04-20
著者
中西 希代子 宮本 文夫 橋本 博之 本郷 猛 林 千恵子 石井 俊靖
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.37-41, 2013

Daily intake of glyphosate in 2010 and 2011 at Chiba prefecture was estimated using total diet samples prepared according to the market basket method. One hundred eighty six and 175 kinds of foods were purchased from supermarket at Chiba in December 2010 and December 2011, respectively. The purchased foods were divided into 14 food groups as total diet samples, and contents of glyphosate in those groups was analysed by high-performance liquid chromatography with fluorescence (HPLC-FL). Glyphosate was detected from second food group (Cereals and potatoes) and 13th food group (Seasonings and spices, other foods) among 14 food groups. Estimated daily intake of glyphosate in all food groups were 24.2μg/day in 2010, and 17.6μg/day in 2011. These estimated daily intake were accounted for 0.064% in 2010, and 0.047% in 2011 of the ADI assuming a body weight of 50 kg. The foods contribute to glyphosate detected from second food group were breads, fu, boiled noodle, macaroni, and that in 13th food group was soy sauce. Glyphosate detected by HPLC-FL method from above two food groups and those foods was identified by liquid chromatography with tandem mass spectrometry. Above these foods were all contained flour. Therefore, it seems to be high possibility that detected glyphosate is originated from flour.
著者
長沢 栄史 下野 義人 本郷 次雄
出版者
日本きのこセンター菌蕈研究所
雑誌
財団法人日本きのこセンター菌蕈研究所研究報告 = Reports of the Tottori Mycological Institute (ISSN:03888266)
巻号頁・発行日
no.38, pp.6-13, 2000-12 (Released:2011-03-05)

従来日本から未記録であったモエギタケ科のきのこ,Hypholoma tuberosum Redhead & Kroeger(キンカクイチメガサ/菌核市女傘:新称)の日本における発生について報告した.本種は1987年にカナダ,バンクーバー産の標本に基づいて新種記載された比較的新しい種類であるが,Hypholoma(=Naematoloma)クリタケ属において菌核を形成する点を著しい特徴とする.カナダからの報告以後は,オーストラリアおよびベルギーから報告されているのみであった.菌核は地中に形成され,褐色で不規則に歪み,大きさは通常10-30×10-25×10-20mm.子実体は一つの菌核から1-5個生じ,比較的小形.かさは径2-4cm位,黄土色~帯褐橙色で湿時やや粘性を帯びる.柄はつばを欠き,傘より淡色で細長く,菌核が土に深く埋っているときは基部が根状に長く伸びる.胞子紋は暗紫褐色.胞子は楕円形で発芽孔を有し,大きさ8.5-12×5-6.5μm(平均10×5.5μm).日本では秋,芝生,畑,公園内の植木の下,あるいは花壇などに発生し,鳥取県(鳥取市),京都府(京都市),大阪府(高槻市)および新潟県(上越市)で発見されている.国内における生態および分布の状況から推察して,本菌は恐らく外国からの移入種であり,また,国内に広く分布しているのではないかと考えられる.
著者
本郷 正武
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.69-84, 2011-06-30 (Released:2013-03-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

本稿は,いわゆる「薬害HIV」感染被害者たちが,強い偏見と差別の最中,どのようにして訴訟運動に参加しえたのかを,社会運動論,とりわけ「良心的支持者」概念の観点から考察する.HIVが混入した非加熱濃縮血液製剤により血友病患者がHIVに感染した「薬害HIV問題」は,国と製薬会社を相手取った「薬害HIV訴訟」へと発展した.しかし,偏見と差別が渦巻く状況下で,感染被害者たちはHIV感染告知をめぐる医師との「すれ違い」があったり,血友病患者会などでの人間関係が破砕されていた.このような訴訟運動への参加の障壁が高い中で,感染被害者たちはいかにして訴訟運動にコミットできたのであろうか.ある訴訟運動を支援する会は「当事者性の探求」を掲げ,たんに感染被害者のプライバシーを守るだけでなく,無自覚に感染被害者をいたたまれない状況に追い込まないことをめざした.このような活動理念は,「当事者捜し」を回避し,運動から直接の利益を得ないにもかかわらず運動参加する「良心的支持者」として感染被害者が振る舞うことを可能にした.このことは,問題の深刻さを示すとともに,感染被害者がより安全な形で運動参加する方法をも提示している.本事例で示した良心的支持者概念の戦略上の「転用」は,いわゆる「当事者」概念と同様に,「誰が良心的支持者になる/なれるのか」という問いについても論題が開かれていることを示すものである.
著者
坂本 修一 小玉 純一 本郷 哲 岡本 拓磨 岩谷 幸雄 鈴木 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.171, pp.19-23, 2010-08-02

我々は,多数のマイクロホンを設置した球状マイクロホンアレイSENZI(Symmetrical object with ENchased Zillion microphones)を収音に用いた音空間収音・再生手法を提案している.これまでの研究結果から,SENZIを設計する際に,1)空間的折返し歪みの影響を避けるためできるだけ密にマイクロホンを設置すること,2)制御方向の間隔を5°以下にすること,3)SENZIの直径を聴取者の頭部サイズに合わせること,といった設計指針が得られてきた.本報告では,この指針にしたがって設計,実装した252chのECMマイクロホンから構成されるSENZIシステムについて記す.計算機シミュレーションにより再現される音空間の精度を検証した結果,設計した252chの球状マイクロホンアレイにより,音空間を精度高く収音できることが示された.
著者
筒井 昭仁 藤井 東次郎 松尾 忠行 本郷 啓成 境 脩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.257-265, 1995-04-30
被引用文献数
15

フッ化物配合歯磨剤の普及状況を知ることを目的に,福岡市内2保健所の1歳6ヵ月児健康診査の受診者349名とその保護者348名,および1幼稚園の3歳から6歳の167名とその保護者164名を対象に質問紙法による調査を行い,以下の知見を得た。1)歯磨きを毎日するものは,1歳6ヵ月児健康診査受診者で54%,園児で85%以上,保護者では90%以上と高く,園児,保護者においては歯磨きは生活習慣として定着していた。2)1歳6ヵ月児健康診査受診者のほとんどが歯磨剤を使用していなかった。園児については60〜85%が,いつもあるいは時々使用していた。同じく,保護者では80%以上が使っていた。3)フッ化物配合歯磨剤使用者は,1歳6ヵ月児健康診査受診者で5%,3,4歳から6歳の園児で32%から56%,保護者では36%であった。4)歯磨剤選択の理由は,幼児,保護者ともに「むし歯予防のため」,「フッ素が入っている」が上位を占めていた。「歯科専門家の指導による」としたものはほとんどいなかった。また,歯磨剤を使わない理由として「歯科医にいわれて」と答えたものが多くみられた。5)使用歯磨剤中のフッ化物配合歯磨剤の割合をみると,幼児で76%,保護者で39%であった。フッ化物配合歯磨剤のう蝕予防効果は20〜25%と報告されており,わが国における今後の普及が期待される。この点については,歯科医師,歯科衛生士等の専門家による正しい情報の普及や指導が大きな鍵となるであろうことが考えられた。
著者
吉森 孝良 山田 次彦 本郷 勉 武内 次夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1808-1811, 1962-11-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

金属ウラン中の1ppm以下の微量の銀を陽極溶出電量分析法によって定量した。はじめに銀の電量分析法において,電解液の容積とそのpH,あるいは電解液中に混入したタリウムやウランの影響について検討した。つぎにこの結果を実際の金属ウランの分析に応用した。すなわち銀含量が0.4ppm以上の試料では,ウランをクエン酸錯塩としてその影響をのぞくことによって,とくに銀をウランから分離することなく定量することができた。また銀量が0.4ppm以下の試料に対しては, タリウムとともに銀をヨウ化物として沈殿させ, ウランから分離して定量し, 満足すべき結果を得ることができた。
著者
羽柴 哲夫 山田 正信 本郷 卓 宮原 永治 藤本 康裕
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.301-306, 2010-05-25 (Released:2010-07-09)
参考文献数
5

症例は67歳男性.突然の意識障害と右上下肢麻痺で発症した.臨床症状より脳底動脈塞栓症を疑ったが,発症1時間後の頭部CTでは異常を認めず.撮影中に意識障害・右上下肢麻痺は改善を示したため,同時に3D-CT angiographyを施行した.結果,主幹動脈の閉塞を認めず,塞栓後直ちに再開通が得られたと判断した.発症当日には患者は完全に回復したと発言し,自覚的訴えも無かったが,発症翌日に盲を訴えた.MRIにて両側後頭葉梗塞を認めたため,皮質盲と診断した.本患者は発症急性期には,盲であることに無関心であったと考えられ,病態失認の一種であるAnton症候群を呈していたと考えた.T-PA時代においては脳梗塞急性期に正確な神経症状の評価が必要であり,病態失認の存在は急性期診断のpit fallになりえると考えた.閉塞血管の再開通により神経症状の回復が見られ,t-PA療法の適応がないと判断されてもNIHSSの評価は必須であると考えた.
著者
本郷 宙軌
出版者
琉球大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は次の3つの計画から構成されている.計画1:過去のサンゴ礁生態系の復元(最終氷期以降のサンゴ礁試料を用いて,過去のサンゴ礁生態系を復元する.とくに,サンゴ礁生態系の成立維持に関わった重要な生物(以下,鍵種)を発見する.).計画2:現在のサンゴ礁生態系の評価(過去100年間を対象に,地球温暖化と人為影響を受けたサンゴ礁生態系の現状評価を行う.).計画3:将来のサンゴ礁生態系の予測(将来の地球温暖化と人為影響下におけるサンゴ礁生態系の予測を行う.).・計画1の実施状況:南西太平洋におけるサンゴ礁生態系の鍵種発見についての成果を国際誌に公表した.また,西インド洋におけるサンゴ礁生態系の鍵種発見についての成果をまとめた.さらに,これまで進めてきた3つの海域(北西太平洋と南西太平洋,インド洋)の鍵種の生物地理が明らかとなったため,国際誌に投稿した.・計画2の実施状況:沖縄県石垣島のサンゴ礁生態系を対象に現状評価を行なった.過去15年間のサンゴの被度の低下が,高水温と頻繁に来襲した台風による影響であることが明らかとなった.また,人間活動に伴う陸域からの赤土流出も影響していることも明らかとなった.この成果は国際誌に公表した.・計画3の実施状況:琉球列島(沖縄本島と石垣島,久米島,奄美大島,徳之島)のサンゴ礁生態系を対象に将来予測をおこなった.石垣島を対象とした例では,将来の海面上昇と台風の強度の増大に注目したところ,鍵種が減少している西海岸では今後,サンゴ礁生態系の成立が困難になる可能性が高いことが明らかとなった.この成果は国際誌投稿に向けて準備中である.