著者
大林 光念 安東 由喜雄
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1044-1046, 2014
被引用文献数
2

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーや糖尿病性末梢神経障害は発症早期から小径線維ニューロパチーを呈するが,有用な臨床指標がない現状では,この病態の早期発見は容易でない.そこでわれわれは,小径線維ニューロパチーを早期診断するため,レーザードプラ皮膚血流検査や換気カプセル法による発汗検査,汗腺の形態チェック,胃電図,胃内の小径線維やCajal細胞の密度測定,<sup>123</sup>I-MIBG心筋シンチ,血圧オーバーシュート現象をみる起立試験などの自律神経機能検査を考案した.これらは,ATTR V30M保因者やIGT患者にみられる早期の小径線維ニューロパチーを診断しえる.また,これらにC,Aδ特異的痛覚閾値検査を加えることも,診断に有用となる.
著者
鹿角 孝男 薩摩林 光 佐々木 一敏 鹿野 正明 太田 宗康 畠山 史郎 村野 健太郎
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.282-291, 1996 (Released:2011-11-08)
参考文献数
34
被引用文献数
6

山岳地域における環境大気中の浮遊粒子状物質 (SPM) と大気降下物の特徴を把握するため, 唐松岳入方尾根および長野市においてSPMを1ヵ月毎に採取し, 化学成分濃度を測定し, 各種発生源寄与率の推定を行った。また, 大気降下物を1ヵ月毎に測定し, 酸性物質降下量を調査して, 渓流水への影響について検討した。八方尾根におけるSPM中のSO42-濃度は春季~ 夏季に高くなる変化を示した。春季 (3~4月) には黄砂の影響が見られ, 黄砂粒子の濃度は約4μg/m3と推定された。調査地点近傍の土壌粒子の寄与は少なかった。大気降下物のpHは平均5.1であり, 長野市 (平均5.3) よりもわずかに低く, 春季に高くなる傾向があった。nss-SO42-の降下量は長野市の約2倍あり, またNO3-の降下量も多く, 清浄地域と考えられる山岳地域にも多量の酸性物質の降下が認められた。八方尾根付近の渓流である平川の水質は, pH7.6, アルカリ度0.48meq/lと十分な中和能があったが, 梅雨期には希釈効果により一時的にアルカリ度の低下が認められた。NO3-濃度は融雪期 (3~4月) に上昇したが, pHの低下は見られなかった。
著者
鹿角 孝男 薩摩林 光 佐々木 一敏 鹿野 正明 太田 宗康 畠山 史郎 村野 健太郎
出版者
公益社団法人 大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.282-291, 1996

山岳地域における環境大気中の浮遊粒子状物質 (SPM) と大気降下物の特徴を把握するため, 唐松岳入方尾根および長野市においてSPMを1ヵ月毎に採取し, 化学成分濃度を測定し, 各種発生源寄与率の推定を行った。また, 大気降下物を1ヵ月毎に測定し, 酸性物質降下量を調査して, 渓流水への影響について検討した。<BR>八方尾根におけるSPM中のSO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>濃度は春季~ 夏季に高くなる変化を示した。春季 (3~4月) には黄砂の影響が見られ, 黄砂粒子の濃度は約4μg/m3と推定された。調査地点近傍の土壌粒子の寄与は少なかった。大気降下物のpHは平均5.1であり, 長野市 (平均5.3) よりもわずかに低く, 春季に高くなる傾向があった。nss-SO<SUB>4</SUB><SUP>2-</SUP>の降下量は長野市の約2倍あり, またNO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>の降下量も多く, 清浄地域と考えられる山岳地域にも多量の酸性物質の降下が認められた。<BR>八方尾根付近の渓流である平川の水質は, pH7.6, アルカリ度0.48meq/<I>l</I>と十分な中和能があったが, 梅雨期には希釈効果により一時的にアルカリ度の低下が認められた。NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>濃度は融雪期 (3~4月) に上昇したが, pHの低下は見られなかった。
著者
鹿角 孝男 川村 實 薩摩林 光 西沢 宏 村野 健太郎
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.75-80, 2002-01-10
被引用文献数
3

2000年8月から9月にかけて,関東,中部,東海地方の広い範囲で環境基準を超える高濃度の二酸化硫黄(SO_2)が観測され,異臭騒ぎが発生した。長野県内でも高濃度のSO_2が観測され,9月13日の1時間値の最高濃度は県南部の飯田市で383ppbを記録し,北部の長野市でも76ppbに達した。後方流跡線の解析結果から,これらは活発に活動している三宅島の火山ガスが原因であると考えられた。このような火山ガスの影響を調べるため,長野県北部の長野市,八方尾根および白馬村において4段ろ紙法によるガス・エアロゾルの測定を実施した。その結果,エアロゾル中の硫酸イオン(SO_4^2-)は9月14日10〜14時に長野市で44.4μg/m^3の高濃度が出現し,八方尾根と白馬村でも15日12〜18時に30μg/m^3を超えた。陰イオンの過剰分を水素イオン(H^+)と仮定して算出した3地点の粒子状硫酸(H_2SO_4)の濃度は,長野市,八方尾根,白馬村でそれぞれ21〜33,11〜21,6.8〜18μg/m^3の範囲内にあると推定され,SO_4^2-に占めるH_2SO_4の比率(モル比)は,それぞれ46〜72,34〜65,22〜58%と,濃度,比率とも極めて高い値であったと推定された。
著者
大林 光念 安東 由喜雄
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.1044-1046, 2014 (Released:2014-12-18)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーや糖尿病性末梢神経障害は発症早期から小径線維ニューロパチーを呈するが,有用な臨床指標がない現状では,この病態の早期発見は容易でない.そこでわれわれは,小径線維ニューロパチーを早期診断するため,レーザードプラ皮膚血流検査や換気カプセル法による発汗検査,汗腺の形態チェック,胃電図,胃内の小径線維やCajal細胞の密度測定,123I-MIBG心筋シンチ,血圧オーバーシュート現象をみる起立試験などの自律神経機能検査を考案した.これらは,ATTR V30M保因者やIGT患者にみられる早期の小径線維ニューロパチーを診断しえる.また,これらにC,Aδ特異的痛覚閾値検査を加えることも,診断に有用となる.
著者
鈴木 卓治 安達 文夫 小林 光夫
雑誌
じんもんこん2000論文集
巻号頁・発行日
vol.2000, no.17, pp.25-32, 2000-12-15

本稿では,博物館の視点から「デジタルアーカイブは構築できるか」を考察する.デジタルデータの記録・復元,蓄積・保存,活用の3つの段階に分けて議論する.はじめに,デジタルアーカイブに関する国内外の状況を述べる.つぎに,デジタルアーカイブの技術的問題について論じ,国立歴史民俗博物館における3つの事例を通じ,博物館におけるデジタルアーカイブ活用の方向性を示す.最後に今後の課題を述べ,提言を行なう.
著者
小林 光代 佐藤 郁 佐藤 香織 米田 由紀子 根本 任子 阿部 由季乃 石坂 真理子 小笠原 史子 小田 杉子 海沼 聡子 工藤 稔昭 工藤 博子 黒澤 奈保江 齋藤 江里 髙杉 尚子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.172-175, 2018-04-01 (Released:2018-04-01)

本稿では,秋田県鹿角市立図書館で取り組んだLINEスタンプの活動について述べる。公共図書館でLINEスタンプを制作・発売したのは当館が初めてで,市内外から多くの注目を集めた。また,LINEスタンプの制作も外部に委託することなく,職員自ら行った。待つだけの図書館ではなく,積極的な活動や取り組みが話題になっている今日の図書館界であるが,当館は移転と指定管理者導入をきっかけに,新しい広報の手法を模索し,市民に親しまれる図書館を目指して当事業を進めてきた。本文は制作の裏側や運用などについて実務的なことも含め,LINEスタンプ制作にかけた想いをまとめたものである。
著者
野溝 春子 薩摩林 光 内田 英夫
出版者
長野県環境保全研究所
雑誌
長野県環境保全研究所研究報告 (ISSN:1880179X)
巻号頁・発行日
no.2, pp.37-45, 2006

長野盆地で100ppbを超える高濃度オキシダントとなる要因を解明するため、1998年5月から7月にかけて長野盆地辺縁部の低山中腹及び群馬県境の四阿山中腹にオゾン計を設置し、測定結果を常時監視データと比較、検討した。調査期間中、長野盆地で光化学オキシダント濃度が100ppb以上となる状況が4回出現し、内2回は東京湾岸から汚染気塊が傾度風により短時間で流入したもの、他は輸送されてきた上層のオゾン濃度が高い状況下での盆地内の汚染物質の生成・蓄積と前日の東京湾岸からの汚染気塊流入・停滞によるものと推定された。
著者
小林 光夫
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.34-41, 2007
参考文献数
13
被引用文献数
4
著者
小林 大祥 小林 光男 後藤 芳樹
出版者
工学院大学
雑誌
工学院大学研究報告 (ISSN:03685098)
巻号頁・発行日
no.121, pp.1-7, 2016-10-30

In this paper, tension tests are performed with the dragline silk produced by Nephila Clavata. Tension testingmachine is developed and manufactured for micro-sized materials. The dragline silk is the difficult material toconduct the tension test because the dragline of spider is the fine and ductile line and also the test load is small.From the results of tests, following conclusions are obtained. 1) The continuous stress-strain behavior of spider silkis obtained in 1.0μm/sec constant test speed, and the failure stress of dragline is about 2000MPa. 2) The diameter ofdragline is found to vary among each thread, thus it is necessary to measure the diameter of all specimens. 3) It isunderstood that the failure stress is mostly constant because the failure force of dragline and the cross-sectional areaare proportional to the weight of the spider.
著者
松浦 倫子 林 光緒 堀 忠雄
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.61-69, 2002
被引用文献数
2

本研究では習慣的自己覚醒が夜間睡眠に及ぼす効果を検討した.朝, 習慣的に自己覚醒している13名の被験者が2夜の実験夜に参加した.1夜は強制覚醒夜で, 被験者は習慣的な起床時刻に実験者によって強制的に起こされた.もう1夜は自己覚醒夜で, 被験者は習慣的な起床時刻に自己覚醒を試みた.就床直前の不安, 夜間のポリグラフ記録, さらに起床直後の睡眠の主観的評価が分析された.19夜の自己覚醒夜のうち, 自己覚醒に成功したのは8夜 (42.1%) であった.不安, 睡眠の主観的評価, 睡眠段階1の出現量以外の睡眠変数には, 強制覚醒夜と自己覚醒夜の間で有意差は認められなかった.これらの結果は, 習慣的自己覚醒は夜間睡眠, 起床後の気分, 睡眠満足感を悪化させないことを示唆している.
著者
石黒 旭代 山内 露子 今田 龍市 西村 仁志 池田 勝義 杉内 博幸 大林 光念 安東 由喜雄
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.767-772, 2014-11-25 (Released:2015-01-10)
参考文献数
6

熊本県における特定健康診査の結果では,HbA1cが基準値(5.6%)以上を呈する受診者の比率が,地域によって大幅に異なることが判明した.この原因を究明し,是正措置を講じるために,HbA1c測定に関する機器や試薬による測定値の違いについて調査した.測定対象はインフォームドコンセントの得られた患者血液20検体,および標準品JCCRM411-2を用いた.HPLC法,免疫凝集比濁法,酵素法で各検体のHbA1c値を測定し,その結果を比較した.測定の結果,HbA1c 5.6%での患者血液における方法間差が最大0.3%であった.標準品の測定値は,HPLC法で表示値より+0.2%,酵素法で+0.1%高値であったが,免疫凝集比濁法での結果は表示値とほぼ一致していた.測定機器,試薬の違いがHbA1c実測値に差異を生じる要因となった可能性がある.この問題を是正するため,HbA1c測定の標準化に向けた早急な取り組みが必要である.