著者
髙橋 渉 伊藤 元太 本郷 良泳 長沼 未加
出版者
一般社団法人 日本薬局学会
雑誌
薬局薬学 (ISSN:18843077)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.98-106, 2022 (Released:2022-10-24)
参考文献数
21

保険薬局で調剤される抗インフルエンザ薬には,内服薬と吸入薬がある.内服薬の服薬指導時間は,吸入薬よりも短い可能性があるが,薬局での抗インフルエンザ薬の服薬指導時間を評価した研究はない.そこで本研究では,2018~2019年シーズンに内服薬(オセルタミビル,バロキサビル マルボキシル)と吸入薬(ザナミビル,ラニナミビル)を処方された患者について,薬局の電子薬歴端末のデータを用いて服薬指導時間と患者の薬局滞在時間を評価した.平均服薬指導時間は,内服薬が3.13分(n=44,080),吸入薬が4.68分(n=19,710)であり,吸入薬では内服薬に比べ約1.5倍時間が長かった.薬局滞在時間の平均は,内服薬で14.61分(n=49,572),吸入薬で14.98分(n=22,937)であり,服薬指導時間でみられたような差は認められなかった.服薬指導時間短縮による影響について,今後さらなる調査が必要である.
著者
本郷 道夫 本郷 道夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.1883-1891, 1982-10-05 (Released:2007-12-26)
参考文献数
24
被引用文献数
1

Ca拮抗剤は,Caイオンの細胞内流入を抑制することにより平滑筋弛緩をおこすものである.本研究では食道下端括約圧(LESP)に対するCa拮抗剤の影響について基礎的ならびに臨床的検討を行った.麻酔犬を用いた実験では、nifedipine, verapamil, diltiazemは,安静時LESPを低下させtetragastrin, bethanecholによるLESPの上昇も抑制した.臨床的にはCa拮抗剤のLESP低下作用をLESP亢進状態であるアカラシアに対して応用することを考え,舌下投与の可能なnifedipineについて検討を行つた.その結果,nifedipineはアカラシア患者のLESPを低下させ,また症状の改善をもたらした.したがつて,nifedipineはアカラシアの内科的治療の手段となり得ると思われる.
著者
本郷 栄次郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.118, no.5, pp.290-293, 1998-05-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
6
著者
平松 由起子 安井 賢 卜部 厚志 本郷 美佐緒
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.153-161, 2005-08-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

2004年7月13日, 新潟県中越地方を中心とした記録的な集中豪雨により, 五十嵐川や刈谷田川など複数の河川が各所で越流および破堤し, 三条市, 中之島町および見附市などで甚大な被害が発生した. 筆者らは刈谷田川沿いの中之島町中之島および見附市南部の被害状況について調査し, 洪水流の流下様式と地形の関係について検討した. 中之島町中之島は沖積低地上に立地し, 堤防の急激な破堤によって破堤箇所近傍では段波が発生した. 洪水流は主に道路や空き地を通って拡散したこと, 自然堤防の高まりを避けて途中から流路を変更したこと, および寺院に植えられている樹木や今回の破堤で生じた瓦礫の存在により, 洪水流の嵩上げが生じたことなどが明らかになった. 一方, 見附市南部は多くの段丘面で囲まれた谷底平野に位置し, 稚児清水川の破堤によって堤内に流入した洪水流の流路は現堤防と段丘面に規制された. 洪水流は沖積面の狭まる地形的狭窄部に位置していた旧堤防により一時的に塞き止められて嵩上げされ, その後, 旧堤防を破壊して, 稚児清水川から4km下流の, 堤防よりも低い段丘面の狭窄部を直撃したことが明らかとなった.
著者
本郷 正武
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.109-119, 2013-07-19 (Released:2014-08-31)
参考文献数
23

本稿はHIVが混入した輸入血液凝固因子製剤によりHIV感染した血友病患者が政府と製薬企業を相手取った訴訟運動(1986~1996年)に参加するプロセスを示した上で,「薬害」概念が訴訟により構築されていく要件を検討する.血液凝固因子製剤によりHIV感染した事実のみで「薬害HIV」は成立しない.感染被害者や医師へのインタビュー調査から,原疾患である血友病,血液製剤により重複感染していたB型・C型肝炎との重要度の比較からHIV/AIDSの問題を認識し,さらに憤りや義憤を超えて,亡くなっていった仲間たちに対する使命や弔いの感情をもつようになるプロセスを明らかにした.こんにち,政府は「薬害教育」を強く推進しているが,本稿は「薬害」問題を開示する社会運動の生起を説明するため,従来の社会運動論の動員論,行為論とは異なる,社会運動の「質」を説明する「第三のアプローチ」を参照し,「薬害」概念を再検討するための枠組みを提示した.
著者
中澤 努 長 郁夫 坂田 健太郎 中里 裕臣 本郷 美佐緒 納谷 友規 野々垣 進 中山 俊雄
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.367-385, 2019-05-15 (Released:2019-08-15)
参考文献数
68
被引用文献数
7 12

東京都世田谷区の武蔵野台地の下に分布する更新統世田谷層及び東京層の層序と地盤震動特性について検討した.世田谷層はMIS 6に開析された谷地形をMIS 5e前期~中期に埋積した地層であり,内湾成の軟らかい泥層を主体とする.一方,この地域の東京層は,MIS 5e中期?~後期の湾奥で形成された砂層などからなり,世田谷層とは対照的に広範囲に比較的平坦に分布する.常時微動観測により,段丘礫層を伴わず世田谷層が厚く分布する地域では,1Hzにピークをもつ地盤震動特性が示された.首都圏の地盤リスクを考えるとき,世田谷層をはじめとする台地の下のMIS 6開析谷埋積層の分布に注視する必要がある.
著者
本郷 一美 石黒 直隆 鵜沢 和宏 遠藤 秀紀 姉崎 智子 茂原 信生 米田 穣 覚張 隆史 高橋 遼平 朱 有田 VU The Long
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本への家畜ブタ導入を判定する基礎資料として、現生および遺跡出土のイノシシ属の計測データを蓄積し、日本列島の南北におけるイノシシのサイズ変異の程度を明らかにした。また、東南アジア、琉球列島産の在来種ブタとイノシシおよび遺跡出土のイノシシ属のmtDNA分析を行った。日本在来馬の体格の変遷を探り、大陸のウマと比較するため、現生および中部~東北地方の古代、中世および近世の遺跡から出土したウマ骨格の計測データを収集した。
著者
岩橋 成寿 田中 義規 福土 審 本郷 道夫
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.459-466, 2002-07-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
18
被引用文献数
3

自覚されたストレスレベルを測定するPerceived Stness Scale(PSS)を翻訳・改変して日本語版自覚ストレス調査票(Japanese Perceived Stress Scale;JPSS)の開発を試み,一般成入群351名と心療内科患者群65名を対象に,信頼性と妥当性を検討した.α信頼性係数は両群でそれぞれ0.82と0.89であった.JPSS得点の平均値は,患者群において一般成人群に比し有意に高値であった.両群においてJPSS得点と社会再適応スケール(Social Readjustment Rating Scale;SRRS)得点はそれぞれ正の相関を示し,相関係数は患者群で有意に高い値を示した.患者群において,JPSSはSRRSに比べ,精神的自覚症および抑うつ性尺度とより強い相関を示した.JPSSはPSSと同等の信頼性と妥当性を有し,本邦において自覚ストレスを測定する有用なツールになり得ることが示唆された.
著者
石黒 直隆 富岡 直人 本郷 一美 松井 章 上原 静 江上 幹幸 山岸 則夫
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、縄文時代から中世にかけての遺跡より拙土する古代犬とオオカミの骨に残存するミトコンドリアDNA(mtDNA)を分離・増幅して古代犬を遺伝子面で復原し、日本在来犬の遺伝的系統を明かにすることを目的とした。1)縄文時代(20遺跡)、弥生時代(2遺跡)、古墳時代(1遺跡)、中世(1遺跡)、オホーヅク分化期(6遺跡)より出土した古代犬の骨よりmtDNA198bpを分離し、日本在来犬の遺伝的系統を解析した。北海道から関東にかけての遺跡では、ハプロタイプM5が多いのにくらべ、西日本から東北地方にかけてハプロタイプM2が多く、縄文時代からかなり複雑な遺伝子分布をしていることが明かとなった。しかし、縄文犬と弥生犬を遺伝的に明確に区別することはできなかった。2)中国試料のDNA分析と日本在来犬との遺伝的関係:中国の3遺跡(上海馬橋、大旬子、河南花国庄)から出土した古代犬25点をDNA分析した結果、10サンプルより残存遺伝子が増幅された。系統解析の結果、クラスター3に属した現生犬のM20の1サンプルを除いて、全てが日本の古代犬に検出されたM5,M10,M11のハプロタイプであり、日本在来犬の遺伝的起源が大陸由来であることが明かとなった。3)ニホンオオカミの遺伝的復原と日本在来犬との関係:日本在来犬とニホンオオカミとの遺伝的な関係を明かにするため、ニホンオオカミのmtDNAを解析した。形態的にニホンオオカミと同定された6試料(高知県:仁淀村、熊本県産、国立科学博物館所蔵の3試料、縄文中期1試料)よりmtDNA(750bp)の増幅し系統解析した結果、ニホンオオカミは犬と大陸のオオカミの中間に位置した。
著者
本郷 一夫
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.46-53, 1982-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
17
被引用文献数
1

The purpose of the present study was to test the predictions derived from Semantic Feature Hypothesis concerning the acquisition of spatial adjective pairs and to discuss the formational processes of semantic space.The subjects were 30 children attending a nursery school in Sendai. According to their ages, they were divided into three groups of 10 each. The mean age for each group was 4; 0, 5; 1, 6; 1, respectively.Two experiments were conducted. In experiment 1, the Ss were presented with 10 spatial adjectives and asked to give their opposites. The 10 adjectives used were big/small, long/short, tall/short, thick/ thin, and wide/narrow. In experiment 2, the Ss were shown a set of four wooden blocks and asked to choose the-one, where the blank was filled with one of the following 6 words: longest/shortest, tallest/shortest, thickest/thinnest.The main results were as follows.(1) The children were aware that a word belonged to a particular semantic space before they had learned the full meaning of the word.(2) “Big/small dimension” was acquired prior to other dimensions. When the children did not know well more restricted adjectives, they tended to substitute “big/small” for them.(3) Unmarked words were acquired no later than marked words.(4) The children of 4 years old tended to regard marked words as complementary sets of unmarked words and the children of 5 years old tended to regard them as being below the average in the relevant dimensions.
著者
本郷 儀人 金田 大
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.90-95, 2009-03-20 (Released:2011-03-20)
参考文献数
15
被引用文献数
5 6

一般にフクロウはネズミなどの小型哺乳類や小型鳥類及び両生類などを主食とし,昆虫類は稀にしか捕食しないと考えられている。しかしながら我々は,フクロウが,餌動物としてはこれまでに報告がなかったカブトムシを捕食することを発見した。さらに,フクロウのカブトムシに対する狩り行動についても観察することができた。そこで,フクロウの詳細な狩り行動についてと,夏季のある時期に非常に頻繁に捕食することを合わせて報告する。
著者
小林 弘明 吹場 活佳 本郷 素行 佐藤 哲也 溝端 一秀
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.55, no.644, pp.418-425, 2007 (Released:2007-10-10)
参考文献数
8

Experimental studies on telescopic aerospikes for aerodynamic control are reported in this paper. Parametric study on the aerodynamic characteristics of the aerospike has performed including the effect of spike length L, base diameter of tip cone D, spike translating speed and direction. The Axial force coefficient Ca of the aerospike suddenly increases at L/D=3.0 due to flow mode transition from the separation to the reattachment. Reattachment/separation flow mode transition phenomenon can be applicable to a newly invented aerodynamic control device, which is called air-breathing aerospike. In this paper, verification test results of this air-breathing aerospike are also reported. A small solenoid valve in the body cylinder successfully controls reattachment/separation flow mode transition at the angle of attacks from 0 to 12 degree. The spiked bodies’ Ca varies according to the mode transition. As a result, we can control the aerodynamic property of the spiked body by opening/closing the valves periodically.