著者
鍵 直樹 柳 宇 池田 耕一 西村 直也 吉野 博 小畑 美知夫 齋藤 秀樹 齋藤 敬子 鎌倉 良太
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.33, no.137, pp.39-46, 2008-08-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
15
被引用文献数
4

本研究では医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とし,本報では16病院において冬期と夏期の不特定多数の人が使用する外来待合室,特定建築物と同様の形態の事務室および病室について,建築物衛生法による空気環境法定測定に準じた空気質の基礎的な実態調査を行った。結果としては,冬期における各部屋の低湿度であり,外来待合および事務室など在室者の多い場所では二酸化炭素濃度が建築物衛生法の環境衛生基準を超過していた。低湿度については加湿器の停止,加湿能力の不足,室内温度が設計温度より高く設定されていることなどが考えられ,また二酸化炭素濃度の超過については,換気能力に対して在室者数が多いためであった。適切に運用するためには,空気環境について定期的に監視することが有効であると考えられる。
著者
大澤 元毅 池田 耕一 林 基哉 桑沢 保夫 真鍋 純 中林 由行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.68, no.566, pp.65-71, 2003-04-30 (Released:2016-12-28)
参考文献数
17
被引用文献数
4 5

The purpose of this research is to know the present status of the indoor air chemical pollution by VOCs in Japanese houses in 2000. The concentrations of formaldehyde, toluene, xylene and ethylbenzene were measured in five thousand houses, and the following results were obtained. 1) In 27.3% of surveyed houses, the indoor concentrations of formaldehyde exceeded the guideline established by the Ministry of health, labor and welfare of Japanese Government. And those of toluene, xylene and ethylbenzene were 12.3, 0.013 and 0% respectively. 2) The formaldehyde concentrations correlated well to the indoor temperatures. 3) The averages of the formaldehyde concentrations in houses according to the age of year after construction were analyzed, and the concentration in houses built after 1997 was lower than that in 1996, which showed the highest value.
著者
長谷川 兼一 吉野 博 池田 耕一 柳 宇 熊谷 一清 三田村 輝章
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.345-357, 2009 (Released:2018-01-31)

児童のアレルギー性疾患の有症率が全国的に上昇していることを背景に,居住環境との関連性を明らかにするために,疫学的な調査デザインを行い,全国規模の調査を実施した。その結果,(1)全国的にアレルギー性疾患の有病率は高く50%前後であり,特に,アレルギー性鼻炎の有病率が最も高いこと,(2)アレルギー性疾患の原因として花粉,ダニ,ハウスダストの割合が高いこと,(3)児童のアレルギー性症状は室内環境要因に関連があり,特に,湿気が多い状態(ダンプネス)と各症状とに有意な関連性が示され,結露やカビの発生が結果として児童のアレルギー性疾患の発症に影響している可能性があること,などがわかった。
著者
吉野 博 村上 周三 赤林 伸一 倉渕 隆 加藤 信介 田辺 新一 池田 耕一 大澤 元毅 澤地 孝男 福島 明 足立 真弓
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.10, no.19, pp.189-192, 2004-06-20 (Released:2017-04-14)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

The purpose of this survey is to clarify the status of standards on ventilation requirements for residential buildings in European and North American countries. This paper reports the minimum ventilation rate for the residential buildings in eleven countries which are described in the literatures. The airflow rate and air change rate are calculated for a model house proposed by The Architectural Institute of Japan. As a result, the values of air change rate is around 0.5 ACH in almost all countries.
著者
榎本 ヒカル 澤田 晋一 安田 彰典 岡 龍雄 東郷 史治 上野 哲 池田 耕一
出版者
独立行政法人 労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.7-13, 2011 (Released:2011-09-30)
参考文献数
17
被引用文献数
4 2

熱中症予防のためには水分摂取が重要であることが指摘されているが,その水分補給量の目安は明確に定められてはいない.そこで,ISO7933に採用されている暑熱暴露時の暑熱負担予測のための数値モデルであるPredicted Heat Strain(PHS)モデルに着目し,暑熱環境における水分補給量の違いが人体に与える影響を検討し,PHSモデルから算出される水分補給量の妥当性を検証した.健常な青年男性8名を被験者とし人工気象室を用いて水分摂取条件を3水準(無飲水,PHSモデルによる飲水,ACGIHガイドラインに基づく飲水),運動条件を2水準(座位,トレッドミル歩行)設定し,生理的指標として皮膚温・体内温(直腸温,耳内温),体重,指先血中ヘモグロビン濃度,心電図,血圧・脈拍数,視覚反応時間,心理的指標として温冷感に関する主観的申告,疲労に関する自覚症しらべを測定した.その結果,暑熱環境での作業時には飲水しないよりも飲水するほうが体温や心拍数が上昇しにくく,生理的暑熱負担が軽減されることが示唆された.また,PHSモデルによる体内温と体重の変化量の予測値と本研究での実測値を比較したところ,PHSモデルは作業時の水分補給の目安の一つになりうることが明らかになった.
著者
池田 耕一
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.5-13, 2000-03-20 (Released:2009-04-14)
参考文献数
19
著者
吉野 博 中村 安季 池田 耕一 野崎 淳夫 角田 和彦 北條 祥子 天野 健太郎 石川 哲
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.641, pp.803-809, 2009-07-30 (Released:2010-01-18)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

In order to make clear the relationship the chemical substances concentration and symptom of sick house syndrome, an investigation of 62 houses in Japan has been done for 9 years. The results showed that the indoor air of many sick houses was polluted with high carbonyl compounds and Volatile Organic Compounds (VOC) concentrations exceeded the criterions of Japan Standard. In addition, high concentration was found not only in the houses which were just built or renovated, but also in the houses with well-air-tightened and low air change rate.
著者
西村 直也 柳 宇 鍵 直樹 池田 耕一 吉野 博 斉藤 秀樹 斉藤 敬子 鎌倉 良太 小畑 美知夫
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会 論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.175, pp.1-8, 2011-10-05 (Released:2017-09-05)
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究は医療施設における室内空気環境の維持管理のあり方について検討することを目的とする。第1報では調査の詳細および冬期、夏期における計18件の病院の外来待合室、事務室および病室に対する建築物衛生法の測定方法に準じた空気質の実測調査結果を示した。また第2報では浮遊微生物濃度の実態を明らかにした。第1、2報では建築物衛生法の環境基準値およびHEAS指針値を超過する室が多く見られ、適切に運用するためには、空気環境について定期的に監視することが有効であるという見解が得られた。本報では、温熱環境、空気質について連続測定や定量分析を行うことによって、より詳細に実態の解析を行った。その結果、室によっては温熱環境の日中変動が大きいこと、室内の浮遊粉じん濃度が外気の濃度に大きく影響を受けていること、VOC類の濃度は概ね低く抑えられているものの、DEGEEやカンファーなどが特徴的に検出されることなどを確認した。
著者
柳 宇 鍵 直樹 池田 耕一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.75, no.654, pp.721-726, 2010-08-30 (Released:2010-10-08)
参考文献数
14

The “Law for Maintenance of Sanitary Environment in Buildings (established in 1970)” was revised in 2002. According to the revision, individual air-conditioning system was set as the object of the law. However, since it was the outside for the way until now, the actual status of the microbial contamination in an individual air-conditioning system is not known well. In this study, an office building with an individual air-conditioning system, in which occupants' complain on mould smell, was select to the measurement object. As a result of performing the detailed survey and questionnaire on microbial contamination, it became clear that the "mould smelly" was caused by the fungi in a humidifier.
著者
松村 博志 早川 眞 蜂巣 浩生 池田 耕一
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
学術講演会論文集
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.2267-2270, 2009-08-18

A tall complex building including office, hotel and conference room where international conference will be held has been scarcely built. And cold heat source consumption rates in each facility, especially in conference rooms in like thus complex building are not easily available. The authors have collected and analyzed operational data through BEMS (Building Energy Management System) for 2 years after completion. As the results, comparing the ratio of floor areas of facilities, cold heat source consumption rate at office is small. The conference area consumption of cold heat source unit floor area is so large.
著者
輿水 ヒカル 栃原 裕士 東 賢一 池田 耕一
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.30, pp.283-286, 2006-12-01

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境およびその勤務者による評価を明らかにするために、実測調査およびアンケート調査を行った。調査は2005年9月中旬に行われ、調査対象は、東京都千代田区にあるオフィスビルであった。建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い、併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった。その結果は、今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下で、湿度や平均放射温度等も比較的良好であった。勤務者の着衣状況は、ほぼ全員が軽装で、男性はジャケット着用者はおらず、ネクタイ着用率は1害1幅渡であった。勤務者による温熱環境の評価は、女性はおおむね満足度が高いが、男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった。着衣や代謝量、冷房に対する体質の違い等に起因すると考えられる。
著者
榎本 ヒカル 池田 耕一 東 賢一 栃原 裕
出版者
National Institute of Occupational Safety and Health
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.5-10, 2009
被引用文献数
1 10

夏期における「クールビズ」実施オフィスの温熱環境条件およびその勤務者による性差を中心とした温熱環境評価の違いを明らかにするために,実測調査およびアンケート調査を行った.調査は2005年9月中旬に行われ,調査対象は東京都千代田区にあるオフィスビル及びその勤務者のべ84名であった.建物7階の執務室にて温熱環境条件の測定を行い,併せてそこで働く人を対象に着衣状況や主観的申告をアンケート形式で回答してもらった.その結果,今回測定されたオフィスにおける室温はおおむね28℃以下であった.勤務者の着衣状況はほぼ全員が軽装で,男性はジャケット着用者はおらず,ネクタイ着用率は1割程度であった.勤務者による温熱環境の評価については,女性はおおむね満足度が高いが男性は「快適」な人から「暑くて不快」な人まで様々であった.これは男女の着衣や代謝量,冷房に対する体質の違いに主として起因すると考えられる.また気温28℃におけるより快適な環境条件としてPMV=0.5となる条件の提言を行った.
著者
東 賢一 内山 巌雄 池田 耕一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.70, no.597, pp.89-96, 2005
被引用文献数
1 4

We studied the historical perspectives and social or political backgrounds to define the regulation for indoor air quality (IAQ) in residential environment in 29 foreign countries. In contrast to the indoor air in occupational environment, there are multiple low concentration chemicals in residential environments. Therefore, the fundamental concept of approaches to preserve a good IAQ is non-regulatory strategies by IAQ information, e.g., guideline values, labeling systems or documents. In addition, the indoor air pollutants that were caused the serious public health effects and extensively used in residential environment, have been enforced the restriction of the emission rate or banning the use of the emitting materials. The indoor air quality guidelines were established in 13 countries or states. These guidelines were based on each original situation or strategies, e.g., indoor air pollutions, lifestyle, climates or policies. Especially, the guideline values with two or three classifications with the aim of precaution for vulnerable groups to indoor air pollutants, or people with allergies or respiratory illnesses, were established in Germany or the Republic of Finland.
著者
吉野 博 長谷川 兼一 岩前 篤 柳 宇 伊藤 一秀 三田村 輝章 野崎 淳夫 池田 耕一 岸 玲子 持田 灯
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ダンプビルの原因となる高湿度環境を解決するための最適設計法・住まい方の提案に資する資料を構築することを目的とする。そのために、住宅のダンプビル問題の実態を全国的規模で把握し、居住環境と居住者の健康状態との関連性を統計的に明らかにした。また、室内の湿度変動を安定させる機能をもった様々な多孔質の建材(調湿建材)等の高湿度環境緩和技術の使用効果について、実測やシミュレーションを用いた評価を行った。