著者
佐藤 佑太郎 松田 涼 石川 直人 山田 尚幸 松田 直樹
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12370, (Released:2023-07-21)
参考文献数
25

【目的】橋出血による感覚機能と注意機能に低下を認めた1症例に対し,注意の内的焦点化(Internal focus of attention:以下,IFA)と外的焦点化(External focus of attention:以下,EFA)に着目した理学療法の有効性を確認することとした。【症例紹介】橋出血により重度の感覚機能と注意機能低下を認めた1例とした。回復期入棟時(30病日)~84病日までは臥位での右下肢筋出力向上トレーニング,EFAによる教示を意識した立位荷重練習,歩行練習を主体に実施した。84~124病日では,IFAによる教示を意識したバランス練習や課題特異的な動作練習を主体に実施した。感覚・注意機能,バランス・歩行機能は改善し,屋外歩行自立を獲得し自宅退院となった。【結論】感覚・注意機能低下を認める症例に対しては,介入初期はEFAによる教示を中心に行い,注意・感覚機能の改善に伴いIFAによる教示を用いた介入の実施が有効である可能性が示された。
著者
松田 直樹 舟山 裕士 高橋 賢一
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.427-430, 2006 (Released:2009-06-05)
被引用文献数
1 1

肛門の「狭さ」や「ゆるさ」を客観的に捉えて計量化するための肛門伸展張力計(松田式)を開発した.本装置は長い柄の二弁式肛門鏡に圧力センサーを付けたもので,これにより肛門管を徐々に開大することにより,最初の痛みを感じたときの肛門伸展張力(kg)とその時の肛門直径(mm)を測定することで肛門の伸展性が測定できる.本器を用いて裂肛などの伸展不良例(N=56),無病変例(正常肛門,N=23),過伸展例(直腸脱,N=18)の症例を測定した.とくに伸展不良例を瘢痕性狭窄と筋緊張性狭窄とに分け検討すると,瘢痕性狭窄(内訳:慢性化裂肛18例・線維化した狭窄12例)(N=30)での肛門伸展張力は平均2.37kg,肛門直径は平均24.1mmと筋緊張性狭窄(N=26)でのそれぞれ4.35kg,28.0mmよりも有意に低値であった.本器は簡単でしかも客観的に肛門の伸展状態を測定できる有用な器械であると考えられた.【END】【引用文献】1) Gabriel WB : The principle and practice of Rectal Surgery. 5th ed. H.K. Lewis, London, 1948, p4262) Cho DY : Controlled lateral sphincterotomy for chronic anal fissure. Dis Colon Rectum 48 (5):1037-1041, 20053) 畑川幸生:裂肛治療におけるSSGの適応と肛門径測定の試み(会議録),日本大腸肛門病会誌 58(9):691,2005
著者
波多野 俊之 松田 直之 井口 光孝 八木 哲也 江嶋 正志 足立 裕史 沼口 敦
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.115-120, 2017-03-01 (Released:2017-03-16)
参考文献数
17

【目的】菌血症におけるプロカルシトニン(procalcitonin, PCT)の初期診断での有用性について,後方視的に解析した。【方法】2012年11月から2013年6月までの8ヶ月間において当院で血液培養検査が陽性となりPCTが測定されていた132例を調査対象とし,検出菌,PCTおよびC反応性蛋白(CRP)との関連性を評価した。【結果】感染症専門医により,菌血症102例,contamination(擬陽性)30例と判断された。菌血症と擬陽性でPCT(ng/ml)とCRP(mg/dl)の中央値は,それぞれ2.8と0.3,13.2と7.0であり,菌血症で有意に高かった(P<0.001,P=0.020)。ROC-AUC(receiver operating characteristic-area under the curve)(95%CI)は,PCT 0.76(0.65~0.86),CRP 0.64(0.52~0.76)だった。一方,菌血症の原因菌別でグラム陽性菌(n=48)とグラム陰性菌(n=54)のPCTは,それぞれ2.1と3.7で有意差を認めなかった(P=0.123)。【結論】PCTはCRPと比較して真の菌血症と擬陽性の鑑別に役立つと評価された。しかし,菌血症におけるグラム陽性菌とグラム陰性菌を鑑別できるものではなかった。
著者
古川 晶子 森川 秋月 早川 峰司 澤村 淳 松田 直之 石川 岳彦 亀上 隆 丸藤 哲
出版者
日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.219-222, 2005-07-01 (Released:2009-03-27)
参考文献数
16

横紋筋融解症は薬物中毒,外傷,電解質異常,神経筋疾患などさまざまな原因により惹起される。今回,我々は水中毒による希釈性低ナトリウム血症とその補正過程で横紋筋融解症を発症した症例を経験した。水中毒による横紋筋融解症の発症は少なく,今回の症例では,低ナトリウム血症とその補正に伴う急激な血清浸透圧上昇が相加的に作用して横紋筋融解症を来した可能性が示唆された。
著者
小垣 匡史 伊佐 常紀 村田 峻輔 坪井 大和 奥村 真帆 松田 直佳 河原田 里果 内田 一彰 中塚 清将 堀邉 佳奈 小野 玲
出版者
日本運動疫学会
雑誌
運動疫学研究 (ISSN:13475827)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.5-12, 2020-03-31 (Released:2020-04-10)
参考文献数
28

目的:本研究の目的は,9~12歳の児童において日常的な外遊びと遂行機能の各項目(作業記憶, 認知柔軟性,抑制機能)の関連を性別で層別して調査することとした。方法:神戸市内の公立小学校2校に通う小学4年生から6年生314名を対象とした。作業記憶はDigit Span Test(DST),認知柔軟性はTrail Making Test(TMT),抑制機能はStroop testを用いて測定した。外遊びは自記式質問紙を用いてその頻度を測定し,週3日以上外遊びを行う児童を外遊び高頻度群,週3日未満外遊びを行う児童を外遊び低頻度群とした。児童期における外遊びの特性は性別で異なるため,解析は性別で層別して実施した。統計解析は,目的変数を遂行機能の各項目,説明変数を外遊びの頻度とし,学年で調整した回帰分析を実施後,交絡因子を学年,body mass index(BMI),身体活動量とした強制投入法による重回帰分析を実施した。結果:男児は女児と比べて身体活動量および外遊びの頻度が有意に高かった。男児において外遊びの頻度と遂行機能に有意な関連は認められなかったが,女児において外遊びの頻度と認知柔軟性にのみ有意な関連が認められた[偏回帰係数(B)=−8.90, 95%信頼区間:−16.97,−0.82]。交絡因子の調整後も女児において外遊びの頻度と認知柔軟性は有意な関連を示 した[B=−10.76(−19.42,−2.10]。結論:児童期後期において,女児の外遊びの頻度が認知柔軟性と有意に関連することを初めて示した。本研究は,特に外遊びが少ない女児において,遂行機能の一部と関連が示された外遊びが重要であることを示唆した。
著者
松田 直樹 二又 政之
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

時間分解ITO-SOWG分光法を開発し、ITO電極上にチトクロームcを吸着させ、ITO電極にパルスポテンシャルステップを印加し、酸化体と還元体を交互に生成させながら2ミリ秒ごとに吸収スペクトルの連続測定を行った。得られた吸収スペクトルでの時間依存吸収強度変化から時定数を求めたところ、チトクロームcとITO電極間の電子移動反応は10ミリ秒程度で終了しており、速度定数はk=100[s^<-1>]と概算された。
著者
高橋 良輔 金子 文成 柴田 恵理子 松田 直樹
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-67, 2018 (Released:2019-09-01)
参考文献数
28

本研究の目的は, 肩関節外旋運動反復トレーニングが肩関節外転運動中の棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性を増大させるのか明らかにすることである. 外旋反復運動をトレーニング課題として, その前後に外転運動中の皮質脊髄路興奮性を経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位で評価した. 外旋反復運動は15分毎に100回を3セット実施した. 運動誘発電位は外旋運動反復トレーニング前に2回, 各トレーニング直後, そして3回目のトレーニング直後から30分後と60分後に測定した. 棘下筋の運動誘発電位振幅は3回目のトレーニング直後から60分後まで有意に増大した. 本研究結果から, 肩関節外旋運動反復トレーニングによって, トレーニングと異なる運動である肩関節外転運動中に棘下筋を支配する皮質脊髄路興奮性が持続的に増大することが示された.
著者
内藤 考洋 松田 直樹 鈴木 創 丸谷 孝史 酒井 安弘 佐田 真吾 塚田 鉄平 木村 俊哉 高山 拓也 片野 真奈未 稲田 亨
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.323-331, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
23
被引用文献数
5

【目的】在宅脳卒中者の生活空間における各活動範囲(住居内,住居周辺,住居近隣,町内,町外)に関連する因子を調査した。【方法】在宅脳卒中者143 名を対象に,基本属性,Life-space assessment(以下,LSA),Modified Fall Efficacy Scale(以下,MFES),Barthel Index(以下,BI)等,計15 項目を調査した。統計学的検討では各活動範囲別のLSA 得点と各評価指標との相関分析を実施した。また,対象者を通所系サービスおよび外来リハ利用の有無であり群・なし群に割付けし,2 群の各活動範囲別得点に対し,対応のないt 検定を実施した。【結果】住居内・住居周辺のLSA 得点はMFES とBI との間に中等度の相関を認めた。また,住居周辺,町内・町外の得点は,通所系サービスおよび外来リハ利用あり群で有意に高かった。【結論】生活空間は,各活動範囲によって関連する因子が異なることが示唆された。
著者
江⽊ 盛時 ⼩倉 裕司 ⽮⽥部 智昭 安宅 ⼀晃 井上 茂亮 射場 敏明 垣花 泰之 川崎 達也 久志本 成樹 ⿊⽥ 泰弘 ⼩⾕ 穣治 志⾺ 伸朗 ⾕⼝ 巧 鶴⽥ 良介 ⼟井 研⼈ ⼟井 松幸 中⽥ 孝明 中根 正樹 藤島 清太郎 細川 直登 升⽥ 好樹 松嶋 ⿇⼦ 松⽥ 直之 ⼭川 ⼀⾺ 原 嘉孝 ⼤下 慎⼀郎 ⻘⽊ 善孝 稲⽥ ⿇⾐ 梅村 穣 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻⾕ 正明 對東 俊介 武⽥ 親宗 寺⼭ 毅郎 東平 ⽇出夫 橋本 英樹 林⽥ 敬 ⼀⼆三 亨 廣瀬 智也 福⽥ ⿓将 藤井 智⼦ 三浦 慎也 安⽥ 英⼈ 阿部 智⼀ 安藤 幸吉 飯⽥ 有輝 ⽯原 唯史 井⼿ 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲⽥ 雄 宇都宮 明美 卯野⽊ 健 遠藤 功⼆ ⼤内 玲 尾崎 将之 ⼩野 聡 桂 守弘 川⼝ 敦 川村 雄介 ⼯藤 ⼤介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下⼭ 哲 鈴⽊ 武志 関根 秀介 関野 元裕 ⾼橋 希 ⾼橋 世 ⾼橋 弘 ⽥上 隆 ⽥島 吾郎 巽 博⾂ ⾕ 昌憲 ⼟⾕ ⾶⿃ 堤 悠介 内藤 貴基 ⻑江 正晴 ⻑澤 俊郎 中村 謙介 ⻄村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 ⻑⾕川 ⼤祐 畠⼭ 淳司 原 直⼰ 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松⽯ 雄⼆朗 松⼭ 匡 峰松 佑輔 宮下 亮⼀ 宮武 祐⼠ 森安 恵実 ⼭⽥ 亨 ⼭⽥ 博之 ⼭元 良 吉⽥ 健史 吉⽥ 悠平 吉村 旬平 四本 ⻯⼀ ⽶倉 寛 和⽥ 剛志 渡邉 栄三 ⻘⽊ 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五⼗嵐 豊 井⼝ 直也 ⽯川 雅⺒ ⽯丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今⻑⾕ 尚史 井村 春樹 ⼊野⽥ 崇 上原 健司 ⽣塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕⼦ 榎本 有希 太⽥ 浩平 ⼤地 嘉史 ⼤野 孝則 ⼤邉 寛幸 岡 和幸 岡⽥ 信⻑ 岡⽥ 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥⽥ 拓史 ⼩倉 崇以 ⼩野寺 悠 ⼩⼭ 雄太 ⾙沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 ⾦⾕ 明浩 ⾦⼦ 唯 ⾦畑 圭太 狩野 謙⼀ 河野 浩幸 菊⾕ 知也 菊地 ⻫ 城⼾ 崇裕 ⽊村 翔 ⼩網 博之 ⼩橋 ⼤輔 ⿑⽊ 巌 堺 正仁 坂本 彩⾹ 佐藤 哲哉 志賀 康浩 下⼾ 学 下⼭ 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉⽥ 篤紀 鈴⽊ 聡 鈴⽊ 祐⼆ 壽原 朋宏 其⽥ 健司 ⾼⽒ 修平 ⾼島 光平 ⾼橋 ⽣ ⾼橋 洋⼦ ⽵下 淳 ⽥中 裕記 丹保 亜希仁 ⾓⼭ 泰⼀朗 鉄原 健⼀ 徳永 健太郎 富岡 義裕 冨⽥ 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊⽥ 幸樹年 内藤 宏道 永⽥ 功 ⻑⾨ 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 奈良場 啓 成⽥ 知⼤ ⻄岡 典宏 ⻄村 朋也 ⻄⼭ 慶 野村 智久 芳賀 ⼤樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速⽔ 宏樹 原⼝ 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤⽥ 基 藤村 直幸 舩越 拓 堀⼝ 真仁 牧 盾 增永 直久 松村 洋輔 真⼸ 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村⽥ 哲平 柳井 真知 ⽮野 隆郎 ⼭⽥ 浩平 ⼭⽥ 直樹 ⼭本 朋納 吉廣 尚⼤ ⽥中 裕 ⻄⽥ 修
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
pp.27S0001, (Released:2020-09-28)
被引用文献数
2

日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG2016)の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG2020)の目的は,J-SSCG2016と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG2016ではSSCG2016にない新しい領域(ICU-acquiredweakness(ICU-AW)とPost-Intensive Care Syndrome(PICS),体温管理など)を取り上げたが,J-SSCG2020では新たに注目すべき4領域(Patient-and Family-Centered Care,Sepsis Treatment System,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な117の臨床課題(クリニカルクエスチョン:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQには,日本国内で特に注目されているCQも含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員24名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班を2016年版に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,117CQに対する回答として,79個のGRADEによる推奨,5個のGPS(Good Practice Statement),18個のエキスパートコンセンサス,27個のBQ(Background Question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG2020は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。
著者
近藤 有希 海老名 葵 重本 千尋 澤 龍一 斎藤 貴 村田 峻輔 伊佐 常紀 坪井 大和 鳥澤 幸太郎 奥村 真帆 松田 直佳 小野 玲
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0298, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】妊娠中には多くの女性が妊娠関連の腰痛骨盤痛(Lumbopelvic Pain;LPP)を発症するといわれており,約8割の女性が症状に悩まされている。LPPは妊娠中のホルモン変化や体重増加による腰部への負荷の増大が原因とされているが,産後も多くの女性がLPPを持続して有しており,成人女性の慢性腰痛の20%は妊娠中に発症したものであるとの報告もある。産後のLPPはADL障害やQOL低下,産後うつにも悪影響を及ぼし,産後休職の原因になるともいわれており,予防・解決すべき重要な問題である。産後持続するLPPの原因として,関節弛緩や腹部筋力低下など体幹の不安定性についての研究はあるが,一般的な慢性腰痛への影響が報告されている胸椎・ハムストリングスの柔軟性との関連を検討した研究はない。育児をする母親が頻繁に行う動作と考えられる前方屈み動作において,胸椎・ハムストリングスの柔軟性低下は腰部への負荷を増大させることが報告されていることからも,産後LPPに影響を与える可能性が考えられる。本研究の目的は胸椎・ハムストリングスの柔軟性と産後LPPの関連を明らかにすることである。【方法】対象者は,兵庫県内の4ヶ月児健診に参加し,研究への同意が得られた産後女性のうち,妊娠中にLPPを発症した女性66名とした。対象者には質問紙により,一般情報に加えて,妊娠中と産後4ヶ月時のLPPの有無・強度を聴取した。痛みの強度はNumerical Rating Scale(NRS)を用いた。胸椎の関節可動域は傾斜計を用いて屈曲・伸展の角度を検査し,中央値で可動域制限群と非制限群に群分けした。ハムストリングスの柔軟性はSeated Knee Extension(SKE)を行い,中央値により可動域制限群と非制限群に群分けした。なお,各身体検査は理学療法士有資格者が行った。各群間での産後4ヶ月時のLPPの有病率の比較はカイ二乗検定を用いた。多変量解析では,目的変数を産後4ヶ月時のLPP,説明変数を各可動域制限群/非制限群とし,交絡因子を先行研究から年齢,BMI,出産歴,妊娠中のNRSとして強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】胸椎の可動域制限群は非制限群と比較して産後LPP有病率は有意に高く,SKEにおいても非制限群と比較して可動域制限群は産後LPP有病率が有意に高かった。交絡因子の調整後も胸椎・SKEともに可動域制限群が産後LPPを有しやすいという結果であった(胸椎:OR 3.11,95%CI 1.08-8.94;SKE:OR 3.21,95%CI 1.08-9.60)。【結論】本研究により,胸椎とハムストリングスの柔軟性は,産後のLPPに関連する要因である事が示唆された。
著者
松田直子 高山毅 佐藤永欣 村田嘉利 大上藍
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.741-743, 2011-03-02

近年,視覚・聴覚などの五感のいずれかを用いたデータベース検索の中で,嗅覚・味覚を用いた研究が活発化している.著者らの研究グループではこれまで,微妙な差異の表現が必要であるコーヒーのにおいに焦点を絞り,名詞と感性語を組み合わせた,柔軟に検索条件を指定することのできる方式を提案している.本稿では,においに加えて味も考慮し,所望のコーヒーを検索する効率がより向上する方式を提案する.そして,試作システムを用いた評価実験により,その有用性を示す.
著者
林 行雄 上林 卓彦 真下 節 松田 直之 服部 裕一
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

脳死状態は心臓が強い交感神経緊張状態にさらされた後中枢神経の支配が破綻した状態という観点に立ち、以下の研究を行った。(1)中枢神経による不整脈制御周術期不整脈のモデルであるハロセン-エピネフリン不整脈を用いて不整脈発生における中枢神経の役割を検討した。副交感神経の情報伝達物質であるアセチルコリンが不整脈抑制に関与し心臓のアセチルコリン受容体、PTX感受性Gタンパク、protein kinaseAを介して、最終的には心臓のATP感受性Kチャンネルを開口させ、抗不整脈作用をもたらすことを示した。また脳内のイミダゾリン受容体のタイプ1がこの制御に深く関与していることも明らかとなった。脳死による中枢神経の廃絶に伴う副交感神経機能の廃絶が脳死状態での不整脈制御の破綻の一因の可能性が示唆された。(2)脳死における揮発性麻酔薬の心筋感作作用Pratschkeらの方法(Transplantation 67:343-8,1999)に基づいてラット脳死モデルを確立した。脳死状態ではハロセンに心筋感作作用が認められたが、イソフルレン、セボフルレンの心筋感作作用は弱かった。しかし麻酔薬間の格差は縮まった。この結果は中枢神経機能が吸入麻酔薬の心筋感作作用に関与していることを示していると考えられる。(3)脳死に伴う心機能の変化ラット脳死モデルにより、コンダクタンスカテーテルを用いた心機能の評価を行った。脳死に伴い、血圧の低下は脳死後5-6時間を要するが、脳死導入後2,3時間でEjection Fractionの低下が認められる。っまり、脳死後の早期に現れるEjection Fractionの低下を抑制することで脳死後の心機能の維持につながると思われた。ATP感受性Kチャンネルの開口薬であるニコランジルはいわゆるpreconditioning作用で心筋保護に働くことが知られているが、これを脳死前から持続投与することでEjection Fractionの低下に至る時間を延長し、結果脳死後6時間での生存率の改善が見られた。またこのニコランジルの作用はミトコンドリアATP感受性Kチャンネル阻害薬で消失した。脳死による心機能の破綻にミトコンドリアATP感受性Kチャンネルが関与していると思われた。
著者
松田 直樹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.95, no.2, pp.240-245, 2006-02-10 (Released:2009-03-27)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

抗不整脈薬の分類としてVaughan Williams分類が広く用いられてきた. I群薬はNa+チャネルを遮断し心房・心室筋の主に伝道抑制に働く. II群薬はβ受容体を抑制する. III群薬はK+チャネルを遮断し, 活動電位幅延長から不応期延長に働く. IV群薬はCa2+チャネル遮断により自動能抑制, 房室伝道抑制に働く. しかしこの分類の限界が指摘され, 新たな分類としてSicilian Gambitが提唱されている.
著者
松田 直佳 神部 智紀 好井 直輝 清原 直幸 中道 哲朗 鈴木 俊明
出版者
関西理学療法学会
雑誌
関西理学療法 (ISSN:13469606)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.135-140, 2020 (Released:2020-12-28)
参考文献数
4

We performed physical therapy for a patient with a right trochanteric fracture who complained of staggering while walking. From the right initial stance to the right mid-stance phases, the right hip joint abducted and the trunk tilted towards the right. The patient presented with poor extension of the right knee joint due to knee osteoarthritis. Thus, we focused on the hip joint adductor muscles. We performed physical therapy and observed improvement in the patient’s gait as the strength of her hip joint adductor muscles increased.
著者
松田 直樹 金谷 欣明 治田 賢 高尾 智也 藤井 徹也 平井 隆二
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.107-111, 2017-01-31 (Released:2017-04-03)
参考文献数
8

症例は78歳女性。突然腹痛が出現したため近医受診し腹部所見より汎発性腹膜炎が疑われ当院内科受診した。腹部CTを施行したところS状結腸の腸管壁の不連続,周囲のfree airおよび脱出した便塊を認め,S状結腸穿孔が疑われ同日外科紹介となり,緊急手術を施行した。術中所見としてはS状結腸に2cm大の穿孔を認め,腸管内外に硬い便塊が認められたため,ハルトマン手術を行った。患者は糖尿病性腎症による腎不全のため9年前より血液透析導入されており,カリウムコントロールのためポリスチレンスルホン酸ナトリウム(Sodium polystyrene sulfonate:以下,SPS,ケイキサレート)を服用していた。術後の病理所見では穿孔部の腸管壁へのSPSの沈着が認められた。SPS服用による腸管穿孔や潰瘍形成の報告が散見されており,本症例も病理所見よりSPS服用がS状結腸穿孔の発症に関与している可能性が示唆されたため,文献的考察を交えて報告する。