著者
住 昌彦 渡辺 正秀 佐藤 慶二郎 清水 郁夫 植木 俊充 赤羽 大悟 上野 真由美 市川 直明 浅野 直子 小林 光
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1782-1787, 2011 (Released:2011-12-17)
参考文献数
14

75歳男性。2年前より間欠的な好中球減少を認め,貧血も伴うようになり紹介,高度な好中球減少,網状赤血球著減を伴う貧血,軽度の血小板減少を認めた。骨髄穿刺検査では高度な低形成であったが巨核球は保たれ,顆粒リンパ球が45.2%を占めていた。表面マーカー解析,T細胞受容体遺伝子再構成の結果からT細胞性顆粒リンパ球性白血病に合併した骨髄不全と診断した。抗胸腺細胞グロブリン,cyclosporine併用療法を開始し,16日目には血球は回復したが,29日目より発熱・リンパ節腫脹を認め,異型リンパ球が出現し,血中でEpstein-Barr virus (EBV) DNAが検出された。その後急激な肝機能障害・肝腫大が出現し多臓器不全で42日目に死亡した。剖検で肝,腎などにEBV陽性の大型異型Bリンパ球の浸潤を認めEBV関連リンパ増殖性疾患が死亡原因と考えられた。
著者
林 光
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.239-272, 2004-03-19

内戦に関与した指導者や兵士連は,内戦終結と同時に収奪機会や権力の喪失,戦争犯罪での訴追等のリスクにさらされる.このため彼らは自己保身から意図的に内戦を継続する動機を持つ.この場合たとえ秩序回復が容易であるはずの事例においても内戦は終結しにくくなり,分析におけるセレクション・バイアスを生む.本研究は,ヘックマン(Heckman)流の二段階の統計手法によってこのバイアスを補正し,国連の介入や政治体制等が与える影響について新たな知見を導いた.すなわち,国連の介入は紛争終結には有効ではないが,秩序回復には非常に有効であった.一方,国連以外の介入は逆の傾向が認められた.その他,窮地に追い込まれた政治指導者は起死回生を図ってハイリスク・ハイリターンな政策を追求しがちであるという「起死回生のギャンブル」仮説,資源収奪の誘因に注目した「強欲」仮説等も支持された.以上の分析に基づいて秩序回復の確率に関する予測も試みた.
著者
小林 光夫 吉識 香代子
出版者
日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.249-261, 2001-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
1

PCCS(Practical Color Co-ordinate System)は, 色彩調和を考慮した表色系である.PCCSは, 色相, 明度, 彩度という三属性による色表現のほかに, 配色に有用な"トーン"の概念をもっている点に特色がある.しかし, PCCSのトーンと三属性値との対応は, いくつかのトーン代表色でしか与えられていないし, 他の表色系との関連も明確でない.また, PCCSの色票集の色票の数が少ない.これらの理由で, PCCS利用の範囲は狭められている.われわれは, PCCSの各トーン代表色におけるPCCS三属性値とマンセル三属性値の関係を分析したところ, PCCS-マンセル間の簡明な数学的関係を見出すことができた.また, この関係を利用し, 相互表色値変換のアルゴリズムを構成した.さらに, トーンを表わす色相に依らない座標系を, PCCS三属性値からの簡単な線形変換という形で, 構成することができた.この結果, 任意のマンセル表色値に対し, PCCS三属性値およびPCCSトーンを計算することが可能となり, PCCSの利用範囲の拡大が期待される.
著者
坂田 桐子 林 光緒
出版者
広島大学
雑誌
Memoirs of the Faculty of Integrated Arts and Sciences, Hiroshima University. IV, Science reports : studies of fundamental and environmental sciences (ISSN:13408364)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.151-160, 1999-12-28

We examined the prevalence of paranormal beliefs that kanashibari was a kind of the psychic phenomenon, and the extent into which the beliefs changed by the education based on scientific knowledge. One hundred and sixty university students who attended 'Biological Psychology' and 186 university students who attended 'Psychology' answered questionnaires at the 1st class and the last class. Scientific findings concerning the kanashibari phenomenon were lectured in 'Biological Psychology', and such a lecture was not done in 'Psychology'. Those who answered 'the psychic has affected kanashibari' were 57.2 0n the first investigation, Though the scientific lecture concerning kanashibari did not have the effect to reduce the 'kanashibari is psychic phenomenon' belief, that had the effect to make students recognize the necessity of scientific studies about kanashibari. As for some of students of the liberal arts, reactance was caused by auditing the scientific lecture, and their attitudes had changed into the direction where paranormal beliefs about kanashibari are reinforced.
著者
大岡 昌博 小林 光男 篠倉 恒樹 鷺沢 忍
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.56, no.531, pp.2919-2925, 1990-11-25
被引用文献数
2

In order to improve the intelligence of a robot with a sense of touch, we have developed a tactile sensor array which can detect the distribution of the three components of a force vector. The tactile sensor consists of a 6×15 matrix of 3×3 mm sensing sites; each site is made of two single-crystal silicon rings on which semiconductor strain gauges are formed by means of a semiconductor processing technique. In this paper, we have introduced formulas to calculate applied force/moment, a center of distributed pressure, and some parameters of slip and hardness, and then carried out sensing tests in order to validate those formulas. Experimental results show that applied force/moment and the center of distributed pressure can be detected with practical accuracy. Slipping, rolling and rotating states can be distinguished by combinations of the slip parameters. Moreover, mechanical properties can be sensed by means of combinations of the hardness parameters. A lump in a soft object can be recognized using an adequate threshold method.
著者
小林 光 田中 章浩 岸田 悟 渡部 徹 長谷川 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.542, pp.421-426, 2008-03-05
参考文献数
9

本研究では,バックプロパゲーション法による3層階層型ニューラルネットワークを用いて指紋と声紋によるハイブリッド認証システムを構築した.指紋認証では2次元高速フーリエ変換と逆フーリエ変換によって前処理を行い,ニューラルネットワークへの入力データとした.声紋認証では高速フーリエ変換によって前処理を行い,ニューラルネットワークへの入力データとした.それぞれ各認証を行い,中間層・出力層ユニット数がニューラルネットワークの性能の及ぼす効果を明らかにした.さらに,可変の重み付きAND結合を用いた指紋と声紋によるハイブリッド認証システムを構築し,性能を調査した.これらの結果より, 3層階層型ニューラルネットワークが個人認証システムに有効であることを示した.
著者
新妻 宏文 石井 元康 小島 敏明 菊池 公美子 鈴木 千晶 小林 智夫 五十嵐 勇彦 真野 浩 上野 義之 小林 光樹 下瀬川 徹 豊田 隆謙
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.346-349, 1999-06-25
被引用文献数
8 6

献血時 (32歳時) にHBVキャリアではないと確認されている症例 (33歳) がHBVの急性感染後にキャリア化した. この症例のウイルスをシークエンスし分子系統樹解析したところgenotype Aであった. 最近, 成人感染後にキャリア化した本邦の1例の検討でgenotypeがAであったと報告された. さらに当科外来で唯一の夫婦ともHBVキャリアの症例では, 夫婦ともにgenotype Aが検出された. 当科外来患者 (宮城県が中心, n=222) のgenotypeの検討ではgenotype Aは3.6%しか存在しなかった. 以上より, genotype Aが急性感染すると成人でもキャリア化することがあると考えられた. 欧米では成人感染後のキャリア化が多く, 本邦では成人感染後のキャリア化は少ないとされている. Genotype Aが欧米で多く本邦で少ないことが, その原因であると考えられた.
著者
池田 大樹 林 光緒
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.1-9, 2012

This study investigated the effects of self-awakening on daytime sleepiness. Eleven undergraduate and graduate students without the habit of self-awakening participated. They were instructed to follow their usual sleep-wake schedule at home during the experimental weeks and were required to awaken at their usual time by themselves every morning for one week without the aid of an alarm (self-awakening condition) or in response to a telephone call from the experimenter every morning for another one week (forced-awakening condition). On the last day of each week, daytime tests were conducted in the laboratory. The participants would arrive at the laboratory 2 h after awakening, and 1 h later, they performed the auditory simple reaction time task, the digit-symbol substitution task, the letter cancellation test, and the multiple sleep latency test, and assessment of sleepiness, fatigue, comfort, and work motivation every 2 h. In the week when the participants underwent the self-awakening condition, self-awakening had a higher success rate (82%) than failure rate (18%) on the seventh day. In comparison with forced-awakening, self-awakening resulted in an improvement in subjective fatigue; however, sleepiness did not deteriorate.
著者
小林 光一
出版者
武蔵工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は「ジカチオン性二鎖型LB膜の作製とその吸着特性」を中心に系統的に行われたものである。以上研究費補助期間中に得られた結果を以下に要約する。モノジカチオン性アルキルアンモニウム塩(SAC,DAC,DSACとTSAC),ジカチオン性アルキルアンモニウム塩(XSAC)および第1級アルキルアミン(ODA)の膜形成能について検討した。これらの物質のうちで、二つあるいは三つアルキル基を持つDSAC,TSACおよびXSACは安定な単分子膜を形成することが明らかにされた。また、ODAはpH10以上で安定な単分子膜を形成することが分った。一方、MOやNO水溶液上でのπ-A等温線の測定から、TSAC,XSACおよびODAの単分子膜は下層水中のNOやMOイオンと強く相互作用することがわかった。作製されたTSAC,XSACおよびODAのLB膜はカチオン性の性質を保持しており、NOやMOなどの色素イオンに対して高い吸着特性を示した。これらの吸着挙動はLB膜中の炭化水素鎖の充填状態やpHによって影響することが分かった。また、これらの色素の吸着は静電的な相互作用によって化学量論的に起ることもわかった。さらに、カチオン性LB膜中のNOやMOの吸着状態には差異があることが明らかになった。すなわち、MO分子は膜表面に対してほぼ垂直な配置を取り、一方NO分子はLB膜表面に横たわった配置を取る。これはMOとNOの分子構造の違いに起因するものと考えられる。この研究で得られた分子配置についての情報はカチオン性LB膜へのいろいろな吸着質の吸着挙動を理解するのに役立つことが期待される。
著者
小林 光一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アデノ関連ウイルスを利用したwnt11治療によりウイルス性心筋炎マウスの生存を約3割改善することが可能であった。またその機序の解明のためマクロファージ系の培養細胞を使いwnt11を作用させたところ活性化されたマクロファージからの炎症誘導物質の産生が有意に抑制されることが確認された。副作用が少なく、持続的な発現誘導が可能なアデノ関連ウイルスを利用することでwnt11が心筋炎に対して治療効果を示すことが確認された。
著者
小林 光弘 近藤 邦雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.112, pp.1-5, 1998-12-10

本論文では、コンピュータアニメーションにおける強調された動作を生成することができる動作強調手法について述べる。アニメーションの効果として、物事を分かりやすく表現できることが挙げられる。その表現の一つが、強調された動作である。現在まで様々な動作生成手法が提案されているが、強調された動作については取り扱われていない。本論文では実際に用いられている強調された動作を分析した。この分析をもとに、関節の角度による強調手法、オブジェクトの形状による強調手法を提案した。これらの手法を用いて、強調された動作を自動的に生成することが可能になった。This paper describes a method of creating emphasized motions in computer animation. Characteristic of animations is the intelligible expressions. One of the expressions is emphasized motions. Various methods are studied as the methods of generating movement. However, there is not so much research with regard to the generation of emphasized motions. We analyzed about emphasized motions which are utilized effectively. We propose the methods of emphasizing motions by controlling joint's angle and object's form. Using these methods, we can create the emphasized motions automatically.