著者
神原 浩平 光山 和彦 中川 孝之 池田 哲臣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.188, pp.157-162, 2008-08-20
被引用文献数
8

800MHz帯FPU (Field Pick-up Unit)システムは,マラソン中継などの移動映像伝送に用いられている.現在,筆者らはより高画質で途切れにくい次世代システムを目指してMIMO伝送技術および誤り訂正技術の研究を行っている.LDPC符号はその高い誤り訂正能力から近年注目されており,中でもLDGM構造のLDPC符号を連接した直列連接LDGM (SCLDGM:Serially-Concatenated Low-Density Generator Manix)符号は,LDPC符号の短所である符号化演算量およびエラーフロアの両方を低減可能なため,大容量伝送で非常に低いビット誤り率が要求される次世代FPUシステムに適用可能である.本稿では,LDGM符号のLDGM部の列重み1の比率を可変する新しいLDGM構造を提案し,このLDGM構造を用いてSCLDGMに適した符号設計を行うことにより,既存のLDGM構造を用いたSCLDGMよりも優れた特性が得られることを示す.
著者
折原 貴道 池田 枝穂 大和 政秀 保坂 健太郎 前川 二太郎 岩瀬 剛二
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2009 (Released:2009-10-30)

きのこを形成する菌類の中でも, 被実性の子実体を形成し, 胞子の射出機構を欠失している点が特徴であるシクエストレート菌 (sequestrate fungi) の分類学的および系統学的研究は日本国内において特に遅れており, 今後の研究により多くの新分類群や未知の系統が明らかになることが期待される. 国内のシイ・カシ類樹下に発生するシクエストレート担子菌コイシタケはHydnangium carneum の学名が与えられているが, オーストラリアに分布しユーカリと特異的に菌根を形成するH. carneum とは, 形態的・生態的特徴のいずれも大きく異なる. 演者らは, コイシタケおよびブナ・ミズナラ樹下に発生し, 形態的に本種と酷似する未報告種(仮称:ミヤマコイシタケ)の形態学的評価および核リボソームDNAのITS領域を用いた系統解析を行った. 分子系統解析の結果, コイシタケはH. carneum とは遠縁である, ベニタケ属の系統内で分化したシクエストレート菌であることが示され, 形態的にも子実層部のシスチジアなど, ベニタケ属菌に特徴的な構造が確認された. ベニタケ属の系統内では複数のシクエストレート菌の系統が分化していることが知られているが, コイシタケおよびミヤマコイシタケはそれらの既知系統のいずれにも属さなかった. また, コイシタケはミヤマコイシタケと種レベルで異なることが分子系統解析結果からも支持された. 両種は肉眼的には酷似しているが, 担子胞子や担子器の形態など複数の顕微鏡的特徴に差異があることも明らかになった. ミヤマコイシタケの担子胞子はベニタケ属菌に特徴的なアミロイド反応を呈する一方, コイシタケの担子胞子は非アミロイドであることから, 両種を含む系統ではシクエストレート菌への系統進化が起こった後に担子胞子のアミロイド反応が消失したと考えられる. また, 両種の分布状況に基づく生物地理学的考察も行う.
著者
高橋 裕次 小宮 木代良 丸山 士郎 佐々木 利和 小野 真由美 池田 宏 山口 俊浩
出版者
独立行政法人国立博物館東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題の最大の目的である、江戸幕府旧蔵資料の所蔵情報の把握を行うために、資料を所蔵している諸機関について情報収集を行い、所蔵の確認をした。さらに、江戸幕府旧蔵資料を引継いで管理していた東京国立博物館において、基礎的な情報を把握するため、収蔵品に関する様々なデータの整理をした。また、「浅草文庫」の目録や、帝室博物館の収蔵品目録、明治10年に博物館が作成した『博物館書目』をとおして、江戸幕府の引継ぎ資料の全体像を把握するための詳細調査を実施した。収集した江戸幕府旧蔵資料の所蔵情報をもとに、「江戸幕府旧蔵資料データベース」(暫定版)を作成した。収録したのは、東京国立博物館、宮内庁書陵部、国立公文書館内閣文庫、静岡県立図書館の所蔵する資料である。その点数が厖大であり、必ずしも現物1点ごとに詳細なデータの収集の実施はできなかったが、現在の江戸幕府旧蔵資料の概要を十分示すことができた。東京国立博物館の所蔵する漢籍、洋書については、これまで本格的な全体調査が行われていなかったが、今回、悉皆調査を行い、印記などを確認して、江戸幕府旧蔵資料と考えられるものをデータベースに収録した。東京国立博物館には、データに「伝来未詳」とされ、はっきりと江戸幕府旧蔵とは言えないまでも、その形態や特質から、江戸幕府に関係したであろうと推測できる資料もある。この点については今後の課題としたい。以上の研究によって、明治5年に湯島聖堂に集められた江戸幕府旧蔵資料の全貌を解明する手がかりができた。本研究報告書では、作成したデータベースや調査結果から、研究分担者・研究協力者が、江戸幕府旧蔵資料に関する個別研究も行った。しかし、本研究は江戸幕府旧蔵資料を明らかにする上での基礎的な作業であったといえる。今後は、江戸幕府旧蔵資料に関する各分野の個別研究を行う上で、本研究成果が基本的資料となると言えるであろう。
著者
益田 実 細田 晴子 齋藤 嘉臣 橋口 豊 青野 利彦 三宅 康之 妹尾 哲志 清水 聡 小川 浩之 池田 亮 鳥潟 優子 三須 拓也 山本 健 芝崎 祐典
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、巨視的視点から冷戦史の全体像を把握するための新たなパラダイムの構築を意図しながら、1940年代半ばから1980年代初頭までを対象とする米英仏独西中など関係諸国アーカイブ史料の実証分析により、同盟政治・脱植民地化・文化的変容という冷戦期における三つの中長期的な変動と冷戦との関連を明らかにすることに努めた。中心的な研究成果としては研究代表者および分担者全員により益田実・青野利彦・池田亮・齋藤嘉臣編著『冷戦史を問いなおす』(ミネルヴァ書房、2015年)を執筆刊行し、さらに同書に関する公開書評会を開催し、そこでの議論を踏まえた発展的研究課題を形成した。
著者
池田 彩乃 千葉 祐貴 羽田 久一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.16, pp.1-5, 2013-10-29

SNS やメールなど速報性のあるコミュニケーション手段の一般化により、人々はいつもディスプレイから離れることが出来ないでいる.本研究ではディスプレイの見過ぎから生じる問題を解決するために、ディスプレイを見た疲れを癒しつつメールや SNS 上のメッセージの新着の確認や返信などの操作が出来るぬいぐるみ型操作デバイスを提案し実装を行った.本システムではぬいぐるみに特定の動作をさせることでコンピュータにコマンドを送り、音声合成によりメッセージを確認することが出来る.さらにメッセージの返信には音声認識を用いることでぬいぐるみと遊ぶ感覚で画面を利用せずにネットワークコミュニケーションを行うことが可能となる.With the vast spread of rapid communication tools such as SNS and e-mails, many people are more addicted to device displays. The authors have developed and demonstrated a stuffed toy device, which heals people's fatigue from gazing displays, yet at the same time, enables people to receive notifications from SNS. Notifications can be checked by a device user letting the stuffed toy to operate certain movements to send commands to computer. In addition, by using speech recognition when replying to messages, network communication is realized in such a way to play with the toy, not by using displays.
著者
池田鹿之助 編
出版者
内田老鶴圃
巻号頁・発行日
1903
著者
安本 護 池田 尚志 豊倉 完治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.94, no.423, pp.87-95, 1994-12-16

マルチメディア環境の進展に伴い、従来のような画一的なフォントだけではなく、多様なフォントデザインが求められるようになってきている。その中に、ユーザの個性を表現できる手書き風文字を望むものがある。しかしながら、日本語文書の表現には非常に多くの漢字が必要であり、これをユーザごとにデザインすることは事実上不可能である。そこで、我々は漢字の構造的特徴に着目し、漢字をへんやつくりなどの部分字形に分解し、その組合せによって手書き風フォントを自動生成することを考えた。本稿では、常用漢字1945文字を対象に入力された手書き文字データから基本部分字形及び漢字生成規則を抽出して個性的なフォントの生成を試みた。
著者
岩鶴 早苗 池田 敬子 板谷 裕美 服部 園美 日下 裕子 上田 恵
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
和歌山県立医科大学看護短期大学部紀要 (ISSN:13439243)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-70, 2002

本研究の目的は炭酸ガス入り足浴(;炭酸ガス浴)の有用性の検討である。健康な女性16人(平均年齢19.6±0.7歳,平均身長160.2±5.0cm,平均体重52.4±5.8kg)を対象とし炭酸ガス浴と従来の足浴(;混浴)を実施した。測定内容は生理的指標として,皮膚血流量,体温(中枢温・末梢温・・腋窩温),脈拍,血圧であり,主観的指標として炭酸ガス浴と温浴を比較した被験者の感想である。生理的指標は足浴前,足浴直後,15分後,30分後,1時間後,2時間後に測定した。データの分析はpaired-t検定を行った。その結果,炭酸ガス浴後の皮膚血流量において,温浴と比較して有意に上昇していた(p<0.01〜O.05)。体温,脈拍,血圧では有意な差はみとめなかった。被験者の感想では,炭酸ガス浴の満足度は非常に高かった。以上のことから,炭酸ガス浴は皮膚血流量増加による保温効果や心地よさのレベルを高めることが明らかとなった。
著者
池田 耕二 玉木 彰 山本 秀美 中田 加奈子 西條 剛央
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.102-108, 2009-09-10 (Released:2010-11-19)
参考文献数
23

本研究の目的は,認知症後期高齢患者の理学療法実践において周囲からも一定の評価を受けている4年目の理学療法士の「実践知」の構造の一端を,構造構成的質的研究法により探索的に明らかにし,それらを実践理論や教育モデルの一つとして提示することにある.その結果,実践知モデルは【患者力】と【家族力】の2つのカテゴリーによって構成された.【患者力】は「身体の基本的な動作能力」,「疼痛の程度」,「関節可動域障害の程度」から総合的に評価される《動きからみる身体能力》と「否定的感情」,「肯定的感情」の表出やそれらの「感情の波」として評価される《感情表出パターン》,さらに「理学療法士に対する認識」,「自己や周囲に対する誤認識」から解釈・判断される《関わりの中で感じる認知能力》,「口頭指示の入りやすさ」,「発語能力」,「働きかけに対する反応」から評価される《反応からみるコミュニケーション能力》の4つのサブカテゴリーによって構成された.また【家族力】は,「家族の退院にむけた希望」や「家族の理解や協力」によって構成された.これによって認知症後期高齢患者の社会復帰に向けた問題点の一端を,患者とその家族,それらのバランスという視点から評価することや,それによって理学療法を施行する際には,どこに大きく焦点をあてるべきかが理解しやすくなる可能性が示唆された.また理学療法実践においても柔軟なストラテジーの選択に活用できるということからして有用性が発揮される可能性が示唆された.
著者
池田 浩也 サレ ファイズ
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.17-21, 2010-05-06
被引用文献数
2

シリコン基板上に作製可能な単電子冷却デバイスを提案し,その単電子トンネル動作について理論的評価を行った.その構造は,単電子箱と単電子ポンプを組み合わせた形をしており,半導体ドット内の電子を交流電圧により出し入れして,ドット内電子のエネルギーを低減する.この単電子ポンプ冷却デバイスの等価回路についてクーロンブロッケード条件を計算したところ,ドット内電子数をパラメータとしたハチの巣状の安定状態図(クーロンダイヤモンド)を形成することを見出した.境界線の三重点を囲むように交流電圧をかけたときのデバイス動作について,クーロンブロッケード現象のオーソドックス理論に基づくモンテカルロシミュレーションにより調べたところ,単電子ポンプ動作が実現できることがわかった.それと同時に,半導体ドット内に電子を1個ずつ転送し,複数個の電子を蓄積できることも明らかとなった.
著者
永屋 恵子 横井 秀格 成井 裕弥 春山 琢男 吉井 良太 矢内 彩 芳川 洋 池田 勝久
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.114, no.8, pp.726-730, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1 1

症例は21歳の男性. ウイルス性咽頭炎の診断で入院加療となったが, 入院後全身状態が悪化し, 骨髄穿刺検査所見により血球貪食症候群と診断された. 患者が同性愛者であったことからHIV抗体を測定したが, 陰性であり, その後HIV-1 RNA定量よりHIVウイルス感染症と判明し, HIV初感染によるVAHSと診断した.本症例の経験から, ウイルス性咽喉頭炎様の症状が長引く時には急性HIV症候群も考慮し, HIV抗体のみならず, HIV-RNA量を測定する必要があると考えられた.
著者
池田 隆司 笠原 敬司 伊藤 健治 多田 堯
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.549-557, 1984-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
4

In order to obtain information on the underground structure around the Karasuyama-Sugaonuma fault, we carried out a temporary observation for artificial explosions which were blasted at four sites in Saitama and Ibaraki Prefectures in March 1982. Crossing the southern part of the fault, seven seismometers were deployed on an east-west striking observation line 30km long. For three of the explosions, good records were obtained at all the stations. Travel time analyses provided three layers; apparent p-wave velocities in the layers are 1.7km/sec, 2.8-3.1km/sec and 6.1km/sec from top to bottom. Travel times for the 6.1km/sec layer jump near Sashima-cho, Ibaraki Prefecture, where the western branch of the fault is supposed to lie. For the wave propagating through the topmost layer between the eastern and western sides of the north-south striking fault, a systematic difference in the wave form was observed. Those observed features strongly suggest that not only the basement layer (VP=6.1km/sec) but also upper layers are displaced or fractured by the Karasuyama-Sugaonuma fault.
著者
東郷 正美 佐藤 比呂志 池田 安隆 松多 信尚 増淵 和夫 高野 繁昭
出版者
日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.15, pp.1-8, 1996-11-29 (Released:2012-11-13)
参考文献数
16

By excavation of the Ochikawa-Ichinomiya remain located on the flood plain along Tama River near the boundary between Tama City and Hino City, Tokyo metropolitan area, a fault was found in young alluvium. This fault is regarded as the continuation of Tachikawa fault, a major active fault existing in the left bank area of Tama River, because it is located on the southeastern extension of Tachikawa fault line, and its strike is almost parallel to the Tachikawa fault.Detailed investigation of the fault outcrop made it clear that the last faulting event on the Tachikawa fault had occurred after A. D.1020-1158, the mid-Heian period. At this place, the last faulting event was dominantly strike slip with horizontal shortening of about 0.6 m.