著者
松田 真希子 林 良子 渡部 倫子 金田 純平
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では日本語教育のためのデータマイニング技術開発を目的に、[1]既存データマイニング技術の日本語教育研究への応用可能性の検討、[2]既存ツールのカスタマイズ、[3]ツール開発、[4]マニュアル開発を行った。その結果、[1]ではKh-Coder,SVtoolsなどを用いた日本語教育研究への応用研究を行い、有効性を示した。[2]では日本語学習者誤用換言対データを約3000対開発した。[3]では日本語学習者アクセントの自動評定技術開発を行った。[4]ではマニュアルを一部Web公開した。学術的成果としては、6件の学術論文の発表、11件の学会発表等を行った。
著者
稲田 健太郎 志田 大 松田 真輝 井上 暁 梅北 信孝
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.1488-1492, 2011 (Released:2011-12-25)
参考文献数
20

症例は63歳,男性.2010年7月に腹痛と嘔気を主訴に当院を受診した.腹部単純エックス線検査で大腸イレウスと判断,腹部造影CT検査でS状結腸に造影効果を伴う壁肥厚像およびその口側に2cm大の異物を認めた.種子嵌頓による大腸癌イレウスを疑い,緊急下部消化管内視鏡検査を行った.S状結腸に2型病変による全周性の狭窄を認め,経肛門的イレウス管を挿入して口側腸管を減圧した.入院6日後にリンパ節郭清を伴うS状結腸切除術を行った.切除標本では腫瘍口側に梅の種子が確認できた.総合診断SSN1H0P0M0,fstageIIIa.術後は合併症なく経過し,術後7病日で退院.植物種子は大きさや形状から通常イレウスの原因となりにくく,植物種子によるイレウスを疑った際は,器質的疾患,特に大腸イレウスに関しては大腸癌を念頭においた治療方針を検討する必要があると考えられた.
著者
マイサラビンティカマール 松田 真希子
出版者
金沢大学留学生センター = International Srudent Center Kanazawa University
雑誌
金沢大学留学生センター紀要 (ISSN:13496255)
巻号頁・発行日
no.19, pp.69-78, 2016-03

A smooth shifts from beginner's Japanese class to technical Japanese education is a challenge for overseas preparatory education organization. This paper compares and focuses on the usage of causative expressions which appears in the beginner's level Japanese textbook, "Minna no nihongo" and physics textbook used in preparatory education. The results, [1] The causative expression is introduced in simple sentence in Beginner's Japanese textbook, but 92% of the causative expression in the Physics textbook appears in complex sentences, [2] They appear not only in simple finished sentence but in attributive modifier form, predicative form, -C form and others, [3] In beginner's Japanese textbook, causative expressions are mainly 'person vs. person' but all the causative sentences in the Physics textbook were identified as 'person vs. thing' , [4] Different chapters in the Physics textbook such as "Thermodynamics", "Electric Current and Magnetic Field" shows different frequency in the usage of causative expression. A smoother shift in preparatory education is possible by considering these results into beginner's Japanese class and technical Japanese education.
著者
山本 晃士 山口 充 澤野 誠 松田 真輝 阿南 昌弘 井口 浩一 杉山 悟
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.135-139, 2017-04-20 (Released:2017-05-11)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

背景と目的:外傷患者の急性期には凝固障害を認めることが多く,その程度は患者の生命予後を左右する.当院の高度救命救急センターでは,外傷患者の凝固障害,特に高度な低フィブリノゲン血症をすみやかに改善させる目的で,積極的にフィブリノゲン製剤の投与を行ってきた.その治療の実際と,同製剤の投与群と非投与群間で行った輸血量および生命予後の比較検討(症例対照研究)結果を報告する.方法:フィブリノゲン製剤投与の有無および投与基準の違いによって症例を3群に分けた.A群,フィブリノゲン製剤未使用;B群,受診時のフィブリノゲン値と外傷重症度を見た上でフィブリノゲン製剤3gを投与;C群,患者搬送前の情報(外傷重症度,出血状況)から判断し,搬送時ただちにフィブリノゲン製剤3gを投与.外傷重症度スコア≧26の症例における輸血量および生命予後について3群間で比較検討を行った.結果:3群間の輸血量には有意差を認めなかった.受診30日後の総生存率(搬送時の心肺停止症例を除く)はC群で有意に高く(p<0.05),搬送後48時間以内の急性期死亡率はC群で有意に低かった(p=0.005).さらに,きわめて重篤とされる外傷重症度スコア≧41群での死亡率も,C群で有意に低かった(p=0.02).結論:重症外傷症例においては,フィブリノゲン製剤の先制投与が急性期死亡率の低下に貢献し,結果として高い生存退院率をもたらす可能性が示唆された.
著者
松田 真輝 澤野 誠
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.349-352, 2022-10-20 (Released:2022-10-20)
参考文献数
6

大量腹腔内出血を伴う肝損傷でcoagulopathyやhypothermia等を伴う場合には一般的にDamage control surgery (DCS) が施行され, 他部位損傷を合併している場合は, abbreviate surgeryが行われることが多い. 本症例では肝損傷 III bに右腎動脈損傷を合併したが, すべて一期的根治術を達成できた. 症例は18歳男性, 交通外傷にて搬送された. 術前造影CTにて肝損傷 III b+右腎動脈損傷の診断となり, 緊急開腹術を施行した. 大量輸血および術中操作にて循環動態を安定化させ, 一期的に肝右葉切除および右腎動脈再建術を施行した. 大量腹腔内出血を伴う腹部外傷であっても, 詳細な術前診断が重要であり, また循環動態の安定化を維持することができれば, 長時間手術も可能であり, 一期的な根治術を行うことができる症例も存在する.
著者
嶋津 佑亮 船場 清三 小原 理恵子 松田 真紀子
出版者
東都大学
雑誌
東都大学紀要 = Tohto University bulletin (ISSN:24358878)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.103-108, 2021-06

COVID-19感染拡大対策により、本学3年生の領域別看護学実習は臨地実習がすべて中止となり、学内実習・オンライン実習へ変更となった。そこで限られた条件で「できること」と「できないこと」を実習目標に照らし合わせ、実習内容の検討・修正を行った。学生が実習目標を達成し看護師と必要な対象理解を深めるため、学内実習におけるリフレクションを用いた演習及び臨床判断能力を養う工夫を講じた臨床判断能力を養う工夫を講じたロールプレイを実施した。学生の反応を提出された実習記録より抽出し、ロールプレイングとディスカッションとシミュレーションとディブリーフィングは、学生の変化を示す反応が得られた。臨地実習再開後においても、臨地での学びとこれらを組み合わせることでより高い教育効果が期待できるのではないだろうかと考える。(著者抄録)
著者
松田 真平
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
やどりが (ISSN:0513417X)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.199, pp.40-45, 2003-12-20 (Released:2017-08-19)
参考文献数
8
著者
島田 真衣 松田 真季 藤江 亮太 野村 悟 粟飯島 辰樹 藤井 菜穂子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2013, 2014

【はじめに,目的】厚生労働省よるとVDT(Visual Display Terminals)作業者の7割以上が首・肩のこりや痛みを感じていると報告し,それらの労働衛生管理上の問題点を指摘している。また昨今,携帯情報端末が急速に進歩・普及し,携帯やスマートフォンは日常生活に欠かせないものとなっている。携帯情報端末が身体・精神機能に及ぼす影響は少なくないと思われるが,それらについてほとんど報告されていない現状である。そこで今回我々は,姿勢への影響に着目し,携帯とスマートフォン利用時の写真撮影による画像および脊柱形状分析器を用いた姿勢評価を行い検討した。【方法】1.対象被験者は健常成人男性9名(平均19.9±0.78歳 平均身長170.7±7.38cm平均体重65.7±8.11kg平均座高92.5±3.86cm)で,携帯・スマートフォンともに使用歴のある者とした。2.方法1)計測環境と条件設定被験者は座位となり,膝関節90°屈曲位,体幹回旋0°で下腿後面を椅子の端と密着させた。足部は肩幅に開き足底全面接地とした。上半身裸で下半身はスパッツを着用し,骨指標にマーカー(耳垂,C7棘突起,肩峰,上前腸骨棘,上後腸骨棘,S3棘突起,大転子)を貼付した。デジタルカメラ(EX-Z800:CASIO)は被験者から115cm離れた場所に設置し,基準線をともに撮影した。上記姿勢を保持後,以下4条件を行った。・被験者は操作端末を持たず真っ直ぐだと思う任意の点を見つめる。(通常姿勢)・携帯を片手で操作し課題を行う。(携帯)・スマートフォンを片手で操作し課題を行う。(スマホ片手)・スマートフォンを両手で操作し課題を行う。(スマホ両手)課題は「自己紹介文を打つこと」とした。操作端末として,携帯(W51T/約103×51×21mm/142g),スマートフォン(iPhone4S/115.2×58.6×9.3mm/140g)を用いた。2)計測手順上記4条件を安定して遂行していることを確認後,矢状面から写真撮影し,その後,脊柱計測分析器(スパイナルマウス:Index社製)を用いてC7~S3棘突起側部の筋膨隆部をなぞることで,脊柱・骨盤のデータを採取した。撮影した写真よりソフト(計測シートforデジカメ写真)を用い以下の①~④,スパイナルマウスより以下の⑤~⑦のデータを得た。①<u>頭部屈曲角度</u>(耳垂-外眼角点を結ぶ線と水平線のなす角度)②<u>頸部屈曲角度</u>(水平線と肩峰点-耳垂を結んだ線のなす角度)③<u>画面角度</u>(携帯情報端末の画面と水平線のなす角度)④<u>画面と座面との距離</u>(携帯情報端末の上端と座面との距離)⑤<u>骨盤傾斜角度</u>⑥<u>胸椎後弯角度</u>⑦<u>腰椎後弯角度</u>【倫理的配慮,説明と同意】被験者には本研究の目的と方法を説明し研究協力の賛同を得た。本研究は国際医療福祉大学倫理委員会の承認を得て実施した。(承認番号13-Io-110)【結果】頭部屈曲角度(①)および頸部屈曲角度(②)は,片手操作である「携帯」および「スマホ片手」よりも両手操作である「スマホ両手」で有意に低値を示し,頭頸部をより屈曲していた。画面角度(③)は,「携帯」,「スマホ片手」,「スマホ両手」の順に有意に減少し(p<0.01),画面をより水平位に保持していた。画面と座面との距離(④)は,片手操作である「携帯」および「スマホ片手」よりも両手操作である「スマホ両手」で有意に低値を示し(p<0.05),操作端末が座面へ近づいていた。骨盤傾斜角度(⑤)は,「携帯」より「スマホ両手」で有意に減少し後傾していた(p<0.05)。胸椎後弯角度(⑥)は,「携帯」より「スマホ片手」で有意に増大し後弯していた(p<0.05)。【考察】携帯情報端末利用時の空間内における操作端末の位置は,「片手操作」よりも「両手操作」で,より座面に近く水平位に保持していたことがわかった。それに伴い「両手操作」では,頭・頸部をより屈曲しており,操作端末の位置が姿勢に影響を及ぼしていることが示唆された。骨盤と胸椎において,「携帯」よりも「スマートフォン」操作で骨盤をより後傾し,脊柱は円背する傾向を示すことがわかった。本研究から,携帯情報端末利用による姿勢への影響の全体像をとらえることができた。今回は,被験者への自由度が高い状態で評価を行ったため,姿勢変化の詳細な影響因子を特定するまでに至らなかった。今後は,条件設定を検討するとともに,どのような因子が姿勢へ影響するかさらに特定する必要がある。【理学療法学研究としての意義】本研究により,携帯情報端末利用時の姿勢変化が明らかとなった。現在,端末の小型化・軽量化が進み,タブレットや小型PCなどの普及とともに,いつでもどこでも長時間VDT作業を行える環境となっており,身体への影響は増大していると思われる。不良姿勢となる詳細な因子を特定し,そのリスクや疾患との関連性を検討することで,理学療法の立場から予防や治療につなげることができると考える。
著者
松田 真治 伊東 栄介
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-130, no.4, pp.1-6, 2020-09-22

本研究では麻雀における他家の待ち牌予測を,機械学習手法の Neural Network を用いて行う.先行研究では,他のプレイヤーの待ち牌を予測する場合,時系列情報を省いている.そのため,手順や局面の状況を利用できない予測となっていた.手順や局面の状況を予測に使うため,本研究では牌の切られた順序情報を学習に用いる手法を提案する.具体的に,麻雀ゲーム「天鳳」の牌譜データを対象に,先行研究の手法と本研究の提案手法とを適用し,待牌を予測した.その結果,先行研究と比較して F1 score を 4.16 % 向上させることができた.
著者
松田 真
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.s138-s141, 2021

<p>販路が尽きたゲームもプレイ可能に公開できるような活用策を検討した。裁定によりオーファンなゲームを復刻できる。令和3年改正後の著作権法31条の活用により、アウトオブコマースのうち絶版等資料または特定絶版等資料に係るゲームを公開することが法律上可能であるが、運用上の論点がある。裁定や31条の活用は権利者の利益になり得るので、公開主体を柔軟化することでゲームをプレイ可能に公開し続けられるようなエコシステムの構築を行うのがよい。</p>
著者
松田 真
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s2, pp.s138-s141, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
4

販路が尽きたゲームもプレイ可能に公開できるような活用策を検討した。裁定によりオーファンなゲームを復刻できる。令和3年改正後の著作権法31条の活用により、アウトオブコマースのうち絶版等資料または特定絶版等資料に係るゲームを公開することが法律上可能であるが、運用上の論点がある。裁定や31条の活用は権利者の利益になり得るので、公開主体を柔軟化することでゲームをプレイ可能に公開し続けられるようなエコシステムの構築を行うのがよい。
著者
井川 房夫 日高 敏和 吉山 道貫 松田 真伍 大園 伊織 道端 伸明 康永 秀生 山口 修平 小林 祥泰 栗栖 薫
出版者
特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency
雑誌
NEUROSURGICAL EMERGENCY (ISSN:13426214)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.1-6, 2020 (Released:2020-04-08)
参考文献数
18

最近フィンランドから,くも膜下出血頻度はそれほど高くなく,他のヨーロッパ諸国と同程度と報告されている.最近のくも膜下出血頻度に関するメタ解析では,日本のみ増加しているが,我々の推測では軽度減少している.また,日本のくも膜下出血の治療成績は,退院時転帰不良率はクリッピングとコイリングで差がなく,死亡率はコイリングで有意に少なかった.全国的データのメタ解析ではどちらも差がなかった.日本でなぜくも膜下出血頻度が高いのか,その理由を突き詰めることが今度の動脈瘤研究にとって重要と考えられる.
著者
松田 真希子 高橋 智恵 湯川 高志 三上 喜貴
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.5_56-5_60, 2009 (Released:2009-10-05)
参考文献数
7

In this paper, we analyzed the features of the adoption strategy in creating Japanese technological terms, by comparing with those of other Asian countries. In addition, we investigated how those technological terms are used differently in each engineering field. As a result, in adopting technological terms, phonetic adoption is found more often in Japan (especially in the new research fields like IT) . In contrast, semantic adoption is found more often in China and Vietnam. It is also found that architecture field shares many terms with civil engineering, and electrical field shares many terms with communication. Those findings are quite useful to the engineering education for foreign students.
著者
寺田 大介 安川 宏紀 芳村 康男 松田 真司
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.49-57, 2019

<p>A roll response model during maneuvering, which can express a transient motion after steering, is proposed. The transient motion, namely the transition process from initial inward heel to outward heel, is used in the rudder–roll stabilization system. Nowadays, the model reference control is well used as an autopilot system of the actual ship. As to the model, the yaw response model such as the K–T model proposed by Nomoto is used because of the convenient adjustment of parameters. However, there is not the roll response model to be able to use for the rudder–roll stabilization. In this study, the 4th order roll response model proposed by Yasukawa and Yoshimura which was obtained from the 4 degrees of freedom (surge-swayroll- yaw) mathematical maneuvering model is focused on. And it is called as the Y–Y model in this study. Firstly, assume that the change of the rolling against steering is gradual, the Y–Y model is approximated by the 2nd order. Moreover, the modeling is done by considering the fact that the rolling due to steering is a non–minimum phase system. In order to verify the effectiveness of the proposed model, the numerical experiments were carried out. The KCS container ship was selected as the sample, since there is the information of maneuvering derivatives, which was obtained by the captive model experiments, including the effect of rolling. As the result, it can be confirmed that the proposed model can be expressed rolling in the transient situation after steering well under the assumption used in the modeling of Y–Y model. Furthermore, the procedure to estimate the parameters is also proposed by using the measured onboard monitoring data, and the effectiveness is confirmed based on the numerical experiment.</p>
著者
松田 真一 深田 信幸 大石 昌仁 岡 宏明 原 良介 小島 愛 中野 駿 元吉 克明 五十嵐 繁樹 佐々木 裕子 亀山 菜つ子 窪田 和寛
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
pp.26.e4, (Released:2021-03-18)
参考文献数
17

保険請求データベース(DB)や電子カルテ DB 等,日常診療の情報が記録されたリアルワールドデータ(real-world data:RWD)は,薬剤疫学研究における重要なデータ源の一つである.日本において,2018年4月より製造販売後調査の新たなカテゴリーとして,医薬品の製造販売後データベース(製販後 DB)調査が追加された.以降,医薬品リスク管理計画(risk management plan:RMP)において製販後 DB 調査が計画され,製販後 DB 調査の実践が期待されているが,現時点で結果公表まで至ったものはほとんどない.一方,海外においては RWD を用いた DB 研究成果は現時点で多数報告されている.海外と日本では,DB 自体の特性(項目・構造等)の違い,医療環境・慣習の違い等を念頭におく必要はあるが,そのような前提を踏まえて海外 DB 調査論文を精読し,研究仮説,研究デザイン,手法等を吟味することは,日本における製販後 DB 調査の計画・実行・結果の解釈を実践するうえで参考価値があると考えた.本報告の目的は,海外 DB 調査論文の批判的吟味を通じて,DB 調査の特徴や注意点を考察すること,そして,日本における製販後DB 調査の実践に役立つ提言を行うことである.本稿が,今後の製販後 DB 調査を計画・実施するうえでの一助になれば幸いである.