著者
林 哲央 日笠 裕治 坂本 宣崇
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.9-14, 2003-02-05
被引用文献数
1

北海道の施設栽培条件において軟白ネギのリン酸施肥量を検討した。初期生育を高めるためには1000mg kg^<-1>程度の土壌有効態リン酸量が望ましいが,その後の生育は土壌有効態リン酸量が500mg kg^<-1>程度で大きく,この有効態リン酸量で十分な収量が得られた.これは同じAllium属作物のタマネギ栽培における有効態リン酸量よりも低水準である。土壌有効態リン酸量とリン酸施肥量との関係を検討し,土壌有効態リン酸量が200mg kg^<-1>未満ではリン酸施肥量は250kg ha^<-1>,200〜500mg kg^<-1>では100kg ha^<-1>,500mg kg^<-1>以上では無施肥と設定した.ただし,本結論の対象は主に褐色低地土であり,黒ボク土は対象から除いた.北海道道南地域の施設軟白ネギ生産地における農家ハウスの土壌有効態リン酸量は多くの場合500mg kg^<-1>よりも高く,多施肥されている圃場も多い.従って,本施肥法は軟白ネギ栽培ハウスの土壌有効態リン酸量を500mg kg^<-1>以内に抑制し,多くの農家ハウスにおいて土壌有効態リン酸量を長期的に適正な範囲で維持することを可能にする.
著者
安岡 劭 中西 嘉巳 藤沢 謙次 林 秀樹 前田 道彦 尾崎 敏夫 北谷 文彦 松崎 圭輔
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.312-320, 1986
被引用文献数
1

気道粘液糖タンパク(粘液)は気道液の粘弾性の中心となる物質で, この作用で粘液一線毛運動に関与している。また, その表面構造は微生物の侵入に対して防御的に働くことも推定されている。気道粘液は主鎖のポリペプタイド部分と側鎖の糖部分から構成されている。フコースとシアル酸はこの気道粘液の側鎖の末端, 従って粘液の表面を占めているため, 粘液におけるシアル酸/フコース比は上述の粘液の物理学的性状や生物活性に関連すると考えられる。本報では, 慢性気道疾患における気道粘液の性状の変動や, 喀痰中のフコースやシアル酸の診断的意義などを解明するため, これら疾患患者の喀痰中のフコースとシアル酸を痰原液と精製気道粘液レベルで分析した。その結果, 粘液痰と膿性痰では, これらの糖の診断的意義が異なることや, 気道粘液の糖側鎖が疾患や薬剤により変動することが示唆された。
著者
小林 健一 飯倉 道雄 吉岡 亨 伊原 柾治郎
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.500-501, 1997-09-24

コンピュータが一般家庭に普及するにしたがって、デジダル・データを利用した教材も広く利用されるようになってきた。しかし、現在普及しているマルチメディア教材は、そのほとんどが、CD-ROM等のスタンドアローンでの使用を前提とした媒体に記録されている。そこで現在、コンピュータ・ネットワークを利用して教材を管理、提供する方法についての研究がさかんに行われている。本研究では、コンピュータ・ネットワーク上でマルチメディア教材を管理し、利用するための方法について検討する。
著者
細谷 好志 若林 真一 小出 哲士 吉田 典可
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.47, pp.89-90, 1993-09-27

ネットワーク管理における重要な問題の1つに最短経路木更新問題がある.特に各通信リンクの負荷晴報をコストと考えた場合に最短経路木更新問題を解くことは,メッセージを送る経路を決定する際に混雑した経路を避けるという意味で有用である.オンラインシステムではネットワークのトポロジが頻繁に変化するため,その都度最短経跨を更新する必要がある.動的ネットワークにおける最短経路木更新問題はこれまでにも多くの研究がなされてきた.特に,アルゴリズムの実行中でもトポロジの変化を許す場合,いつかはネットワークのトポロジ変化が安定するという仮定のもとでいくつかのアルゴリズムが提案されている.一般にメッセージ複雑度と空間計算量はトレードオフの関係にあり,さらにメッセージに持たせる情報を少なくすれば,一時的に経路木中にサイクルが生じるなどして各プロセスが正しい情報を保持するまでに時間がかかったり,ネットワークが非連結になった場合に正しい更新が保証されない.文献では,静的ネットワークのアルゴリズムを動的ネットワークに適用する手法として,トポロジの変化ごとにアルゴリズムをリセットして再起動させているが,その手法だとそれまでに集められた情報が無駄になってしまう.本稿では,少ない局所情報及びメッセージ情報によって,分散最短経路木更新問題を効率良く解くイベントドリプンアルゴリズムを提案する.
著者
小林 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.405, pp.9-16, 1993-12-18
被引用文献数
1

「情報活用能力」の育成に関して,各学校では,パソコン等を導入して,応用ソフトウェアの活用など、様々な活動を始めているが,ワードプロセッサ,表計算,お絵かきソフトなどの応用ソフトウェアを授業等で利用する場合,大きく分けて,2つの利用法が考えられる.1つは,応用ソフトウェアをその目的に添って活用する場合であり,これは更に,表現媒体および文房具としての活用に分けられる.他の1つは,その応用ソフトウェアそれ自体を授業の対象とするものである。本稿では,これらの応用ソフトウェアの活用について,人の創造活動を支援すること,あるいは,構造的思考のための教材とすることを強調しながら,その方法や留意点について述べる.
著者
北 研二 林 敏浩 矢野 米雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.60, pp.67-74, 1993-05-22
被引用文献数
1

従来のAI手法に基づいた言語学習システムでは、システムの扱える領域が狭い範囲に限られており、システムの持っている知識も人手に頼って作られてきたために統一性に欠けるなど様々な問題点を抱えていた。本稿では、従来型のシステムの持つこれらの問題点を打開することのできる、新しい言語学習のパラダイムーコーパスに基づいた言語学習(corpus-based language learning)-を提案する。「コーパスに基づいた言語学習」は様々なテーマを包含するきわめて肥沃なパラダイムであるが、本稿では特にコーパスからの知識獲得に焦点を絞る。我々は、「効率的な言語表現」と呼ばれる概念を導入し、これらの表現をコーパスから自動抽出する方法について述べる。「効率的な言語表現」は、人間の言語活動において広い範囲をカバーすることのできる表現であり、言語学習システムが初心者にまず教えなければならない重要な表現であるといえる。
著者
渡部 康弘 吉武 敏幸 駒崎 弘 荒木 久勝 森岡 清訓 姜 黎 劉 佩林 李 信行 中山 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.82, pp.43-48, 2002-05-16
被引用文献数
1

MPEG-4エンコード・デコード同時動作を行う携帯機器向けの低消費電力MPEG-4 CODECコアを開発した。本CODECコアでは、追跡型動き検出アルゴリズム、パイプラインサイクル数最適化、クロック供給自律制御などの技術を用い、QCIF 15fps CODEC動作時9mW、CIF30fpsエンコード動作時38mWという低消費電力動作を実現している。また、MPEG-4で特徴的なエラーコンシールメント処理機能を実装し、ノイズのある通信路でのエラー耐性強化にも対応した。本CODECコアを使用することにより、携帯TV電話、デジタルカメラ、PDAなど様々な携帯機器で、動画像送受信システムを構築することが可能である。
著者
平山 浩一 林 義男 小柴 正則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.305, pp.41-48, 2000-09-14

著者らはこれまで, 有限要素法を用いてマイクロ波の計算機シミュレーションに関する種々の解析法(ソルバー)を提案し, 実際に数値計算を行ってその有効性を示してきているが, ここでは, これまでに開発したソルバーに対して市販のツールをプリ・ポストプロセッサとして利用することで, シミュレータを構築することを試みる.具体的にはプラットホームはWindows98とし, プリプロセッサはGiD, ポストプロセッサはMATLAB, これらに自作のソルバーを加えた全体を統合する環境として, Word97を利用する.このシミュレータを用いて, 2次元問題としては導波管H面不連続の伝達特性解析, 遮へい型プレーナ線路の固有モード解析, 3次元問題としては空洞共振器の固有モード解析を行っている.
著者
藤林 俊彦 徳丸 正孝 村中 徳明 今西 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.534, pp.7-12, 2002-12-13

本稿では様々な服のデータベースから,ユーザのイメージに合った調和した配色の服装をコーディネートし,ユーザに対して仮想的に提示するシステムの構築を目指し,「Virtual Stylist Project」を立ち上げた.ユーザは様々な衣服データベースから得られた衣服データを基に配色支援システムでコーディネートを行うことで,ユーザのイメージに合い,かつ色彩調和している衣服の組み合わせを得ることができる.その結果の得られた衣服の組み合わせをユーザに対してデジタルカメラなどの撮影機器で得られた衣服と身体の画像を基に,仮想的に試着したかのように加工し,モニタなどの画面に着衣画像を表示する.また,ユーザの使用結果をフィードバックすることで状況や個人の主観などに合わせることができるシステムの構築を行う.本稿ではその際に用いる配色支援システムの構築を行う.配色支援システムではこれまで色彩調和論をもとに作成されたファジィルールとメンバーシップ関数(以下:MF)を作成し,これらを用いてファジィ推論を行うことで色彩調和を自動的に判定して配色を作成するシステムを構築している.本稿ではファジィルールを変更することで,衣服を着る際の状況や個人の主観,流行などに合わせた判定を行うシステムの構築を行う.
著者
佐藤 亨 林 智定 永井 良史 藤岡 健吾 野田 良輔
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.547-548, 1997-09-24

プッシュボタン(PB)信号を送出可能な電話機を入力端末とした、電話番号検索方式の研究を進めている。[1][2] 本方式は、以下の要素技術から成る。(1)PB電話機の12個の限られたキーを用いて、情報を入力するための日本語入力技術 (2)情報検索に必要な情報を聞出す対話誘導技術 (3)入力情報から膨大な電話番号DBを検索する検索技術 本稿では、これら要素技術を概説し、これら技術を統合したPB電話機による電話番号検索システムを紹介する。
著者
小林 勉 石塚 靖 中里 茂美
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.129-130, 1996-09-04

キーボードを用いて日本語入力を行なう場合,一般的に使われているキーボードのキーの総数は,日本語で用いられる文字集合の要素数に比べて圧倒的に少ないため、キー打鍵のシーケンスを日本語文字集合へ変換する工夫が必要となってくる.現在,その主流の位置にあるのが「仮名漢字変換方式」である.仮名文字列の入力方式には,キーボードから仮名を直接入力する「仮名入力方式」とキーボードからはローマ字を入力し,これを仮名文字列に変換した後に仮名漢字混じり文字列へと変換する「ローマ字入力方式」とが存在する.仮名文字列から仮名漢字混じり文字列への変換は,100%自動的に行なわれるのではなく正解候補の選択など,入力者の補助が必要となる.このため,頭の中にある思考素片を文字列として表現するとき,日本語入力方式においては,欧米の入力方式に比べて余分なプロセスが必要となってくる.この余分なプロセスにかかるユーザの負担を極力減らすことが,より良い入力システムであるための重要な要件となる.
著者
濱西 徹 西川 寛紀 小林 正人 中尾 大成 大萩 晋也 佐々木 秀行 松本 元作 三家 登喜夫 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.53-58, 1998 (Released:2009-04-28)
参考文献数
8
被引用文献数
3

患者は26歳の男性。平成6年7月再生不良性貧血のため,同種骨髄移植を受けた。経過は順調であったが,平成7年1月腹痛が出現したため,当科入院。腹痛の精査行うも原因不明で,その間に症状は徐々に増強した。入院4日目突然両側視力低下が出現した。翌日には全身に発赤を伴う丘疹が出現し,血液検査では重篤な肝機能障害を呈した。上記の一連の症状が水痘帯状疱疹ウイルスの臓器播種によるものと診断し,アシクロビルの静脈内投与を開始し,上記症状は著しく改善した。皮疹に先立ち急激な腹痛で発症した水痘帯状疱疹ウイルス感染症は稀であるが,高率に臓器播種し致死的で,早期治療が予後を大きく左右する。したがって,骨髄移植後,免疫抑制状態にある患者において,原因不明の激烈な腹痛を認めた場合,水痘帯状疱疹ウイルス感染症を念頭に置き,早期診断に努めることが重要であると考えられた。
著者
鈴木 征男 崎原 盛造 秋坂 真史 柏木 繁男 芳賀 博 兪 今 當銘 貴世美 林 聡子
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.40, no.7, pp.525-532, 2000-10-01
被引用文献数
2

長寿県である沖縄の高齢者の心理的特性を把握するために, 性格5因子モデル(FFM:Five Factor Model)に基づく形容詞評定尺度を作成し, 全国の65歳以上の高齢者609名と沖縄の高齢者を比較検討した.その結果, 沖縄県高齢者の心理的特性として, OpennessとExtraversionで対照群より低く, Agreeablenessで高い結果が得られた.Agreeablenessが高いことは, 沖縄の高齢者が地域社会と強い結びつきを表していることと一致している.また, Conscientiousnessに関しては沖縄の得点は対照群よりも低かったが, これはおうようで, のんびりしているといわれている沖縄人の性格と一致している.なお, NeuroticismおよびOpennessに関しては, 両群に有意な差はみられなかった.