著者
松尾 浩一郎 根本 雅也 小倉 康嗣 清水 もも子 後藤 一樹 土屋 大輔 福山 啓子 岩舘 豊 加藤 旭人 鈴木 雅人 長峯 ゆりか
出版者
帝京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、原爆投下日である8月6日の広島平和記念公園という象徴的な時間と空間に着目し、ビジュアル・エスノグラフィの手法を用いてその包括的な記録と分析を行った。本研究から明らかになったことは、8月6日の平和記念公園では、広島における原爆被災とその後の復興の過程が、きわめて多様なやり方で受け止められているということである。原爆という一つの出来事を受け止めるにも、お互いに鋭く対立しあうような複数の立場性がある。それらが一つの時空間のなかで「共存」しているありさまを、映像データを駆使して明らかにした。
著者
荒井 昌海 松尾 浩一郎 田口 知実 森田 英明
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.52-60, 2020-06-30 (Released:2020-07-23)
参考文献数
30

目的:今回われわれは,老人介護保健施設において,介護者への口腔ケア教育を含めた口腔衛生管理によって入所者の口腔環境が改善,維持されるか,日本語版Oral Health Assessment Tool(OHAT)を使用して,後ろ向きに検討した。 方法:2016年9月から2年間,某歯科医院による訪問歯科診療への同意が得られた介護保険施設の入居者と介護者を対象とした。1カ月ごとにOHATを用いて対象者の口腔環境が評価され,評価に基づいた口腔機能管理シートが作成された。この管理シートを基に,介護者への口腔ケアの教育と歯科衛生士による専門的口腔衛生処置が実施された。2年間を通じて入所していた患者を通期群とし,介入の途中で入所または退所した者を含めた全患者を全体群とした。OHATスコアの半年ごとの変化を検討した。 結果:通期群42名と全体群96名のOHATスコアは,初回評価時では,通期群で中央値(四分位範囲)が3(1~4),全体群では3(1~5)であったが,半年後には,通期群で1(0~3),全体群でも2(0.25~3)と有意に低下し,2年後には通期群で1(0~2),全体群でも1(0~3)と低値が維持された。 結論:本結果より,入所者が変化していく介護保険施設で,介護者への口腔ケア教育を含めた口腔衛生管理により,入所者の口腔環境を改善させ,継続して維持できることが示唆された。
著者
澤田 忠幸 松尾 浩一郎 橋本 巌
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.514-522, 2012 (Released:2012-08-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1

This research focused on both the psychological benefits and costs of crying. We investigated the relationships of intrapersonal and interpersonal consequences of crying. Female nurses (N = 300) were requested to describe one of the most impressive negative episodes where they had cried. Then, they were asked to complete a questionnaire including a scale of their psychological changes after the crying episode and the social reactions when they cried. Factor analysis revealed five components of the psychological changes scale. Solitary crying had greater effects for both psychological benefits and costs after crying than crying in front of others. Factor analysis revealed three components of the scale of social reactions. When they cried in front of others, “catharsis”, “positive attitude”, and “recognition of the relationship with others” after crying were associated with “empathy and social support” from others. The factors of “recognition of negative reality” and “negative attitude” were associated with “criticism and slander” from others. These results were discussed in terms of the communicative functions and the reflective functions of adult crying.
著者
木村 真樹 山田 卓也 木山 茂 関野 考史 松尾 浩 竹村 博文
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.2712-2716, 2006-11-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10
被引用文献数
6 5

症例1は40歳台の女性.主訴は検診での血液検査異常. CA19-9高値. CTで膵尾部に辺縁と内部が造影される嚢胞性腫瘍を認めた. MRIでは内部に造影T1強調像で高信号, T2強調像で膵実質性部分と同等の信号の壁在結節を認めた.膵粘液性嚢胞腫瘍と診断し,手術を施行したところ類上皮腫を合併した膵内副脾であった.症例2は50歳台の男性.主訴は検診の超音波検査での膵腫瘤.単純CTで周囲に均一な軟部濃度を有する嚢胞性腫瘍を認め, MRIで3mm大の壁在結節を認めた. Dynamic studyで壁在結節の濃染パターンは脾臓と酷似しSPIO造影で信号低下あり膵内副脾に合併した類上皮腫と考え経過観察中である. SPIO造影剤は網内系細胞に採取され正常脾の信号を低下させ副脾の診断が可能となる. dynamic studyとSPIO MRIで膵内副脾に合併した類上皮腫の術前診断が可能である.
著者
松尾 浩司 前田 俊二 飯塚 正美 安野 拓也 西村 晃紀
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2017年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.69-70, 2017-03-01 (Released:2017-09-01)

昨今、刃物による傷害事件が後を絶たないため、刃物個々の威力を評価し、事件解決の手がかりの一つにすることを目的とする。本研究では刃物(洋包丁、三徳包丁)を被験物に突き刺し、被験物に刃物を突き刺すときの速度、変位、断面積、体積の時間推移とそれぞれの関係を調べた。測定方法は画像解析技術の一つである特徴点抽出を用いた。本報告では上記関係に基づき、刃物の威力を定量化した結果を述べる。
著者
南部 拓央 村上 隆亮 松田 優樹 松尾 浩司 米光 新 武呂 誠司 隠岐 尚吾
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.153-161, 2014-03-30 (Released:2014-04-08)
参考文献数
25

Glucagon-like peptide-1受容体作動薬「リラグルチド」で加療した100名の2型糖尿病患者を対象として,長期効果及び使用に適した患者像を検討した.1年間でHbA1c値は8.4±0.2 %から7.4±0.1 %,体重は71.8±1.8 kgから68.1±1.7 kgと改善した.観察期間終了時のHbA1c値が7 %未満の患者(Group A)は,7 %以上の患者(Group B)に比べて治療開始時のHbA1c値,糖尿病性腎症合併率,前治療でのインスリン抵抗性改善薬使用率が高かった.またGroup Aは体重が減少し続けたがGroup Bは体重が一過性に増加した.以上よりリラグルチドによる血糖値及び体重改善効果は1年間持続するが,治療開始時のHbA1c値,細小血管症の合併状況,前治療薬,体重減少の経過により規定されている可能性が考えられた.
著者
渡部 俊 松尾 浩一 進武 幹 前山 忠嗣
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.451-455, 1983-07-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14

A case of actinomycosis originating in the parotid gland is reported. A 66-year-old woman had complained of a hard mass in the right parotid area. Sialography and CT scan showed a tumor-like lesion in the right parotid gland. The patient was treated with subtotal parotidectomy and penicillin administration. Histological examination showed typical actinomycosis. In this case, infections may be caused by actinomyces carried through Stenon's duct.
著者
小林 義和 松尾 浩一郎 渡邉 理沙 藤井 航 金森 大輔 永田 千里 角 保徳 水谷 英樹
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.69-78, 2013-09-30 (Released:2013-10-18)
参考文献数
10
被引用文献数
3

近年,周術期口腔機能管理による全身合併症の予防効果が明らかになり,平成 24 年度から周術期口腔機能管理が保険診療報酬としても評価されるようになった。今回われわれは,周術期口腔機能管理(口腔管理)を行った患者における口腔内の特徴と,歯科的介入が肺炎予防に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,当院で平成 24 年の 1 年間に口腔管理を行った患者 196 名について後方視的に調査した。原疾患への治療法や実施した歯科処置の内容について調査し,依頼の 82% を占めた上部消化管外科,心臓血管外科・循環器内科,耳鼻咽喉科,血液内科の上位 4 科においては,診療科によって口腔内状況や歯科治療に差があるか統計的に分析した。また,上部消化管外科から口腔管理依頼のあった 35 例(口腔管理群)を対象に,口腔管理を行っていない上部消化管外科手術症例(非口腔管理群)129 名と比較して,術後肺炎発症に差があるか検討した。歯科処置に関しては,どの診療科の患者に対しても歯周処置が多く実施されていた一方で,抜歯,義歯への対応は,耳鼻科,心臓血管外科・循環器内科の患者で有意に高かった。上部消化管手術後の肺炎発症率は,非口腔管理群では 7.8%(10/129 例)であったが,口腔管理群では 5.7%(2/35 例)と統計学的に有意に低かった(p=0.04)。 以上の結果より,周術期口腔機能管理の対象者では,何らかの歯科的介入が必要であり,また,依頼元の診療科ごとに口腔内の問題や対応に特徴が現れることが示唆された。さらに,周術期口腔機能管理が全身合併症の予防に効果的であることが改めて示唆された。
著者
松尾 浩一郎
出版者
JAPAN SOCIETY FOR RESEARCH ON EMOTIONS
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.51-60, 1998-03-31 (Released:2009-04-07)
参考文献数
31

The purpose of this study was to search for the factors that contributed to the understanding of the emotions expressed by figurative language. In the preliminary study, 74 similes that express joy, sadness, and anger were selected. Eighty-four subjects rated 74 similes on SD scales. Factor analysis was conducted on the data. Throughout the factor analysis, two factors emerged. These two factors were interpreted as "activity" factor and "evaluation" factor. The distributions of similes in the three emotions were relatively different in the two-dimensional factorial space, namely the affective meaning space. Throughout the discriminant analysis, "activity" and "evaluation" factors contributed to the understanding of the emotions expressed by the similes.These findings indicated that understanding of the emotions expressed by the similes was based on those two foctors.
著者
澤田 忠幸 松尾 浩一郎 橋本 巌
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.514-522, 2012
被引用文献数
1

This research focused on both the psychological benefits and costs of crying. We investigated the relationships of intrapersonal and interpersonal consequences of crying. Female nurses (<I>N</I> = 300) were requested to describe one of the most impressive negative episodes where they had cried. Then, they were asked to complete a questionnaire including a scale of their psychological changes after the crying episode and the social reactions when they cried. Factor analysis revealed five components of the psychological changes scale. Solitary crying had greater effects for both psychological benefits and costs after crying than crying in front of others. Factor analysis revealed three components of the scale of social reactions. When they cried in front of others, "catharsis", "positive attitude", and "recognition of the relationship with others" after crying were associated with "empathy and social support" from others. The factors of "recognition of negative reality" and "negative attitude" were associated with "criticism and slander" from others. These results were discussed in terms of the communicative functions and the reflective functions of adult crying.
著者
光藤 景皎 浅田 和茂 鈴木 茂嗣 大出 良知 田宮 裕 松尾 浩也
出版者
大阪市立大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

刑事訴訟のおいて誤った事実認定に基づく有罪判決があったならば、その被告人または有罪判決を受けた者を救済する制度(方法)が用意されていなければならない。また、これらの方法が有効に機能していなければならない。われわれは、比較法的研究・歴史的研究を踏まえながら上訴・再審という現行の制度の意義を探り、「誤った裁判からの被告人の救済」に、その主たる意義を見出した。ついで、事実誤認がどのようにして起こるのかの研究を行った。これは、理論的な面と実際的・具体的な面との双方からなされなければならない。後者の面ではとくに誤判であることが明らかになった具体的事例の研究が重要である。その裁判に関係した弁護人などのヒアリングを行ったのはそのためである。また具体的事例につき訴訟記録に基づいて、何故にその事件において誤判が生じたのかを研究した。とくに控訴と再審の各論的研究がそれに当る。以上の研究をテ-マ別に掲げると大略次のとおりとなる。A.総論I、訴訟手続における上訴・再審の意義と役割、判決確定前の救済方法と確定後の救済方法、英米法型の救済方法と大陸法型の救済方法、日本における救済の実情など。B.総論II、自由心証主義の運用と問題点、適正手続の事実認定における意義、鑑定の評価、情況証拠による認定など。C.各論I、控訴審の構造と事実誤認の救済、控訴審における新証拠・新事実の取調べ、上告審における事実誤認の救済、再審理由、再審の手続など。D.各論II、個別事件を通しての事実誤認及びそれからの救済の研究。(1)弘前事件(2)島田事件(3)鹿児島事件(4)大森勧銀事件以上の構成による成果の出版作業が進行中であるが、既に各研究分担者が公表済みの諸論文をここに研究成果報告として添付する。
著者
松尾 浩也
出版者
法曹会
雑誌
法曹時報 (ISSN:00239453)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.p1249-1278, 1994-07
著者
広瀬 智久 松尾 浩気
出版者
神戸大学
雑誌
兵庫農科大学・神戸大学農学部研究報告 (ISSN:0367603X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.95-99, 1968

1. 水田裏作として栽培されたオランダイチゴ, ダナー種の完熟果実を室温中に貯蔵し, その含有成分の変化の過程を調査した。収穫当日に含まれていた80%エタノール可溶性N化合物, 糖類の含有量は次第に減少したが, 有機酸の量は殆んど変化がなかった。しかし, 収穫後の水分含有率の低下は収穫後の日数と共に著しく。従って各成分の濃度(含有率)は相対的に高くなり, その結果N化合物の含有率の低下は比較的緩慢となり, 糖類の含有率は殆んど変化なく, 有機酸は上昇した。糖の種類は, グルコース, フラクトース, キシロース及び蔗糖であるが, 収穫後次第にグルコース及び蔗糖が減少し, キシロースがやゝ増加した。有機酸は大部分がクエン酸で, リンゴ酸, コハク酸及び痕跡の酒石酸が認められたが, 減少したのはリンゴ酸のみであった。2. 排水良き砂壌土の圃場に於て, 栽培された4品種のオランダイチゴ(紅露・幸玉, アメリカ・ダナー)の果実について収穫後に於ける諸成分の含有率の変化を比較した。N化合物・糖類・有機酸についてみると, その含有率自体は品種の特性を示し, 夫々非常に異なっているが, 含有率の貯蔵中の変化は互に平行的に推移し同様の傾向を示した。この実験の果実成分のペーパークロマトグラフィーの結果は, 水田裏作のダナー種に比べて, 糖類の内, フラクトースが特に多く, 蔗糖が少かった。品種間差異は特にグルコースに認められた。有機酸では, 酒石酸がかなり多く, 紅露及び幸玉ではα-ケトグルタル酸を認めた。品種間の差異は, 大部分をクエン酸に, 次いで酒石酸によって影響された。
著者
松尾 浩一郎
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.165-175, 1997-10-30

本研究の目的は, 感情を表現した比喩の理解が幼児期においてどのように発達するのかを明らかにすることであった。本研究では, 喜び, 悲しみ, 怒りという3種類の感情を表現する直喩を作成し, 4歳児, 5歳児, 6歳児における理解を調べた。被験児は, 実験者の口頭で読まれた比喩文に対して, 4枚のカード(喜び, 悲しみ, 怒りの表情を示したカードおよび白紙のカード)の中から1つを選ぶというやり方で, 比喩文が表現する感情について答えた。白紙のカードは, 比喩文が表現する感情がわからない場合, または比喩文が喜び, 悲しみ, 怒り以外の感情を表現していると思われる場合に選択するように教示された。主な結果は次のとおりであった。(1)感情の種類によって比喩理解の発達の様相が異なっていることが示唆された。(2)4歳児の正答率はチヤンスレベルをこえたが, 比喩の理解が成人に類似した形で安定するのは5歳になってからであった。(3)熱い液体に関わる語句によって怒りが表現された場合に悲しみの表現と判断しやすいなど, 幼兄の誤答には一定の傾向が認められた。