著者
今泉 麻美 佐藤 常男 白井 弥 雨森 隆 桑原 正人 小坂 俊文 田中 茂男
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.396-399, 2000-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
18

犬2例 (症例1: ゴールデン・レトリーバー, 雄, 9歳; 症例2: 雑種, 雄, 11歳) の前立腺に発生した腫瘤を病理学的に検索した. 症例1は前立腺上皮細胞に類似した円形~楕円形の細胞のシート状増殖から成り, 多数の核分裂像を伴っていた. 症例2では異型性の強い腺上皮の腺房内増殖が認められた. 抗ヒト前立腺特異抗原に対する免疫染色で, 症例1のほとんどの腫瘍細胞は陰性を, 症例2は大部分の腫瘍細胞が陽性を示した. 電顕的に, 症例1の腫瘍細胞の核は大型で異型性が認められ, 細胞小器官の乏しい細胞と豊富な細胞とが混在していた. 腺腔構造は認められなかった. 症例2の細胞は核の異型性は軽度で, 明らかな腺管を形成し, 細胞質内には遊離リボソーム, 分泌顆粒が認められたが, 他の細胞小器官は乏しかった. 症例1, 2ともに細胞間に接着斑が認められた. これらの所見から症例1は合胞体型前立腺癌, 症例2は腺房内増殖型前立腺癌と診断された.
著者
新田 雅之 小森 隆司
出版者
一般社団法人日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.11, pp.782-791, 2017 (Released:2017-11-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

世界保健機関 (WHO) 脳腫瘍分類 (Classification of Tumors of the Central Nervous System) は1979年の初版以来, 診断技術の進歩に伴い改訂を重ね, 2016年に第4版の改訂版が出版された. 本改定では浸潤性神経膠腫および胎児性腫瘍に初めて分子分類が取り入れられ, 古典的組織分類から分子遺伝学的分類へと病理診断の概念が大きく変更された事実上の第5版といえる. これは腫瘍の定義をできるだけ厳密にして客観性を高めるという方針に基づくもので, 遺伝子解析ができない場合や診断根拠が曖昧な腫瘍はNOS (not otherwise specified) を付与した記述に留めることになった. したがって多くのNOS診断を生み出す問題点も生じている.
著者
砺波 紀之 井本 桂右 岡本 悠希 福森 隆寛 山下 洋一
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.217-226, 2022-05-01 (Released:2022-06-01)
参考文献数
42

本論文では,音響イベント検出のための新たな評価指標を提案する。環境音分析のタスクの一つである音響イベント検出の従来の性能評価指標では,イベントの種類によらずすべての誤検出が等しく重み付けされる。提案指標では,音響イベントの種類を考慮しながら深刻な音響イベントの誤検出がより大きく罰則される。また,深刻な誤検出が発生し易いあるいは発生しにくい音響イベント検出モデルを用いて,複数の性能評価指標に対する深刻な誤検出の影響を詳細に分析する。実験結果より,従来指標と比較して,提案指標を用いることで,深刻な誤検出の多いイベント検出モデルの性能がより劣化して評価されることを確認した。
著者
山田 徹志 宮田 真宏 中村 友昭 前野 隆司 大森 隆司
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.44010, (Released:2020-11-27)
参考文献数
25

本論文では,保育分野(就学前教育・養育)において「子どもの育ち」を解釈する為の新たな方策として,子どもの位置・向き情報から関心を推定する分析手法の開発について報告する.我々はこれまでの研究から保育者が経験的に子どもの関心を読み取る際,子どもの位置・向きという行動特徴量を参照することを示した.同時に,人による関心状態の評価に対してベイズ推定を用いることで定量化できることが示唆された.これらをうけ本研究では,記録した保育活動場面の映像データ中の子どもの位置・向き情報と関心の対象について保育者によるアノテーションを実施した.その後,人手による関心記述の行動尤度と機械学習(HMM法,LDA法)による行動尤度を比較分析した.結果,取得した保育活動場面における幼児18名の関心の傾向は位置・向き情報から推定可能であることが示された.
著者
望月 彰子 大森 隆司
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.81-89, 1996-09-05 (Released:2010-12-13)
参考文献数
11
被引用文献数
5 4

In our real life, it is well known that our cognitive process is always influenced by our environment. It is called as “context dependency” of the cognition. In this paper, we propose a memory model “PATON” that is based on a macroscopic structure of a cortico-hippocampal memory system; it has three components of a symbolic layer, a pattern layer, and an attentional system. The attentional system sends signals to control a change of the model's structure dynamically. The change induces a modulation of metric between memorized items. Computer simulation shows an association process dependent upon a context based on the modulation.
著者
宮田 真宏 大森 隆司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.712-721, 2019-06-15 (Released:2019-06-15)
参考文献数
23

従来,人の推論には直観的推論と論理的推論の2種類があるとされる.これまでに直観的推論はベイズ推論に代表される確率的な手法により,論理的推論はTree探索に代表されるシンボル的な手法により,それぞれモデル化されてきた.一方で,推論と脳部位とを対応付けた研究はあるが,脳の神経回路を考慮した論理的推論のメカニズムについて言及したものは少ない.脳における論理的推論過程のモデルは未解決である.そこで本研究では人の推論過程は直観的推論と論理的推論に明確に分かれているのではなく,一つの分散ニューラルネットワークのモード切り替えで実現されると考え,そのモデルを提案する.そのモデルでは連想記憶を用い,現在状態より関連する記憶を連想的に探索し,その記憶に価値を紐づけることで行動選択をする直観的推論を実現し,直観的推論にて見出された価値状態に対し,その利得に繰り返しバイアスをかけることにより論理的推論に見える動作を実現した.迷路探索シミュレーションでは,直観的推論に相当する確率的な行動選択と,論理的推論に相当する枝刈りを含むTree探索のような振る舞いが同一モデルのパラメータ変更により表出されることを確認した.
著者
森 隆夫
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.161-172, 1962-09-30 (Released:2009-01-13)
参考文献数
66
著者
渡邊 紀文 木浦 豊治 有村 勇紀 糸田 孝太 大森 隆司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第34回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.27-30, 2018 (Released:2019-01-09)

近年アクションカムや加速度センサなど個人の行動を計測するデバイスを利用したスポーツ等の集団行動の研究が行われている.これらの計測では選手が出力する行動を主に分析しているが,集団行動においてはそれ以前に自己と他者が相互の行動を確認し,その意図の推定および目的を共有して,次の行動を判断している.本研究ではこのような集団における自己と他者の意図の共有について頭部の動きから分析し,その過程をシミュレーションするためのモデル化を行う.実験対象はサッカーパス行動とし,選手の頭部の動きを飛行ドローンで計測する.本実験でのドローンによる選手頭部の計測精度および,ボールホルダーと他の選手が視線を向け合って意図を共有しているタイミングおよびパスを出すタイミングの分析結果について述べる.
著者
宮森 隆行 吉村 雅文 青葉 幸洋
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.685-690, 2008 (Released:2008-11-21)
参考文献数
18

本稿では,サッカー選手の体力を,「サッカー選手に必要とされる体力要素」,「体力測定と評価」,「結果の活用」,さらに,「今後取り組むべきトレーニング課題」の4点から検討した。その結果,サッカー選手の体力を評価するためには,競技特性を理解した中での体力評価を実施することが必要であり,これらを考慮に入れた個別化・グルーピング化した体力評価は,サッカー選手の体力トレーニングの効率化を図る上での重要な評価であることが確認された。今後のサッカー選手の体力評価は,「体力的側面」・「トレーニング」・「競技パフォーマンス」の3要因の関連性を定量的に解明していくことが必要であり,これらの評価を数値化して現場に還元していくことこそ,科学的トレーニングの一つのステップであると考える。
著者
上條 美和子 大森 隆司
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.45-48, 2014 (Released:2014-02-10)
参考文献数
5

This research aims to verify the influence of EOAE (essential oil aroma environment) through a behavioral and ERP(event related potential) study. By this we hope to undercover the brain activity which assists sense, learning and knowledge of aroma. EFL (English as a foreign language) class was performed with an EOAE blend of rosemary cineole 1,8 and lemon. As a result, the target group which learned under EOAE did not have significant difference in result. The survey followed with an ERP evaluation using an odd ball task to measure the degree of attention. As a result, a possible P3a and MMN (Mismatch negativity) amplitude was found to differ between the target and control group. P3a is a subcomponent of P300 which is an attention related component, and MMN is a component that detects auditory deviance in an even sequence of tones. Two other unknown EOAE components that assist only with EOAE were also found.
著者
高橋 英之 西村 望 大森 隆司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.461, pp.437-442, 2010-03-02
被引用文献数
1

自分の心を言葉だけで正確に語れるとは限らない.特に芸術などに対する嗜好性は,言葉で正確に表現することが困難である.本研究では,絵画鑑賞者の嗜好が鑑賞中の視線の動き(絵画上のオブジェクトに対する注意配分)に反映されるという仮説を立て,絵画鑑賞者の嗜好を視線の動きだけから推定することを試みた.我々の実験の結果,まず絵画に対する嗜好性と絵画鑑賞時の視線の動きの間には定量的な関係性があること,そしてこれらの関係性を利用することで視線の動きから絵画鑑賞者の嗜好をある程度即時的に推定可能であることが示唆された.
著者
森 隆男
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

1研究の概要大正から昭和初期にかけて関東や関西など日本各地で展開した田園都市構想について、吹田市千里山住宅地を中心に検証し、近代における都市の住まいを考察した。ちなみに千里山住宅地は関西初の本格的田園都市である。当時の開発に関する図面や資料を分析し、さらにフィールドワークを実施して間取りとくらしの情報を収集する民俗建築学の手法を用いた。2成果(1)新発見のものも含め、当時の千里山住宅地の開発に関する図面6点を収集し、第二次世界大戦直後の航空写真と重ねることで、住宅地の変容の過程を明らかにすることができた。(2)千里山住宅地が田園調布のように田園都市としての発展をしなかった主な理由は3点あり、とくに新住民が伝統的な生活様式を選択したことが大きい。(3)建前は洒落た駅舎やロータリーをもった中央広場、そこから延びる放射状の道路などが創り出す景観を西洋風の町として受容する一方、本音の部分すなわち日常生活を送る住まいでは日本風の様式が尊重されたといえる。3意義住まいの理想を求めて街づくりが行なわれた田園都市構想は、社会の成熟期に入った現在、あらためてその意味を考えるべきである。田園都市の景観や住まいには、わが国の住文化を研究する上で重要な鍵が存在する。
著者
森 隆男
出版者
関西大学博物館
雑誌
関西大学博物館紀要 (ISSN:13414895)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.82-89, 1998-03-31
著者
大橋 剛介 久森 隆史 望月 圭太
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.537-545, 2007-10-15 (Released:2008-01-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1

画像内容検索に関する研究は,画像認識の応用研究の一つとして,盛んに行われ成果をあげてきているが,カラー情報,形状,テクスチャ情報などによる low-levelな画像特徴量と high-levelなユーザの主観のギャップであるセマンティック・ギャップを埋めることは未だ画像検索研究の大きな課題として残されている.そして,情報検索の分野で成果をあげている,ユーザとシステムが対話的に検索をすすめていく適合性フィードバックが画像内容検索にも導入されてきている.そこで,本研究では,筆者らが既に提案しているスケッチ画像検索を応用した適合性フィードバック画像検索を提案し,セマンティック・ギャップを埋める手法を開発することを目的とする.本手法は,ユーザの検索意図が含まれている入力スケッチを有効に利用しようすることで,セマンティック・ギャップを埋めようとしている点に特徴がある.Corel Photo Galleryの 6,500点の画像データセットに対して,適合性フィードバックを用いたスケッチ画像検索を試みたところ,従来は検索が困難であった画像に対しても検索が可能になり,本手法の有効性を確認した.
著者
渡邊 紀文 大森 隆司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第28回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.512-515, 2012 (Released:2013-07-25)

本研究では,イベント会場での非常に混雑した状況や災害時などのパニック状況において,意識下で注意を制御し,行動を誘導することを目指した歩行誘導実験を行った.具体的には周辺視にオプティカルフロー刺激を提示することで歩行者の視線方向を制御し,更に足元へ身体動揺を与え体性感覚のゲインを下げることで,視線方向へ有意に身体を誘導する実験を行った.実験から視線方向に身体が誘導されることを確認し,更に誘導効果が現れるタイミングから歩行における視覚と体性感覚のスイッチング機構について検討した.