著者
宮田 潤子 濱田 裕子 川田 紀美子 藤田 紋佳 森口 晴美 小幡 聡 桐野 浩輔
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

排泄障害が原因で女性としての自尊心に傷を負いながら成人に至る患者に対する支援を考える。その第一歩として、総排泄腔遺残症という排泄障害と性機能障害を合併する稀少難病の患者を対象として研究に取り組む。患者・家族、医療従事者が求める支援を明らかにし、全国的な支援体制構築の促進、支援の均てん化に繋げることを目指す。第一段階は患者・家族、医療従事者を対象にアンケート調査を行い、各々のニーズを明らかにする。第二段階として、第一段階の結果をもとに、患者・家族らによる闘病体験手記を出版する。患者の苦悩を広く公にし、現状に沿った情報が行き届かない全国の患者・家族へ患者側の視点による情報提供を行う。
著者
浅野 勇 石神 暁郎 森 充広 川上 昭彦 川邉 翔平
出版者
公益社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.II_35-II_47, 2020 (Released:2020-07-14)
参考文献数
27

凍結融解試験後のモルタル供試体の水流摩耗試験を行い,凍結融解作用がモルタルの耐摩耗性に与える影響を調べた.AE剤を添加した供試体の水中凍結融解試験後の相対動弾性係数は90%以上を保持しており凍結融解による劣化の程度は小さい.一方,AE剤を添加しない供試体の水中凍結融解試験後の相対動弾性係数は打設面で40%未満,底面では70~80%,中心部では80~90%となり,打設面の相対動弾性係数が最小となった.このように部位により大きな差が生じた.AE剤の添加によりモルタル供試体の耐凍害性は著しく向上した.凍結融解試験前の供試体の平均摩耗深さは,水セメント比が小さく表層品質が緻密であるものほど小さい.凍結融解試験後の供試体の平均摩耗深さは,凍結融解作用により供試体表層の相対動弾性係数が低下し組織の脆弱化が大きなものほど大きい.
著者
岡本 茉莉 大住 倫弘 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0220, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに・目的】理学療法およびその教育を成功に導くためには,対象者間での信頼関係の構築が重要である。この信頼関係には非言語コミュニケーションが重要と報告されている(Scharlemann 2001)。一方,表情と言語に矛盾が生じた場合,信頼を失うことが報告されている(大薗2010)。このような言語と表情に矛盾が生じた場合の脳活動の変化について未だ明らかにされていない。そこで本研究は,言語と表情に矛盾が生じた時の他者信頼度ならびに脳活動変化を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は健常大学生14名(21.7±0.8歳)とした。課題には8名の大学生(男性4名,女性4名)の笑顔(以下,笑),嫌悪(以下,嫌)の表情の写真を使用した。言語については,50種類の文章からVAS(Visual Analogue Scale)にて正,負が上位の各2つを予備実験から選択し使用した。具体的には「火事から子供を救う」「友人との約束を守る」を正,「友人を車でひき殺す」「友人をいじめる」を負とした。一試行は[言語:正/負]×[表情:笑/嫌]を組み合わせ,4種類の呈示画像を作成し,ランダムに計80回PCディスプレイ上に呈示した。先に言語のみ5秒間,その後言語と写真を同時に2秒間呈示した。信頼度指標には寄付行為における意思決定項目を設定した。これは手元に1万円あると仮定し,呈示された写真の人物が金銭的に困っている場合,いくら提供できるか回答させる課題である(以下,提供額)。また,事後質問紙として呈示された者の印象を快・不快,信頼度をVASにて被験者に回答させた。脳活動測定には脳波計(Biosemi社)を用いた。写真提示後から170~240ms間に出現する波形成分を加算平均し事象関連電位を得た。この事象関連電位データを用いた三次元画像表示法(LORETA)解析により賦活領域の同定を行った。VAS(快・不快,信頼度)および提供額の分析には,一元配置分散分析,多重比較試験(Tukey)を用いた。快・不快-信頼度,信頼度-提供額の相関は,ピアソン相関係数を用いて解析した。いずれも有意水準は5%とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は本学研究倫理委員会の許可を得たうえで実施した。全対象者に実施前に本研究の趣旨と目的を十分説明し同意を得た。【結果】VASの結果において,快・不快,信頼度のどちらにおいても,[正×笑]に比べ,その他の組み合わせで有意な低値を示した。また全てにおいて快・不快と信頼度の間に有意な正の相関がみられた。提供額の結果は,[正×笑]に比べ,言語と表情が不一致のものが有意に低値を示した。また信頼度と提供額において,[正×笑]のみ有意な正の相関がみられた。脳活動の結果では,[負×嫌]と比較し,[負×笑]と[正×嫌]において前頭前野,頭頂葉の有意な賦活がみられた。また,[正×笑]に対し,[負×笑]で前頭前野に有意な賦活を認めた。矛盾条件同士においては,[正×嫌]に対して[負×笑]では左内側前頭前野の有意な賦活を認めた。【考察】言語と表情に矛盾がある場合,頭頂葉の有意な活動がみられた。これは頭頂葉が感覚情報の不一致に対して働くという報告や,メンタライジング機能に関与するという報告から,言語と表情の不一致情報に対する活動,他者の心を読み取るネットワークとして働いた結果と考えられた。[負×笑]は快・不快,信頼度,提供額で最も低値を示し,脳活動においても前頭前野に有意な活動を認めた。[負×笑]は,言語が負にも関わらず表情が正のため矛盾が生じる。したがって,「反省」の意思がないと判断し,それに対して道徳的判断に関わる内側前頭前野の活動がみられたと考えられた。言語と表情に矛盾がある[正×嫌]と[負×笑]について,どちらも快・不快,信頼度,提供額の全項目で低値を示したが,[負×笑]は[正×嫌]よりも低値を示す結果となった。また,[正×嫌]に比べ[負×笑]では左内側前頭前野に有意な活動を認めた。以上の結果から,[負×笑]は[正×嫌]と異なり,同じ矛盾であっても負の言語後に正の表情が付与される特徴をもった脳活動と考えられる。左内側前頭前野は負に思考すると賦活するとの見解から,[負×笑]における不快感を示す脳活動と考える。【理学療法における意義】本研究では,相手から表出される言語と表情の矛盾が引き起こす心理的変化および脳活動の変化を明らかにした。これは理学療法やその教育を実践する中でのコミュニケーションのあり方を示唆するものである。
著者
森 享宏
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.34, pp.49-52, 2013-07-18

野球中継において本来ならば見えないストライクゾーンを視覚化し,実写もしくはフルCGの映像にオーバーレイし,更に実際の投球軌道も映像化し,ボールがストライクゾーンに対してどこを通ったかを分かり易く映像化する開発をソニー(株)と共同で行った.
著者
杉森 公一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.328-331, 2016-07-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
5
被引用文献数
5

アクティブ・ラーニングが求められる背景から,大学教育におけるアクティブ・ラーニング型授業の定義と意義,反転授業を用いた実践例について報告する。また,アクティブ・ラーニングの深化と充実に向けて,大学教育再生加速プログラム(AP)による組織的な取組事例を紹介する。大学教師に求められる教育能力の開発と相互の学び,学習支援環境の設計と整備によって,高校・大学から社会への教育接続の実現が期待される。生涯学び続ける自律した学習主体=「アクティブラーナー」として社会へとつながるために,個の学びを始点に,他者との対話・協同を通じて深い学びを目指す,学習の共同体としての大学教育の構築がなされつつある。
著者
中井 靖 藤本 清秀 三宅 牧人 堀 俊太 森澤 洋介 大西 小百合
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

膀胱癌細胞を鉄で処理すると癌細胞が増殖し、5-アミノレブリン酸(ALA)で処理すると細胞増殖が抑制された。ALAを投与すると、膀胱癌細胞のミトコンドリアにおける鉄の発現が低下し、さらに、膀胱癌細胞内のフェリチン(鉄の蓄積)の発現が低下した。これは、膀胱癌細胞が増殖するために必要な鉄が、ALAによってミトコンドリア内で利用され膀胱癌細胞内での鉄が減少し、膀胱癌細胞の増殖が抑制される可能性が示された。このことはALAが新たな膀胱癌に対する治療薬となる可能性が示唆された。
著者
坪井 康浩 東野 哲也 牛迫 泰明 森満 保
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.717-725, 1996

1995年5月までに宮崎医科大学耳鼻咽喉科にて行われた人工内耳手術は25例26耳であり, このうち2耳において顔面神経迷路部に近接する電極で顔面神経刺激が誘発された. 第1症例の原因は聴神経腫瘍による骨破壊や手術による骨削開で蝸牛骨包と顔面神経管の間の骨隔壁が脆弱となり漏電が生じたものと思われた. また第2症例では内耳梅毒に伴う骨病変のため迷路骨包の導電性が変化したためと考えられた. 術前のCTで, 迷路骨包と顔面神経管を境する骨が不明瞭であつたり, 迷路骨包の骨に病的所見を認める症例では顔面神経刺激誘発の可能性を考慮しておく必要がある. 本合併症に対して現時点では該当するチャンネルを不活性にするしか方策はないが, 電極の構造的な改良やマッピングの工夫とともに症例によつては蝸牛と顔面神経との間に手術的に絶縁体挿入の策も考慮すべきと考えた.
著者
伊藤 昌毅 諸星 賢治 太田 恒平 森山 昌幸 神田 佑亮 藤原 章正
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_1465-I_1475, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
15

2018 年に発生した西日本豪雨の被災地では多くの道路や鉄道が寸断され,住民や訪問者の移動に困難が生じた.バスや鉄道などは運行を確保にできる限りの手を尽くしたが,Web や乗換案内アプリケーションでは正確な案内が出来ておらず,公共交通の利用は困難であった.本論文では,災害時に公共交通情報を地域住民や訪問者に届ける方法を論じ,西日本豪雨における実践を通じて有効性を示す.情報を一箇所に集約することは災害時には現実的ではないため,それぞれの交通事業者が出来る範囲で情報発信を行い,乗換案内などからリンクを張るという自律分散的な情報提供を実現した.時刻表通りの運行が困難な状況で役に立つバス運行実績情報や代行バスの位置情報といったリアルタイム情報を提案手法でまとめ,総合的な交通情報の把握を可能にした.
著者
森沢 弘和 宇多川 隆 山崎 晤弘
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.205-216, 1981-03-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
56
被引用文献数
1

In this article, the syntheses of nucleoside by chemical or enzymatic transglycosylation method are reviewed. Particularly, the synthesis of purine arabinosides and purine 2'-amino-2'-deoxyribosides by combination of chemical reaction and enzymatic transglycosylation reaction is reported.