著者
梅村 眞理 百田 義弘 松木 直人 小谷 順一郎
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.651-658, 2007-12-31 (Released:2014-04-10)
参考文献数
12

Intravenous sedation under the supervision of dental anesthesiologists is an increasingly common procedure in private dental clinics performed to ensure the safety and comfort of patients undergoing oral implant surgery. A questionnaire survey of patients following dental implant surgery was conducted to assess the level of recognition/understanding of intravenous sedation,presence or absence of various types of uncomfortable events during the perioperative period, and requests/expectations of patients regarding this type of sedation. A questionnaire was administered to a total of 55 patients who underwent intravenous sedation in a private dental clinic during the period between November 2004 and February 2006. Only 32.7% of patients were familiar with the term “intravenous sedation”. Since a total of 90.9% of patients had no or very little memory of events during surgery, the amnestic effects of sedative agents used were considered sufficient. Only a small number of patients reported uncomfortable perioperative events such as maintenance of a posture for a long period of time and coughing due to irrigation. Almost all patients indicated that they were comfortable during the operation, though 7.3% were bothered by the absence of memory during surgery. In order to ensure that patients can fully benefit from the amnestic effects of intravenous sedation, cooperation among the dentist, patient, and dental anesthesiologist during surgery, as well as preoperative management, is necessary.
著者
東 禎二 梅村 俊彦 下川 和輝 山田 浩司
出版者
Japan Society for Health Care Management
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.350-355, 2007

医療現場におけるIT化の進展に伴って、電子カルテを始めとして関連する部門システムおよびそのデータベースであるマスタの数も増加している。特に医薬品に関わるマスタ (以下薬品マスタ) はオーダリングシステム、医事システムはもとよりほぼすべての部門システムに関連しており、その不整合は在庫管理だけでなく、安全管理面でも問題となり得る。<BR>当院では1999年11月物流システムの導入によりそのマスタ管理ツールを用いて物流、医事、オーダリングの3システムについて一元管理を実施してきた。しかし2003年9月の電子カルテおよび関連する部門システムの導入により薬品マスタも増加し、またマスタ情報がタイムリーに各部門に伝わらないことによるマスタメンテナンスの作業遅延が実務医療に支障をきたすことも想定された。さらに当院では電子カルテに連携した薬品在庫管理を目指しており、管理精度の向上が必須課題となっていることからも運用を含めたさらなる改善が必要となった。<BR>そこで同時期に更新される物流システムのマスタ管理ツールを全面改良し、同時に従来の伝票運用から院内Eメールおよび院内イントラネットの共有ファイルを活用した運用に変更した。結果トータル作業時間と登録完了までの所要日数の実質的な短縮が可能となった。<BR>本稿では、当時は未解決であった調剤システムとの連携部分が完了したので、その報告をする。
著者
梅村 智恵子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.123-131, 1981-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

(1) 読字課題では仮名は音節文字であるために機能的にも連鎖反応が容易で, 音韻の符号化も単一処理ですむために, 音訓両音を持つ漢字よりも音韻の転換速度が速いことがわかった。(2) 再認課題では音韻にのみ依存する仮名は系列的に処理されるために, 文字間の弁別が難しく, 意味を持つ漢字にくらべて再認が悪いことが考察された。また, 同じ漢字でも意味が手がかりとして有効に働かない時は仮名と同様に再認が悪くなった。(3) 自由再生課題ではリストの長短にかかわらず, 直後再生では仮名 (化) 群の方が漢字群よりも良く, 遅延再生では逆に漢字群よりも良くなった。これは短期の記憶では音韻情報が有効に働き, 音連鎖の方略が取りやすかったのに対し, 長期の記憶では逆に意味情報が有効に働いたためと考えられる。また, 同じ漢字でも音韻に依存して符号化する場合と意味も同時に符号化する場合とでは結果が異なることが考察された。
著者
梅村 智恵子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.p123-131, 1981-06

(1) 読字課題では仮名は音節文字であるために機能的にも連鎖反応が容易で,音韻の符号化も単一処理ですむために,音訓両音を持つ漢字よりも音韻の転換速度が速いことがわかった。 (2) 再認課題では音韻にのみ依存する仮名は系列的に処理されるために,文字間の弁別が難しく,意味を持つ漢字にくらべて再認が悪いことが考察された。また,同じ漢字でも意味が手がかりとして有効に働かない時は仮名と同様に再認が悪くなった。 (3) 自由再生課題ではリストの長短にかかわらず,直後再生では仮名(化)群の方が漢字群よりも良く,遅延再生では逆に漢字群よりも良くなった。これは短期の記憶では音韻情報が有効に働き,音連鎖の方略が取りやすかったのに対し,長期の記憶では逆に意味情報が有効に働いたためと考えられる。また,同じ漢字でも音韻に依存して符号化する場合と意味も同時に符号化する場合とでは結果が異なることが考察された。
著者
坂東 宏和 山下 真幸 上西 秀和 蓼沼 隆 梅村 博子 冨士山 千晶 大橋 和也 坂田 信裕
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.52-62, 2017-06-14

本論文では,教師のPC画面を受講者へ提示しPCの操作方法を説明する場面において,受講者全員が必要なPC操作を把握できる環境の実現を目的とした,画面遷移参照ツールの提案と開発について述べる.本ツールでは,教師用PCのスクリーンショットにPC操作の内容を示す簡単な注釈を追記した画像を蓄積し,受講者が授業中の必要なタイミングでそれらを参照できる機能を提供する.これにより,教師のPC操作についてこられない受講者が,教師用PCの過去のスクリーンショットを参照しながら,各自のペースでPC操作を行えることが期待できる.また本ツールは,すべて自動的に実行されるため,教師に余計な負担をかけることなく活用できる.情報に関する授業の中で行った簡単な試用評価と,具体的にどのようなPC操作の把握が難しいのかを検討するために行った試用評価の結果,現在の表示内容では,CTRLキー・SHIFTキーなどの修飾キーの状態が分からない,表示と実際の入力が異なる場合に必要な入力操作を把握しにくいなど,必要なPC操作の把握が難しい場合があるものの,PC操作を学ぶ授業の理解に役立つ可能性が示唆された.
著者
菊地 真人 山本 英子 吉田 光男 岡部 正幸 梅村 恭司
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D = The IEICE Transactions on Electronics (Japanese Edition) (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J100-D, no.4, pp.544-555, 2017-04-01

本論文では,観測頻度から条件付き確率を推定するという問題に取り組む.条件付き確率の推定は,データマイニングや実際の応用における基本的な操作であり,その推定方法によって手法の正確さが左右されることがある.一般に,確率推定では最ゆう推定値が用いられるが,低頻度に弱いという問題がある.この問題に対処するため,ベイズの枠組みがよく用いられる.ベイズの枠組みでは,データについての事前分布を推定し,事後分布の期待値を用いる.しかし,データをもとに事前分布を推定することは容易ではない.そこで,本論文では,事前分布として何らかの分布を仮定して事後分布の信頼区間を求め,その下限値を用いる手法を提案する.期待値は偏りのない推定値となる一方で,信頼区間の下限値は条件付き確率を保守的に見積もった推定値となる.実験によって,提案手法が低頻度に頑強であることを示す.更に,提案手法は事前分布として一様分布を用いた場合,ベイズの枠組みを用いた手法とほぼ同じ性能を獲得しうることを示す.
著者
梅村甚太郎 編
出版者
梅村甚太郎
巻号頁・発行日
1925
著者
廣中 詩織 吉田 光男 岡部 正幸 梅村 恭司
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 = Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.WII-M_1-11, 2017

The home locations of Twitter users can be estimated using a social network, which is generated by various relationships between users. There are many network-based location estimation methods with user relationships. However, the estimation accuracy of various methods and relationships is unclear. In this study, we estimate the users’home locations using four network-based location estimation methods on four types of social networks in Japan. We have obtained two results. (1) In the location estimation methods, the method that selects the most frequent location among the friends of the user shows the highest precision and recall. (2) In the four types of social networks, the relationship of follower has the highest precision and recall.
著者
徐 会連 王 効挙 王 紀華 梅村 弘
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.335-336, 1997-10-18

EM希釈液を吸わせたスイートコーンの切断葉を用い, 葉水分の損失と蒸散速度の低下特徴から気孔が葉失水に対する感受性を検討した。EM液を吸わせた葉身には気孔が開く時大きく開いて, 閉じる時ちゃんと閉まることがわかった。
著者
濱中 康治 志村 圭太 梅村 悟 永井 洋 伊藤 博子 中島 啓介 長崎 稔 木村 鷹介 中村 拓成 田中 尚喜 柏口 新二 岡田 知佐子 紙谷 武 石崎 一穂 片野 裕司
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101523-48101523, 2013

【はじめに、目的】成長期における野球肘においては、発育途上にある骨端骨軟骨の障害が多いことに特徴がある。なかでも離断性骨軟骨炎とも呼ばれる、上腕骨小頭骨軟骨障害(以下OCD)は進行すると治療に難渋するため早期発見が望まれる。OCDの早期発見を目的として、1981年から徳島県で実施されている野球肘検診をはじめ、全国各地で野球肘検診活動の取り組みが行われ、その活動は広まり始めている。その多くは、各地の野球教室や野球大会と合同で開催され、野球教室や大会の現場での検診が実施されているが、大規模な検診になると、より多くの機材やマンパワーが必要となるため、都市部での野球肘検診の実施には高いハードルがある。当院では、都市部における野球肘検診活動として、2010年より医療機関内における野球肘検診を実施している。OCD発症予防のための啓発活動と野球肘検診活動の更なる拡大を目的として、その取り組みの紹介とこれまでの検診結果を報告する。【検診方法】当院では1ヵ月に1度、平日の午後6時から、スポーツ健康医学実践センター内で野球肘検診を実施している。野球肘検診については、その目的と機能から保険外診療とし、1件の受診料は2500円に設定している。対象はOCDの好発年齢・保存的加療の適応年齢を考慮し、原則として10~12歳の小学生としている。理学療法士(以下PT)による理学所見評価、臨床検査技師による超音波画像検査(以下エコー検査)、医師による総合評価を実施する。 理学所見評価については、肘関節屈曲・伸展の他動運動時の疼痛と可動域制限の有無、内側上顆・腕橈関節・肘頭の圧痛、外反ストレステストでの疼痛、手関節屈筋群(上腕骨内側上顆に起始するもの)の筋委縮、橈骨頭の肥大、尺骨神経溝部での尺骨神経亜脱臼の有無を評価し、その他、肘関節以外にも利用者が疼痛を訴えた箇所に必要な所見を評価している。エコー検査では前方・後方から上腕骨小頭の不整像の有無とその程度を評価し、それらの結果から、医師による総合評価で二次検診の必要性を判断し、二次検診の必要ありと判断された利用者には、医師が紹介状を作成し、医療機関での精査を勧めている。【倫理的配慮、説明と同意】今回の報告におけるすべての調査は電子カルテを用いて後方視的に行っており、対象者に有害事象は生じなかった。また匿名性の保持と個人情報流出には十分留意した。【検診結果】2010年6月から2012年11月までに、延べ119名の利用があった。年齢は10.5±1.1才だった。理学所見評価での異常所見は肘関節の他動運動時痛3名(2.3%)、可動域制限39名(32.8%)、内側上顆の圧痛10名(8.4%)、肘頭の圧痛1名(0.8%)、腕橈関節部の圧痛0名(0%)、外反ストレステストでの内側部痛20名(16.8%)、手関節屈筋群の筋委縮2名(1.7%)、橈骨頭の肥大4名(3.4%)、尺骨神経溝部での尺骨神経亜脱臼3名(2.5%)に認められた。エコー検査での異常所見を認めたものが6名(5.0%)であった。医師の総合評価によって二次検診の必要ありと判断されたのは27名(22.7%)で、肘内側部障害の疑い18名、OCD疑い6名、上腕骨近位骨端線障害1名、体幹・下肢の骨軟骨障害疑い4名だった。二次検診の必要ありと判断された利用者27名のうち、当院でのフォローアップを実施したものは18名(66.7%)であった。【考察】OCD疑いと判断された6名のうち、3名が肘内側部に圧痛・外反ストレス痛を認めた。1名は肘関節の伸展制限のみを認めたが、2名についてはエコー所見以外、全ての所見で異常は認められなかった。一般的にOCDは投球時の肘外反ストレスによる肘外側部への圧迫・剪断力によって生じ、外側部に疼痛が出現するとされているが、当院の野球肘検診でOCDが発見された6名はいずれも肘外側部の理学所見は認めなかった。このことは早期のOCDは理学所見に乏しく、OCDの早期発見にはエコー検査が有用であることを示すものである。また、当院でフォローアップを実施したOCD疑い5名の中で、定期的な野球肘検診の必要性を示唆する1例を紹介する。初回の検診時(10歳10ヶ月時)にはエコー検査を含めた全ての所見で異常を認めなかったが、その7ヶ月後(11歳5ヶ月時)の検診で外反ストレステストでの内側部痛があり、エコー検査で初期のOCDが発見された。その後、投球動作を禁止することで約7ヶ月後に良好な骨化が確認され、競技復帰が可能となった。この経験から、当院では10歳前後のOCD好発年代には定期的な検診の必要性を啓発し、6ヶ月に1度の検診を勧めている。【理学療法学研究としての意義】医療機関における野球肘検診を紹介することで、野球肘検診を実施できていない地域にも野球肘検診を広め、PTがその活動に参加することにより、より多くの野球プレーヤーを障害から守ることが可能になる。
著者
梅村 博昭
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.243-252, 2008-12-10

deja luとは「すでに読んだことがあるという認識」である。テクストを読む「わたくし」が,作品Bのなかに作品Aに似た何かを発見するとき,「わたくし」が作品Aをかつて読んだことがあるというまさにそのことが事態の本質をなしている。つまり生きられた体験としての間テクスト性を観察するとき,その中核をなすのがdeja luという概念なのである。本論では立松和平『性的黙示録』にあらわれる夜汽車の場面が,サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』におけるホールデンとミセス・モロウとの出会いに酷似しているという発見を糸口に,deja luが間テクスト的読解へと展開していく過程を考察する。そのさい,ある種の理論家が唱える理念的な「読者」概念と生身の「わたくし」の経験の落差を記述する,という手法をとる。標準的なロシア文学研究者が『性的黙示録』のなかに認めるdeja luはドストエフスキーの諸作品の痕跡であると考えられるが,生身の「わたくし」が体験したdeja luはサリンジャー作品の上記の場面なのである。そしてサリンジャーと立松を対比させながら読むという営為もまた,両作家の作品の意義の解明に通じていることを示す。
著者
喜田 宏 伊藤 壽啓 梅村 孝司 藤田 正一 前出 吉光 中里 幸和 高田 礼人 岡崎 克則 板倉 智敏
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1996

ウイルスの病原性発現機構を宿主側の要因を詳細に解析することによって究明することを目的とした。そのため、ウイルス感染によって誘発される宿主細胞由来病原性因子の検出を試みた。インフルエンザウイルス感染発育鶏胚の奨尿膜を超音波破砕し、その可溶性画分をニワトリの静脈内に注射した。ニワトリは汎発性血管内凝固により数分以内に斃死した。この致死活性はヘパリンを静脈内に前投与することによって抑制されたことから、本因子は血液凝固に関与する物質と推定された。陰イオン交換体を用いた高速液体クロマトグラフィーおよび塩析法によって病原性細胞因子を濃縮精製する系を確立し、粗精製致死因子をマウスに免疫して、モノクローナル抗体11クローンを作出した。ニワトリの鼻腔内にインフルエンザウイルス強毒株と弱毒株を実験感染させ、経過を追及した。強毒株はウイルス血症を起こしたが、弱毒株はウイルス血症を起こさなかった。すなわち、強毒株を接種したニワトリでは全身臓器の血管内皮細胞でウイルス増殖が起こり、血管炎を招来した。強毒株の標的が血管内皮細胞であることが明らかになった。損傷した血管内皮細胞から血液凝固因子ならびにサイトカインが放出された結果、汎発性血管内血液凝固を起こし、ニワトリを死に至らしめるものと結論した。この成績はインフルエンザウイルス感染鶏胚奨尿膜から抽出した細胞因子がニワトリに血管内凝固を起す事実と一致する。汎発性血管内血液凝固症候群は様々なウイルス感染症で認められる。したがって、この細胞因子はインフルエンザのみならず他のウイルス感染症においても病原性発現に重要な役割を果たすものと考えられる。ウイルス感染症の治療法を確立するため、本致死因子をコードする遺伝子を同定する必要がある。
著者
梅村 想 山崎 正禎 高橋 雄 松本 勝久 宮村 正典
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.422-425, 2011 (Released:2011-06-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

症例は40歳男性である.高熱が持続し5日後に意識障害,痙攣重積をきたした.インフルエンザ抗原検査は陰性であったが,RT-PCR法による咽頭ぬぐい液のpandemic(H1N1)2009インフルエンザ(A[H1N1]pdm)が陽性であったため,A(H1N1)pdm脳症と診断した.経過中にMRIで出現した右視床および大脳皮質に散在する異常信号域は症状の改善とともに消失し,また当初みられた血清/髄液中のインターロイキン6高値も減少した.A(H1N1)pdmは健康な成人でも脳症を発症する危険性があること,およびインフルエンザ抗原検査は精度に限界があることに留意すべきである.
著者
林梅村著
出版者
文物出版社
巻号頁・発行日
2011