著者
葭原 明弘 安藤 雄一 池田 恵 小林 清吾 小黒 章 石上 和男 永瀬 吉彦 澤村 恵美子 瀧口 徹
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.339-345, 1996-07-30
被引用文献数
24

1984年より行政事業として成人歯科健診事業を実施してきた地区において,成人歯科健診事業の受診経験が喪失歯数およびう蝕処置状況に及ぼす影響について調査した。調査対象者数は,1994年の歯科健診事業受診者1,311人である。1993年以前に実施された歯科健診事業を1回でも受診したことのある者を「過去受診群」(309人),1994年の歯科健診初診者を「過去未受診群」(1,002人)とした。1994年における「過去受診群」と「過去未受診群」との横断分析のみならず「過去受診群」におけるベースラインデータと1994年との縦断分析も加えて評価を行った。その結果,一人平均喪失歯数については歯科健診事業の受診経験による改善傾向は認められなかった。う蝕処置完了者率については,歯科健診事業受診経験者に経年的な向上を認めた。しかし,これは歯科健診事業の受診によることよりも日常的に歯科医院を受診し易くなったという社会的要因に負うものが大きいと推察された。したがって,成人歯科保健事業については,今後歯科保健教育および適切な事後の予防管理を主体とする方向に可能性を見いだすべきであると考えた。
著者
池田 直子 イケダ ナオコ Ikeda Naoko
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.13, pp.14-26, 2006-09

インドのイスラーム政権であるムガル朝(1526-1858)第4 代皇帝ヌールッディーン・ジャハーンギール(Nūr al-Dīn Jahāngīr, 在位1605-1627)統治下において、1615-1618年頃に制作されたビチットゥル作《スーフィーに本を贈るジャハーンギール》の図像分析を行う。この作品は、これまでにムガルとオスマンの関係の視点から分析されたことはない。したがって、オスマン朝との政治的・文化的状況との関連について調べ、《スーフィーに本を贈るジャハーンギール》において、その状況がどのように反映されているのか、試論を行う。また、この絵画における三日月と太陽から構成された円光の霊感源を特定する。
著者
池田雅之 [ほか] 共訳編
出版者
恒文社
巻号頁・発行日
1980
著者
中島 愛 池田 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.645-648, 2010 (Released:2010-09-25)
参考文献数
4

〔目的〕本研究は訪問リハにおけるPT・OTによる協業の必要性を明らかにすることを目的とした。〔対象〕都内で訪問リハ実施施設に勤務するPT,OT,同施設の利用者とした。〔方法〕郵送による利用者ニーズとPT・OTの専門性に関するアンケート調査とした。〔結果〕利用者のニーズは歩行や機能障害が上位に,ADLや趣味活動が下位に挙がった。またPTは下肢・体幹の機能,歩行,起居動作,呼吸を,OTはADL,趣味に関する項目を専門と回答した。PT・OTは協業の必要性を感じていたが,多くの施設で協業の明確なルールを定めていなかった。〔結語〕安全で質の高い訪問リハを提供するためには,専門能力を活かす協業が必要である。
著者
淺野 玄 的場 洋平 池田 透 鈴木 正嗣 浅川 満彦 大泰司 紀之
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.s・ix, 369-373, 2003-03-25
被引用文献数
6 28

1999-2000年に北海道で捕獲されたメスのアライグマ(Procyon lolor)242個体について,胎盤痕または胎子を分析して繁殖学的特性を調査した.捕獲個体の齢構成は,0歳69個体(29%), 1歳71個体(29%)および2歳以上102個体(42%)であった.1歳の平均妊娠率は66%で,2歳以上の平均妊娠率96%と比べて有意に低値であった.一腹産子数は1頭から7頭で,平均産子数は1歳で3.6頭,2歳以上では3.9頭であった.平均産子数には1歳と2歳以上とで有意差は認められなかった.北海道の移入アライグマの繁殖期は,2月が交配のピークで3月から5月が出産期であると推定された.しかし,7月に2頭の妊娠個体が確認されたことから,夏期にも繁殖することが明らかとなった.北海道のアライグマの繁殖ポテンシャルは北米における報告と同程度であり,個体数増加の主要因であると考えられた.夏期の箱罠捕獲における0歳獣の捕獲圧は,1歳以上の個体と比較して相対的に低いことが示唆された.移入アライグマの個体数を減少させるためには,個体数が多い0歳獣の捕獲圧を高める必要があり,効率的な捕獲方法の検討が求められる.
著者
赤川 信一郎 森川 則文 池田 佳代 岡崎 照夫 高橋 俊輔
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.175-179, 2015 (Released:2015-02-01)
参考文献数
6

A strategy named “Japan is back” adopted in June 2013 specifies that pharmacies shall be regarded as community-based places where health-related information is provided, and the public shall be encouraged to use the services of pharmacies and pharmacists who can advise on health and appropriate use of over-the-counter (OTC) drugs, and promote self medication. In Japan there are approximately 55000 pharmacies and 260000 pharmacists, and community residents are recommended to use these resources. As advisors on healthcare in the community, pharmacists are required to make judgments regarding drug use in individuals performing self medication and using OTC drugs in consideration of their symptoms and level of understanding of their health conditions, and recommend that they consult a medical center if necessary. To meet these requirements pharmacists need to have the skills to monitor each individual's lifestyle, behavior, and environment as well as trends in society, and assess their health status. However, education that allows pharmacists to practice such skills remains insufficiently developed. We consider that to be able to detect diseases early among community residents and appropriately support them using pharmacotherapy, it is very important to train pharmacists to do the following at pharmacies: 1) determine individuals who should be treated early using symptomatologic skills; 2) promote public awareness of disease; and 3) perform biochemical examination (blood is collected by fingerprick promptly to obtain biochemical data) in cooperation with the Department of Clinical Pharmacotherapy, Faculty of Pharmaceutical Sciences, Hiroshima University.
著者
藤吉 康志 藤田 岳人 武田 喬男 小尻 利治 寶 馨 池田 繁樹
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.391-408, 1996-06-30
参考文献数
20
被引用文献数
4

濃尾平野を対象地域として, 複雑山岳地形の風下での降雪分布を決定する要因について, 2台のドップラーレーダを用いて調べた。レーダは, 観測範囲が関ケ原を含む山間部と濃尾平野をカバーするように配置し, 1992年12月から1993年5月まで観測を行った。降雪が生じた9回のうち, 平野部で降雪が見られ, かつ風速・風向が数時間もの間ほとんど変化していない4例について, 平均的なレーダエコー及び水平風の3次元分布を作成し, 異なった風向・風速によってエコー及び気流分布がどのように変化するかを詳細に調べた。伊吹山地の風下の弱風域の範囲は, 風上の風向が北寄りになるほど風下に広がっていた。一方, 風向が西寄りになるほど関ケ原の出口付近での風向変化が下層及び上層共に顕著であり, かつ, 鈴鹿山脈の風上側と風下側での下層にみられる風速変化, 及び鈴鹿山脈の北側での風向変化が顕著であった。エコー域はわずかな風向変化で大きく異なり, 高度1。5〜2 kmの平均風向にほぼ平行に延びていた。エコー域の幅は, 風向に直角な方向の若狭湾の幅と極めて良く一致していた。山のすぐ風下の強エコー域の存在と, 山から離れた地点にエコー強度のピークを持つ幅の狭いバンド状のエコー域の存在が, 風向によらないエコー分布の共通の特徴であった。山岳風下域に存在する多降雪域の範囲を求める指標として, 伊吹山地上空の風速と落下速度 1 ms^<-1>を用いることは, 良い近似であることが確認された。しかし, 山頂上空には強風域が存在し, 降雪粒子の到達距離をより正確に見積るためには, この山頂上空の強風域の広がりを考慮する必要があることも分かった。複雑山岳地形の風下では, 風上の地形によって風向・風速が場所によって微妙に変化し, その結果上昇流が発生し過冷却雲が形成される。山から離れた地点に存在したバンド状降雪域は, この過冷却雲が山頂から流されてきた氷晶によって「種まき」された結果であることが示唆された。また, このバンド状降雪域は, 山脈風下の弱風 (後流) 域, 及び, 山脈と山脈の間の谷筋の強風 (噴流) 域の何れにも存在していた。
著者
亀田 能成 美濃 導彦 池田 克夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.26-35, 1996-01-25
被引用文献数
74

1枚のシルエット画像から, その画像中に写された関節物体の姿勢を, モデルマッチングによって推定する方法を提案する. 対象となる関節物体モデルをあらかじめ計算機に構築しておく. 関節物体モデルが対象物体を正確に反映するものならば, 特徴点に基づく逆運動学的な解法やマッチング処理の内部にヒューリスティックな知識を埋め込まなくとも, 本方法により姿勢推定が可能であることを示す. 本論文で取り扱う関節物体は, 部品が関節によってつながった木構造をしているものと仮定する. その姿勢は関節のすべての角度を決定することで定まる. CG合成画像に対して本方法を適用し, その能力と特徴を評価した後, 実際の人体についても実験を行い有効性を確認した.
著者
松井 三明 池田 憲昭
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.69-78, 2010 (Released:2010-09-06)
参考文献数
32

目的 母性保健の分野では、妊産婦死亡率が課題の把握や対策策定に用いられる。しかし、その算出は推計によることが大半であり、誤差範囲が広いことなどから、比較的小規模の人口集団を対象としたプログラムのモニタリングや地域間の比較に用いることはできないことも知られている。本研究では、セネガル国タンバクンダ州において、De Brouwereによって提唱された“unmet obstetric need”指標を用い、重症産科合併症に起因する妊産婦死亡の推計を行い、同指標の妊産婦死亡削減対策における利用可能性について考察することを目的とした。方法 2005年にタンバクンダ州および隣接するカオラック州の7医療施設で実施された帝王切開について、その適応と患者居住地を調査し、タンバクンダ州居住者に対して実施された帝王切開数および率を求めた。また帝王切開を実施しなくては死亡に至る可能性が高い「絶対的母体適応」という重症産科合併症群を定義し、それに対して必要な手術数をタンバクンダ州内各保健管区について推計し、実際に提供された手術数との差を求めた。この差が、重症産科合併症を発症したにもかかわらず病院で適切な医療サービスを受けることなしに妊産婦死亡に至った症例数と仮定し、各保健管区ごとに絶対的母体適応に起因する妊産婦死亡率を推計した。結果 タンバクンダ州内の6保健管区における帝王切開率は、全適応に対しては0.3-2.0%、絶対的母体適応に対しては0.1-0.9%に分布した。タンバクンダ州の絶対的母体適応に起因する妊産婦死亡率は651(95%CI 554-761)、また保健管区ごとでは、クンペントゥム 966(741-1239)、グディリ 877(588-1260)に対し、ケドゥグ 249(119-457)、バケル 296(128-584)と、統計学的有意差がみられた。結語 本調査から、“unmet obstetric need”指標を用いて、州内保健管区の絶対的母体適応に起因する妊産婦死亡の違いを明らかにすることが可能であった。この手法を適用することで、妊産婦死亡の現状を把握し対策策定に用いることができるだけでなく、地域間の比較、トレンドのモニタリング、プログラムの評価に用いることができる可能性が示唆された。
著者
池田 尚志 松本 忠博
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

古典的な方式であるが、パターン変換型の機械翻訳エンジンを構築し中国語を始めベトナム語、シンハラ語、さらに日本の手話への機械翻訳システムjawを試作した。C++言語のオブジェクトのパラダイムを利用した相手言語の"表現構造"を介する翻訳方式が特徴である。また、jawにおいて用いる日本語解析システムとして、文節構造解析に基づく解析システムibukiCを開発した。
著者
山崎 敬一 岡田 謙一 池田 佳子
出版者
埼玉大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、これまで日本の若者という限定された受け手を主な対象として生まれてきた日本のポップカルチャーが、現在どうして、世代を越えた、また文化を越えた人気を持つようになったのかを、(i)エスノメソドロジーから生まれた会話分析的な物語論や、(ii)情報メディア論や、(iii)観衆論の視点から明らかにした。この研究では、経験や歴史を伝える物語がどのように語られるかについて研究した。またフランスのジャパンエクスポに出演中の日本のアイドルと日本にいるファンとの交流を、ロボットによって支援する研究を行った。また最終年度には、宝塚や歌舞伎の舞台と、アイドルグループのコンサートを観衆論の観点から比較した。
著者
山崎 敬一 山崎 晶子 久野 義徳 池田 佳子 今井 倫太 小野 哲雄 五十嵐 素子 樫村 志郎 小林 亜子 関 由起子 森本 郁代 バーデルスキー マシュー 川島 理恵 中西 英之 小林 貴訓
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、人間の言語的・身体的相互行為とそれを支援する身体化されたテクノロジーのデザインに関心を持つ社会学者とロボット工学者の共同研究である。本研究では多文化に対応する身体化されたテクノロジーを開発するために、海外のミュージアム等で研究を行い、そこでの人間同士の言語的・身体的行為をヴィデオエスノグラフィーの手法で分析した。また、日本語話者と英語話者に対する比較ロボット実験と、日本とハワイを結ぶ遠隔ロボット実験を行った。
著者
鈴木 昌和 池田 秀人 飯高 茂 玉利 文和 大友 正英 菅沼 明
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

1.本研究では、数式を含む日本語のLaTeX文書の自動点訳システムの構築した。(1)Extraによる日本語のひらがな変換と分かち書き処理(2)平仮名化されたLaTeX文書の点字への変換と、点字文書としてのレイアウト整形(3)点訳結果の校正(ビューアとエディタ)これらの作業を統合された環境で行えるWindows95上のアプリケーションとして構築した。更に、約7000語の数学用語の点字による読みと分かち書きの位置及び品詞コードを記した辞書を作成した。これにより、2.の処理が数学の専門書に対しても高精度で行えるよになった。2.自動点訳における数式入力の負担を軽減する為に、数式を含む文書の光学読取りシステムの研究を行った。Texで印刷した文書については非常に高い精度認識が出来ることを実験で示した。但し、現時点では行列には対応できていない。3.Texのバ-ジョンによる差や複雑なユーザーマクロによる記述などの根本的解決の為、Texが出力するDviファイルから標準的なTexコマンドのみを用いたTEX形式のソースファイルを再構成する研究を行った。章節や定理、箇条書きなどの構造への対応も可能なアルゴリズムを求めた。数式記述部分については上記2.の数式認識アルゴリズムを適用して、非常に高い精度で再現が可能であること確認した。
著者
吉田 美佳 池田 宏 Yoshida Mika Ikeda Hiroshi ヨシダ ミカ イケダ ヒロシ
出版者
筑波大学水理実験センター
雑誌
筑波大学水理実験センター報告 (ISSN:0385907X)
巻号頁・発行日
no.24, pp.73-79, 1999

栃木県烏山町に龍門の滝と呼ばれる滝がある(第1図).ほぼ垂直な崖を水が落ちるこのような滝はあちらこちらにあるように思われがちであるが,沢登りの対象とされるような急勾配の谷の小滝を除くと,かなり大きな川の,しかも崖がほぼ垂直な滝(湯布タイプの滝,直瀑)というと,たとえば,関東平野では日光の華厳の滝 ...
著者
池田 崇 増田 真希 辻 耕二 鈴木 浩次 北原 侑奈 野田 玄 平川 和男
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.453-459, 2010-12-20
参考文献数
22

【目的】本研究の目的は,低侵襲性人工股関節全置換術(MIS-THA)における術前身体活動量と術前・術後の下肢機能との関係を明らかにすることである。【方法】MIS-THAを施行した女性66例を対象に,国際標準化身体活動量問診票を用いて1週間の消費kcalを求め,高活動群と低活動群に分類した。術前から術後6ヵ月間まで理学療法介入を行い,追跡調査した。等尺性外転筋力,疼痛,10m歩行時間,関節可動域,日本整形外科学会股関節機能判定基準(JOA),生活状況(就業状況と環境因子)の評価を実施した。【結果】高活動群は,術前の10m歩行時間は有意に短く,JOA,立ち仕事の割合は有意に高値を示した。他の項目は差を認めなかった。身体活動量と外転筋力に相関は認めず,術前と術後2ヵ月の外転筋力に有意な正の相関を認めた。【結論】術前身体活動量は,就業状況と関係し,10m歩行時間と相互に関係する可能性が示唆された。外転筋力と疼痛は,影響を認めなかった。一方,術前の外転筋力は術後2ヵ月の外転筋力に関わることが示唆された。術前の理学療法は,身体活動量の維持よりも,筋再教育・筋力増強練習の実施が望ましいと考えられる。