著者
木谷 照夫 水木 満佐央 田川 進一 倉垣 弘彦
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1993

慢性疲労症候群(CFS)は、その特異な病態から近年強い注目を集め、社会的にも関心の深い疾患である。本疾患の病因については様々な説が提唱されているが未だ明らかでない。我々は細胞のエネルギー供給の代謝系において極めて重要な役割をはたしているカルニチンを測定したところ、血中の遊離カルニチンは正常ながら、アシルカルニチン値が大部分の症例で有意に低下していることを見い出した。尿中排泄増加はなく、ミトコンドリアにおける脂肪酸酸化を中心とした代謝系の何らかの異常が想定され、疲労を中心としたCFSの症状との関連が示唆された。また、カルニチン正常,アシルカルニチン低下という病態は現在までに数例の先天性異常例以外には知られておらず、検査法としての診断的意義も大きい。ともあれCFSでは生体代謝に関して生化学的に異常が見られたのは本物質が初めてである。これまでCFSで臨床検査異常や生化学的代謝物質の異常が見られないことより心因的機能的病態とする見解も少なくなかったが、我々の成績は器質的病変であることを強く示唆し、世界に大きなインパクトを与えた。本研究は、CFSにおけるアシルカルニチン減少のメカニズムを明らかにすることをめざすとともに、細胞レベルでのアシルカルニチンの作用やその代謝について下記の点について検討したものである。1)サイトカインとアシルカルニチンとの関連についてア)インターフェロンとの関連イ)TNFとの関連2)内在性アシルカルニチンの生理的意義についてア)絶食による変化イ)絶食後再節食による変化ウ)糖負荷による変化エ)糖負荷にともなうアシルカルニチンの動的変化の解析3)細胞内アシルカルニチンの測定4)治療の試み
著者
水木 敬明
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.179-187, 2016-01-01 (Released:2016-01-01)
参考文献数
23
被引用文献数
1

カードベース暗号とは,物理的なカード組を利用して,秘密計算等を実現するものである.1989年に5枚のカードで論理積を秘密計算できることが示されて以来,数多くのカードベースプロトコルが考案されている.カードベースプロトコルは,コンピュータやネットワークを必要とせず手軽に実行することができるとともに,その正当性や安全性は高校生でも容易に理解できる.本稿では,カードベース暗号の歴史を概観するとともに,最近の研究成果を紹介する.
著者
キャッスルマン病の疫学診療実態調査と患者団体支援体制の構築に関する調査研究班 吉崎 和幸 岡本 真一郎 川端 浩 水木 満佐央 川上 純 正木 康史 矢野 真吾 井出 眞 宇野 賀津子 八木 克巳 小島 俊行 水谷 実 徳嶺 進洋 西本 憲弘 藤原 寛 中塚 伸一 塩沢 和子 岩城 憲子 古賀 智裕
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.97-107, 2017 (Released:2017-03-17)
参考文献数
75

キャッスルマン病は原因不明のリンパ増殖性疾患で,適切な治療を行わなければQOL低下や生命予後の短縮をきたす。しかしながら,その希少性のためにこれまで明確な診断基準や重症度分類が定まっていなかった。これに対して厚労科研・難治性疾患等政策研究事業の調査研究班では,本疾患の診断基準と病型分類,重症度分類の案を策定した。診断は,病理診断と臨床的な除外診断を併せて行う。組織型は硝子血管型,形質細胞型,および混合型に分類される。臨床的病型は,単中心性(限局型)と,HHV-8関連の多中心性,HHV-8陰性の特発性多中心性に分類した。重症度は主に臓器障害の程度により分類した。難治性とされる特発性多中心性キャッスルマン病は,重症度等に応じてprednisoloneやtocilizumabを用いて治療を行うこととした。今後,本疾患に関するエビデンスを集積し,本診断基準や重症度分類の妥当性を検証するとともに,質の高い診療ガイドラインを策定していく予定である。
著者
水木 理恵 出口 真紀子 平山 亮 小川 公代 熊本 理抄
出版者
福島県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では、日本人における個人の境界線の感覚を量的に測定する指標の開発と多様性教育コンテンツの開発を最終目標とするが、その過程で日本内外の多様性教育及び個人の境界線の教育の現状、人権問題当事者・支援者、人権教育担当者への聞き取り調査から日本人の境界線に関する意識を明らかにしていく。また、指標作成後、量的調査により、指標の妥当性を検討する。さらに、聞き取り調査、文献レビュー及び海外の多様性教育の現地調査結果と統合し、日本社会に適した多様性教育コンテンツを開発する。その後、このコンテンツによる多様性教育の研修会を実施し、境界線の指標を含めた尺度を使いその評価を行う。

4 0 0 0 OA 軍馬の譜

著者
水木荘也 著
出版者
田中宋栄堂
巻号頁・発行日
1943
著者
水木 伸明 水野 渡 川口 清司
出版者
一般社団法人 産業応用工学会
雑誌
産業応用工学会論文誌 (ISSN:2189373X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.102-108, 2020 (Released:2020-03-15)
参考文献数
8
被引用文献数
1

This R&D aims to collect and separate aluminum-containing waste materials (general waists and industry waists), and recover highly-pure aluminum by the efficient dry distillation process. By using the cartridge system (containing the aluminum and reactant), hydrogen energy is generated for variety of applications. This system contributes the improvement of aluminum material flow and provides low-carbon solutions. In this paper, relation between concentration of NaOH and hydrogen generation rate was researched. It was found that 4% NaOH was optimum for hydrogen generation rate. Moreover the effect of inorganic salts on hydrogen generation was researched. As for the result, it was clarified that reaction liquid with FeSO4 could promote hydrogen generation.
著者
水木 麻衣子 高橋 都 甲斐 一郎
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.222-231, 2010 (Released:2011-09-14)
参考文献数
71
被引用文献数
1

看護師の役割拡大に対する認識は立場によって異なり,関係者間でコンセンサスが得られにくいため潜在的な問題を把握できないまま政策課題の設定がなされる可能性がある.本研究では,看護師の処方権導入にあたり利害関係者間の問題を明らかにするために文献研究を行った.その結果,処方権をもつ看護師と利害関係者間には認識の「ずれ」があり,処方権をもつ看護師の処方実践の障害になっていること,「ずれ」を調整する仕組みがないことがわかった.
著者
水木 敬明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.472, pp.179-186, 2015-02-23

裏面が同一の模様のカードを何枚か用いると,安全な計算(Secure Multi-Party Computation)を実現できることが知られており,現在まで数多くのカードベース暗号プロトコルが考案されている.ほとんどの既存プロトコルは,表面についても同一の模様のカードを複数枚必要とするため,残念ながら市販のトランプカードをそのまま利用することは出来ない.ただしその例外として,1999年のNiemi-Renvallのプロトコルがあり,これは市販トランプカードで実行できる.本稿では,このような市販トランプカードを用いたプロトコルの改良に取り組み,効率的なANDプロトコル,XORプロトコル,及びコピープロトコルを提案する.
著者
小林 瑞樹 林 優一 本間 尚文 水木 敬明 青木 孝文 曽根 秀昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.266, pp.11-15, 2014-10-16

これまで意図的な電磁妨害については,注入する妨害波の周波数とその強度のみに着目しており,妨害波を注入するタイミングについては十分な検討が行われていない.これに対し,本稿では,タイミングを制御した数V程度の妨害波を注入し,機器内部で特定処理が実行されたタイミングで電磁妨害を行った場合,機器に発生する故障について検討する.本検討では,機器の内部で実行される処理として暗号処理に着目し,その処理に応じて機器外部に伝搬するコモンモード電流を観測することで妨害電磁波を印加するタイミングを取得し,これを基に数百MHz程度の正弦波を数V程度の強度で電源ケーブル上に印加する.実験では,評価対象機器の内部に実装された暗号モジュールにおいて暗号処理を実行し,機器に接続された電源ケーブルから暗号処理に応じて発生するコモンモード電流をカレントプローブにより観測する.この様にして得られたコモンモード電流をトリガ信号として用い,妨害波を注入するタイミングを制御する.上述の手法を用いて意図的な電磁妨害を行った結果,暗号処理が実行されるタイミングにおいて高い確率で故障が発生することを確認した.また,故障により生ずる誤り出力から,暗号化に用いる秘密鍵が漏えいすることも確認した.
著者
荒川 陽平 水木 和成 岩淵 将俊 住谷 秀保
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
茨城講演会講演論文集 2010.18 (ISSN:24242683)
巻号頁・発行日
pp.127-128, 2010-08-27 (Released:2017-06-19)

The 1/f fluctuations are observed in many healing effects. However, it is still under consideration process as if the 1/f fluctuations induces healing. This study analyzes natural wave sound that is considered giving the healing effects, finds the existence of fluctuations similarity between time domain and frequency domain of natural sound. It proposes two types of method as the algorithm to replicate healing sound for the premise to generate pseudo natural sound as the vibro stimulation. One is the method to recomposite the maximum energy components of power spectrum. The other is the method to adopt fluctuations similarity between time domain and frequency domain.
著者
楊 水木 藤田 雅章 乗松 敏晴 鈴木 良平
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.1182-1183, 1984-06-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
2

A 37 years old female ruptured the plantar fascia of the foot without associated injury to the achilles tendon while she was under a low posture with the knee flexed, ankle plantar flexed and MP joint dorsiflexed during badminton play.It can be considered that the rupture was brought out by the Windlass Action of the plantar fascia due to extreme dorsiflexion of the MP joint. A surgical primary suture was performed with an excellent result.
著者
千葉 敦子 石田 賢哉 大西 基喜 メリッサ 小笠原 木村 美穂子 宮川 隆美 水木 希 澤谷 悦子 梅庭 牧子 奥村 智子
出版者
日本ヒューマンケア科学学会
雑誌
日本ヒューマンケア科学会誌 (ISSN:18826962)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-17, 2018 (Released:2022-02-02)
参考文献数
11

保健協力員は市町村長の委嘱を受けて地域住民の健康づくり活動を行う住民組織集団であり、青森県では短命県返上に向けてその活動が期待されている。しかし、保健協力員は担い手不足による固定化や高齢化が課題とされており、活動の活性化に向けた方策が求められている。活動を活性化するためには保健協力員の集団特性を把握し、組織特性に応じた支援の方向性を検討する必要がある。そこで、本研究ではA保健所管内の保健協力員と一般地域住民のヘルスリテラシーおよび主観的健康感を比較し、保健協力員の集団特性に応じた組織支援の示唆を得ることを目的に横断調査を実施した。その結果、ヘルスリテラシーでは「情報を理解し人に伝えることができる」の項目が、保健協力員の方が一般地域住民より有意に高いという結果であった。また、健康状態を示す主観的健康感が、保健協力員の方が一般地域住民より有意に高いという結果であった。