著者
小川 郁 神崎 仁 小川 茂雄 土橋 信明 井上 泰宏 山本 美奈子 池田 俊也
出版者
日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.1-8, 1991
被引用文献数
7

For the purpose of clarifying the clinical features of perilymphatic fistula, we investigated the clinical symptoms, tests results and therapeutic results in 24 recent patients with perilymphatic fistula. The inducing factors of perilymphatic fistula, such as blowing the nose, landing in an airplane or diving were found in about half of the patients, while, the other patients had no inducing factors. Hearing loss was the most common symptom, which occurred suddenly in most patients. There was no characteristic tinnitus of the perilymphatic fistula. Pop sound and tinnitus expressed as a stream were observed in only 10% of the patients. Audiogram showed profound deafness in many patients and the configuration of audiogram varied from patient to patient. Positional nystagmus was observed in 33.3% of the patients. Fistula sign was also observed in 50% of the patients. Perilymphatic fistula was commonly found in the round window. Hearing was improved in 5 patients (20.8%) postoperatively. Tinnitus was improved in 7 out of 22 patients (31.8%), and blocked sensation in the ear was improved in 5 out of 14 patients (35.7%). Vertigo or disequilibrium was diminished in 18 out of 21 patients (85.8%). From these results, we contemplated the diagnostic and therapeutic problems in perilymphatic fistula.
著者
瀬戸 僚馬 若林 進 石神 久美子 瀬戸 加奈子 池田 俊也 武藤 正樹 開原 成允
出版者
一般社団法人 日本医療情報学会
雑誌
医療情報学 (ISSN:02898055)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.31-36, 2009 (Released:2015-03-06)
参考文献数
6

医師と医療関係職種等との役割分担を推進するための処方オーダリングシステムの代行入力について現状を概観するため,質問紙調査を行った.調査票は,2009年4月1日時点でDPCが適用されている1,052病院の薬剤部長あてに送付した.回答が得られた457病院のうち,処方オーダを導入率している404病院を分析対象とした. 医師が入力する処方オーダに関して,代行入力は一切行っていないと回答したのは260病院(64.6%)であり,何らかの方法で代行入力を行っている病院が144病院(35.4%)にのぼった.代行入力者は,薬剤師・看護師のような医療関係職種の場合も,事務職員の場合もみられた.代行入力には,口頭や書面による医師の指示をそのまま入力するものと,医療関係職種の臨床判断を必要とする事例がみられた. これらの代行入力内容は事務職員と医療関係職種とで混在しており,役割分担通知の趣旨を踏まえて再整理する必要性が示唆された.
著者
守殿 貞夫 松島 敏春 岡本 了一 青木 信樹 小田切 繁樹 荒川 創一 相川 直樹 岩田 敏 坂巻 弘之 石田 直文 池田 俊也 矢島 秀一 池上 直己 森 和彦 紺野 昌俊
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
日本化学療法学会雑誌 (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.517-553, 2002-08-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
28

過去5年間に当院で入院治療を行った市中肺炎, 院内肺炎の経験をふまえて, 呼吸器感染症 (肺炎) に対する抗菌薬治験の進め方について発表し, 以下の結論を得た。80歳以上の高齢者および重症感染症に対する抗菌薬の治験はまったく実施されていないといえるが, もっとも抗菌薬が必要とされる対象であり, 有効性安全性の検討が第III相までにある程度なされるべきであろう。市中肺炎のみの臨床治験の実施で薬剤が製造承認され, 院内肺炎に対して使用されている。院内肺炎に対する臨床治験も今後必要となろう。内服βラクタム薬の投与量は体内動態, ブレイクポイントMICなどを考慮し再考を要する。
著者
池田 俊也 小林 美亜
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.167-180, 2007
被引用文献数
5

2003年度より特定機能病院等82病院に,診断群分類 (DPC; Diagnosis-procedure combination) に基づく包括支払い方式が導入され,2007年度には360病院に達している。包括支払いの対象となる医療機関では,包括範囲に含まれる薬剤・検査等のコスト適正化が経営上の重要な課題である。本研究では,DPCによる包括支払い導入前後における診療内容の変化について検討を行った。<br> 対象は,2006年4月よりDPCによる包括支払いを導入し,DPCデータ分析ソフト「ヒラソル」を採用している施設で,人工関節再置換術実施患者,ステント術実施患者とした。分析は,包括支払い導入前の2005年度と導入後の2006年度における平均在院日数,術前・術後日数,注射・検査・画像に関する出来高ベースでの請求額,典型的な診療パターンについて行った。その結果,包括支払いの導入に伴い,在院日数の短縮や包括範囲に含まれる医療行為の資源消費量の減少が認められた。<br> 但し,本研究の対象施設は,DPCデータ分析ソフトを導入していることから経営に対する意識が高いものと推察され,他の包括支払い導入施設においても同様のことが観察されるかは不明である。また,本研究では外来部門に関するデータは分析対象となっていないため,入院中に減少した医療行為の資源量が外来に移行しているかは明らかではないことから,外来を含めた1エピソード単位での医療資源消費量の分析が今後の課題である。
著者
清水 久範 池田 俊也 坂巻 弘之 矢島 秀一 池上 直己 村山 純一郎
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.153-162, 2015-03-10 (Released:2016-03-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

To evaluate the economic impact of regimens including the oral anticancer drug S-1 (a combination of tegafur, gimeracil, and oteracil), we performed cost-minimization analysis to compare the medical costs of S-1 plus irinotecan (IRIS) with those of conventional intravenous treatment with oxaliplatin or irinotecan plus fluorouracil and folinic acid (mFOLFOX6/FOLFIRI) in patients with advanced colorectal cancer. Patients with advanced colorectal cancer were extracted from the ordering system database for outpatients in Showa University Hospital. Direct medical costs and patients' time-related costs were calculated from the hospital billing data and the average Japanese labor wage, respectively. The results were analyzed from a limited societal perspective. Twenty-nine patients with advanced colorectal cancer were identified, and 25 IRIS regimens, 11 mFOLFOX6 regimens, and 5 FOLFIRI regimens were registered. Mean (± SE) monthly costs of treatment were 183,682 (± 4,767) yen for IRIS regimens and 279,077(± 13,345) yen for mFOLFOX6/FOLFIRI regimens. The monthly cost of IRIS regimens was significantly lower than that of mFOLFOX6/FOLFIRI regimens (P < 0.0001). IRIS regimens are cost-saving compared to mFOLFOX6 or FOLFIRI regimens for the management of advanced colorectal cancer.
著者
池田 俊也 小林 慎
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.521-525, 2008-03-01 (Released:2011-03-14)
参考文献数
15

60歳男性の高コレステロール血症患者 (HL患者) の予後に関するマルコフモデルを構築し、一般的なHL患者と重症HL患者の2種類の患者に対する複数のHMG-CoA還元酵素阻害剤 (スタチン) 治療の費用対効果を評価した。一般的なHL患者に対するスタチンは、ロスバスタチン2.5mg/日、アトルバスタチン10mg/日、ピタバスタチン2mg/日、プラバスタチン10mg/日を分析対象とした。重症HL患者に対しては、ロスバスタチン5mg/日、アトルバスタチン20mg/日、ピタバスタチン4mg/日を分析対象とした。分析は、支払い者の立場で実施し、医療費と質調整生存年を推計した。一般的なHL患者を対象とした場合の質調整生存年は、アトルバスタチンが最も大きかったが、ロスバスタチンに対するアトルバスタチンの増分費用対効果比は11億円と非常に高額であった。重症HL患者を対象とした場合は、ロスバスタチンは他の2つの薬剤よりも費用が小さく、かっ質調整生存年が大きかった。一般的なHL患者及び重症HL患者ともに、費用対効果の観点からは、ロスバスタチンが最も好ましい薬物療法であると評価された。
著者
下妻 晃二郎 能登 真一 齋藤 信也 五十嵐 中 白岩 健 福田 敬 坂巻 弘之 石田 博 後藤 玲子 児玉 聡 赤沢 学 池田 俊也 國澤 進 田倉 智之 冨田 奈穂子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

経済状況の低迷が続く多くの先進国においては、公的医療資源の適切な配分は、費用対効果などの合理的な社会的価値判断に基づいて行われている。日本では従来そのような仕組みがなかったが、2016年度から、高額な医療用製品を対象に政策への施行的導入が予定されている。本研究では費用対効果分析による効率性の向上にむけて技術的課題の解決を図り、同時に、効率性の追求だけでは疎かになりがちな公平性の確保を図るために考慮すべき、倫理社会的要素の明確化とそれを政策において考慮する仕組み作りを検討した。
著者
池田 俊也
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.48, no.5, pp.353-358, 2003-05-01
参考文献数
6

複数の医療技術について,その費用と効果の比較を行う医療経済評価では,モデル分析が必要となる場合が多い.なぜなら,対象としている医療技術が健康結果や資源消費に影響を及ぼす期間が長期にわたる場合には,期間全体でかかる費用とその効果を実際に測定することが困難であり,シミュレーションなどによる分析が必要とされるからである.本稿では,医療経済評価におけるモデル分析の必要性とその種類について概説し,さらに糖尿病を例に医療経済評価のためのリスクシミュレーションモデルを取り上げる.