著者
清水 陽香 中島 健一郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.4, (Released:2018-04-05)
参考文献数
38

防衛的悲観主義者(DP者)は,方略的楽観主義者(SO者)に比べて自尊心が低く不安が高い一方で,パフォーマンス前の準備を入念に行い,その結果SO者と同程度に高いパフォーマンスを示すとされている。一般に高い不安や低い自尊心は準備およびパフォーマンスを阻害するにもかかわらず,DP者が課題の事前準備に取り組むことができる理由はいまだ明らかになっていない。本研究では,その理由としてDP者には潜在的自尊心の高さがあると考え,DP者の顕在的自尊心と潜在的自尊心に着目した検討を行った。研究1では,質問紙調査によって認知的方略による顕在的自尊心の差異を検討した。また研究2では,Name Letter Taskを用いて潜在的自尊心の差異を検討した。研究1, 2の結果,DP者はSO者に比べて顕在的自尊心は低いものの,潜在的自尊心はSO者と同程度に高いことが示された。
著者
清水 陽子 中山 徹 清水 裕子 森田 尋子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.87, no.800, pp.1964-1974, 2022-10-01 (Released:2022-10-01)
参考文献数
13

The purpose of this study is to compare the trends between moving in and out and moving within the city. The results are as follows. It can be classified into six categories based on the trend of dynamics. Movements had a great deal to do with social dynamics in the region. According to the trends by age group, even if the population is increasing, the future aging of the population and its impact on the local community should be taken into consideration. Even if the population is declining, it does not affect the number of households.
著者
佐藤 伊織 戸村 ひかり 藤村 一美 清水 準一 清水 陽一 竹内 文乃 山崎 喜比古
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.39-49, 2004

我々は、不妊治療と出生前診断について、一般市民の知識・信念・態度を、自記式調査票により調査した。東京都N区の住民基本台帳から30代〜50代の者179名を無作為抽出し、そのうち住所の明らかな169名を対象とし、99の有効回答を得た。各調査項目と属性間、一部項目間の二変量の関係についてPearsonのx2検定を行った。不妊治療の知識やそれへの態度については、男女に明確な差は認められなかった。しかし、女性の方が不妊治療をよりシビアにとらえる傾向が見られた。市民の中には、不妊を夫婦双方の問題として取り組む姿勢も見られ、これからは実際に男性からも積極的に不妊治療に参加できる環境を整えることが望まれる。出生前診断や中絶に関する態度は、その人の年代・子どもの有無によって違いが見られた。出生前診断が必ずしも優生思想や障害者差別に結びつくものではないという点について特に、認識の普及が必要である。
著者
髙橋 紀子 青山 真帆 佐藤 一樹 清水 陽一 五十嵐 尚子 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.19-29, 2023 (Released:2023-02-03)
参考文献数
29

エビデンスに基づくがん疼痛マネジメントの看護実践を評価する尺度を開発し信頼性・妥当性および関連要因の検討を目的とした.がん疼痛の薬物療法に関するガイドラインに基づき仮尺度を作成し,地域がん診療連携拠点病院1施設の看護師189名に再テストを含む2回の調査を行った.探索的因子分析の結果,一因子50項目のがん疼痛マネジメントの看護実践尺度とその短縮版を開発した.尺度全体のCronbachのα係数は0.98(短縮版0.88)で内的一貫性を,再テストの級内相関係数は0.52(短縮版0.77)で信頼性を,緩和ケアの実践,知識,困難感,自信尺度とのそれぞれの相関で併存妥当性を確認した.がん疼痛マネジメントの看護実践の関連要因は,がん看護の経験年数,卒後教育の回数,卒後教育を十分に受けたと思うかだった.本尺度は,日々の臨床実践の評価やがん疼痛看護研修など教育的な取り組み後の実践評価などに活用できる.
著者
清水 陽介
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.723-727, 2016 (Released:2016-10-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1

〔目的〕股関節外転筋力と10 m最大歩行速度(以下10MWS),歩行自立度の関連性,歩行自立のためのカットオフ値を算出することとした.〔対象と方法〕対象は,片麻痺患者31例とした.方法は,10MWSと歩行自立度を算出し,Hand-Held Dynamometerを使用し,股関節外転筋力を測定した.〔結果〕10MWSと麻痺側股関節外転筋力(r=0.74)には有意な相関が認められた.歩行自立度に影響のある因子として,麻痺側股関節外転筋力のみが抽出され(オッズ比11.917,オッズ比95%信頼区間2.18971-65.146),歩行自立のためのカットオフ値は,0.230 kgf/kgであった.〔結語〕麻痺側股関節外転筋力は,歩行速度,歩行自立度に対する重要な因子である可能性が高い.
著者
清水 陽香 中島 健一郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.21-30, 2018-07-01 (Released:2018-07-04)
参考文献数
38

防衛的悲観主義者(DP者)は,方略的楽観主義者(SO者)に比べて自尊心が低く不安が高い一方で,パフォーマンス前の準備を入念に行い,その結果SO者と同程度に高いパフォーマンスを示すとされている。一般に高い不安や低い自尊心は準備およびパフォーマンスを阻害するにもかかわらず,DP者が課題の事前準備に取り組むことができる理由はいまだ明らかになっていない。本研究では,その理由としてDP者には潜在的自尊心の高さがあると考え,DP者の顕在的自尊心と潜在的自尊心に着目した検討を行った。研究1では,質問紙調査によって認知的方略による顕在的自尊心の差異を検討した。また研究2では,Name Letter Taskを用いて潜在的自尊心の差異を検討した。研究1, 2の結果,DP者はSO者に比べて顕在的自尊心は低いものの,潜在的自尊心はSO者と同程度に高いことが示された。
著者
橋本 久美 高橋 憲男 浜上 尚也 清水 陽平 安田 千尋 平藤 雅彦 千丈 雅徳
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
健康心理学研究 (ISSN:09173323)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.49-55, 2007-06-25 (Released:2014-03-28)
参考文献数
29

There are no studies reported on the salivary serotonin concentrations in adolescent patients suffering from impulsive behavior. In order to elucidate the role of serotonin in impulsivity, salivary serotonin concentrations of nine psychiatric patients and nine normal participants were measured. Both groups also completed the SSS scale (Zuckerman et al., 1978). Salivary serotonin level of patients with impulsivity was higher than that of the normal group (p = 0.040, Mann-Whitney). Moreover, the Dis scale of the patients was lower than that of the normal participants. The results were incongruent with our working hypothesis. Further research is required to clarify the relation between salivary serotonin concentrations and impulsivity.
著者
清水 陽香 中島 健一郎 森永 康子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.202-214, 2016-03-10 (Released:2016-03-21)
参考文献数
28
被引用文献数
3

先行研究では防衛的悲観主義(Defensive Pessimism: 以下DP)が,課題関連場面で高いパフォーマンスを示すために有効な認知的方略であることが示されている。しかし,DPが同様に対人関連場面において有効な方略となるかどうかは定かではない。そこで本研究では,DPが初対面の他者との相互作用場面における行動意図をどのように規定するか明らかにすることを目的に,女子短期大学生(N=202)を対象とする場面想定法を用いた質問紙実験を実施した。DP傾向が複数の他者との会話場面における状態不安や行動意図に及ぼす影響について検討した結果,DP傾向は状態不安と正の関連を持つと同時に,相手の反応に合わせるような行動意図や相手の意見を尊重するような行動意図と正の関連を持つことが示された。
著者
前根 美穂 清水 陽子 中山 徹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.27-30, 2010-06-10 (Released:2022-08-01)
参考文献数
5

アメリカの総人口は増加し続けているが、中には人口が減少しつつある都市もある。そして、中には独自の政策により空き家の増加などの問題に対処している都市がある。本研究ではそのような独自の政策を行っている都市の調査を行った。我々はアメリカのミシガン州フリント市とオハイオ州ヤングスタウン市の2都市を訪れた。フリント市では「ランドバンク」と呼ばれる政策が行われており、ランドバンクでは固定資産税を払えなくなった人の物件が不動産投機家の手に渡る前に、ランドバンクの所有になるようにしている。ランドバンクが管理することにより、放棄地のコントロールが可能となった。ヤングスタウン市には「ヤングスタウン2010」と呼ばれるマスタープランがある。それは縮小型都市政策であり、現在、実行されているところである。
著者
清水 陽子 中山 徹 土佐野 美裕
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.82, no.732, pp.423-432, 2017 (Released:2017-02-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 13

This research aims to explore the nature of the local city which is revealed by the dwelling-place selection trend of Nara’s younger generation. Therefore, this research analyses the tendency and the stated reasons of the younger generation's for relocating. From 2007, the population of Nara - which is the subject of our research - began to decrease, and it continues to decline to this day. Although the percentage of the whole population comprised by the younger generation was 33.1% in 1980, it has since decreased to 23.2% in 2012. Our chosen research method was to use a questionnaire. We distributed 2,000 questionnaires to people moving away from Nara (referred to hereinafter as ‘movers’) and received 467 completed questionnaires. Furthermore, we distributed 3,000 questionnaires to people relocating to Nara (referred to hereinafter as ‘transferers’) and received 850 completed questionnaires. Of the stated reasons for relocating, the four highest ranked are: ‘marriage’, ‘employment’, ‘purchase of a dwelling’, and ‘living with parents, or the neighbourhood ’. These four reasons account for 70 percent or more of the total number of relocations. In this research, we analysed the trend, focusing particularly on these four reasons. Concerning relocations due to marriage, people who lived in Nara up to the age of 30 years relocated due to marriage, and live in privately rented homes in which the rent is comparatively high for a married couple despite their double income. Conversely, for transferers, people lived in their first home up to the age of 30, then moved into Nara for reasons of marriage, with their wife performing the role of a housewife and the couple living in a privately rented house. For relocations caused by employment, unmarried people up to 30 years old moved to homes where the commuting distance was short. For transferers living in privately rented houses, both unmarried people aged 35 and over and married couples thought construction years , the distance of their commute, etc. to be important. For movers relocating due to purchase of a dwelling house, the important factors for people living in a privately-owned house in which the family household is aged 35 and over comprise price, public peace and order , and the aesthetic qualities of the property. In the case of transference, people living in privately owned houses in which the family (including a wife who is a housewife) is aged 35 and over consider construction years, price, and public peace and order to be important. Families aged 35 and over consider proximity to their parents' dwellings to be important, and living together with parents or moving to live close to them may justify moving. Movers tend to live near their parents, while transferers tend to become parents and live together. Movers and transferers actively pursue relocation between neighbouring municipalities. All the respondents were conscious about the importance of purchase price, rental price, and the distance to their workplace (for convenience).Subsequently, the environment in which housing is located (including the beauty of rows of houses, the quality of a landscape, and public peace and order) is considered to be important. By focusing on strengthening the factors considered by people to be important when selecting their dwelling-place, local authorities can increase the attractive power which draws residents to an area. We consider that Nara must improve ‘the distance from a station and a bus stop’ and ‘the beauty of rows of houses and good quality of a landscape’, since these are factors which movers were found to consider as important.
著者
清水 陽子 中山 徹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.777-782, 2014
被引用文献数
1

本研究は、人口減少都市において地域改善の支援組織として活動する非営利組織、特にCommunity Development Corporationsという組織に着目した。その事例としてSalem Housingの活動実態を把握し、活動内容の変化、役割を明らかにすることを目的とした。(1)アメリカでは人口が減少している都市はまだ少なく、Salem Housingは人口減少都市で活動する数少ないCDCである。(2)その背景にはフリント市の人口減少がある。人口減少により、CDCの主な事業であった住宅の供給のニーズは低くなっており、替わって地域の質の向上への支援が求められている。(3)Salem Housingでは人材と財源の確保が大きな課題となっている。財源は企業や連邦政府などの補助金などを活用しているが、安定した財源が少ない。また、市の人口が減少している状態はCDCへの協力者も減少させている。人口減少は地域を支えるCDCにも影響を及ぼしている。
著者
前根 美穂 清水 陽子 中山 徹
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.27-30, 2010

アメリカの総人口は増加し続けているが、中には人口が減少しつつある都市もある。そして、中には独自の政策により空き家の増加などの問題に対処している都市がある。本研究ではそのような独自の政策を行っている都市の調査を行った。我々はアメリカのミシガン州フリント市とオハイオ州ヤングスタウン市の2都市を訪れた。フリント市では「ランドバンク」と呼ばれる政策が行われており、ランドバンクでは固定資産税を払えなくなった人の物件が不動産投機家の手に渡る前に、ランドバンクの所有になるようにしている。ランドバンクが管理することにより、放棄地のコントロールが可能となった。ヤングスタウン市には「ヤングスタウン2010」と呼ばれるマスタープランがある。それは縮小型都市政策であり、現在、実行されているところである。