著者
大倉 俊 長 優子 河野 由子 今泉 久仁子 河崎 靖範 槌田 義美 池田 啓一
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3071-A3P3071, 2009

【目的】当院は脳性麻痺児に対し、整形外科的選択的痙性コントロール手術(OSSCS)を施行している.術後リハビリテーション(リハ)の経験から、当院における術後リハの現状を調査したので若干の考察を加えて報告する.<BR>【対象】2007年4月から2008年3月の間に当院にてOSSCSを施行した脳性麻痺児で、術後リハを実施した35名(年齢8.6±5.4歳、男児27名、女児8名、県内在住10名、九州内在住21名、九州外在住4名)を対象とした.<BR>【方法】手術の目的別に、歩容改善群21名(A群)、疼痛の緩和・股関節脱臼などの二次障害改善群9名(B群)、運動機能向上群5名(C群)の3群に分類し、それぞれの群において粗大運動能力分類システム(GMFCS)、年齢、入院期間、術後の変化を後方視的に調査した.<BR>【倫理的配慮】本研究はデータ抽出後、集計した後は個人情報を除去し、施設内の倫理委員会の審査を経て承諾を得た.<BR>【結果】A群はGMFCSIレベル13名、IIレベル7名、IIIレベル1名、年齢10.6±5.7歳、入院期間27.2±15.6日、術後の変化として股関節内転・内旋歩行が改善した、内反尖足歩行から足底接地歩行が可能となった、結果的に足底接地できたことで装具なしでの歩行が可能となったことが挙げられた.B群はGMFCSVレベル9名、年齢4.4±2.9歳、入院期間11±2.9日、術後の変化として痛みが和らいだ、自発運動が多くなった、脱臼が改善した、介助量が軽減したことが挙げられた.C群はGMFCSIIIレベル5名、年齢7.4±1.7歳、入院期間21±9.5日、術後の変化として座位が安定し座位保持時間が長くなった、立位姿勢が改善し耐久性が向上した、伝い歩きが数歩可能となったことが挙げられた.<BR>【考察】A群はGMFCSが高く、年齢が学童期から青年期であることからリハに必要な期間の入院が可能であり、入院期間内で歩容改善という目的がおおむね達成できたと思われた.しかしB群、C群では遠方からの入院や家族の事情のために早期退院が多く、退院後も病院・施設または家庭でリハを継続する必要があった.そのため、手術内容や手術による影響などを含めた細かな情報提供書、継続して行ってもらえる分かりやすい家族指導が重要になると考えられた.今後は入院中の変化を客観的に評価し、退院後の長期的な変化を検討することが課題であると思われた.
著者
池田 隆博 佐田 達典
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_101-I_116, 2012 (Released:2013-03-29)
参考文献数
9

衛星測位分野では現在GPSの利用が主流であるが,近年GLONASSなどの利用可能な衛星が増加しており,複数衛星系による併用測位が今後一般的になるものと想定される.また,衛星数が増加することで,マルチパス等の誤差を含む衛星電波を排除しても,測位に必要な衛星数を確保できるようになったため,事前に衛星電波の状態を把握し測位に使用する衛星を選択することが求められる.本研究では,マルチパスの影響を受ける衛星電波を判別するため,衛星の搬送波の距離変化を使用して判別を行い,それをもとに測位に利用する衛星を選択し測位性能の検証を行った.その結果,搬送波の距離変化を用いることで,マルチパスの影響を受ける衛星電波の判別が可能であること,利用衛星を選択することで,Fix解の取得率が増加し,解の欠損を生じることなく測位できることが確認された.
著者
池田 信太朗
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1369, pp.48-53, 2006-12-04

10年余り前、外食、小売りなどのチェーン各社が熱い視線を送った地域がある。国道16号の沿線だ。国道16号は東京23区を取り囲むように、神奈川県、東京都西部、埼玉県、千葉県を貫く環状線。都心から直線距離で30〜40kmの郊外を一周する。その沿線に、いわゆる団塊世代が1970年代以降、戸建て住宅を構えベッドタウンを形成した。
著者
池田 正幸 中村 常郎
出版者
The Japan Society for Precision Engineering
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.32, no.379, pp.539-544, 1966

In this report, frequency analysis on some lapped surface roughness are made. The profiles of turning specimens recorded on a magnetic tape are obtained using the stereo type pick-up which is rewired so as to measure the vertical displacement of its stylus.<BR>The conclusions obtained are as follows;……<BR>1) When logarithmic plot of frequency is taken on the axis of abscissa, frequency analysis curves of lapped surface roughness, that are called spectrum curves, show the Gaussian distribution approximately.<BR>This fact concurs with some results of other investigations on periodicity of lapped surface roughness<BR>2) The frequency corresponding to the peak position of Gaussian curves is considered to be the mean frequency.<BR>3) A constant functional relation between the output voltage at the mean frequency and the center line average roughness is derived.
著者
西木 忠一 池田 良子 ニシキ タダカズ イケダ リョウコ Tadakazu NISHIKI Nagako IKEDA
雑誌
大阪樟蔭女子大学学芸学部論集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.232-223, 2002-03-06

平安末期または鎌倉初期に,『源氏物語』愛読者により,「夢の浮橋」の巻後日譚として創作されたのが,「山路の露」である。文章は至って流麗。『源氏物語』に精通した読者の筆になる作品であって,近時「世尊寺伊行」の女「建礼門院右京大夫」を,その作者とする説が提出されている。本注釈は流布本(『続群書類従』物語部所収)を底本にし,「補記」の頂にいささか重みを置いた。本稿に収めた各段の梗概は次ぎのごとくである。髪をおろした浮舟を前に,乳母子の右近は胸のうちを涙ながらに語り,いかなる折にも,決して姫君に遅れまいと心にきめていたものをと,尽きることのない深い悲しみに泣きくずれるのであった(二十八 五重)。右近から薫の愛情の深さに聞くにつけ,浮舟は薫・匂宮という二人の男性の間をゆれ動いたわが心のうちを思い見,これも前世からの報いであったのだと,しみじみ悟るのである(二十九 人目)。いよいよ下山するに至って,浮舟の母は娘を都に連れて帰ろうと言う。だが,浮舟は今更の思いがして帰京の話にのって来ない(三十 客人)。
著者
大平 哲也 池田 裕二 中島 健
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.60, no.574, pp.2223-2228, 1994-06-25
被引用文献数
1

Cyclic variations of CO and CO_2 emission were investigated in relation to in-cylinder pressure in a small two-stroke engine. High-speed exhaust gas sampling of 200 Hz was carried out at the exhaust port. The results obtained show that the time resolution of gas sampling was insufficient to account for the cycle-resolved fluctuations observed, but was sufficient to show cyclic variation of emissions. The concentrations of CO and CO_2 were measured with regard to the in-cylinder pressure and IMEP. The misfiring effect was examined from the time variations of CO and CO_2 concentrations. The cyclic variation of the ratio of CO to CO_2 and IMEP showed the same periodic pattern under light load condition.
著者
冨岡 大悟 池田 立野 西崎 真也
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.3_66-3_84, 2006 (Released:2006-09-30)

通信プロトコルの安全性,特に認証プロトコルにおける認証の正当性に関する研究は,AbadiやGordonによるspi計算(secure pi-calculus)などをはじめとして,近年さかんに行なわれている.プロトコルにおける安全性は,認証の正当性や機密性などの他に,最近では,サービス不能攻撃(Denial-of-Service attack)耐性が重要視される.もっとも典型的な攻撃例としては,TCPの3ウェイハンドシェイクにおけるSYNあふれ攻撃(SYN-flooding attack)が知られている.プロトコルのサービス不能攻撃耐性を形式的に扱う枠組みとしては,メドーズらにより提唱された,コスト情報を付記したアリス・ボブ記法があった.この他に,最近,冨岡らにより提唱されたspice計算[13]がある.spice計算は,spi計算を拡張したもので,プロセスの計算における計算コストが,サーバーやクライアントの計算機において,どのように費されるかを明示的に表現できるように,システムにおける計算機構成を型として形式化した.そして,書き換えスタイルの操作的意味論があたえられており,プロセスに対する型付けの情報を利用することにより,計算の進行における計算コストを区別するようになっている.記憶コストは,サービス不能攻撃耐性を測る場合,各種の計算コストのうちで最も重要となるのだが,spice計算では,記憶領域の解放を明示的に行なうようにした.本研究では,従来のspice計算における型体系と操作的意味論を,計算機ごとの記憶コストの見積りに併せて,記憶領域の解放に関する正当性を保証するように,改良した.また,SYNあふれ攻撃とその防御策であるSYNクッキーが形式化できることを適用例として紹介する.
著者
池田 英喜
出版者
新潟大学国際センター
雑誌
新潟大学国際センター紀要 (ISSN:13461583)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.31-48, 2007-03

日本事情科目については、以前から複数の教員から実施についての疑問の声が上がっていた。その声は、例えば「学生にとって本当に有益な科目の提供ができているか」「あるいは「学生が本当に授業を理解しているか」というものであった。国際センターでは日本事情科目の管理運営を任されているという立場から、こういった科目の具体的な見直しを図るために、授業担当教員からの声を集めることにした。This is a Report of the Survey on the NIHONJIJYO subjects which have been held every year to help undergraduate foreign students to understand what is now going on in Japan and what they should know about very basic social, legal and scientific history of Japan. I did this survey because I heard some complaints about those subjects from some lecturers in charge of them and also because at ISC we agreed that it is time to renew those subjects into more effective ones.
著者
池田 嘉一郎
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.32, no.371, pp.646-666, 1920-12-31

(一)所謂人乳中毒症ニ於ケル精紳症状ハ、輕症ナルモノニ於テハ、一過性ノ興奮性充進竝ニ嗜眠状態ヲ呈スルニ過ギザルモ、重症ナルモノニ於テハ、更ニ進ミテ意識溷濁乃至無慾状顔貌ヲ呈シ、周圍ノ事情ニ對スル識別力ヲ失ヒ笑ハズ泣カズ、眼付曇ヨリシ、時トシテ舞踏病樣不隨意運動乃至不明ノ言ラ發ス、カク特異ナル精紳症状ヲ呈スルハ神經申樞ニ何等カノ病變ノ存スルモノト考ヘザルベカラズ、余ハカカル患者ニ遭遇スル毎ニ勉メテ腰椎穿刺ヲ行ヒ腦脊髓液ノ性状ヲ檢シタルニ、ソノ外觀、比重、糖反應、蛋白量、蜘蛛網状物形成ノ有無等ノ關係ハ、多クハ健康者ノモノト差異ヲ認ムルコト能ハザリシモ、「グロブリン」反應及ビ細胞數ニ於テ輕微ノ變化ノ存スルヲ認メタリ、即チ「グロブリン」反應中、ノンネーアツペルト氏反應竝ニパンヂー氏反應ハ多クハ陰性(時トシテ弱陽性ナルコトアリ)ナルモ野口氏反應ハ毎常弱陽性ヲ示セリ、而シテ淋巴球ノ數ハ通常ナルカ或ハ僅ニ増加セリ、即チ輕度ノ漿液性腦膜炎ノ腦脊髓液ニ相類似ス、カカル腦脊髓液ノ變化ハ唐澤博士ノ報告セル軟腦膜ニ於ケル解剖的變化ト相符合ス。(二)臨牀上ニ於ケル所謂人乳中毒症ト乳兒脚氣トノ主要ナル區別點ハ、伊東博士ニ依レバ血行器症状竝ニ精神症状ノ有無ニ存ス、然レドモ血行器症状ハ兩疾患ヲ鑑別スルニ向ツテ爾カク重要ナル資料トナスヲ得ズ、蓋シ血行器症状ハ乳兒脚氣ニ於ケル必要ナル症状ノ一ツナルモ而モ之ヲ伴ハザルモノ稀ナラズ、又所謂人乳中毒症ニ於テモ血行器症状ハ必ラズ缺如スベキモノニアラザルガ故ナリ、況ンヤ症例(三)ニ於ケルガ如ク、所謂人乳中毒症ニ於テ其ノ經渦中ニ突然衝心症状ヲ表ハシタル事實アルエ於テオヤ。精神症状ノ有無ニ至リテハ、吾人ハ兩疾患ニ於ケル最モ顯著ナル差異タルヲ是認セザルベカラズ、然レドモ大人脚氣ニ於テ稀ニ精神症状ヲ伴フコトアルコト竝ニ余ノ實驗例ノ如ク幼兒脚氣ニ於テ躁暴狂状乃至昏迷ヲ呈シ、而モ軟腦膜ノ病理解剖的所見ニ於テ所謂人乳中毒症ト殆ド同樣ナル病變ヲ呈セルコトアル事實ヨリ推考スル時ハ、乳兒脚氣ニアリテモ亦精神症状ノ表ハルルコトアリテ可ナル理ナリ。(三)所謂人乳中毒症ト母體脚氣トハ甚ダ密接ナル關係ヲ有スルハ余ノ統計的觀察ニ依リテ明カナリ、余ノ症例(四)及ピ(五)ハ正シクコノ事實ヲ立證セルモスト云フヲ得ベシ、即チ余ノ症例ハ哺乳ノ時期ヲ異ニスルモ、脚氣ヲ有スル同一母體ノ乳汁ヲ哺乳シタルニ依リテ、第四子ハ乳兒脚氣ヲ惹起シ、第五子ハ所謂人乳中毒症ヲ惹起セルモノトス、カカル事實ハ、所謂人乳中毒症ハ其ノ本態ニ於テ乳兒脚氣症ト同一ナルモノニアラズヤトノ疑念ヲ益々吾人ニ抱カシム。(四)以上ノ事實ヲ綜合スル時ハ、所謂人乳中毒症ハ其ノ本態ニ於テ乳兒脚氣ト同一上ニ立ツベキ疾患ニシテ、詳言セバ乳兒脚氣ノ一異型ト見做スベキモノナリト信ズ、余思ヘラク、乳兒脚氣ハ脚氣毒素ガ母體ノ乳汁ヲ介シテ小兒ニ移行スルニ依リテ起ル一種ノ中毒症ニ外ナラズ、而シテ臨牀上ニ於テ一方ニハ專ラ心臓機能ヲ障碍スル衝心型アリ又他方ニ血行器症状ヲ件ハズシテ専ラ末梢神經ヲ侵ス所ノ麻痺型ナルモノアリ、コレ等ノ事實ヨリ考フル時ハ脚氣毒素ガ主トシテ心臓ヲ侵ス時ハ衝心型トナリテ表ハレ、主トシテ末梢神經ヲ侵ス時ハ麻痺型トナリテ表ハレ、專ラ腦膜ヲ侵ス時ハ所謂人乳中毒症ノ型トナリテ表ハルルモノニアラザルカ、カカル關係ハカノ麻疹ノ例ニ於テ之ヲ見ル、即チ症状ノ劇烈ナルモノニ於テハ、多クハ肺炎ヲ合併シコレト同時ニ心臓衰弱ヲ招來スルモ、時トシテハ主トシテ中樞神經系統ニ障碍ヲ及ボシ、既ニ前驅期或ハ發疹期ノ初メニ於テ意識溷濁ヲ來シ遂ニ無慾状態ニ陷ルコトアリ、又恢復期ニ於テ稀ニ腦膜ヲ侵シ漿液性腦膜炎ヲ惹起スルモノアリ、是レ麻疹毒ハ時ニ主トシテ中樞神經系統ヲ侵スコトアルヲ意味スルモノニシテ、以上述ベタル余ノ乳兒脚氣ニ於ケル説明ト相符合スル點アルヲ以テ茲ニ之ヲ引用シタルニ過ギズ、カク觀察シ來ル時ハ精神症状ノ有無ハ敢テ問題トナスニ足ラザルナリ、余ハ所謂人乳中毒症ヲ乳兒脚氣腦型トナシ乳兒脚氣中ニ包括スルニ賛スル者ナリ。
著者
池田 修
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3-4, pp.121-160,198, 1968 (Released:2010-03-12)

It is well known that the study of Arabic was carried on concurrently in Basra and Kufa, towns founded immediately after the Islamic conquest of Iraq.The development of these two cities was quite different. Basra, situated on the right bank of the Satt Al-crab, became one of the centers of world trade and has maintained its important position to the present. Kufa, on the other hand, played a major role in state adminstration at first, but lost its importance after the foundantion of Baghdad.The study of the Arabic flourished first in Basra, then in Kufa. Because of the controversy between the two towns the rules of the language were made from different viewpoints.The auther's intention is to examine the literary works of some of the famous scholars, thereby elucidating the differences between the Basra and Kufa schools. He concludes that the Basrans thought more logically and critically than the Kufans, establishing rigid rules which did not make exceptions for individual peculiarities. They used the so-called “qiyas” (analogy) system more strictly than did the Kufans.Although the Kufans began their studies with the “shuyukh” (masters) of Basra, they were soon expounding veiws which, more archaic and more natural, approved the individual exceptional styls (“shudhudh”) as a basis (“usul”) for further analogies. They were, so to speak, anomalists, while the Basrans were analogists.When Baghdad become the new intellectual center the controversy between the Basra and Kufa schools become more and more attenuated, finally disappearing in the 10th century. The residents of Baghdad chose between the rival doctrines by using both of them indiscriminately, thus representing electicism in the history of Arabic studies.
著者
稲垣 具志 藤澤 正一郎 高橋 和哉 池田 典弘 竹内 聖人 荻野 弘
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.A_166-A_173, 2016-02-05 (Released:2016-02-05)
参考文献数
12

市街地での移動制約が著しく高い視覚障害者の交差点横断を支援するために,視覚障害者誘導用ブロック,音響式信号機,エスコートゾーン等の施設の普及が全国各地で進んでいる.一方,横断時の方向定位の手がかりとなるこれらの支援施設や歩車道境界部の縁石等の信頼度が横断場面によって異なる状況は,当事者にとってむしろストレスを助長する要因にほかならず改善が急務の課題である. 本稿では,視覚障害者の道路横断時のより正確な方向定位を促す手法の構築を目指し,横断歩道口の視覚障害者誘導用ブロック付近へ敷設する方向定位ブロックの提案を目的として,全盲者を対象とした歩行実験を実施した.実験参加者の主観評価のヒアリングならびに歩行・方向定位状況の観察に基づき,支援性を最大限に高めるための仕様要件と敷設方法を抽出するに至った.
著者
奥村 優子 池田 彩夏 小林 哲生 松田 昌史 板倉 昭二
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.201-211, 2016

<p>評判は,人間社会における利他行動の促進や社会秩序の維持に重要な役割を果たしている。評判を戦略的に獲得するために成人は"評判操作",つまり,他者に見られていることに敏感となり,他者の自分に対する印象や査定を操作する行動をとることが示されている。一方で,就学前の子どもにおいて,幼児が場面に応じてどのように評判操作をするのかは不明な点が多い。そこで本研究では,幼児の評判操作に関して2つの検証を行った。1点目は,5歳児が他者に観察されている場合に良い評判を得るように,また悪い評判を付与されないように評判操作をするかどうかであった。2点目は,5歳児が目のイラストのような他者を想起させる些細な刺激によって評判操作をするかどうかであった。研究1では,幼児が自分のシールを第三者に提供することで良い評判を得ようとするかを検討した結果,観察者,目の刺激,観察者なしの3条件で分配行動に有意な違いはみられなかった。研究2では,幼児が第三者のシールを取る行動を控えることにより悪い評判を持たれないようにするかを検討した結果,観察者条件では観察者なし条件に比べて奪取行動が減少した。一方,目の刺激条件と観察者なし条件とでは,行動に違いはみられなかった。これらの結果から,5歳児は悪い評判を持たれることに対して敏感であり,実在の他者から見られている際に戦略的に評判操作を行うことが示された。</p>