著者
徳橋 曜 小林 真
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.143-157, 2016-12

この10年ほどの間、高校の現場や大学の教員の間で、世界史教育の在り方がしきりに議論されるようになっている。その中で、高校の世界史教育がどうあるべきか、あるいは大学で世界史をどう教えるべきかという議論や研究は少なくないが、高校の世界史教育と大学の歴史学・歴史教育をどうつなぐかという点については、必ずしも十分な検討がなされていない。本稿では学生へのアンケートから、世界史教育の意義や高校と大学の歴史教育の関連性をめぐる彼らの意識を検討し、高校の世界史教育と大学の歴史教育の接続の在り方を考察する一助とする。
著者
宇丹 裕一朗 稲木 雅人 永山 忍 若林 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. VLD, VLSI設計技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.450, pp.115-120, 2012-02-28
参考文献数
7

バイオインフォマティクスやデータベース検索で使用されている近似文字列マッチングにおいて,より高度なマッチングを行うため,正規表現を扱うシストリックアルゴリズムとそのFPGA実装法が提案されている.しかし,このFPGA実装では,DNAの配列検索などに必要な長いパターンを扱うことができない.そこで本研究では,スケーラブルな処理が可能なGPU上での近似正規表現マッチングの高速解法を提案する.また,FPGA実装と比較することで近似正規表現マッチングをGPU上で実装することの有用性を検証する.実験の結果,CPUと比較してFPGA実装が8.3倍,GPU実装が2.9倍高速に実行できることが分かった.特に,パターン長が3200以上の場合,CPUと比較してGPU実装では18倍以上の高速化ができた.また,FPGA実装ではパターンの文字数がFPGAの規模に制限されるのに対し,GPU実装ではFPGA実装よりも長いパターンを容易に扱えることを確認した.
著者
阿波 邦彦 堀江 淳 長江 真弥 村田 伸 林 真一郎 今泉 裕次郎 市丸 勝昭 直塚 博行 白仁田 秀一 江越 正次朗 堀川 悦夫
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Db1202-Db1202, 2012

【はじめに、目的】 COPDの骨格筋筋力低下は、全身持久力、ADL、健康関連QOLの低下、予後にも影響している。今回、外出に制限が生じ始める6分間歩行距離400mをもとに、大腿四頭筋筋力を体重で除した体重支持力指数(WBI)のカットオフ値を求めた。そして、そのカットオフ値でCOPD患者を2群に分け、身体機能、身体能力、ADL、健康関連QOLの比較をすることでWBIのカットオフ値の有用性を検討した。【方法】 対象は、研究の参加に同意が得られた男性COPD患者116名であった。平均年齢は74.4±8.7歳、BMIは20.6±3.8、%FEV<sub>1.0</sub>は50.8±23.6%であった。なお、対象の選定は、歩行に支障をきたすような骨関節疾患、脳血管障害や重篤な内科的合併症の有する者、理解力が不良な者、測定への同意が得られなかった者は対象から除外した。主要測定項目はWBIとした。副次測定項目はmMRC息切れスケール、呼吸筋力検査(PImax、PEmax)、握力、片足立脚時間、5m最速歩行時間、Timed Up and Go Test(TUG)、30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)、6分間歩行距離(6MWD)、漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT)、長崎大学呼吸ADL質問票(NRADL)、健康関連QOLはSt George's Respiratory Questionnaire(SGRQ)とした。予後指標はupdated BODE indexとした。統計学的解析は、外出に制限が生じ始めるWBIのカットオフ値を6MWD-400m以上群と未満群に分け、ROC曲線にて分析した。また、分析されたWBIのカットオフ値でWBI高値群と低値群に分け、2群間にて副次測定項目の比較をStudents' t-testで分析した。なお、帰無仮説の棄却域は有意水準5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は、佐賀大学研究倫理審査委員会の承認を得て実施し、ヘルシンキ宣言に沿った研究とした。なお、対象には研究の主旨、方法、同意の撤回などについて文書を用いて口頭にて説明したうえで同意を得て実施した。【結果】 外出に制限が生じ始めるWBIのカットオフ値は54.7であった。なお、ROC曲線下面積は0.798、感度は0.735、1-特異度は0.348であった。WBI高値群とWBI低値群における副次測定項目の比較は、mMRC息切れスケール(1.8±1.0vs2.3±1.0、p=0.008)、PImax(85.1±35.3vs56.0±28.8cmH<sub>2</sub>0、p<0.001)、PEmax(82.4±37.5vs54.4±32.1cmH<sub>2</sub>0、p=0.001)、握力(33.5±7.2vs 25.5±7.8kg、p<0.001)、片足立脚時間(67.0±42.0vs 22.7±30.2秒、p<0.001)、5m最速歩行時間(2.9±0.9vs3.9±1.5秒、p=0.001)、TUG(6.0±1.8vs9.1±4.6秒、p<0.001)、CS-30(18.3±4.5vs13.4±5.0回、p<0.001)、6MWD(416.7±110.6vs281.0±139.4m、p<0.001)、ISWT(411.9±170.4vs247.3±149.5m、p<0.001)、NRADL(78.7±20.3vs63.9±26.7点、p=0.001)、updated BODE index(3.7±3.0vs7.4±4.8、p<0.001)に有意差が認められた。しかし、SGRQ(39.3±17.5vs45.9±18.1、p=0.06)には有意差は認められなかった。【考察】 COPD患者における外出に制限が生じ始めるWBIは中等度の予測能を認めた。WBI低値群は、WBI高値群よりも各身体機能、身体能力、ADL、予後指標において有意に低値を認めた。これは先行研究と同様の結果であった。しかし、健康関連QOLに有意差は認められなかった。その原因として、健康関連QOLには筋力などの身体機能以外にも不安や抑うつなどの精神的症状も関与しているためと考えられる。今回の研究では、外出制限を6MWDの測定値で検討しているため、想像の域を脱していないことである。そのため、今後の課題は外出制限の具体的な設定や患者背景を検討してゆく必要がある。【理学療法学研究としての意義】 本研究は、外出に制限を生じ始めるWBIのカットオフ値を推定する一つの指標となりうる可能性が示唆された。しかし本研究では検討課題も多く残された。そのため今後も研究を重ねていき臨床の場面にて活用できるような指標に展開したいと考える。
著者
早川 富博 鈴木 祥子 小林 真哉 福富 達也 井出 正芳 大野 恒夫 大河内 昌弘 多気 みつ子 宮本 忠壽 丹村 敏則 岡田 美智子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.438-446, 2009-11-30 (Released:2010-04-12)
参考文献数
12
被引用文献数
3 5

発芽玄米の糖代謝・脂質代謝に対する影響を知ることを目的に,糖尿病患者に試験食 (発芽玄米: 白米を1:1に調整) を3か月間摂食させて,その前後で糖・脂質のパラメーターを比較検討した。3か月間の試験食摂取によって,グリコヘモグロビンは,摂取前の6.40±0.23%から6.23±0.19%へと有意な低下が認められた。空腹時血糖値に有意な変化はなかったが,インスリン値とHOMA-IRは低下傾向を示した。T-CHO値,TG値は試験食の摂取によって変化はみられなかったが,LDL-c値は低下傾向,HDL-c値は増加傾向を示し,LDL/HDL比は摂取前の2.03±0.13から,摂取3か月後には1.83±0.12へと有意に低下した。試験食摂取量を多い群と少ない群に分けて検討すると,試験食の摂取量が多い群で,LDL-c値は有意に低下,HDL-c値は有意に増加した。今回,糖尿病患者において,3か月間の発芽玄米摂取によって糖代謝と脂質代謝がともに改善する結果が得られた。これらは,糖尿病患者の食事療法として発芽玄米が有効であることを示すものであるとともに,高コレステロール血症の治療にも有効である可能性を示すものと考えられた。
著者
小林 真由美
出版者
成城大学
雑誌
成城文藝 (ISSN:02865718)
巻号頁・発行日
no.175, pp.27-42, 2001-06
著者
中林 真理子
出版者
The Japanese Society of Insurance Science
雑誌
保険学雑誌 (ISSN:03872939)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.622, pp.622_103-622_121, 2013

生命保険販売従事者が直面する倫理的課題についてのアンケート結果をもとに日米比較研究を行ったCooper and Nakabayashi[2010]での,「保険会社が提供する商品種類とサービスが十分でないので,顧客のニーズにあった商品を販売できないことは倫理的に問題かどうか」という問題提起に対し,その後の環境変化を踏まえて一つの答えを出すことが本稿の目的である。<br />日本ではアンケート実施後,銀行窓販が全面解禁になるなど,提供可能な商品やサービスの幅が広がっているという面では問題は解消しつつある。しかし環境が整備されてきたからこそ,それぞれの顧客のニーズに合わせた販売および契約保全活動ができないことは倫理的に問題であるという状況になってきた。このような環境下では,営業職員の自覚はもちろん,生命保険会社が主導して営業職員の質を高め,より包括的で合理的なアドバイザーとしての役割を担えるような体制を整備することが,営業職員チャネルの存在意義を高めることになる。
著者
祖父尼 俊雄 能美 健彦 太田 敏博 林 真
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.61-73, 2005 (Released:2005-12-26)
参考文献数
23
被引用文献数
9 9 1

The concept of a “biological threshold” is attracting interest as an evaluation criterion for the mutagenic activity of DNA-targeting mutagens. In this context, the concept is defined as “a concentration of a chemical which does not produce any damage through its inability to perform the necessary biochemical reactions, even though present at the target in finite amount”. To clarify whether this criterion is indeed applicable to DNA-targeting mutagens, we re-evaluated the reverse mutation assay data using DNA repair-deficient bacterial strains, such as S. typhimurium strains lacking the O6-methylguanine DNA methyltransferase genes (adaST and ogtST), the nucleotide excision repair gene (uvrB) or the 8-hydroxyguanine DNA glycosylase gene (mutMST), and E. coli strains lacking the nucleotide excision repair gene (uvrA). Mutagenic responses of 20 test chemicals including alkylating and non-alkylating agents were compared between the repair-deficient and their wild-type strains.All the alkylating agents, such as MNNG, ENNG, EMS, ENU, DMN and DEN, exhibited more sensible mutagenic responses in strains YG7108 (ΔadaST, ΔogtST) and YG7113 (same as YG7108 but containing the plasmid pKM101) than in the parental strains TA1535 and TA100 (same as TA1535 but containing the pKM101), respectively. Upon applying MNNG, YG7108 showed about 2-100 fold increase in the number of His+ revertants above the spontaneous level over the range of 0.00025-0.25 μg/plate, whereas TA1535 did not show any significant increase in the number of His+ revertants over the same dose range. On TA1535, an increasing tendency of the number of revertants was observed at 0.5 μg/plate or above. This indicates an approximate 2,000-fold difference at the mutagenic concentration level between the wild-type and the repairdeficient strains. Other alkylating agents also showed significant differences in mutagenic responses between YG7108 and TA1535, or between YG7113 and TA100 respectively, with some variations among test chemicals. On the other hand, non-alkylating agents, such as 4-NQO, AF-2, 2-NF and MX, did not show any differences in the dose-response relationships between YG7113 and TA100. When non-alkylating agents, such as 4-NQO, 2-NF and MX were applied to TA1535 (ΔuvrB), TA1538 (ΔuvrB) and WP2uvrA (ΔuvrA), clearly different mutagenic responses, i.e. about 30- to 60-fold, were observed between the repair-deficient and the parental strains (TA1975, TA1978 and WP2, respectively). 4-NQO showed different mutagenic responses between YG3002 (ΔmutMST) and TA1975 (about 10-fold), though the application of other oxidative agents such as hydrogen peroxide resulted in less than 10-fold differences. The present results indicate that the wild-type strains having normal repair capacity show no gene mutation induction at the concentrations at which gene mutations are clearly induced in the repair-deficient strains through DNA damage. Thus, the present results suggest the existence of a “biological threshold” below which no mutagenic response is induced by DNA-targeting mutagenic substances.
著者
林 真司
出版者
龍谷大学
雑誌
龍谷大学経済学論集 (ISSN:09183418)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.265-283, 2009-09
著者
小林 真 寺内 方克 中野 寛 江川 宜伸
出版者
日本芝草学会
雑誌
芝草研究 (ISSN:02858800)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.157-169, 1998-03-31 (Released:2010-06-08)
参考文献数
10

土壌保全を目的としたパイナップル畦間被覆に適した芝草類として, 短期利用 (定植後約6カ月間) 向きではイタリアンライグラス晩生品種「フタハル」, 中期利用 (定植後6~12ヵ月間) 向きではセンチピードグラスを選定した。これらの草種・品種を定植直後のパイナップル圃場全面に播種したところ, 定植後1年間にわたって畦間を被覆し続けたが, 株際のイタリアンライグラスによってパイナップルの生育が阻害された。そこで, 黒色ビニルマルチを張ってからパイナップルを定植し, あらかじめ芝草種子を接着しておいた綿屑シートを畦間中央部に固定することによって播種したところ, パイナップル株際に芝草が繁茂することなく, 定植後1年間にわたって畦間を被覆することに成功した。雑草防除法と種子・資材コストの2点が問題として残されたが, 今後, 本研究で得られた知見は集約的な管理が不可能な亜熱帯地域で芝草を播種・造成する際に有用な情報として活用されるものと思われる。
著者
林 真貴子
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、1930年代初頭の農山漁村経済更生運動下でおこなわれた、農村で組合を形成して負債を整理するという問題解決の方法およびその法過程について検討することである。具体的には、1933(昭和8)年に制定された農村負債整理組合法(昭和8年法律第21号)の施行過程において、組合形成の母体となった農業集落としての「むら」が負債整理の法過程において果たした役割と「組合」を用いた問題解決の方法、さらに同時期に実施された金銭債務臨時調停法(昭和7年法律第26号)との関係を調査・分析した。本年度は、国立国会図書館、法務図書館、国立公文書館および県立市立公文書館等における資料収集を継続した。収集した資料は、おもに各道府県における負債整理組合法の施行細則、実施手引書等、農村(都市)生活改善運動の啓蒙文書、京都地方裁判所や神戸地方裁判所における各種調停法施行時の統計、同法の実態調査等に関するものである。農村負債整理組合法は無限責任の負債整理組合を隣保共助の精神に則り、生活共同体の単位で設立し、債権者も債務者もまたいずれでもない人もすべてが組合員となって、負債の整理を目指すところに特徴がある。組合は、組合員の負債整理計画を検討し、償還方法その他条件の緩和に関する協定を斡旋し、組合員(債務者)に対する負債整理資金の貸付を行なう。この新たな貸付に対して組合員は無限責任を負うことになる。政府は、昭和恐慌期の負債については、「善良なる債務者の更生」のために、農村では生活共同体単位で無限責任を負わせて(条文上は有限責任組合の設置も認めているが)、負債整理を断行するとともに、都市部の小額(訴額千円以下)の紛争については、裁判所が関与した調停手続によって債務者保護に資する解決を図った。農山漁村経済更生運動から続く農村資金計画は、土地、資本、労力の分配の適正、生産販売購買の統制を、各種組合を通じて行なっていった。農業金融の合理化によって負債の固定化を防止しようとした。このような組合方式による負債整理と近代法とのかかわりについて、本研究では収集資料に基づいて分析した。その結果は論文として公表する。
著者
吉田 司雄 林 真理 一柳 廣孝
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究プロジェクトは、科学言説と文学言説を中心とする他の言説群との相互関連性を問題とし、文学研究の内側に止まるのではなく、科学史・科学思想の領域の研究者と共同して情報データベースを作成し、脱領域的なレベルでの積極的な議論を行える場所をつくることを通して、文化研究の新たな地平をひらこうとするものであった。研究期間中には特に近代日本の「動物学雑誌」等の学術雑誌、啓蒙的な大衆科学雑誌、少年向け雑誌、1970年代の各種メディアにおけるオカルト(疑似科学)に関する言説等を調査し、科学言説の非専門家層への伝播とその過程での変容や屈折を分析した。また、年1回ペースで公開研究会を開催し、脱領域的な研究ネットワークを構築することを目指した。第1回(2005年2月11日)は奈良崎英穂氏、松永俊男氏、第2回(2006年2月19日)は溝口元氏、曾根博義氏、第3回(2006年12月16日)は安齊順子氏、竹内瑞穂氏、小倉めぐみ氏、井山弘幸氏、第4回(2007年12月9日)は下坂英氏、伊藤龍平氏に報告をお願いし、コメンテーターを始め多くの参加者を交えて活発な議論を戦わせた。近代日本の文学言説がいかに様々な科学言説と交差することで生成展開していったか、その全貌を明らかにすることは研究期間内にはとても叶わなかったが、従来の文学史・科学史・文化史の枠組に囚われない新たな史的叙述の可能性を確信し、これまで学問的に注目されることの乏しかった分野の資料を博捜することで多くの知見を得ることができた。
著者
菅原 敬 中村 文子 神林 真理 星 秀章 三上 美代子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.23-31, 1994-09-30
被引用文献数
2

エゾカワラナデシコ(ナデシコ科)には両性花をつける株に混じって雌花のみをつける株が見られることが知られている。しかし, このような雌雄性の分化(雌性両全性異株性)にともなって, この植物の両性花と雌花との間で花の形態や開花習性, 送粉や交配にかかわる特性にどのような差異が生じているのか, また野外での種子や果実の形成, 花粉媒介者はどのようなものか, などについてはほとんど知られていない。そこで, 性型の異なる二つの花の基本的特性を明らかし, 野外での送粉や繁殖の様子を探ることを目的に, 青森県内の2つの集団を用いて調査を進めてきた。両性花と雌花との間には, 花の付属器官(花弁やがくなど)における大きさの違いが認められるが, 開花習性の上でもいくつかの興味深い違いが認められた。その一つは, 花柱発達時期(雌性期)のずれである。雌花では, 開花時にすでに花柱を高く伸ばして柱頭組織を発達させ, 受粉可能な状態にあるが, 両性花では雌性期が開花から2,3日後であった。もう一つは, 開花期間における雌性期の長さで, 雌花では両性花よりもかなり長い雌性期をもっていることが明らかになった。これらは, 雌花の受粉の機会を高めているように思われる。しかし, 野外での果実あたりの種子の生産数は必ずしも両性花より高くなく, 同様な性型を示す他の植物とはやや異なる状況であった。
著者
林 真紀夫
出版者
日本農業気象学会
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.289-292, 1984-12-10 (Released:2010-02-25)
参考文献数
9
著者
河島 伸子 佐々木 亨 小林 真理 山梨 俊夫
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究により、まず、ミュージアムが今後ますます地域社会づくり、地域経済の再生に向けて大きな役割を果たすことができることを確認した。このような役割への期待は、従来、収蔵品の収集、保存、修復、管理といった業務を中心においてきたミュージアム組織にとって新たな挑戦をもたらすともいえる。 地域経済の疲弊、人口減社会といった深刻な問題を抱える日本において、ミュージアムが美の殿堂たる地位に安住していてはならないことは明らかである。美の殿堂ではなく、コミュニティの寄り合い場、市民の文化活動のハブ、拠点となることに今後のミュージアム経営はかかっていると思われる。
著者
小林 真理
出版者
早稲田大学人間科学学術院
雑誌
人間科学研究 = Waseda journal of human sciences (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.107-119, 1995

Since the 1980's, cultural policy and administration have been important issues for government and local authorities in Japan. For local authorities, the unique concept of cultural administration has developed, not only in culture promoting activities, but also in comprehensive activities that depend on self-government. Compared with other developed countries, the government's cultural policy lacks direction and clarity. It is often said that France is a "great cultural state," which has a positive attitude towards "culture". The purpose of this study is to make the following points clear: (1) How cultural policy in France has been implemented; (2) How political power has affected "culture"; (3) What issues are important in France's cultural policy; and (4) What kind of legal system has supported France's cultural policy. These issues will be approached as follows: First, the history of France's cultural policy will be discussed. Second, the strong role of the minister of culture in planning cultural policy will be addressed; Third, the implementation of "decentralisation", the central issue in France's cultural policy will be discussed; and fourth, the role of 'decret' and 'loi' in cultural promotion will be addressed.