著者
清水 暢子 松永 昌宏 長谷川 昇 梅村 朋弘 山田 恭子 望月 美也子 加藤 真弓
出版者
石川県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

医学的管理が充実している日本の高齢者であっても、認知症予備群から認知症へ移行する数は増加の一途である。一方、チェンマイ県での認知症罹患率は、日本の6分の1程度に留まっている。そこで本研究の目的は、タイ北部農村部とタイの都市部の高齢者、日本の北陸地方の農村部と都市部の高齢者の、認知機能面、身体機能面、社会生活面、栄養摂取面、精神心理面、保健行動面を評価し、その影響要因について、また、継続して3年間の認知機能経年変化値や脳血流量変化量を従属変数に、生活習慣や環境、社会背景を説明変数として何が認知機能の経年変化に影響を与えているかを比較検討することであった。日本側の農村部および都市部在住の高齢者の調査から、ミニメンタルステートテスト(MMSE)の値と言語流暢性課題と運動課題を同時に行う二重課題実施中の前頭前野の脳血流との間に有意な関連がみられ、近赤外分光法(NIRS)を使用した前頭前野血流変化量は認知機能低下の予測因子として重要な指標となり得ることが示唆された。また高齢者の宗教観および社会的孤立が認知機能に及ぼす影響についての調査結果から日本の都市部と農村部ではMMSEとMOCAの認知機能検査結果に違いはなかったが、農村部では信仰有りが有意に高く、「信仰の有無」、「高齢者のうつ」、「社会的孤立状態」は認知機能の経年変化の予測因子になり得ることが示唆された。一方、タイ,チェンマイ市内都市部と農村部の3か所の高齢者サロンに通所する高齢者へ、半構成的インタビューを中心に行った結果からは、「老いることの意味」について全員が「老い」をポジティブに受け止めていた。タイ高齢者の宗教心が老いへ向かう態度や日々の生活への態度にポジティブに関連している可能性があった。宗教的背景が他者とかかわる機会を持たせ、「人の役に立つ」ことを満たすために、高齢であっても孤立しない環境である可能性があった。
著者
梅村 和弘 菅原 和夫 伊藤 巌
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.836-840, 1989-09-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
19

雄牛が発情牛を識別する際の,視覚,嗅覚,聴覚の役割について検討した.1. 並べて繋留した発情牛と非発情牛の後方5mから雄牛を放し,雄牛がどちらの雌牛を選択するかを調査した.次に,両雌牛の後方数cmのところに寒冷紗の幕を張り,通気性はあるが,雄牛が直接視覚で雌牛を捉えられないようにし,同様の調査を行なった.その結果,寒冷紗の幕を張った場合でも,雄牛は雌牛に接近し,臭いをかぐなど若干の探索行動をした後,正確に発情牛を識別した.2. 並べて繋留した発情牛と非発情牛の頭部以外を透明ビニールシートでおおい,その後方から雄牛を放した,その結果,雄牛は両雌牛に興味を示し接近するものの,発情牛を識別することは不可能であった.3. パドック内の両端に置いた2台のテープレコーダーから,雄牛に発情牛と非発情牛(子牛に対する母牛の鳴き声)を同時に聞かせた.その結果,いずれの鳴き声にも興味を示し接近したが,発情牛の鳴き声に特に誘引されるということは見られなかった.以上の結果から,雄牛は遠方からは視覚,あるいは聴覚により雌牛の存在を知り接近するものの,発情牛の識別には嗅覚が重要な役割を担っているものと考えられた.
著者
相原 徳孝 山田 和雄 小出 和雄 梅村 淳 金井 秀樹 羽柴 基之
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.157-160, 1996
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

最近経験した最大径4cm以上のpetroclival meningioma2例に対して,術中にS状静脈洞内圧の変化をモニターした.2例ともS状静脈洞の試験閉塞前後で圧の上昇をみなかったが,気道内圧負荷により1例は圧の上昇をみた.気道内圧上昇負荷によっても圧の上昇をみなかった症例で,S状静脈洞を切断して腫瘍を摘出したが,術後S状静脈洞閉塞による合併症をみなかった.他の1例ではS状静脈洞の内圧が試験閉塞前後でほとんど上昇を示さなかったが,気道内圧上昇負荷がかかると圧の上昇を示し,静脈還流予備能に違いがあることが示唆された.
著者
井上 薫 重田 善之 梅村 隆志 西浦 博 広瀬 明彦
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.56-64, 2021-04-25 (Released:2021-04-22)
参考文献数
19

本研究では,5種の毒性試験事例から得たさまざまな病理組織学的所見の発生頻度データに実際にベンチマークドーズ(BMD)法を適用し,本法を発生頻度データに適用する際の留意点をまとめた.事例検討の結果,重要な所見について,毒性学的意義や用量相関性等が担保できれば,病変の程度毎に発生頻度データがある場合はある程度以上の発生頻度に対して,あるいは重症度が高い続発性病変ではなく,より毒性学的意義があると判断された前段階の病変の発生頻度データに対して,BMD法を適用することは妥当であることが確認された.また,BMD法を適用する必要性が高く,入手した個別所見の発生頻度データでは毒性学的にも統計学的にも妥当な計算結果を得られない場合は,可能であれば個体別の病理組織学的検査データまで遡り,新たに求めた総括的な所見名(診断名)に対する発生頻度データに基づきBMD法適用を試みることを提言した.BMD法適用の際は,必ず毒性病理学,毒性学,統計学の専門家が本法適用の対象となる所見やその発生頻度と計算結果を分析し,可能な限り統計学的にも毒性学的にも妥当な適用となるよう議論する必要がある.
著者
梅村 隆志
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第40回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.2032, 2013 (Released:2013-08-14)

「遺伝毒性発がん物質にはその作用に閾値が存在しない」という概念は,DNA塩基修飾の定量解析やin vivo変異原性試験の進歩に伴い,科学的観点からは否定的な傾向にあるものの,リスク評価の実際では,この概念に基づいた考え方から無毒性量(NOAEL)は設定できないとされている。従って,食品添加物などの意図的な食品中化学物質では,その際に使用を禁ずる処置などで対応できるが,食品製造過程で生じてくる化学物質や汚染物質などの非意図的食品中化学物質の場合,その含量をゼロにすることは困難であり,また,食品添加物においてもその製造過程等で生じる副生成物などがそれに該当する場合など,NOAELが設定できない遺伝毒性発がん物質へのリスクマネージメントが求められている。そのような背景の中で,1995年に国際保健機関(WHO)・国連食糧農業機関(FAO)合同食品添加物専門家会議(JECFA)はアクリルアミドに対して,ベンチマークドーズ(BMD)を用いた暴露マージン(MOE)アプローチを実施した。現在この方法は,他の国際機関においても追随され,我が国唯一の食品安全のリスク評価機関である食品安全委員会においてもその使用が検討されている。具体的には,実験動物を用いた発がん性試験の用量反応曲線から求められるBMD(通常は95%信頼限界からのBMDL)と当該物質の推定ばく露量との差を求めていくと言うものである。本シンポジウムでは,これまで6年間にわたり参加しているJECFA会議での実例を紹介しながら,MOEアプローチの問題点を議論したい。また,JECFAのみならず,食品安全委員会でもすでに実施しているMOEをその評価手順に組み込んだ香料の安全性評価(この場合はBMDLではなくNOAEL)について概略し,香料評価の際の遺伝毒性発がん物質への対応,また,その算出の際に最も重要な推定ばく露量の考え方等についても,併せて紹介していきたい。
著者
江木 盛時 黒田 泰弘 山田 亨 山田 博之 山元 良 吉田 健史 吉田 悠平 吉村 旬平 四本 竜一 米倉 寛 和田 剛志 渡邉 栄三 小谷 穣治 青木 誠 浅井 英樹 安部 隆国 五十嵐 豊 井口 直也 石川 雅巳 石丸 剛 磯川 修太郎 板倉 隆太 今長谷 尚史 志馬 伸朗 井村 春樹 入野田 崇 上原 健司 生塩 典敬 梅垣 岳志 江川 裕子 榎本 有希 太田 浩平 大地 嘉史 大野 孝則 谷口 巧 大邉 寛幸 岡 和幸 岡田 信長 岡田 遥平 岡野 弘 岡本 潤 奥田 拓史 小倉 崇以 小野寺 悠 小山 雄太 鶴田 良介 貝沼 関志 加古 英介 柏浦 正広 加藤 弘美 金谷 明浩 金子 唯 金畑 圭太 狩野 謙一 河野 浩幸 菊谷 知也 土井 研人 菊地 斉 城戸 崇裕 木村 翔 小網 博之 小橋 大輔 齊木 巌 堺 正仁 坂本 彩香 佐藤 哲哉 志賀 康浩 土井 松幸 下戸 学 下山 伸哉 庄古 知久 菅原 陽 杉田 篤紀 鈴木 聡 鈴木 祐二 壽原 朋宏 其田 健司 高氏 修平 中田 孝明 高島 光平 高橋 生 高橋 洋子 竹下 淳 田中 裕記 丹保 亜希仁 角山 泰一朗 鉄原 健一 徳永 健太郎 富岡 義裕 中根 正樹 冨田 健太朗 富永 直樹 豊﨑 光信 豊田 幸樹年 内藤 宏道 永田 功 長門 直 中村 嘉 中森 裕毅 名原 功 藤島 清太郎 奈良場 啓 成田 知大 西岡 典宏 西村 朋也 西山 慶 野村 智久 芳賀 大樹 萩原 祥弘 橋本 克彦 旗智 武志 小倉 裕司 細川 直登 浜崎 俊明 林 拓也 林 実 速水 宏樹 原口 剛 平野 洋平 藤井 遼 藤田 基 藤村 直幸 舩越 拓 升田 好樹 堀口 真仁 牧 盾 増永 直久 松村 洋輔 真弓 卓也 南 啓介 宮崎 裕也 宮本 和幸 村田 哲平 柳井 真知 松嶋 麻子 矢野 隆郎 山田 浩平 山田 直樹 山本 朋納 吉廣 尚大 田中 裕 西田 修 日本版敗血症診療ガイドライン2020特別委員会 松田 直之 山川 一馬 原 嘉孝 大下 慎一郎 青木 善孝 稲田 麻衣 梅村 穣 矢田部 智昭 河合 佑亮 近藤 豊 斎藤 浩輝 櫻谷 正明 對東 俊介 武田 親宗 寺山 毅郎 東平 日出夫 橋本 英樹 林田 敬 安宅 一晃 一二三 亨 廣瀬 智也 福田 龍将 藤井 智子 三浦 慎也 安田 英人 阿部 智一 安藤 幸吉 飯田 有輝 石原 唯史 井上 茂亮 井手 健太郎 伊藤 健太 伊藤 雄介 稲田 雄 宇都宮 明美 卯野木 健 遠藤 功二 大内 玲 尾崎 将之 小野 聡 射場 敏明 桂 守弘 川口 敦 川村 雄介 工藤 大介 久保 健児 倉橋 清泰 櫻本 秀明 下山 哲 鈴木 武志 関根 秀介 垣花 泰之 関野 元裕 高橋 希 高橋 世 高橋 弘 田上 隆 田島 吾郎 巽 博臣 谷 昌憲 土谷 飛鳥 堤 悠介 川崎 達也 内藤 貴基 長江 正晴 長澤 俊郎 中村 謙介 西村 哲郎 布宮 伸 則末 泰博 橋本 悟 長谷川 大祐 畠山 淳司 久志本 成樹 原 直己 東別府 直紀 古島 夏奈 古薗 弘隆 松石 雄二朗 松山 匡 峰松 佑輔 宮下 亮一 宮武 祐士 森安 恵実
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, 2020
被引用文献数
2

<p>日本集中治療医学会と日本救急医学会は,合同の特別委員会を組織し,2016 年に発表した日本版敗血症診療ガイドライン(J-SSCG) 2016 の改訂を行った。本ガイドライン(J-SSCG 2020)の目的は,J-SSCG 2016 と同様に,敗血症・敗血症性ショックの診療において,医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことである。改訂に際し,一般臨床家だけでなく多職種医療者にも理解しやすく,かつ質の高いガイドラインとすることによって,広い普及を目指した。J-SSCG 2016 ではSSCG 2016 にない新しい領域[ICU-acquired weakness( ICU-AW)と post-intensive care syndrome(PICS),体温管理など]を取り上げたが,J-SSCG 2020 では新たに注目すべき4 領域(Patient-and Family-Centered Care,sepsis treatment system,神経集中治療,ストレス潰瘍)を追加し,計22 領域とした。重要な118 の臨床課題(clinical question:CQ)をエビデンスの有無にかかわらず抽出した。これらのCQ には,本邦で特に注目されているCQ も含まれる。多領域にわたる大規模ガイドラインであることから,委員25 名を中心に,多職種(看護師,理学療法士,臨床工学技士,薬剤師)および患者経験者も含めたワーキンググループメンバー,両学会の公募によるシステマティックレビューメンバーによる総勢226 名の参加・協力を得た。また,中立的な立場で横断的に活躍するアカデミックガイドライン推進班をJ-SSCG 2016 に引き続き組織した。将来への橋渡しとなることを企図して,多くの若手医師をシステマティックレビューチーム・ワーキンググループに登用し,学会や施設の垣根を越えたネットワーク構築も進めた。作成工程においては,質の担保と作業過程の透明化を図るために様々な工夫を行い,パブリックコメント募集は計2 回行った。推奨作成にはGRADE方式を取り入れ,修正Delphi 法を用いて全委員の投票により推奨を決定した。結果,118CQ に対する回答として,79 個のGRADE による推奨,5 個のGPS(good practice statement),18 個のエキスパートコンセンサス,27 個のBQ(background question)の解説,および敗血症の定義と診断を示した。新たな試みとして,CQ ごとに診療フローなど時間軸に沿った視覚的情報を取り入れた。J-SSCG 2020 は,多職種が関わる国内外の敗血症診療の現場において,ベッドサイドで役立つガイドラインとして広く活用されることが期待される。なお,本ガイドラインは,日本集中治療医学会と日本救急医学会の両機関誌のガイドライン増刊号として同時掲載するものである。</p>
著者
梅村 憲子
出版者
福井大学教育・人文社会系部門
雑誌
福井大学教育・人文社会系部門紀要 = Memoirs of the Faculty of Education, Humanities and Social Sciences University of Fukui (ISSN:24341827)
巻号頁・発行日
no.5, pp.251-283, 2021-01-19

共通教育《合唱の魅力を探る》において実施したコダーイアプローチによる教育効果について、履修生の反応は筆者の予想をはるかに上回るものであった。コダーイの遺した言葉を引きながらコダーイアプローチがもたらした精神的効果についても考察する。
著者
澤田 倍美 朴 天鎬 近藤 寿代 森田 剛仁 島田 章則 山根 逸郎 梅村 孝司
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.853-854, 1998-07-25
参考文献数
8
被引用文献数
5 62

本邦のイヌにおける抗Neospora caninum(NC)抗体保有率を調査した.ネオスポラ症発症および抗NC抗体保有牛飼養農家で飼育されているイヌ48頭中15頭(31.3%)が抗体を保有していた.一方, 都会で飼育されていたイヌ198頭中14頭(7.1%)が抗NC抗体を保有していた.抗体検査2ヵ月前にネオスポラ症が発生したブリーダー宅で飼育されていた7ヵ月齢以上の成犬17頭すべてが抗NC抗体を保有していた.1年半後に同ブリーダーにて再検査を行ったところ, 抗体価に大きな変動はなかった.イヌのブリーダーと酪農家で飼育されていたイヌでNC抗体陽性率が著しく高かったことは, NCがイヌの間で水平伝播し, かつイヌとウシの間で水平伝播されている可能性を示唆するものであった。
著者
真田 知世 田口 晶彦 川瀬 善一郎 小平 紀久 久野 芳之 田中 貴 山中 菜詩 梅村 朋弘 鈴木 孝太
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.603-608, 2020-09-15 (Released:2020-10-10)
参考文献数
10

目的 気象環境の変化によって引き起こされる気象病において,気象環境の変化を把握し,事前の予防行動からリスクを軽減することが重要である。そこで,気象データとレセプトデータを組み合わせて分析を行う「Health Weather」の取り組みを立ち上げ,10歳未満の小児ぜん息を対象として,気象と疾患の関係性について検討した。方法 10歳未満の小児ぜん息の外来患者数を対象とし,全国を7つのエリアに分けて,気象データ(気温,湿度,気圧,風)を説明変数とするポアソン回帰分析を行った。さらに,ポアソン回帰モデルを用いて,気象の変化から予測される10歳未満の小児ぜん息の外来患者数の変化を表す予測モデルを作成した。結果 気象データから予測される10歳未満の小児ぜん息患者数と実際の患者数を比較してみると,各エリアにおいて,作成した予測モデルが実測の患者数をほぼ再現できていることが確認された(0.77≦R2≦0.96)。結論 気象データとレセプトデータを組み合わせた分析から,気象と10歳未満の小児ぜん息患者数の関係性を把握できることが確認された。また,Health Weatherの取り組みが,気象病における気象と疾患の関係性の把握につながる可能性が示唆された。
著者
梅村 魁
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.103, no.1269, 1988-02-20
著者
梅村 雅之 長尾 透 松田 有一 高橋 労太 大内 正己
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,最先端の理論と観測を統合したアプローチにより多重AGNを徹底的に調べ,超巨大ブラックホールの起源を明らかにする。理論では,一般相対論的輻射磁気流体コードを用いたブラックホール降着円盤の精密なモデル構築,AGNと銀河の共進化ならびに超巨大ブラックホール合体のシミュレーションを行う。観測では狭帯域フィルターを製作し,Lya, CIV, HeII輝線のコンビネーション観測を実現するとともに,連結NBフィルターによる線幅の広い1型AGNの観測を行うことで,赤方偏移2~3における多重AGNのカタログを作成する。そして,理論と観測を突き合わせることで,多重AGNと銀河の共進化過程を探究する。
著者
梅村 正幸 松崎 吾朗 高江洲 義一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

結核菌感染における免疫応答では、IFN-γ産生を主体とする細胞性免疫が最も重要な役割を担っている一方で、我々は炎症性サイトカインであるinterleukin(IL)-17Aが結核菌感染防御においても重要であることを明らかにしてきた。近年、我々は結核菌感染組織由来のTcR γδT細胞が抗原特異的な刺激においてIL-17A産生増強することを見出した。しかし、その産生増強メカニズムは未だ不明瞭な点が多い。そこで、TcR γδ T細胞がどのような機序により抗原特異的なIL-17Aを産生誘導するのか検討した。野生型C57BL/6(WT-B6)マウスに5x10e6 cfuのMycobacterium bovis BCGを気管挿管法により経気道感染させ、感染20日後の肺からリンパ球を調整した。WT-B6マウス由来の抗原提示細胞(APC)と肺リンパ球を結核菌精製抗原(PPD)存在/非存在下で共培養し、IL-17A産生T細胞(Th17およびγδ17細胞)を検出した。その結果、BCG感染肺においてIL-17A産生T細胞が認められ、PPD刺激において抗原特異的γδ17細胞の顕著な増強がみられた。加えて、この反応が培養上清中の液性因子に依存するのか、あるいはcell-to-cell contactが必要であるのかを明らかにするため、肺リンパ球とAPCを非接触型共培養法を用いて培養した。この非接触型共培養の条件下においても、PPD刺激によりγδ17細胞の増加が認められ、IL-23p19 KOマウス由来APCにおいても同様の結果が得られた。培養上清中の液性因子による影響を調べる目的でIL-1βおよびIL-23の中和処理をしたところ、γδ17細胞の増強は著しく減退した。一方、APCを介さず、感染肺リンパ球に直接PPDを投与したところ、γδ17細胞の増加が認められた。
著者
細田 恵莉奈 道券 夕紀子 梅村 俊彰 安田 智美
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 = The journal of the nursing society of university of Toyama (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.135-149, 2017-03

長時間同一体位におけるポジショニングの安楽性の検証を行うことを目的として,20 歳代の学生10 名を対象に,ポジショニング無しと有りそれぞれの状態で2 時間測定し,比較検討した.調査内容は,基本属性(性別,年齢,身長,体重,BMI),寝床内環境(寝床内温度,寝床内湿度),自覚症状(痛み,こわばり感・筋緊張,動かしたさ,不快感),実験終了後の感想とした.その結果、寝床内環境では,ポジショニングの有無にかかわらず,寝床内温度と寝床内湿度は時間の経過と共に上昇していた.自覚症状では,ポジショニング無しでは痛み,こわばり感・筋緊張,動かしたさの症状が多くみられ,不快感ではポジショニングの有無にかかわらず,背部,腰部,臀部,下肢に訴えが聞かれたが,ポジショニング有りの方が多かった.実験終了後の感想では,「ポジショニング有りでは痛みやこわばり感・筋緊張が少なく感じた」「ポジショニング有りでは背や足が蒸れて不快だった」といった声が聞かれた. 以上のことから,ポジショニングを行うことで同一体位による苦痛の軽減をもたらすと考えられる.一方,同一体位は体動による寝床内の温度・湿度の調整が出来ず,クッションやマットレスと身体が密着しやすいところでは蒸れが生じて不快に繋がると考えられる.