著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.216-226, 1994-04-25
被引用文献数
8

B-spline曲面は各ポリゴン頂点値に画像処理を与えるだけで,発生曲面に処理を施したのと同様な結果を得ることが可能である.そこでB-spline曲面上の点の値を画像データに対応させ,この曲面を発生させるポリゴン頂点を符号化対象とする圧縮方式が確立できれば,原画像に対してではなく,圧縮されたデータつまりポリゴン頂点に対して直接画像処理が適用できることになるため,処理画像の蓄積,伝送,表示が一段と効率的になる.従来このような曲面の圧縮符号化への応用は検討されていなかったが,本論文では上述のようなメリットを有するB-spline曲面を画像の圧縮符号化に応用する場合の適用手法とその性能について考察する.シミュレーション検討の結果,曲面発生のためのパラメータとポリゴン頂点数を画像の絵柄に応じて適応的に設定することにより,従来のDCT方式と同等以上の性能が得られ,B-spline曲面が圧縮符号化にも十分応用できることがわかった.
著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.445-453, 1996-06-25
被引用文献数
2

圧縮されたデータに直接画像処理が適用できる符号化方式として,筆者らはさきにB-spline曲面を用いた画素値変化の近似手法(B-spline符号化)を提案し,圧縮効率についても従来のDCT方式と同等以上の性能が得られることを示した.一方,画像データを扱う各種圧縮符号化システムのなかには, 1枚の画像に対してあらかじめ設定された符号量で符号化を終了することが要求される場合がある.しかしB-spline符号化に関しては,このような符号量制御問題はいまだ検討されていないのが現状である.本論文では,上記問題点に対する実現手段を提案し, B-spline曲面の圧縮ツールとしての性能を強化することを目的としている.ここでは符号化レートが設定されたときに,絵柄の細かさや実際の発生符号量に応じて,ブロック単位での適応的なフィードバック処理を行うことによって符号量を制御している.性能評価の結果,従来のDCT方式と同等以上の圧縮性能を保ったまま,実際の発生符号量と設定符号量とのずれが1%程度におさまることが示され, B-spline符号化においでも符号量制御が実現可能であることが確認できた.
著者
渡邊 敏明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-I, 通信I-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.694-703, 1996-10-25
被引用文献数
1

圧縮されたデータに直接画像処理が適用できる画像符号化方式として,我々は先にB-spline曲面を用いた画素値変化の近似手法について検討し,圧縮効率についても従来のDCTと同等以上の性能が得られることを示した.しかし今までは適用すべきポリゴン頂点数が固定されていたため,高い圧縮性能が得られる符号化レートの範囲が限定されるという問題点を有していた.本論文では上記問題点に対する解決手段を提案し,B-spline曲面の圧縮ツールとしての性能を強化することを目的としている.ここでは,絵柄の細かさに応じて曲面を発生させるポリゴン頂点の数を適応的かつ自動的に選択する手法を提案し,広い範囲の符号化レートにおいて安定して高い圧縮性能が実現できることを示す.更に,利用するポリゴン頂点数の種類そのものを増加させることによる性能改善手法についても検討すると同時に,ポリゴン頂点値を求める際に,ブロック境界部の符号化誤差を減少させるような重み付け処理を適用することによって,符号化レートが低いところで発生していた再生画像のブロックひずみを低減できることも示す.
著者
卓 興鋼 梅垣 敬三 田辺 宏樹 陳 文 談 景旺 渡邊 昌
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.59-69, 2007
被引用文献数
1

近年,世界各国において補完代替医療 (CAM) を利用する癌患者が増えている.中国の多くの病院では中西医結合療法(西洋医療と伝統中国医療 (TCM) との併用)で癌を治療・予防し,多大な成果を挙げている.本研究では,中国語文献データベースから中国で行われた癌の中西医結合療法を検証した無作為化比較試験 (RCT) を調査しシステマティックレビューした.中国語学術雑誌に掲載された論文は国家科学技術図書文献センターが提供しているデータベース (http://www.nstl.gov.cn) を用いて検索した.限定的な条件で検索した結果から,14 報の RCT を特定しレビューした.ほぼ全ての研究では西洋医療に比べ,伝統中国医療との併用は良い結果が得られていた.日本において根拠に基づく CAM を推進するために,中国などで多く行われた CAM に関する RCT から,科学的根拠を収集・評価し,データベース化する必要があると思われる.これから,CAM のメタ分析など科学的な評価手法の開発及び確立が迫られる.<br>
著者
安村 通晃 児玉 哲彦 渡邊 恵太 永田 周一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.105, pp.1-8, 2006-09-29
被引用文献数
2

ヒューマンインタフェースの概念と研究分野が明確に成立して、おおよそ四半世紀経過した。これまでは、認知科学をベースにした認知的インタフェースで、使いにくさを主なターゲットとして研究がなされてきた。GUIとその成立原理である直接操作などがその大きな成果である。また、タスクに特化した評価方法も大きな効果を上げてきた。しかしながら、ユビキタス時代に突入し、インタフェース自体が大きく様変わりを始めてきており、ヒューマンインタフェースの対象、研究手法、評価方法が大きく変わろうとしている。このような背景のもとに我々が取り組むべき新たなヒューマンインタフェース研究をここでは、Interface2.0と呼ぶ。Interface2.0の研究対象、研究手法、課題、評価方法と、従来のものと対比させながら論じることとする。The concept and the research domain of Human Interface were established around the mid of 1980's. A lots of researches were done by the cognitive human interface based of cognitive science. Its main target was to analyze and to the user interface where the users felt difficult to use. Now we are in Ubiquitous computing era, and the human interface will be changed. Its targets, research methods and evaluation methods will be changed as well. We call this new human interface as Interface2.0. We argue the nature and the challenge of Interface2.0.
著者
村田 光二 道家 瑠見子 樋口 収 桑山 恵真 田戸岡 好香 渡邊 さおり 谷本 奈穂 上林 憲司
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、社会的場面における効果的な自己制御過程に影響を及ぼす要因を、実証的に解明することを目的としている。特に、目標葛藤の解決方略、制御資源の枯渇に対抗する方略、意識的抑制に基づくリバウンド効果を低減する方略を中心に実証研究を積み重ねた。その成果として、課題達成目標と誘惑とが葛藤する場面では、対抗的自己制御が働き、課題達成に役立つ人物の評価が高まることを見出した。また、制御資源の枯渇に対して、自己肯定化と解釈レベルを高次にすることの組み合わせが有効であることを再確認した。さらに、嫉妬的ステレオタイプの抑制に伴って生じるリバウンド効果を低減する方策の1つを見出した。
著者
鈴谷 賢太郎 水野 章敏 渡邊 匡人 川北 至信 大友 季哉 小原 真司 福永 俊晴
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高温融体からのアモルファス材料の形成メカニズムの解明を目的とし、世界最高レベルのJ-PARC高強度中性子全散乱装置のためのガス浮上炉を開発した。J-PARCでの中性子実験は事故のため十分に出来なかったが、このガス浮上炉を利用し、アモルファスになりにくいアモルファス材料、アモルファスにならない高温融体の構造的特徴を明らかにすることができた。
著者
田岡 智志 渡邊 敏正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.549, pp.73-80, 2000-01-19
参考文献数
24

k辺連結化問題とは、与えられた無向グラフG=(V, E)に付加して得られるグラフG'=(V, E∪E')がk辺連結となるような最小辺集合E'を求める問題である。本稿では、"辺付加により新たに多重辺を作らない"、という条件を加えたk辺連結化問題を扱う。一般には、この問題はNP-hardであり、Gの葉と呼ばれる点集合の総数により問題の難しさが変わることが知られている。本稿では、Gの辺連結度をσとするとき、k=σ+1且つGが2σ+6個未満の葉を持つ場合を考え、リーフグラフの最大マッチングにより生成される葉数と不飽和葉数の関係により、多項式時間の最適解法、あるいは、近似比3 / 2の近似解法、それぞれを提案する。
著者
渡邊 睦
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

H22(準備段階)~24年度において,可搬型の空中映像撮影システムを構築し,屋内静止環境における画像補正手法を開発した.次に,屋内変動環境に対処できるよう,上記空中映像撮影システム,画像補正方式を改良し,屋内実験室における人物の流動把握実験,大学構内(屋外)における車両などの流動把握実験を実施し,精度評価を実証した. 更に,H24~25年度においては,上空からの広域映像を安定に撮影できるよう,簡易型空中飛行体(AR-Drone)を用いて,ARランドマーク認識に基づく自動巡回.特定人物への上空からの追跡機能を実現し,屋内体育館,大学構内(屋外)における自動制御実験により有効性を確認した.
著者
山名 淳 宮本 健市郎 山﨑 洋子 渡邊 隆信
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、新教育運動期において、児童・生徒の「本性」に基づいて彼らの自己活動の余地を保持するために、学校における「アジール」的な時空間(教師の明確な計画性を逃れる曖昧な時空間)の重要性が認識され始めたことに注目し、新教育的な学校における「アジール」との関わりにおける教師の技法を、新教育運動の影響が最も鮮明にみられたイギリス、ドイツ、アメリカ合衆国を考察対象として比較史的に究明することを心試みた。日本との比較考察という視点も導入し、今後の継続的な研究の展望を示した。本研究の成果は、報告書『新教育運動期における学校の「アジール」をめぐる教師の技法に関する比較史的研究』にまとめて公にした。
著者
渡邊 雅彦
巻号頁・発行日
1992

ハンチントン病(Huntington's disease, HD)は1872年にアメリカのGeorge Huntingtonにより初めて報告された慢性、進行性の舞踏病である(Huntington G. 1872)。 ハンチントン病は常染色体優性遺伝形式をとる神経変性疾患 ...
著者
渡邊 智 藤原 敏雄 川崎 義巳 大塚 吉則
出版者
日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.235-239, 1997-08-01
参考文献数
13
被引用文献数
2

We investigated the effects of bathing with bath preparation (sodium sulfate, sodium chloride, 30g/200l) on the thermal preservability in healthy volunteers. We also investigated these effects on the antioxidative defense system in patients with vibration syndrome (VS). In these investigations, we measured the activities of erythrocyte superoxide dismutase (SOD). After immersion at 41℃ for 5 min, forearm skin temperature, photoplethysmograph, and transepidermal water loss increased significantly as compared with those after bathing in a plain water. After bathing for 4 weeks at around 40℃ for 10min, activities of erythrocyte SOD increased significantly. These data indicate that bathing with the bath preparation has a stronger effect on thermal preservability in healthy volunteers and activation of the antioxidative defense system in patients with vibration syndrome due to a significant increase in activities of erythrocyte SOD.
著者
渡邊 徹
巻号頁・発行日
2013

筑波大学博士 (工学) 学位論文・平成25年3月25日授与 (甲第6422号)
著者
足立 匡 小池 洋二 渡邊 功雄
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

鉄系、銅系超伝導体におけるスピン相関と超伝導の関連を明らかにするために、不純物を置換した鉄系Fe1-y(Co,Ni,Zn)ySe0.3Te0.7(Fe系)と銅系電子型Pr1.3-xLa0.7CexCuO4+d(Pr系)の高品質単結晶を用いてミュオンスピン緩和測定を行った。その結果、Fe系では不純物によるスピン相関の著しい発達を見出し、超伝導電子対の形成には軌道のゆらぎが効いている可能性が高く、スピン相関の効果は弱いと結論した。一方、Pr系では、低温で超伝導と短距離磁気秩序が共存することを見出し銅系ではスピン相関が電子対の形成に効いていると結論した。