著者
小澤 博
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、16・17世紀の英国演劇に書き込まれた地中海、および地中海諸国に関連するトピックを比較検討する事により、当代の詩的想像力と地中海世界との交渉の中に形成された初期近代英国演劇の特性を、社会文化史的側面から捉え直すことにあった。この研究では、ムーア人やユダヤ人の表象を中心に、北アフリカやイベリア半島のスペインをも視野に入れつつ、新世界へと拡張する西洋が、旧世界の演劇的想像力の中に創造した文化史の解明を試みた。バレンシアで開かれた第7回シェイクスピア学会世界大会においては、こうした視点から「スペインと初期近代劇と題するセミナーのリーダーを務めた。また、『シェイクスピアを学ぶ人のために』に所収の論文「異人を印す-シャイロック考-」では、地中海貿易の要衝ヴェニスとロンドンとユダヤ人を中心とする異人の問題を取り上げ、キリスト教対異教文化の対立について論じつつ、そこに内在する問題が、広くムーア人を含む異人種・異教徒の問題に発展する可能性を指摘した。『シェイクスピアを読み直す』に所収の論文「モンストラスな、余りにモンストラスな-『オセロー』と隠蔽-」は上記論文の延長上に位置し、地中海の要衝ヴェニスの白人キリスト教文化とムーア人の関係を検証し、劇中に隠蔽された異文化排除の実相を読み解いたものである。以上のような研究から、イスラム・ムーア人・ユダヤ人・イタリア諸都市(ヴェニスやヴェローナなど)等々の表象と演劇的意味を検証することで、地中海的視座から見た今ひとつの英国ルネサンス演劇文化論を提示することができた。
著者
船木 洋晃 佐々木 彬 岡崎 直観 乾 健太郎 深田 陽介 竹下 隆一郎 田森 秀明 野澤 博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.1K32, 2014

<p>本研究では2013年の参議院議員選挙より解禁されたインターネット選挙を受け、 ツイッター上での選挙運動を分析し、実際の選挙結果との相関を考察する。さら に,特定の候補者に対する当選・落選を期待する言語表現から当選運動・落選運 動を予測する分類器を生成し、各候補者に関する運動の盛り上がりを分析する。</p>
著者
織田 成人 平澤 博之 北村 伸哉 上野 幸廣 島崎 淳也 中西 加寿也 福家 伸夫 伊藤 史生
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.219-228, 2007-06-15 (Released:2009-02-27)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

目的 : 千葉県の救急・集中治療施設における急性肺傷害 (acute lung injury; ALI) /急性呼吸急迫症候群 (acute respiratory distress syndrome; ARDS) の発症率, 治療, 転帰等について調査し, population-basedのALI/ARDS発症率を推計する。研究デザイン : 多施設共同前向きコホート研究。セッティング : 千葉県内の3次救急医療施設および大学附属病院を中心とする12施設のICU。方法 : 2004年10月1日~12月31日までの3ヵ月間の全ICU入室患者を対象に, SIRS (systemic inflammatory response syndrome), ALI/ARDSをスクリーニングした。ALI/ARDSの診断基準は, 1994年のAmerican-European Consensus Conferenceの定義を用いた。調査票を用いてALI/ARDS患者の背景病態, 原因, 重症度, 合併臓器障害, P/F比, 人工呼吸器装着の有無, 各種治療, ICU在室期間, ICU退室時および28日後の転帰等を調査し検討した。結果 : 調査期間内に1,632例が登録され, このうちSIRS症例は770例 (47.2%), ALI/ARDS症例は79例, 発症率は全症例の4.8%, SIRS患者の10.3%であった。ALI/ARDS症例の平均年齢は64.0±17.1歳, P/F比は平均150.7±70.6で, P/F比300-201の症例が19例 (24.1%), 200以下のARDS症例は60例 (75.9%) であった。入室時APACHE IIスコアは24.7±8.9, SOFAスコアは8.8±4.3, 肺以外の臓器障害数は2.2±1.4臓器であった。ALI/ARDS79例中71例が人工呼吸管理を要し, これら症例のventilator free days (VFD) は平均12.1±10.6日であった。ALI/ARDS症例の平均ICU滞在日数は18.8±9.6日, 28日生存率は68.4%であった。結論 : これらのデータから推計すると, 千葉県におけるALI/ARDSの発症率は人口10万人当たり年間6.1人であった。
著者
松田 兼一 平澤 博之 織田 成人 仲村 将高
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

液体換気(liquid ventilation,LV)とは特殊な液体であるフルオロカーボンを酸素ガスの代わりに人工呼吸に用いる全く新しい人工呼吸法である.液体を用いて人工呼吸することによって肺洗浄効果及び虚脱肺拡張効果が期待され,重症呼吸不全の肺酸素化能を改善することができる.一方,液体を用いることから,施行中の人工呼吸器の操作条件が呼吸生理に与える影響はガス呼吸とは異なる可能性がある.そこで今回LVを有効かつ安全に施行するための基礎的検討を行った.まず.成熟ラットを用い,従来の酸素ガスを用いた従量式人工呼吸管理を小動物用人工呼吸器を用いて行った.これをコントロール(GasV群)とした.GasV施行中,操作条件を種々変更し,各操作条件に対する血行動態,血液ガス分析値の変化を検討した.次に,フルオロカーボンをラットの肺内にあらかじめ注入した後,従来の酸素ガスを用いた従量式人工呼吸管理(LV)を行った.これをLV群とした.GasV及びLV施行中,操作条件を種々変更し,各操作条件に対する血行動態,血液ガス分析値の変化を検討した.次に,先のデータを用いて,分時換気量(MV)と呼吸回数(RR)および吸気呼気時間比(I:E)を種々変化させたときのGasVとLVにおけるPaCO2,PaO2の変化の違いを検討した.操作条件の影響はGasV群に比しLV群では大きく,その影響はMVが低い場合により顕著となった.このことよりLVにおける人工呼吸器の操作条件に対するPaO2,PaCO2の変化はGasVとは全く異なるため,LVを安全かつ有効に施行するためにはPaO2,PaCO2をモニタリングしながら操作条件を決定する必要があると結論された.今後はFIO2などの操作条件を変更させ,さらに検討する予定である.
著者
織田 成人 平澤 博之 北村 伸哉 上野 幸廣 島崎 淳也 中西 加寿也 福家 伸夫 伊藤 史生
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 = Journal of Japanese Association for Acute Medicine (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.6, pp.219-228, 2007-06-15
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

<b>目的</b> : 千葉県の救急・集中治療施設における急性肺傷害 (acute lung injury; ALI) /急性呼吸急迫症候群 (acute respiratory distress syndrome; ARDS) の発症率, 治療, 転帰等について調査し, population-basedのALI/ARDS発症率を推計する。<b>研究デザイン</b> : 多施設共同前向きコホート研究。<b>セッティング</b> : 千葉県内の3次救急医療施設および大学附属病院を中心とする12施設のICU。<b>方法</b> : 2004年10月1日~12月31日までの3ヵ月間の全ICU入室患者を対象に, SIRS (systemic inflammatory response syndrome), ALI/ARDSをスクリーニングした。ALI/ARDSの診断基準は, 1994年のAmerican-European Consensus Conferenceの定義を用いた。調査票を用いてALI/ARDS患者の背景病態, 原因, 重症度, 合併臓器障害, P/F比, 人工呼吸器装着の有無, 各種治療, ICU在室期間, ICU退室時および28日後の転帰等を調査し検討した。<b>結果</b> : 調査期間内に1,632例が登録され, このうちSIRS症例は770例 (47.2%), ALI/ARDS症例は79例, 発症率は全症例の4.8%, SIRS患者の10.3%であった。ALI/ARDS症例の平均年齢は64.0&plusmn;17.1歳, P/F比は平均150.7&plusmn;70.6で, P/F比300-201の症例が19例 (24.1%), 200以下のARDS症例は60例 (75.9%) であった。入室時APACHE IIスコアは24.7&plusmn;8.9, SOFAスコアは8.8&plusmn;4.3, 肺以外の臓器障害数は2.2&plusmn;1.4臓器であった。ALI/ARDS79例中71例が人工呼吸管理を要し, これら症例のventilator free days (VFD) は平均12.1&plusmn;10.6日であった。ALI/ARDS症例の平均ICU滞在日数は18.8&plusmn;9.6日, 28日生存率は68.4%であった。<b>結論</b> : これらのデータから推計すると, 千葉県におけるALI/ARDSの発症率は人口10万人当たり年間6.1人であった。
著者
瀬戸 夕輝 佐戸川 弘之 佐藤 洋一 高瀬 信弥 若松 大樹 黒澤 博之 坪井 栄俊 五十嵐 崇 山本 晃裕 横山 斉
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.140-143, 2011-05-15 (Released:2011-08-24)
参考文献数
9

症例は83歳男性.2006年に,他院にて高度房室ブロックに伴うAdams-Stokes syndromeのため左鎖骨下から経静脈的にペースメーカー(pacemaker : PM)(DDD)を移植された.2008年にPM電池留置部の創部離開を生じた.滲出液の培養は陰性であり,PMの金属によるアレルギー性皮膚潰瘍疑いと診断された.PM電池をpolytetrafluoroethylene(PTFE)シートで被覆し左鎖骨下に移植されたが再び創部の離開を生じ,対側の右鎖骨大胸筋下にPM再移植術を受けた.その後,電池感染のためPM電池を摘出された.高度房室ブロックによる徐脈を認めたため,同年12月10日当院紹介となり救急搬送された.同年12月18日に全身麻酔下に季肋部正中切開による心筋リード植え込み術(VVI)を施行した.感染による縦隔洞炎のリスクも考慮し小切開としたため,心室リードのみの留置とした.また皮膚部分で生じやすいPM金属との免疫反応を予防するためにPM電池とリードの両方をPTFEシートで被覆し,PM電池は腹直筋下に留置した.術後経過は良好で創部離開を認めなかった.また術後4カ月後のパッチテストではニッケルとシリコンに対してのアレルギー反応を認めたため,本症例の皮膚離開がPMの素材に対するアレルギーが原因であったと診断した.PM素材に対するアレルギー患者へのPM電池植え込み術の1例として報告した.
著者
宇野 隆史 岩澤 博
出版者
日経BP社
雑誌
日経レストラン (ISSN:09147845)
巻号頁・発行日
no.471, pp.34-37, 2013-08

時代を超えて、繁盛店を作り続ける「居酒屋の神様」こと、「楽」の宇野隆史社長。「弟子代表」として六本木や西麻布で繁盛店を経営するベイシックスの岩澤博社長との座談会を開催し、繁盛店を作るために必要な商売の秘訣とは何かを探った。岩澤 先日、東京・…
著者
紀平 寛 田辺 康児 楠 隆 竹澤 博 安波 博道 田中 睦人 松岡 和巳 原田 佳幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.780, pp.780_71-780_86, 2005 (Released:2006-04-07)
参考文献数
42
被引用文献数
14 13

耐候性鋼の超長期にわたる腐食減耗予測法について研究を行った. さび安定化概念にもとづく思想を体系的に展開し, 腐食速度パラメータを推定するアルゴリズムや数式モデルの立案, 地域気象情報のデータベース化, 簡易な飛来塩分量および硫黄酸化物量の推定法などを策定した. 複雑な計算過程を容易に操作できるよう, 内桁条件における腐食減耗予測シミュレーションソフトウェアも開発した. 前記の思想展開により, 設計にて考慮すべき予測腐食減耗量を見極めるための工学的指標群を初めて具体的かつ体系的に整理・提案し, 長期耐久性の実現に関わる数多な構成技術要素保障項目の関連性を明確にした. 今後の進化へ向けて検討すべき点を明らかにしつつ, 現在までの進捗内容を詳細に報告する.
著者
平澤 博之
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.60, no.6, pp.406-410, 1993-12-15 (Released:2010-03-01)
参考文献数
12
著者
石渡 一夫 静間 徹 中澤 博江 盛 英三 福山 直人
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.489-495, 2007

【目的】海藻に含まれるフコイダンは種々の有用な生物活性を持つが、沖縄モズク由来アセチルフコイダンの癌に対する作用は不明である。本研究において我々は沖縄モズク由来アセチルフコイダンの癌抑制作用について検討を行った。<BR>【対象及び方法】動物実験モデルとして、マウス大腸癌細胞移植モデルを用いた。実験群は癌細胞移植後に通常水を飲水させたコントロール群と、通常水に5%フコイダンを混ぜて飲水させたフコイダン群に分け、マウスの体重を経時的に計測し腫瘍量を計測した。腫瘍組織は採取後、組織学的に腫瘍の浸潤とアポトーシス細胞の有無を検討した。<BR>【結果及び考察】マウスの有意な体重減少抑制効果をフコイダン投与群で認め、腫瘍量もフコイダン投与群で有意に低下していた。組織学的にもフコイダン投与群で腫瘍の浸潤が抑制され、癌細胞のアポトーシスも認められた。<BR>【結論】沖縄モズク由来アセチルフコイダンは癌細胞にアポトーシスを誘導し腫瘍発育を抑制すると考えられた。
著者
滝澤 博胤
出版者
公益社団法人 日本工学教育協会
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.6_43-6_46, 2019 (Released:2019-12-05)
参考文献数
6
著者
竹澤 博美 相守 節子 牧野 雅美 堀 親秀
出版者
新田塚医療福祉センター
雑誌
新田塚医療福祉センター雑誌 (ISSN:13492519)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.17-18, 2007-07-31

保育士が積極的に園児を抱きしめる事が、園児の協調性、落ち着き、不安に影響を与えるかを検討した。協調性、落ち着き、不安の程度の指標としては、それぞれトラブルの回数、一定時間座っていられなかった回数、日本版CBCL(Child Behavior Checklist)検査を用い判定した。その結果、すべての指標が有意に減少し、保育士による抱きしめる行為は、集団生活の場において、協調性と落ち着きを増し、不安を軽減することが示唆された。
著者
大澤 博隆
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.545-546, 2015-12-01 (Released:2016-06-01)
参考文献数
5
著者
横張 賢司 平澤 博之 織田 成人 志賀 英敏 中西 加寿也 貞広 智仁 仲村 将高
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.14, no.9, pp.456-462, 2003
被引用文献数
1

目的:重症急性膵炎(severe acute pancreatitis: SAP)症例における重症度判定に際し腹部CT検査は必須であり,われわれは厚生省研究班によるCT grade分類を用いてICU入室時および経過中に撮影した腹部CTのgradingを行っている。また現在当施設ではIL-6 (interleukin-6)血中濃度迅速測定が可能であり,その結果はSAPの重症度の指標として有用であると考えている。そこで今回SAP症例の腹部CT所見とIL-6血中濃度との相関を明らかにする目的で以下の検討を行った。対象:自験SAP症例のうちIL-6血中濃度を測定し得た31例を対象とし,入室時のCT grade, IL-6血中濃度およびAPACHE II scoreを検討した。結果:対象31例の入室時CT gradeの内訳はIII度6例,IV度22例,V度3例であった。grade別の入室時平均IL-6血中濃度は,III度269pg/ml, IV度1,214pg/ml, V度1,578pg/mlであり,同様にgrade別の入室時平均APACHE II scoreは,III度11.67, IV度18.33, V度16.30であった。入室時CT gradeとIL-6血中濃度の相関については,gradeが上がるほど血中濃度も高値になる傾向がみられたが,有意な相関は認めなかった。またCT gradeとAPACHE II scoreについても同様に有意な相関は認めなかった。一方,CT gradeを含む各種予後因子の合計スコアを算出したstage分類によると,入室時stage 2に分類されたのは12症例であり,入室時IL-6血中濃度は平均で393pg/mlであった。同様にstage 3は18例で平均1,539pg/ml, stage 4に分類された症例は1例のみであった。stage 2とstage 3の間ではIL-6血中濃度平均値の有意な差を認めた(p<0.05)。考察及び結語:治療経過とともにIL-6血中濃度と病態が改善しているSAP症例においても短期間ではCT gradeは改善せず,腹部CT検査は入室時の重症度判定としては有用だが,リアルタイムの病勢の推移を判断する指標としては適切でないと思われた。以上よりSAP症例におけるIL-6血中濃度と腹部CT所見とは明らかな相関を示さず,その臨床上の意義は各々異なっていると考えられた。