著者
吉田 司雄 林 真理
出版者
工学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

近代日本における西洋近代科学受容についてはすでに多くの研究があるが、そのほとんどは専門家の言説に焦点化したものであった。しかし、近代科学が大衆化する過程に関わったのは専門家だけではなかったし、そうした大衆レベルでの科学受容が近代日本社会の重要な部分を構成している。本研究では特に、科学言説と日本探偵小説との交差を問題とし、さらに戦前日本の植民地であった台湾や韓国においてどのように浸透していったかを検討した。
著者
中野 寛 小林 真 寺内 方克
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.78-84, 1998-06-01
被引用文献数
5

インゲンマメは一般に耐暑性が低く, 高温下では落花・落莢現象が激しくなり結莢率が著しく低下する.そこで, 耐暑性品種ハイブシと石垣2号, および非耐暑性品種のケンタッキーワンダーの若莢用インゲンマメ3品種を用い, 高温に感受性の高い時期を解明することにした.植物体を日平均気温約33℃で1日間もしくは5日間処理することにより, 花芽には高温ストレスに弱い時期が4期あることが明らかになった.一方, すでに開花している花や未熟莢は, 同じ温度で連続処理しても全く落花・落莢しなかった.4期のうちの1期は開花前々日から開花前日の時期であった.他の2期は開花9日前頃と12日前頃であった.耐暑性品種のハイブシと石垣2号では, その2期の間, すなわち11日頃に高温ストレスにやや強い時期が認められた.しかし, 耐暑性の低いケンタッキーワンダーでは, その時期も高温に感受性が高かった.残る1期は開花前15日から25日前の時期であった.この時期の花芽は高夜温に弱く, 5日間の処理で日平均気温が約33℃でも夜温が低い場合(昼温/夜温 : 36.8℃/28.1℃)には高温障害を受けなかったが, 夜温が高い場合(昼温/夜温 : 34.2℃/32.3℃)には花が小型で奇形の不完全花となり結莢率も低下した.開花前日の花芽に一日間だけ日平均気温約33℃(昼温/夜温 : 36.9℃/28.2℃もしくは34.2℃/33.0℃)の処理をすると, 翌日開いた花の結莢率は著しく低下した.そこで, 高温感受期をより詳しく決定するために, 午後4時から午前0時迄もしくは午前0時から午前8時迄の8時間だけ, 植物体に高温処理(32.5℃)を行った.これは葯壁の裂開, 花柱の伸長, 受粉, 花粉の発芽, 花粉管の伸長, 受精が行われる期間である.しかし, いずれの8時間高温処理でも結莢率は全く低下しなかった.このことから32.5℃の高温では生殖過程に直接的に作用し障害を与えるものではなく, 高温による障害が徐々に蓄積され, 8時間以上の長い時間の高温処理があってはじめて上述した生殖生長のいずれかの過程が不全となると考えられた.
著者
東 哲史 多久島 秀 林 真照 西沢 博志 仲嶋 一 猪又 憲治 中西 正一 渡辺 幸信
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2013年春の年会
巻号頁・発行日
pp.84, 2013 (Released:2013-07-31)

食品中の放射能を高速に測定する装置を開発中である。従来は、検出効率の低さから測定精度の確保に多大な測定時間を要していた。測定の高速化には、アンフォールディング手法を適用するが、測定値の信頼性を確保するには、測定ばらつきによる誤差を抑制する必要がある。そこで、品質工学を用いて安定な出力が得られる装置を設計した。
著者
中野 寛 小林 真 寺内 方克
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.123-129, 2000-06-01
被引用文献数
4

常温で栽培しているインゲンマメ(日平均気温、約23.6℃)の個体を高温条件下に移した時, 着莢率は7日目頃から低下し始めた.約29.6℃では15日目頃には0〜15%まで低下し, その後も着莢率は回復しなかった.しかし, 約28℃の条件下では, 15日頃から着莢率は高まり始め, 30日頃には常温で栽培されている個体と同様の着莢率(80%以上)まで回復した.この着莢率の回復は, 栽培する時期が変わることによる日長や日射量の季節変化のような要因で生じたものでなく, 約28℃の高温にインゲンマメが馴化し, 高温下で莢を着生する能力を獲得したものであることが確認された.この約28℃下の高温馴化は, 耐暑性品種のハイブシと石垣2号では顕著であったが, 感受性のケンタッキーワンダーでは生じなかった.また, 耐暑性品種も約29.6℃では高温馴化は認められなかった.昼温と夜温の組み合わせに関しては, 昼温/夜温が32.3℃/23.9℃でも, 30.4℃/25.7℃でも着莢率の低下と高温馴化による回復の経時的変化は同様であった.高温馴化した個体を約一ヶ月の間, 常温である約23.6℃に戻した後, 再び約28℃の高温条件に移した場合には, 高温馴化機能はすでに失われていた.これらの個体では, 初めて高温処理を受けた個体と同様に, 着莢率は徐々に低下しまた回復した.
著者
小林 真 宮原 千佳
出版者
富山大学人間発達科学部
雑誌
富山大学人間発達科学部紀要 (ISSN:1881316X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.89-98, 2012

本研究では,大学生を対象に日々の生活に関する充実感と,自己開示動機を調査した。因子分析によって,充実感と自己開示動機の尺度からそれぞれ 3因子が抽出された。充実感の 3因子をもとに学生を 7つのクラスターに分類し,充実感と自己開示動機の特徴を検討した。その結果,充実感が低い(特に孤独感が高い)学生は,他者からの受容的なサポートを求めるために自己開示をしたいと考えていることが示された。また,自己開示動機が低いクラスターが 2つ存在することも示された。学生支援という観点から,この 2つのクラスターについては,生育歴や自己像などの調査が必要であることを提言している。
著者
藤林 真美 梅田 陽子 松本 珠希 森谷 敏夫
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.336-344, 2011-04-01
参考文献数
32

多様化した現代社会の中で,ストレスを抱える人口が激増している.ストレスも長期にわたると精神障害の発症を招く可能性が指摘されており,心の健康の維持・増進は重要課題である.本研究では,一般社会人20名を対象として予防的観点から運動トレーニングを4週間介入,介入前後に安静時心電図を測定し心拍変動パワースペクトル法を用いて自律神経活動を分離・定量化し,さらに質問紙法(Center for Epidemiologic Studies Depression:CES-D)を用いて抑うつ傾向を評価した.運動トレーニングの介入により,Δ心拍数とΔCES-D,および副交感神経活動を反映するΔHFとΔCES-Dに有意な強い相関を認めた.これまで運動トレーニングが身体および心理的な改善作用を有することは数多く報告されているが,本研究より,身体と心の改善は独立した変動ではなく心身相互作用である可能性が示唆された.
著者
林 真紀夫 谷 晃
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

細霧システム利用に関する試験を行い、以下の成果が得られた。1.冷房時の温室内環境の把握実用規模の大型温室において細霧冷房時の環境計測を行い、細霧の断続噴霧運転における、温室内の温湿度環境の経時変化の実態を明らかにした。2.換気率解析細霧冷房では、温室の換気率の大小が温湿度環境に大きく影響することから、日本型温室と大型フェンロー温室で換気率測定を行い、実態を把握した。3.運転制御法の検討細霧冷房では一般に断続的細霧噴霧を行う運転制御が行われている。1時間当たりの噴霧量が同じ場合に、どのような細霧噴霧周期が適当かを検討した。その結果、1回当たりの噴霧時間を短くすることで、温湿度変動幅が小さくなり、未蒸発細霧の落下が少なくなることが判明した。4.細霧冷房設計用ソフトウェア開発温室諸元、屋外乾湿球温度、温室内吸収日射量のパラメータを与えることで、温室の換気率および温室内蒸発散量との関係で温室内気温および相対湿度を推定することのできるVETH線図(Ventilation-Evaporation-Temperature-Humidity関係線図)をコンピュータ画面上で描くソフトウェアを開発し、細霧冷房設計に役立てられるようにした。5.薬剤散布における細霧付着の改善細霧システムを利用した薬剤散布において、葉表面および裏面への薬剤付着量を調べた。この結果、葉裏面への付着量は極めて少ないことが明らかとなった。しかし、攪拌扇による空気攪拌によって、葉裏面への付着量が若干増加することが確認できた。
著者
中川 種昭 磯部 秀一 池上 暁子 林 真理 渋川 義宏 住井 浩剛 高橋 潤一 轟 啓造 山田 真美 大串 勉 佐和 正彦 角田 正健 山田 了
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.674-680, 1993-12-28
被引用文献数
13 4

2種類の電動歯ブラシと手用歯ブラシを用い,任意刷掃時間と3分におけるプラーク除去効果および手用歯ブラシの刷掃技術レベルの違いによる電動歯ブラシの刷掃効果について18名の被検者を用い検討した。その結果,電動歯ブラシにおける任意刷掃時間は,毛束反復回転式で平均7分3秒,ユニット運動式で7分22秒で,従来規定することの多い3分より長い時間であった。そのプラーク除去効果は3分と比較して10〜15%高く,その差は多くの被検者で舌側,隣接面といったプラークコントロールに重要な部位に認められる差であり,電動歯ブラシにおいてもある程度長い刷掃時間が必要であることが示された。また,手用歯ブラシの刷掃技術レベルの高い群と低い群での電動歯ブラシのプラーク除去効果について調べたところ,その刷掃効果は同程度であり,手用歯ブラシの刷掃技術が低い患者に対して電動歯ブラシの使用がとくに有効であることが示唆された。
著者
小林 真生
出版者
[出版者不明]
巻号頁・発行日
2010

制度:新 ; 報告番号:甲2984号 ; 学位の種類:博士(学術) ; 授与年月日:2010/1/25 ; 早大学位記番号:新5235
著者
林 真樹 北出 崇 渡辺 昌俊 宮 和行 加藤 修 本間 光一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.97, no.134, pp.25-30, 1997-06-24
被引用文献数
11

筆者らは次世代移動通信システム(FPLMTS)に向けてW-CDMA/TDD方式に基づくシステムを提案し, 計算機シミュレーションおよび実験装置による特性評価を行ってきた. W-CDMA/TDDシステムでは, 上下回線の伝搬路の可逆性を活かして, 基地局における送受信スペースダイバーシチやオープンループ制御での送信電力制御を容易に実現することができる. 今回, 提案システムの新たな実験評価装置を開発しフェージングシミュレータを用いた室内実験を行い, 送信電力制御誤差, 平均BERはシミュレーション結果とよく一致することを確認した. 最大ドップラー周波数200[Hz]程度まで, 送受信スペースダイバーシチ, およびオープンループ送信電力制御が有効に機能し, 等2波レイリーフェージング環境下で平均Eb/No=3〜4[dB]で平均BER=10^<-3>を実現することを確認し, 提案システムの実用性を実証した.
著者
伴野 潔 林 真二 田辺 賢二
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.15-25, 1985
被引用文献数
6 21

ニホンナシの花芽形成の機構を探る目的で, 花芽の着きにくい品種'新水'及び着きやすい品種'豊水'を用いて, 新梢上における花芽形成と新梢の各部位における栄養成分並びに内生生長調節物質との関係について比較検討した.<br>1. '豊水'では6月30日にほぼ新梢生長が停止したのに対し, '新水'では'豊水'よりも20日遅れ7月20日に停止した.<br>2. '豊水'の腋芽では, 新梢生長停止後急速に節数が増加し, 花芽が分化•発達した. 一方, '新水'の腋芽では'豊水'よりも20日遅れて7月30日に花芽分化の徴候がみられたが, その後の分化•発達はほとんど認められなかった. また, 最終的な花芽形成率は'新水'で15.5%, '豊水'で79.0%であった.<br>3. 両品種の腋芽において, 全窒素含量にはほとんど差異は認められなかったが, 全糖含量, でんぷん含量及び C/N 率は'新水'の方が'豊水'よりも高く推移した.<br>4. '新水'の茎頂では'豊水'に比べ, 特に生長の盛んな時期にIAA含量及びジベレリン含量が高かった.<br>5. '豊水'の腋芽では, 生育期間を通して'新水'よりもジベレリン含量及びABA含量が低く, 逆にサイトカイニン含量が高かった.<br>以上の結果から, ニホンナシの花芽形成は芽において12枚のりん片が形成された後, 節数が急速に増加するかどうかによって決定されること, さらにこの過程には内生生長調節物質が密接に関連しており, そのうちでも特にジベレリンとサイトカイニンが重要な役割を果たすものと推察される.
著者
MARTIN Guest 神島 芳宣 徳永 浩雄 前田 吉昭 宮岡 礼子 河野 俊丈 大仁田 義裕 酒井 高司 SERGEI V Ketov 赤穂 まなぶ 乙藤 隆史 小林 真平 黒須 早苗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

報告者は興味深い非自明な現象を示す,いくつかの重要な例についての進展を得ることが出来た.論文 "Nonlinear PDE aspects of the tt* equations of Cecotti and Vafa" (M. Guest and C.-S. Lin, J. reine angew. Math., 印刷中)では,tt*-戸田方程式の,滑らかな解の族の存在を示した.これは技術的観点に於けるブレイクスルーである,すなわち,既存のループ群論的アプローチが適用できない非コンパクトの場合にも,偏微分方程式論が有用であることを示したことは大きな進展である."Isomonodromy aspects of the tt* equations of Cecotti and Vafa I. Stokes data" (M. Guest, A. Its, and C.-S. Lin, arXiv:1209.2045) に於いてはtt*-戸田方程式の解の大域的な滑らかさを,付随する線形方程式のモノドロミーデータ(ストークスデータ)に関連付けることにより,また別の技術的側面に関するブレイクスルーがあった.より詳しくには,tt*-戸田方程式の全ての滑らかな大域解に対して,そのストークスデータを明示的に計算することが出来た.これらの技術はまた,微分幾何学に於けるその他の問題にも適用可能であると推測される。
著者
佐伯 修 佐久間 一浩 大本 亨 岩瀬 則夫 小林 真人 山本 稔 安藤 良文 高山 晴子 高瀬 将道 山本 卓宏 高田 敏恵 奥間 智弘
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

多様体間の可微分写像に現れる特異点を大域的観点から研究し,その特異点と多様体の微分位相幾何学的性質について種々の新しい知見を得た.たとえば,多くの位相的4次元多様体の上には無数の可微分構造があることが知られているが,そのうちで特異点が簡単な写像を許容する可微分構造は一意的であることが示された.またそうした大域的研究が特異点の局所的研究に役立つ例も発見した.こうして,写像の特異点や特異ファイバーと,多様体や写像の同境類の間の深い関係を明らかにし,多くの具体的成果を得た.
著者
小林 真也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.69-78, 1996-02-25
参考文献数
12
被引用文献数
9

マルチプロセッサシステムでは, 処理速度を最も速くするためにどのように各プロセッサにタスクを割り当てていくか, つまりタスクスケジューリングが重要な問題である. 実際のマルチプロセッサシステムのタスクスケジューリングではプロセッサ間の通信にも時間がかかり, 個々のタスクの処理時間のみならず, 通信時間も考慮しなければならない. 本論文ではこの問題に対する最適解への近似精度の高い一方法を提案する. 提案方式は, リストスケジューリングの一種であり, 各タスクの処理時間のみによって決定されるプレプライオリティと, タスクとプロセッサごとに求められる通信削減時間によりタスクプライオリティリストを決定する. 各タスクのプレプライオリティの値はそのタスクに依存する複数のタスク依存系列のうちの最長パスの長さである. また, 通信削減時間とは, 他のプロセッサで実行した場合に必要であるがプライオリティを求めようとするプロセッサで実行する場合には必要のない通信の時間である. 常微分方程式の数値解法の一つであるRunge-Kutta 法と, FFTの二つのプログラムを対象に, 完全網システムにおいて従来方式との比較を行い提案方式の優位性を示す. また, 不完全網システムに対しても提案方式が良好な割当てを行えることを示す. 更に, 乱数を用いて生成したタスク集合に対しても, 提案方式が優れていることを示す. また, 割当てに要する時間を実測し, 提案方式が問題の規模に対して多項式時間で解けることを示す.