著者
上田 秀明 田村 義輝 杉山 隆朗 野木森 宣嗣 加藤 昭生 若宮 卓也 小野 晋 金 基成 柳 貞光
雑誌
第55回日本小児循環器学会総会・学術集会
巻号頁・発行日
2019-04-26

【背景】フォンタン術後の蛋白漏出性胃腸症PLEは、治療抵抗性で予後不良とされている。PLEを発症して4年以上のフォンタン術後PLEの治療および中・長期予後を検討した。【対象】当院で経過観察中のPLE発症4年以上のフォンタン術語PLE10例(男6、女4)。年齢は中央値14(8-24)歳。主心室は左室1、右室6、無脾症3例であった。【結果】フォンタン術式は APC1、心内導管型TCPC1、心外導管型TCPC8例。TCPC時にフェネストレーション作成を行ったのは6例。導管直径は16mm 4例、18mm 3例、20mm 2例。PLEの診断は、血中蛋白濃度、消化管蛋白漏出シンチグラムや便中α 1 アンチトリプシン・ クリアランス値より行なった。【治療】内科的治療として、ステロイド療法3例で1例ブデゾニド使用例。全例入院加療中に持続ヘパリン療法を行なった。カルベジロール6例、肺高血圧治療薬5例に導入した。皮下注用免疫グロブリン製剤ハイゼントラ使用継続中3例。高タンパク食などの栄養療法4例。側副血管コイル塞栓術1例、末梢性肺動脈狭窄に対するステント留置術1例を行った。外科的介入例なし。【結果】 死亡例は初期のAPC1例で、9例生存、現在NYHA心不全分類でI度 3、II度 6例。ステロイド療法3例とも継続中で、低蛋白血症が消失しているのは、ハイゼントラ使用例を含む4例。中心静脈圧、肺血管抵抗、心係数はそれぞれ中央値13(10-15)mmHg、中央値1.3(0.7-2.3)units・m2、中央値3.6(2.3-4.1)L/min/m2。造影上の主心室の駆出率は中央値46(38-56)%。【結語】遺残病変の修復、病初期からヘパリン療法、利尿薬の増量に加え、抗心不全療法、皮下注用免疫グロブリン製剤の導入により、予後は改善してきているものの、運動耐容能の低下から日常生活上制限を受けていることが多い。今後、注意深い経過観察や新たな抗心不全療法が求められる。
著者
森吉 泰生
出版者
一般社団法人 日本燃焼学会
雑誌
日本燃焼学会誌 (ISSN:13471864)
巻号頁・発行日
vol.54, no.170, pp.237-242, 2012 (Released:2018-01-26)
参考文献数
14
被引用文献数
3

Spark ignition engines are widely used for a small generator as well as a passenger vehicle. The exhaust gas emissions no longer have pollution problem by adopting a combination of three-way catalyst and stoichiometric mixture control, but an improvement of thermal efficiency is an urgent task. To achieve this, an increase of compression ratio and down-sizing with a turbo-charger are solutions. However, employing these methods causes abnormal combustion of such as knocking and pre-ignition that will bring about damages to engine components. In this article, why these phenomena occur and how to solve the issues are briefly mentioned with some author's ideas: since autoignition itself does not lead to a heavy knocking, a quick expansion at early expansion stroke and a spatial temperature distribution of mixture inside the cylinder can control the knocking intensity. As pre-ignition at low engine speed is not well analyzed, this phenomenon must be quantitatively examined.
著者
北村 祥貴 黒川 勝 丹羽 秀樹 奥出 輝夫 森山 秀樹 小竹 優範 稲木 紀幸 伴登 宏行 山田 哲司
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.907-914, 2013-12-01 (Released:2013-12-20)
参考文献数
22
被引用文献数
2 3

患者は60歳の女性で,右季肋部痛と発熱を主訴に受診した.CTで肝右葉後区を主座とする最大径16.6 cmの充実性腫瘍を認めた.内部は多結節癒合状で一部出血壊死を伴っており,結節の辺縁部は後期相で濃染した.MRIではT2強調像で不均一な高信号,T1強調像で低信号を呈した.肝肉腫もしくは肉腫様変性を来した肝細胞癌と診断し,肝右葉切除術を施行した.病理組織学的検査所見では,紡錘形細胞が増殖しており,核異型が強く,細胞質内にperiodic acid-Schiff(PAS)陽性顆粒状胞体を有する細胞を認めた.免疫組織学的にα smooth muscle actin(αSMA)とdesminのみ一部の細胞で陽性であり,肝未分化肉腫と診断した.本症は主に小児に発生する悪性間葉系腫瘍で,成人の発症は極めてまれな予後不良な疾患であり,外科的切除が第一選択となる.確立した化学療法はないが集学的治療での長期生存例もあり,症例の集積と検討が必要である.
著者
鈴木 信吉 森屋 泰夫 山本 隆
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.81-88, 1987-02-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
14
被引用文献数
5 5

一分子中に数個以上のO-O結合を持つポリ過酸化物 (PPO) を用いてビニルモノマーのブロックコポリマーの合成を行なった. 第一段重合はPPOで第一モノマーを重合させてポリマー中にO-O結合を持つブレボリマーを合成し, このポリマーに第二モノマーを付加重合させてブロックコポリマーを得た. メタクリル酸メチル (MMA) -スチレン (St) 及び酢酸ビニル (VAc) -スチレンの各等重量のモノマーの組合せについて行い, 次の組成の各ブロックコポリマーを得た. Poly- (VAc-b-st) /PVAc/PSt=68/24/8, Poly (VAc-b-St) /PVAc/PSt=84/6/10. 得られたブロックコポリマーについて, 成形物の電子顕微鏡による観察により, 微細な均一分散相を持つミクロ相分離構造を確認し, また, 相溶化剤としての機能も認めた.
著者
赤江 尚子 吉井 美穂 笹原 志央里 山口 容子 澤田 陽子 金森 昌彦 西谷 美幸
出版者
富山大学看護学会編集委員会
雑誌
富山大学看護学会誌 (ISSN:1882191X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.37-45, 2012-06

Hand roughness is a problem for medical practitioners who frequently wash their hands.It is currently recommended that hand care preparations are provided to medical practitioners, but the effect or influence when such preparations are used together with antiseptics has not been investigated. In this study, we investigated how drying hand care preparations affect the sterilizing effect of antiseptics.Staphylococcus epidermidis (S. epidermidis) and Staphylococcus aureus (S. aureus) were used as the test strains. The trial medications used were a skin protective agent.As a result, the sterilizing effect after the hand care preparation had dried for 30 minutes was better against S. aureus than S. epidermidis. The present results showed that hand care preparations do not affect bacterial proliferation, that when using hand care preparation and antiseptics together. Moreover, the hand care preparation needs to be dried sufficiently.In the future, comparisons with the present results and further research conducted with consideration of the conditions of the hand care preparation will be needed.
著者
松岡 朱理 立石 清一郎 五十嵐 侑 井手 宏 宮本 俊明 原 達彦 小橋 正樹 井上 愛 川島 恵美 岡田 岳大 森 晃爾
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.263-271, 2015-12-01 (Released:2015-12-13)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

自然災害や工場事故などの危機事象が発生した企業においては,労働者はさまざまな対応を余儀なくされ,直接的に傷病を負う労働者だけでなく,緊急対応や復旧作業に従事する労働者も多様な健康障害リスクに曝される.そのような健康障害リスクに対して,産業保健専門職の予防的介入に役立つ危機対応マニュアルの開発を行った.危機対応マニュアルの開発は,先行研究において8つの危機事象を分析して作成した危機事象における産業保健ニーズリストを用い,危機事象後の時間軸(フェーズ)ごとに発生しうるニーズについて,具体的な解説を施すことを基本とした上で,各ニーズの発生の可能性を表現するため,8事象での発生頻度で記述方法を変えるなどの工夫を施した.作成過程においては,危機対応マニュアルβ版を実際の危機事象で利用に供するとともに,危機管理分野の専門家の意見聴取を行って妥当性の検討を行い,危機対応マニュアルβ版に一部改善を施した上で完成版とした.完成した危機対応マニュアルには,全フェーズ合計で99のニーズに対して解説が加えられており,網羅性は高く,多くの危機事象において利用可能と考えられる.新たな危機事象において,異なるニーズが発生する可能性があるため,汎用性を高めるために今後も継続的に情報を収集して,改善を施していく必要があると考えられる.また,危機事象が発生した際に危機対応マニュアルを入手できるように,ウェブ上でダウンロード可能とするとともに,危機対応マニュアルの存在を広く周知していくことが今後の課題である.
著者
水崎 節文 森 裕城
出版者
日本選挙学会
雑誌
選挙研究 (ISSN:09123512)
巻号頁・発行日
no.13, pp.50-59,269, 1998

The general election held on October 20, 1996 was the first election after the 1994 electoral reform of the House of Representatives. The new electoral system combines two different electoral systems: a single-member constituency system (300 seats) and a proportional representation system (200 seats). Using locality-level aggregate data, this paper examined the impact of the new electoral system on voting behavior and campaign strategies, and identified a mechanism through which a voter's choice of candidates/parties in one system influences his/her choice in the other.
著者
榎森進著
出版者
草風館
巻号頁・発行日
2007
著者
角森 輝美 山口 洋史
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.46-56, 2012-11-30 (Released:2018-07-20)

本研究の目的は,次の2点を解明することにある.男性への視点を加味した,親性の力=親力が育つための支援赤ちゃんの泣きへの対処法の支援を行う基礎資料のために,対児感情と,赤ちゃん泣き声の認知が,妊娠前期,後期の父親と母親初産と経産で違いがあるかまた,赤ちゃんの泣きの生起原因を妊娠期の父親母親がどう推察しているかを明らかにすることである.その結果,初産母親のほうが経産母親より対児感情が葛藤状態にあり,赤ちゃん泣き声イメージでも回避的で葛藤状態が高かった.初産父親は対児感情の葛藤が母親より高く,経産父親は対児感情の葛藤と,泣き声イメージの葛藤が母親より高く,接近感情は母親より低かった.初産父親と母親は,経産に比べ,赤ちゃんが泣く理由として「抱っこしてほしいとき」とした人が少なかった.母親だけでなく父親へも,乳児との接触機会の提供や,赤ちゃんの泣きへの対処法の支援が必要と考える.
著者
船木 洋晃 佐々木 彬 岡崎 直観 乾 健太郎 深田 陽介 竹下 隆一郎 田森 秀明 野澤 博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1K32, 2014

<p>本研究では2013年の参議院議員選挙より解禁されたインターネット選挙を受け、 ツイッター上での選挙運動を分析し、実際の選挙結果との相関を考察する。さら に,特定の候補者に対する当選・落選を期待する言語表現から当選運動・落選運 動を予測する分類器を生成し、各候補者に関する運動の盛り上がりを分析する。</p>
著者
森 千香子
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.19-30, 2020 (Released:2021-08-25)

本稿は「ポスト多文化主義時代」のフランスにおいてマイノリティをめぐる状況にどのような変化が生じているのかを考察した。これまで多文化主義は、「共和主義」を国是とするフランスには馴染まない、あるいは反発を引き起こす、という観点から捉えられてきたが、実際には新たな動きも観察されている。「セクシュアル・デモクラシー」に見られるような新たな排除の論理が広がる一方で、反差別運動の内部から差別被害者だけのセーフ・スペースを求める「ノン・ミクシテ」という実践が展開されるようになった。それはマイノリティの権利擁護の運動に新たな地平を切り開くと同時に、従来のフランス型共和主義の発想と対立するものであることから、激しい批判や攻撃を引き起こしている。さらに「ノン・ミクシテ」運動やムスリム女性のスカーフ着用をめぐる「選択」の問題には、少数者が団結して抵抗するというコングリゲーションの論理と、社会が少数者ごとに隔離されていくというセグリゲーションの論理という、解釈をめぐる対立が浮かび上がっている。
著者
大森鍾一 一木喜徳郎編
出版者
元元堂
巻号頁・発行日
1907
著者
北山 大祐 松尾 恵五 新井 健広 岡田 滋 藤解 邦生 鵜瀞 条 川西 輝貴 森 康治 望月 暁 池上 玲一
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.197-204, 2016 (Released:2016-03-25)
参考文献数
11

高位筋間膿瘍は臨床症状に乏しく診断に苦慮することもある.また,保存的加療や切開排膿などの加療のみで痔瘻化せずに根治する症例がある一定の割合で存在する.根治術の有無に影響を及ぼす因子として,病悩期間,糖尿病の有無,発熱の有無,白血球,切開排膿の術式などについて検討した.術式は内外括約筋間からの切開を基本とし,ドレナージシートンの留置が必要な場合は外括約筋外から切開した.高位筋間膿瘍に対する切開排膿後,痔瘻化し根治術を行った症例は約15%にすぎず,保存的加療にて軽快後に根治術を行った症例はなかった.外括約筋外から切開した症例は内外括約筋間から切開した症例に比べ,有意に痔瘻化し(P<0.05),根治術を行っていたが,他の因子については有意差を認めなかった.高位筋間膿瘍の加療後に,痔瘻化し根治術が必要となる症例は比較的少ないが,排膿時の術式選択が痔瘻化の有無に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
著者
鹿住 祐子 板垣 信則 大森 正子 和田 雅子 星野 斉之 御手洗 聡 菅原 勇 石川 信克 森 亨
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.891-896, 2007-12-15
参考文献数
16
被引用文献数
3

〔目的〕平成12年度(2000年)結核緊急実態調査時の慢性排菌患者におけるMDR-TBとXDRTBの頻度を調べる。〔対象および方法〕平成12年度結核緊急実態調査時の慢性排菌者1234例における結核菌434株を用いて薬剤感受性試験(小川培地使用の比率法,MGIT法,プロスミックNTM)を行い,MDR-TBとXDR-TBを決定した。被検株の条件は,1999年末現在保健所に登録されている結核患者のうち1999年の1年間に菌陽性であり,1998年1月1日以前に登録された患者とした。少なくとも登録されてから2年以上経過し,培養陽性だった患者である。〔結果・考察〕薬剤感受性試験が実施された434株のうちINHとRFPに耐性でMDR-TBと判定された株は321株(74.0%),そのうちの180株(56.1%)がLVFX耐性,かつ,KMあるいはAMKのどちらか(または両方)に耐性のXDR-TBであった。MDR-TB321名のうち,初回登録患者が165名,再登録患者は143名,不明が13名であった。XDR-TB180名の内訳は初回登録患者が95名,再登録患者は78名,不明は7名であった。初回登録患者では1990年代がMDR-TB94名(57.0%)とXDR-TB49名(51.6%)ともに半数以上をしめ,再登録患者では1960年代と70年代がMDR-TB62名(43.4%)とXDR-TB41名(52.6%)であった。日本で使用の少ないAMKの耐性頻度が高率だったのはAMKの使用によるものかSM・KMの交差耐性か解明できなかったが交差耐性を否定できない。
著者
森下 千里 坂崎 絢子 豊島 逸夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.329, pp.130-134, 2010-04

豊島 世界の市場情報を集めるのにはこれだけ必要。同じ商品でも世界の市場価格の「サヤ」を取るのが商社の主な手法だからね。金ならドル建てと円建てと両方あるから、為替も同時に取引する。
著者
西村 和久 平田 耕造 白水 智子 竹森 利和
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.187-196, 1993-12-01 (Released:2010-10-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1

体脂肪率の違いにより体幹部と末梢部の皮膚温挙動が異なるか否かを検討するために, 16名の被験者を体脂肪率により2群 (L群: 10.7±0.6%, O群: 19, 4±6.3%) に分類し, 環境温22, 28, 34℃に90分間暴露中の皮膚温, 皮膚血流量, 体重減少量, 温冷感を測定した.その結果, 体幹部の皮膚温は環境温22, 28, 34℃においてL群に比較してO群の方が有意に低かった.また, 手部皮膚温は環境温22, 28℃においてL群に比較してO群の方が有意に高く, 足部皮膚温は環境温28℃においてL群に比較してO群の方が有意に高かった.体脂肪率の増加とともに体幹部の皮膚温は低くなり, 逆に末梢部の皮膚温は高くなることが認められた.これらの結果から, 皮下脂肪により物理的に抑制された体幹部からの熱放散量は, 末梢部からの熱放散量を生理学的な血流調節反応により促進することで, 全身の熱バランスを維持していることが示唆された.