著者
井上 拓 森山 孝男 小松 秀昭 中谷 登志男
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SIG7(ACS14), pp.105-113, 2006-05-15

データを値の順番に並べ直すソート処理は多くのソフトウェアで使用される最も基本的な操作の1 つであり,ソート処理の高速化は多くのワークロードの性能向上に寄与する.ソート処理は基本的な操作であるため,古くから多くのアルゴリズムが提案されているが,近年の高性能な汎用プロセッサのSIMD 命令を用いて高速にソートを行うことのできるアルゴリズムはこれまで提案されていない.そこで本研究ではPowerPC アーキテクチャが持つSIMD 命令セットであるVMX を使用して,並列に処理を行うとともに分岐予測ミスの影響をなくすことで高速にソート処理を行うことのできるアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムを実装し,PowerPC 970FX プロセッサ上で評価を行い,クイックソートと比較して最大で5.6 倍の性能向上が得られることを示した.
著者
森山町編
出版者
森山町
巻号頁・発行日
2004
著者
森山 昭雄
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.7-41, 2000
参考文献数
14
被引用文献数
9

2005年愛知万博の会場予定地,海上の森を特徴づける湿地生態系の成因を明らかにするために,河川の河床縦断形の測量と豊水期と渇水期の河川流量・水質を計測する水文地形学的な調査を行った.その結果,砂礫層地域では,砂礫層中に挟まれるシルト層・粘土層が河床縦断形の遷急点を形成し,比流量が大きく,そこから湧出する地下水によって湿地が形成されていることが明らかとなった.本地域の地質構造は,地殻変動によって緩やかに西方に傾く構造となっている.基盤の花崗岩類と砂礫層が接触する基底面および砂礫層に挟まれるシルト層も西方に傾斜しており,流域を越えて西方に向かう大規模な地下水流動が推定された.花崗岩地域では,断層が地下水流動の水みちとなっている可能性が高いことを指摘した.万博関連の環境影響評価調査は,個々の調査自身はハイレベルであるが,その解釈と評価は恣意的であり,間違った結論を導き出している.特に,湿地生態系に大きな影響があると思われる深層地下水に関しては,調査もされていないことは基本的に問題であることを指摘した.
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 大湾 一郎 金谷 文則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.546-551, 2018

<p>中高齢者の広範囲腱板断裂を合併した反復性脱臼の治療には難渋する.今回,我々の術後成績を報告する.対象は広範囲腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対して関節唇・腱板修復術を施行した8例8肩である.内訳は男性5肩,女性3肩,平均年齢は66歳,平均経過観察期間は25カ月であった.術前後の肩関節可動域(以下,ROM)(屈曲・外旋・内旋),日本肩関節学会肩関節不安定症評価法(以下,SISスコア),再脱臼・再断裂を調査した.ROMは術前(屈曲78°・外旋24°・内旋1点)が術後(130°・56°・4点),SISスコアは術前23点が術後73点に改善した.再脱臼はなく,亜脱臼を1例,関節症性変化を1例,腱板再断裂を1例に認めた.広範囲腱板断裂を伴う反復性肩関節脱臼に対する関節唇・腱板修復術は有用な術式と考えられた.</p>
著者
越田 淳一 森山 典子 ごん春明
出版者
日本土壌肥料学会
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.865-874, 2005 (Released:2011-03-05)

九州各地の堆肥化施設23カ所から、牛糞、鶏糞、生ゴミおよび下水汚泥を原料とした堆肥計29点を採取し、糞便汚染指標菌(大腸菌群、大腸菌およびサルモネラ菌)について培養検査した。1)これら堆肥試料のCECは31.4-79.0cmol.kg(-1)の範囲(平均55.4cmolckg(-1))で、炭素率(C/N比)は7.6-25.4の範囲(平均15.3)にあり、他の性状と合わせ、多くが完熟堆肥であると判断された。2)デスオキシコーレイト寒天培地により大腸菌群が29点中11点(38%)から検出され、10(2)-10(6)cfug(-1)dry maerの菌数レベルであった。大腸菌群陽性堆肥試料4点のうち3点からの分離株は、大腸菌群に属するE.coli, E. vulneris, Panoea sp., Buiauxella agresisと同定された。しかし、Serraia marcescensのみが分離された試料が1点、本菌とE. coliが分離された試料が1点あった。大腸菌群には属さない腸内細菌科の細菌であるS. marcescensは赤色色素を生産するため、分離培地上で大腸菌群の赤いコロニーと誤認されたものと推察された。一方、得られたE. coli 5株は、病原大腸菌免疫血清試験ですべて陰性であった。3)堆肥試料12点についてクロモカルト・コリフォーム培地による大腸菌の直接培養検査およびMLCB寒天培地によるサルモネラ菌の検出を試みた結果、大腸菌はいずれの試料からも検出されず、サルモネラ菌は2点(17%)から検出され、その菌数は10(3)cfug(-1)dry maerのレベルにあった。4)堆肥原料(牛糞、鶏糞、生ゴミ等)8点のうち大腸菌群およびサルモネラ菌がいずれも6点(75%)から、大腸菌が5点(63%)から検出され、菌数はいずれも102-108cfug(-1)dry maerであった。5)堆肥製造施設6カ所における堆肥化過程での糞便汚染指標菌の消長を7例について追跡した結果、糞便汚染指標菌が減少して製品中で消失する場合、いったん消失するが製品で再度検出される場合、全く消失しない場合、原料から製品まで検出されない場合の4通りが観察された。発酵温度が高くてもサルモネラ菌などが生残する場合があり、その原因について、再増殖や交叉汚染の可能性を考察した。6)上記の諸結果に基づき、堆肥の製造過程における温度管理や交叉汚染防止などの適切な衛生管理の重要性を指摘した。
著者
森山 徳長
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.183-188, 1987-08-25
被引用文献数
1

The present author surveyed the bibliography of the first English book on dentistry, i.e. Charles Allen's "The Operator for the Teeth", and its background, the gild of barber surgeons of York and undertook its Japanese translation. Hurlock's second book in England had been evaluated by the dental historians as the second English book devoted exclusively to the difficult dentition of infants, and was consequently the first book on pedodontics throughout the world. The source of reference to this book is very scarce. Only a short comment by Guerini and Weinberger were known to us, and nothing else. Therefore, the present author studied the facsimile edition of this rare treatise, and clarified in some detail the history of the study of the bibliography of this book as to the author, the description on the title page, references cited in this book, and the content of this rare volume. Further the history of "the lancing the gum" as a therapeutic measure for the difficult dentition in infants was briefly commented. As the present author reported, this problem had been treated by as ancient as Greco-Roman medical writers, however, Ambroise Pare wrote on this method first, and such authors as Walter Harris, Lorenz Heister and Hurlock's contemporary, Pierre Fauchard; and later, as well as Jourdain and John Hunter recommended "Lancing the gum" in case of difficult dentition. However, the opposition by Wichmann, and later Sterenberg terminated this controversy. The anodine necklace, which was in vogue in the 16th century as seen in the description of "Zene Artzney", was also discussed in Hurlock's work, and was commented briefly by the present author.
著者
高橋 恵美子 山下 一也 阿川 啓子 小村 智子 渡部 真紀 森山 雪美 岡本 雄二 Emiko TAKAHASHI Kazuya YAMASHITA Keiko AGAWA Tomoko OMURA Maki WATANABE Yukimi MORIYAMA Yuji OKAMOTO
出版者
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.249-258, 2011

出雲市内のA中学校区小中学校教諭と島根県立大学短期大学部教員の協働により、ADHDの子どものためのサマープログラムとして『いずもサマースクール』を実施し、その概要と課題をまとめた。実施期間は8月第1週目の1週間、参加児童は小学4年生4名、小学5年生2名の男児計6名であった。スタッフは延べ50名であり、小中学校教諭、大学教職員、保健師、大学生、大学院で心理を専攻した者であった。児童の変化は、3日目から4日目のポイントの増加という形で見られた。課題として①実施期間と対象児童の拡大②ボランティアスタッフの増員と充実③保護者会の内容と回数の充実④ペアレントトレーニング導入の検討の4点が明らかになった。
著者
森山 茂徳 浅野 豊美 原田 環 堀 和生 永島 広紀 姜 東局 長田 彰文 長田 彰文 新城 道彦 小林 玲子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、日露戦後の大韓帝国の国際的地位が何ゆえ如何に変化したのかを、日韓両国間の研究者ネットワークに基づき、日本、韓国、および関係各国の史料の収集による実証的かつ斬新な視角による総合的研究である。成果は、(1)包括的史料収集によって新たな決定的史料集完成への展望を開き、(2)2010年8月29日に「韓国併合に関する国際的シンポジウム」(非公開)を開催し、(3)この成果を2011年度中に論文集として、史料集と併せて刊行する予定である。
著者
松本 実 田辺 明 栗山 美子 森山 徳長 石川 達也
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.296-299, 1992-09-20
被引用文献数
1

日本の歯科医師団体の発祥は,東京における明治26年11月の『歯科医会』に端を発する.この会は次第に発展し,ついには現在の日本歯科医師会となる母体となった.本会が明治28年に,発行した小冊子『歯牙保護論』は,業権の確立と一般庶民への啓蒙を目的としている.明治初年に桐村,伊沢,高山らの先覚者が執筆した一連の歯科衛生啓蒙書のうち,歯科医師団体が発行した本書の書誌学と,歯科医会の志向していたところの詳細を本論文で解析した.
著者
浜田 恭輔 武井 藍 﨑山 佑介 森山 宏遠 橋口 昭大 髙嶋 博
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.30-34, 2018 (Released:2018-01-26)
参考文献数
15
被引用文献数
3

症例は43歳男性である.緩徐に進行する構音障害と歩行失調,幼児退行などの精神症状,脳幹・小脳の萎縮性所見より脊髄小脳変性症が疑われ入院した.口内炎,陰部潰瘍,毛囊炎様皮疹,HLA-B51をみとめ,髄液IL-6高値より慢性進行型神経ベーチェット病と診断した.ステロイド,メトトレキサートの治療効果に乏しく,インフリキシマブで髄液IL-6の減少が得られたが症状は改善しなかった.本症例は広範に不可逆性の脳組織障害が生じた難治例と考えられた.脳幹の萎縮が進行する前に免疫治療を介入すべき疾患であり,精神症状と運動失調症がみられる症例では診断に有用である髄液IL-6を測定することが望ましい.
著者
当真 孝 山口 浩 森山 朝裕 金谷 文則
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.526-528, 2018

我々は広範囲腱板断裂に対し,初期固定力が高く,縫合糸による腱内応力の集中が少ないと報告されているSurface-holding法を用いて手術を行ってきた.今回,一次修復が可能であった術後成績を報告する.対象は広範囲腱板断裂に対して直視下Surface-holding法を用い一次修復術を施行した56例56肩中,1年以上経過観察可能であった50例50肩を対象とした.性別は男性38肩,女性12肩.平均年齢65歳,経過観察期間26カ月.調査項目はJOA スコア,自動屈曲,外旋,内旋(JOA スコアを用いて点数化),Sugaya分類を使用した術後腱板修復状態(type4,5を再断裂)とした.JOAスコアは術前平均57点が術後89点,屈曲は術前平均91&deg;が術後143&deg;,外旋では術前平均39&deg;が52&deg;,内旋は術前平均3.7点が4.9点へ有意差をもって改善を認めた.Sugaya分類typeⅣが3肩,typeⅤが0肩で,再断裂は3肩(6%)であった.Surface-holding法は,再断裂率の低い有用な術式と考えられた.
著者
森山 明美 阿部 典子 山岸 由幸
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.959-964, 2015 (Released:2015-08-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

【目的】本研究では病棟看護師が栄養管理に関する自己評価に影響する要因を検討することを目的とした。【対象及び方法】成人病棟に勤務する看護師655名に無記名自記式質問紙調査を実施した。質問紙は24項目からなる「看護師の栄養管理に関する自己評価尺度」を使用した。これは栄養管理全般における看護実践能力を評価するものである。【結果】合計得点は経験年数により有意差がみられた(p<0.001)。多重比較では、1-2年目は3-5年目(p<0.001)、11 年目以上(p=0.018)より有意に低かった。6-10年目は3-5年目より有意に低かった (p=0.019)。また、栄養学授業構成に関して合計得点は「講義と演習・実習」が「講義のみ・履修なし」より有意に高かった(p=0.044)。多重ロジスティック回帰分析では、栄養学授業構成において「講義と演習・実習」が「講義のみ・履修なし」より合計得点の上位群が2.05倍(オッズ比2.05,95%信頼区間1.04-4.03)であった。【結論】病棟看護師の栄養管理に関する自己評価は、経験年数や栄養学授業構成が得点と関連した。