著者
小林 豊
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.445, 2004

植物は、植食性節足動物に食害を受けると、しばしばSOSシグナルと呼ばれる揮発性物質を放出する。このSOSシグナルは、植食者の天敵を誘引し、天敵は植食者を退治する。つまり、SOSシグナルを介して、植物と天敵の間に互恵的関係が成り立っている。近年の研究から、未加害の植物がこのSOSシグナルにさらされると、自身もまたシグナル物質を放出するようになることが明らかになった。シグナル物質の生産に何らかのコストがかかるとすれば、このような形質の適応的意義はそれほど明らかではない。著者は、このようないわゆる「立ち聞き」の適応的意義について考察し、三つの仮説を立て、数理モデル化した。そのうち、第一の仮説「被食前駆除仮説」については、既に発表済みである。今回は、第二、第三の仮説について考察する。<br> 第二の仮説「被食前防御仮説」によれば、「立ち聞き」による二次的なシグナルは、前もって天敵を呼び寄せておくことにより、将来の食害の危険を軽減するための戦略である。著者は、ゲーム理論的なモデルを構築して、このような機能をもったシグナルが進化的に安定になる条件を調べた。<br> 一方、第三の仮説「血縁選択仮説」によれば、「立ち聞き」による二次シグナルは、近隣の血縁個体を助けることにより自身の包括適応度を上げるための戦略である。もし隣り合った個体が同時にシグナルを出すことによりシグナルの天敵誘引能を向上することができ、かつ隣り合った個体同士が互いに遺伝的に近縁ならば、このような戦略が進化しうるだろう。各格子がパッチになっているような格子状モデルを用いてこのような「立ち聞き」戦略が有利になる条件を調べた。<br> 本発表では、これらの数理モデルの結果を報告し、仮説間の関係についても議論する。
著者
宮崎 勝己 小林 豊 鳥羽 光晴 土屋 仁
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.45-54, 2010-02-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
44

The biology of Nymphonella tapetis Ohshima, 1927, a pycnogonid endoparasitic on some bivalves, is reviewed. After the first discovery of this species from Hakata Bay, Fukuoka in 1926, there were scattered records of N. tapetis from several places in Japan before 2007, but they were on a small scale. In April 2007, N. tapetis appeared suddenly in the commercial bivalve, Ruditapes philippinarum and several other bivalves on the Banzu Tidal Flat in Tokyo Bay. The spread of the parasite was explosive, and caused a mass mortality of the bivalves in the area. Adults of the pycnogonid live freely on or just under the surface of sandy bottoms, and show nocturnal activity. The hatching larva is a typical protonymphon larva. The larva enters the host bivalve, attaches to various soft parts, and feeds on the body fluid of the host. The number of parasites in one host ranges from one to over 60. At least eight different developmental stages can be distinguished in the parasitic larvae and juveniles. Adults leave the host probably just after the maturation molt. The adult male receives one egg-mass onto his ovigers after each mating, and one male can bear up to seven egg-masses. Several experiments were undertaken to attempt to eradicate or reduce the number of N. tapetis, but no effective method has yet been found. Three species of the genus Nymphonella have been described from Japan, the Mediterranean, and southern Africa. They are very similar in morphology, which leads to potential taxonomic confusion.
著者
林 豊 前田 憲二
出版者
Japanese Society for Active Fault Studies
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.30, pp.27-36, 2009

Six active fault zones have been selected on the basis of the reports on the long-term evaluation of active faults published until 2008 by the Earthquake Research Committee, Headquarters of Earthquake Research Promotion (ERC/HERP); the paleoseismic activity data of these zones reveal three or more earthquake recurrence intervals. Using the maximum likelihood method, seven probability density functions of a renewal process model are compared in order to determine the function that best fit the paleoseismic activity data of these active fault zones.<br>The exponential distribution model obtained by using the maximum likelihood method does not clearly reveal the earthquakes recurrence intervals. In contrast, the results obtained by using six other statistical models, i.e., Brownian passage time (BPT) distribution, lognormal distribution, gamma distribution, Weibull distribution, double-exponential distribution, and normal distribution, reveal the earthquake recurrence intervals. Thus, the new paleoseismic activity data of major active zones in Japan confirm the provisional conclusion of ERC/HERP, i.e., the exponential distribution does not clearly show the earthquake recurrence intervals. On the other hand, differences among the goodness of fit of the six models excluding the exponential distribution are small.<br>In 2001, ERC/HERP stated that when renewal process model with the BPT distribution is applied to the data of the occurrence intervals of earthquakes in the inland active fault zones in Japan, the aperiodicity parameter of the distribution should be set to 0.24 as a value common to all active faults. The aperiodicity parameter obtained by applying the same method to the data of the six active fault zones is equal to 0.44. Although the aperiodicity parameters, obtained by using the maximum likelihood method, reported in the ERC/HERP's report range between 0.17 and 0.29, those obtained in this study range between 0.09 and 0.66. Thus it is inappropriate to assume the same aperiodicity parameter for all the inland active fault zones in Japan.
著者
青木 健一 木村 亮介 川崎 廣吉 若野 友一郎 小林 豊
出版者
明治大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

新学術領域研究「交替劇」は、ネアンデルタールの絶滅およびヒトによる置換(交替劇)を両者の文化水準の違いによって説明する(学習仮説)ことを目的とした。社会が到達する文化水準は、文化進化のあり方に依存する。このため、領域傘下の我が計画研究班では、文化進化の決定要因およびこれを支える学習戦略の進化に関する理論研究を行った。得られた多くの成果は、査読付の国際学術雑誌や著書に発表済みであり、国際的にも文化進化および学習戦略進化の研究に大きく貢献している。また、ネアンデルタールとヒトの学習戦略に違いがあるならば、両者の認知に関わる遺伝子にも違いが認められるはずとの立場から、分子人類学的な研究も少し行った。
著者
西岡 俊久 小林 豊 Epstein S. J.
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.59, no.561, pp.1319-1326, 1993-05-25
被引用文献数
2

Finite element simulation was carried out for inhomogeneous elastic-plastic fracture specimens, which consist of A533B steel and HT80 steel. These two materials have considerably different yield stresses, although their elastic properties are exactly the same. The nonlinear fracture parameter, T^* integral, was extended for inhomogeneous multilayer materials. The T^* integral for inhomogeneous materials demonstrates excellent path independence, even in the stages of large plastic deformations around the crack tip and the material interface. Numerically generated moire fringe patterns are in good agreement with experimentally recorded patterns. The shapes of plastic zones appearing in the specimens reveal large inhomogeneity effects.
著者
花屋 達郎 宮川 道夫 林 豊彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式
巻号頁・発行日
vol.96, no.401, pp.55-60, 1996-12-12

本研究では,ヒトの様々な顔特徴こ対して発火するサル大脳ニューロン群,いわゆる「顔ニューロン」の研究成界を,ヒト顔画像からの特徴抽出処理こ応用した個人識別法を提案し,ニューラルネットワークを用いた識別法との比転,検討を行った.具体的こは,入力された顔画像から顔ニューロンが個人特徴として識別に利用する特徴をコンビュータで,自動抽出,(1)パタ-ン認識こよる個人同定方法とニューラルネットワークを用いた識別方法(2)学習パラメータに顔の距離要素を学習させたもの(3)距離要素中で髪の要素を除レ,たものさらに(4)顔ニューロンの特徴を用いたニュートラルネットワークの識別法による34人から顔画像の同定実験を行いその結果を示す.
著者
榎田 修一 林 豊洋 久保 登 北島 創 片山 硬 江島 俊朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.58, pp.35-40, 2007-05-17
被引用文献数
3

本論文ではパーティクルフィルタを用いたドライブレコーダ記録動画像中の先行車追跡手法を提案する.動画像中から先行車両の全体が捉えられた任意の1フレームを抜き出し,オペレータにより先行車両の外接矩形(追跡参照領域)を指定した後,他フレームについても先行車両の外接矩形(追跡対象領域)を自動的に抽出する.特に,パーティクルフィルタにおける幾何モデルの設計に注目し,テクスチャに基づく幾何モデル,ならびにHaar-Like特徴に基づく幾何モデルを比較検討する.結果,2つの幾何モデルから算出される尤度を組み合わせることで隠れが発生した際の追跡精度向上が確認された.
著者
今井 健太郎 都司 嘉宣 林 豊
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_211-I_215, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
6

Waveform analysis using data by the 2010 Chilean tsunami obtained in Tokyo Bay were carried out. Numerical experiments using single sine wave with various periods in and around the bay were also carried out. Then we conclude that a tsunami in Tokyo Bay is characterized by a tsunami originated from the Seiche excited in Sagami Bay; the Seiche in Sagami Bay is efficiently excited from offshore tsunami whose period is 30 min or more.
著者
伊藤 尚 前田 義信 谷 賢太朗 林 豊彦 宮川 道夫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.117-130, 2012 (Released:2013-03-18)
参考文献数
12
被引用文献数
2

ジニ係数は標本間格差を評価する代表的な指標のひとつである.しかし,ジニ係数は全標本が非負であることを前提としているため,負の標本を含む標本間格差を評価することは出来ない.Chenらはこの場合でも標本間格差を評価できるようにするためジニ係数の拡張を試みた.しかし彼らの提案した拡張ジニ係数は全標本の合計が0以下である場合において標本間格差を評価することが不可能であった.そこで本論文では,負の標本を含む場合および全標本の合計が0以下の場合においても標本間格差を評価するために,ジニ係数の幾何的表現の拡張を提案する.提案された拡張ジニ係数では負の標本を含む場合および全標本の合計が0以下の場合においても標本間格差を評価することが可能であり,全標本が非負である場合において拡張ジニ係数は従来のジニ係数と一致する.さらに,拡張ジニ係数の代数的表現を検討し,得られた代数的表現から本論文で提案する拡張ジニ係数が母集団原理と拡張移転原理を満たすことを示す.
著者
田尾 光規 町田 直也 林 豊 長棹 謙
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.286-292, 2021 (Released:2021-02-19)
参考文献数
5
被引用文献数
1

既報の「微小操舵角領域のライントレース性を向上する操舵力とヨー特性に関する研究」に対し、操舵極初期にわずかなピッチ挙動を付加して車両の応答をドライバに感知させることによって、走行軌跡のばらつきを低減できること、そしてそれらの定量的な関係を抽出したので紹介する。
著者
廣澤 春任 名取 通弘 紀伊 恒男 高野 忠 橋本 樹明 大西 晃 井上 浩三郎 村田 泰宏 三好 一雄 井上 登志夫 野田 隆彦 栗林 豊 田嶋 隆範 近藤 久美子 佐々木 崇志 箭内 英雄 萩野 慎二 小倉 直人 岡本 章 杉山 祥太郎 HIROSAWA Haruto NATORI Michihiro KII Tsuneo TAKANO Tadashi HASHIMOTO Tatsuaki OHNISHI Akira INOUE Kouzaburo MURATA Yasuhiro MIYOSHI Kazuo INOUE Toshio NODA Takahiko KURIBAYASHI Yutaka TAJIMA Takanori KONDOH Kumiko SASAKI Takashi YANAI Hideo HAGINO Shinji OGURA Naoto OKAMOTO Akira SUGIYAMA Shohtaro 中川 栄治 NAKAGAWA Eiji
出版者
宇宙科学研究所
雑誌
宇宙科学研究所報告 (ISSN:02852853)
巻号頁・発行日
vol.101, pp.1-27, 1998-06

科学衛星「はるか」は, スポース VLBI に必要な工学諸技術の実験ならびにスペース VLBI による電波天文観測を行うことを目的として, 1997年2月12日, 宇宙科学研究所の新型ロケット M-V の初号機により打ち上げられた。「はるか」では数々の工学的課題への取り組みがなされたが, それらの中で, ケーブルとメッシュからなる, 有効開口径8cmのパラボラアンテナの軌道上での展開が, 最大の工学的課題であった。打ち上げ約2週間後の2月24日から28日にかけてアンテナ展開実験を行い, 展開に成功した。本稿は「はるか」のアンテナ展開実験を, 衛星システム全体としてのオペレーションの観点から詳述するものである。
著者
小林 豊 吉岡 雅代 稲葉 達也 鈴木 豊秀 榊間 昌哲 井出 和希 川崎 洋平 山田 浩 北村 修 米村 克彦
出版者
一般社団法人 日本腎臓病薬物療法学会
雑誌
日本腎臓病薬物療法学会誌 (ISSN:21870411)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.31-38, 2015 (Released:2018-04-02)
参考文献数
19

高リン血症は血管石灰化や生命予後に関連した病態であり、保存期慢性腎臓病(CKD)から血清リン値の管理が重要である。一方、保存期CKDに使用可能なリン吸着薬である沈降炭酸カルシウム(炭酸Ca)は胃酸分泌抑制薬の併用による効果減弱と、カルシウム含有による血管石灰化が懸念される。そこで当院薬剤部は内科医師に対し、これらの情報提供を行い、処方状況の変化に関する調査と、薬剤師による情報提供が医師の処方意識にどのような影響を与えたかについてのアンケート調査を行なった。対象は2014年1月の時点でリン吸着薬の処方を受けている保存期CKD患者のうち、1)炭酸Caと胃酸分泌抑制薬を併用している、2)血清リン値>4.5 mg/dL、を満たす患者の主治医とした。リン吸着薬の処方を受けている保存期CKD患者16名全てが炭酸Caを服用しており、12名が胃酸分泌抑制薬を併用していた。併用患者のうち血清リン値>4.5 mg/dLである患者は7名であった。情報提供により7名中5名においてリン吸着薬の変更や胃酸分泌抑制薬の中止がなされた。処方変更された5名中2名は血清リン値が低下し、2名は上昇し、1名は血液検査実施前に透析導入となった。情報提供対象患者以外においても処方の見直しがなされ、両薬剤の併用率は75%から21%と有意に減少した。アンケート調査の結果、薬物相互作用について6名中4名の医師が「知らなかった」と回答、意識変化では6名全員が「変化あった」と回答した。「今後は血管石灰化の危険性を回避するため可能な限りカルシウム非含有リン吸着薬を使用する」などの意見も得られた。これらのことから、薬剤師による積極的な情報提供は医師の処方意識に影響を与え、処方を見直すきっかけになることが示唆された。今後は他の薬物相互作用についても介入を検討し、有効性と安全性の高い薬物療法の提供により医療の質の向上に寄与していきたい。
著者
岩田 大介 小林 豊 石本 万寿広
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.79-83, 2020
被引用文献数
1

フェロモントラップは,従来から利用されている予察灯と比較し,廉価で,設置も容易であることから,多くの害虫でそのモニタリングに用いられている。捕獲虫を自動で計数するフェロモントラップは,調査を省力化する目的で,以前から研究開発が行われており,その対象はチョウ目害虫やカメムシ目害虫,貯穀害虫にまで及び,計数の手法は,画像解析,光電センサ,電撃電極などが報告されている。市販・実用化された事例もあり,自動昆虫捕獲装置「ムシダス2000」((株)エルム)は,ショック電極に触れて落下した誘引虫を高圧電流を付加した計数用ローラで巻き込み,その際に生じる電気信号を用いて計数する装置で,計数結果を自動で送信するシステムを実装することで調査の自動化を可能とした。しかし,ムシダス2000は,本体価格が約70万円と高価であったため,広く普及するには至らず,2019年現在では,販売終了となっている。近年,情報通信技術の発達により,コンピューターの小型化,低価格化が進んでおり,センサ制御可能なシングルボードコンピューターが数千円で販売されている。吉田・植野は,シングルボードコンピューターと各種環境センサ(気温,湿度,気圧,風速,降水量)を用いた低価格環境センサシステムを構築し,野外でも安定稼働することを実証した。光電センサは,投光器から出る光が物体に遮られたり,反射すると反応するセンサで,片山はファネルトラップの漏斗部の先端に,ガラス管と光電センサを取り付け,ガラス管を通過したハスモンヨトウSpodoptera litura Fabricius(チョウ目: ヤガ科)を計数できることを報告している。筆者らは,これらの技術を利用し,市販品を組み合わせてフェロモントラップを改良することで,従来よりも廉価にフェロモントラップ調査の自動化ができると考えた。そこでハスモンヨトウを対象として,ファネルトラップに光電センサとシングルボードコンピューターを搭載し,捕獲虫の自動計数を試みたので,報告する。
著者
中村 真里 中村 康雄 林 豊彦 福田 登 駒井 正彦 橋本 淳 信原 克哉 Chao Edmund Y.
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
no.16, pp.13-25, 2002-06-25
被引用文献数
9 4

Baseball pitching involves a complicated and rapid movement that has been investigated to prevent injuries and to improve the pitching performance. It is difficult to assess the pitching motion with high accuracy and a high sampling rate, due to the limitations of preexistent camera systems. The current camera system, however, has enough capacity to measure pitching motions with high accuracy and a high sampling rate. We have been diagnosing shoulder joint injuries caused by pitching. The patients (N=939) felt pain during the pitching sequence as follows: top position (32.5%), maximum external rotation (27.2%), and ball release (14.5%). Hence the top position is one of the most important postures to investigate the mechanisms of shoulder joint injury in pitchers. There have been no studies that focused on the top position, however. The main purpose of this study was to develop a system to assess the pitching motion accurately. Another purpose was to estimate the instant of the top position and evaluate the kinematics of the shoulder and elbow joints. Pitching movement was assessed using a motion capture system (ProReflex MCU500, Qualisys Inc., Sweden) in a studio that has an official pitcher's mound and home base. This system can record the positions of reflective markers at 500 Hz using seven CCD cameras. Thirty-two markers were mounted on the joints and body landmarks of each subject. Two markers were mounted on the ball. The pitching motions of eleven subjects were assessed, after a period for warm up. Kinematics parameters were calculated using three-axis gyroscopic Euler angle. The instant of the top position was observed for all subjects before the lead foot touched the ground. The interval from the top position to ball release was 0.242±0.0438 [s] (n=11). The subjects were divided into two groups by the type of posture at the instant of the top position, as follows: internal rotation group (n=5), 11.8±6.08 degrees, and external rotation group (n=6), 38.1±19.97. Other kinematics parameters at the top position were adduction of the shoulder at 74.2±19.84 degrees, horizontal adduction of the shoulder at 37.3±14.10 degrees, and extension of the elbow at 92.1±21.63 degrees. The timing and posture of the estimated top position were almost the same as those of the conventional top position. From the top position to lead foot contact on the pitching sequence, there were three patterns of elbow leading. The three patterns did not depend upon experience. We interpreted them as individual variations.
著者
小林 豊 喜多 敏明 柴原 直利 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.73-78, 1999-07-20
参考文献数
13
被引用文献数
2 1

再発性口内炎に清熱補血湯が奏効した四症例を報告した。清熱補血湯の使用目標は「血虚と血中燥熱があり, そのために口舌に瘡を生じ, びらんし, 痛み甚だしく, 長く癒えないもの」といわれている。症例は全てが女性であったが, 妊娠や分娩を契機に, あるいは月経のたびに再発性口内炎が増悪する傾向がみられた。また, 一例はベーチェット病の急性増悪による発熱や炎症など全身症状が治まった後に発症した再発性口内炎症例であった。これら血虚が悪化しやすい状態に伴った再発性口内炎に清熱補血湯が有用である可能性が示唆された。