著者
太田 好紀 松田 直之 西山 慶 大鶴 繁 小林 勝哉 瀬川 一 小池 薫
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.836-842, 2009-10-15 (Released:2009-12-28)
参考文献数
10

症例は63歳の男性。ニセクロハツを摂取し,1時間後に嘔吐,4時間後に下痢,18時間後に全身筋肉痛,21時間後に呼吸困難感が出現し,救急外来を独歩で受診した。血行動態に変化は認めなかったが,身体所見と血液検査所見などからニセクロハツ中毒による近位筋の横紋筋融解症と診断した。急性腎不全などの臓器不全を予防するため下大静脈(IVC)径が20mm以上もしくは中心静脈圧(CVP)が8mmHgになるように初期輸液を開始した。第3病日まで晶質液を7~7.5L必要とし,その間CVPは8mmHg以上が維持され,尿量は1~2ml/kg/時以上を得た。第3病日に血清CKは46,876IU/lを最高値としたが,輸液療法により腎機能が保たれていたため血液浄化療法の適応としなかった。ニセクロハツ中毒に対してIVC 20mm以上もしくはCVP 8mmHg以上を目安として初期輸液をすることで横紋筋融解症の増悪や急性腎不全の合併を回避できた可能性がある。
著者
齋藤 昌利 松田 直 菅原 準一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

早産の主要原因である子宮内炎症がどのように胎児に波及し、どのように影響するかは未だ不明な部分が多いが、我々は妊娠ヒツジを用いて子宮内炎症モデルを作成し、子宮内炎症環境下に胎児皮膚組織が炎症メディエータとして働くことを明らかにした。また、Polymyxin Bという抗生物質を用いて、胎児皮膚組織において炎症性サイトカインのメッセンジャーRNA発現が抑制されることを示した。この結果は、進行しつつある子宮内炎症を沈静化する治療方法の開発の一助になると思われる。
著者
松田 直寿
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.96, no.577, pp.7-9, 1997-03-14

1996年11月18日から20日まで米国サンディエゴ市で第2回目の"International Conference on the Science and Technology of Display Phosphors"が開催された。発表件数はポスターを含めて約90件。蛍光体関係では、新蛍光体、FED用蛍光体、蛍光体合成、蛍光体表面およびコーティングのセッションが開かれた。参加者数は211名で、昨年より若干増えている。参加者の国別内訳では、米国の次に韓国からの参加者が多い。
著者
松田 直樹
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近年、国際的租税戦略による課税ベースの浸食の問題が新聞等でも大きく報じられている。本研究では、我が国の課税ベースの浸食に繋がる租税戦略への対抗策のあり方を模索するという観点から、最近、動きの激しい主な諸外国(米国、英国及びその他の主な欧州諸国、インド、中国等)の対抗策(特に、移転価格税制、包括的否認規定、準包括的否認規定及び出国税等)の実態、最近の再構築の方向性及びその有用性・限界などを分析した。上記の分析の結果、上記の諸国では、国際的租税戦略が、益々、活発化する中、近年、対抗策を強化する動きが顕著に認められること、採用されている対抗策には共通点も少なくないことを確認することができた。特に、包括的否認規定や出国税は、我が国では採用されていない対抗策であり、その有用性と限界については、本研究によって、かなり明確化することができたのではないかと考える。確かに、対抗策の制度設計は、各国において、多少なりとも異なっており、また、各国と我が国の税務行政を取り巻く諸環境の差異も小さいものではないことから、いずれの国のどの対抗策の制度設計が、我が国にとって、最も大きな示唆を包含するものであるのかなどを巡っては、少なからず議論の余地がある。上記のような困難性・限界はあるものの、本研究は、主な諸外国の対抗策について、他に類をみないほど包括的かつ深度ある分析を行ったものである。各国の主な対抗策の制度設計や有用性・限界等を踏まえて我が国の対抗策の再構築の選択肢の考察・比較考量を行った本研究は、活発化する租税戦略に対し、我が国の対抗策については、どのように再構築すべきであるかという問題を検討するに当たり、有用な視点を提供するものであると考える。
著者
二又 政之 松田 直樹 清水 敏美 澤田 嗣朗 片山 建二
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.表面増強ラマン散乱(SERS)を利用した単一分子分析法の確立:1)銀ナノ粒子接合部に1個の吸着分子が存在するとき、巨大な増強度が得られることを、ラマンスペクトルと弾性散乱スペクトルの時間相関及び3次元FDTD法により、明らかにした。2)DNA塩基の内アデニン、グアニンなどのプリン環と銀表面との電子移動相互作用が巨大な増強を与えることを見出した。3)巨大SERSと同時に観測される発光スペクトルが、吸着種の蛍光とともに、金属表面の励起電子が吸着種により非弾性散乱されることによることを初めて見出した。4)脂質ナノチューブに最適サイズを有する金ナノ粒子を導入し、その表面プラズモンを励起することで、カルボニル基のピーク波数のシフトや、糖分子のスペクトルパタンなど、バルク状態とは全く異なる脂質ナノチューブのラマンスペクトル測定に成功した。この結果は、この方法により、金属ナノ粒子近傍のスペクトルのみが大きく増強されて観測されることを示しており、今後の詳細な解析により有用な結果が与えられるものと考えられる。2.ATR-SNOM-Raman分光法:1)表面プラズモンの干渉及び多重散乱電場が、ラマンイメージ測定に影響しないことを初めて見出した。3.近接場赤外分光法:1)FT-IR分光器をベースにして、全反射型配置で、金コートプローブを配置したAFMとの複合により、ポリマー及びチオール系試料について、チップ増強赤外吸収測定に成功した。また、試料下地に金属ナノ粒子を配置することで、より効率的に増強が行えることを初めて見出した。4.スラブ光導波路(SOWG)分光法の確立:電気化学的に制御可能なSOWG分光法の高感度化を進め、ITO電極上に単分子層以下の量で吸着したヘプチルビオロゲンカチオンラジカルの吸着種の電位依存性とチトクロムcの電位変化に対する応答を明らかにした。
著者
松田 直樹
出版者
東京女子医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

心臓に伸展刺激が加わることにより、様々な現象が引き起こされることが知られている。洞結節が機械的伸展刺激を受けることにより、心拍数は増加する(陽性変時作用)が、その電気生理学的機序については全く明らかにされていない。一方、カルシウム電流は、洞結節細胞のペースメーカー電位形成において最も重要な構成要素である。本研究では、細胞膜伸展刺激によりカルシウム電流がどのような影響を受けるかを検討する。家兎単一洞結節ならびに心房筋細胞にガラスパッチ電極を用いてwhole-cell電圧固定法を行なった。10mM EGTAを含む電極内液を用い細胞内カルシウムをキレートし、2mM カルシウムを含む外液潅流下で、細胞膜伸展前後における電流変化を測定した。細胞膜の伸展にはパッチ電極を介して直接細胞膜に陽圧を加える方法と細胞外液に低浸透圧液を潅流させる方法を用いた。細胞膜伸展刺激によって内向き電流が増大し、この変化はNifedipineによって完全に抑制され、カルシウム以外にバリウム等も透過し得ることから、既存のL型カルシウム電流が膜伸展感受性を示すことが明かとなった。この細胞膜伸展によるカルシウム電流の増加は再現性をもって認めたが、カルシウム電流のキネティクスには影響を与えなかった。つぎに、細胞膜伸展によるカルシウム電流増加の機序を分析した。カルシウム電流の主な調節はCyclicAMP依存性タンパクキナーゼ(Aキナーゼ)によるチャンネルのリン酸化によることが知られている。Aキナーゼを特異的に抑制するProtein kinase inhibitor存在下でも膜伸展によりカルシウム電流は増加した。このことより、細胞膜伸展刺激は、これまで知られている機序を介さずにカルシウム電流を直接増加させることが判明した。この心筋細胞膜伸展によるカルシウム電流の増加は、既述した伸展による陽性変時作用のひとつの機序となると考えらた。
著者
二又 政之 松田 直樹 清水 敏美 増田 光俊
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.単一分子感度ラマン分光法の確立:(a)化学的増強メカニズムに関して,Agナノ粒子は,アモルファスカーボン等に覆われており,色素の第1層吸着が抑えられるために,大きなSERS増強度は得られない。(b)しかし,塩化物イオン等を添加すると,表面化学種が置換され,カチオン性色素が静電的に強く吸着できるようになる結果,銀粒子間のナノギャップに存在する色素が,巨大SERS信号を与える。このとき色素の発光スペクトルがバルク状態とは大きく変化し,銀ナノ粒子と色素間に電子移動相互作用が働いていることが判明した。(c)これに対して,シアン化物イオン等は排他的に吸着し,表面化学種と銀ナノ粒子を溶解する結果,SERSがクエンチされる。3次元時間領域差分法で,平均ナノギャップがハロゲン化物イオン添加前の1nmから2nmにわずかに開くことで,活性化の過程で測定されたLSPピークの短波長シフトが再現された。以上のように,SERSの化学的増強効果に関して,アニオンによるSERS活性化およびクエンチの微視的過程が,ここで初めて明らかになった。また,単一分子感度までは得られないが,通常の金属蒸着膜やコロイド集合体よりは2-3桁大きな増強度を再現性よく与える金属ナノ構造を,電子ビーム,ナノ粒子オーバレーヤなどのリソグラフィ技術を用いて形成し,生体分子への超高感度分析・定量分析性を確かめた。2.近接場振動分光法の確立:AFM型近接場ラマン分光を電極/溶液界面に適用するために,倒立型顕微鏡のX-Yステージを改良し,ITO電極を基板とする3電極式溶液セル,AFMや分光器を有する測定装置を構築した。この装置により,溶液中のナノ構造体のトポグラフィやその近接場イメージと,チップ増強ラマン信号の検出に成功した。感度と空間分解能改善のために,プローブへの金属ナノ構造形成を進めた。
著者
松田 直 山西 哲郎 岩崎 清隆 金澤 貴之
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,県内の企業と学校関係者,障害者本人,保護者間の連携により,社会調査,実際の就労場面を用いた評価,改善案の提示,再評価を行い,その結果を養護学校での就労支援を中心とした個別移行支援計画の構築に反映させることで,知的障害者の就労が定着しにくいという問題の具体的な改善を図るために,以下のような形で研究を進めた。初年度は,1)就労支援に専門的に関わる関係者へのインタビュー,2)県内の養護学校教員,保護者,福祉行政担当者,作業所職員などによる検討会の実施(3年間継続して月1回程度実施),3)就労場面のビデオ分析を行い,県内の障害者就労の状況の把握やコミュニケーションが障害者の職場定着を促す可能性を示唆することができた。二年目は,1)養護学校卒業後,中度知的障害をもちながら一般就労しているモデルケース1名への長期的な参与観察,2)知的障害者と共に働く職場職員に対するアンケート調査,3)知的障害者雇用企業へのインタビュー調査を行った。わかりやすい指示の仕方や知的障害者の行動特性を職員に伝えることの必要性や,知的障害をもつ職員と他の職員とをつなぐ支援の必要性などが示唆された。また,心地よい職場環境や社長との信頼関係が職場定着の要因の一つとなることや,作業台の配置によって近くで仕事をする職員がすぐに手助けできる体制が作業効率を上げていることが示唆された。三年目は,養護学校高等部での現場実習において,モデルケース1名について参与観察を行い,支援方法の検討を行った。その際に,二年目に行ったモデルケースと,上記ケースとの比較をすることによって,一般就労と現場実習においての同僚職員との関係構築過程の違いを探った。これらの結果をふまえ,三年間の成果をまとめた報告書を作成した。
著者
松田 直行
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢短大国文 (ISSN:02866684)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.19-35, 2002-03