著者
中挟 知延子 島田 静雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.41-42, 1995-09-20

本論文では、我々の作成した電子化日本語動詞辞書の構成内容を述べ、その辞書を利用して行った字面のみによる、日本語文章からの動詞の抽出実験の結果を示す。日本語文章において動詞を代表とする用言は文章を理解する上で重要な役割を担っている。そのため、文章中から動詞を正確に抽出できれば、文章の要点をつかむことができ、機械翻訳をする場合にも役に立つ。我々のねらいは、日本語文章から動詞を抽出して、そのまま機械翻訳処理にかけるのではなく、むしろ機械翻訳処理が効率良く行われるように、オリジナルの日本語文章を前もって校正しておくことにある。日本語動詞には複合動詞や語尾に「する」の付いたものがあり、これらに対応する訳語は、英語だと1つの単語ではなく2語以上の動詞句の形である場合が多く、対応する訳語として前置詞も登録しなければならない。また、「書く」・「書ける」・「書かせる」のように同じ語幹でも、語尾の活用が違っていると、対応する訳語は異なる。いずれの場合にも翻訳のための辞書はかなり大きくなってしまう。そこで、前もって日本語文章を校正して、同義のものや冗長な言い回しを簡潔な表現に統一しておけば、機械翻訳の際に辞書を参照する回数が減り、処理効率が増すと考えられる。たとえば「書き留める」の英訳は,"write down"であるが、「記録する」にも同じ英訳があてはまる。もしも文中にこれら2つの動詞が出てきたら、どちらかの動詞に統一しておけば適切であろう。しかも、そのために必要な動詞の抽出を、形態素解析をせずに字面のみでできれば、抽出のための処理の時間や処理システムの規模も少なくて済み、機械翻訳処理の前処理としてシステム全体に対して占める負荷の割合は大きくならないであろう。我々は、自家製の動詞辞書を利用するために、「動詞抽出ツール」を作成し、文章中から複合動詞・「する」動詞を含めた動詞の抽出を試みた。抽出は字面のみで行い、辞書を含めたツールの大きさも、フロッピーディスク1枚に収まる程度にしてパソコン上で実現している。今回述べる動詞辞書は漢字で始まる動詞を中心に作成し、抽出も漢字を用いる動詞にしぼっている。動詞辞書には、ひらがなで始まる動詞も含まれているが、ひらがなのものについては次回の発表で行う。以下、2章で動詞辞書の構成について述べ、3章で「動詞抽出ツール」について述べたあと、実際にツールを用いて文中から動詞を抽出した結果を示す。4章では、3章の抽出結果を考察し、5章にまとめを述べる。
著者
中山 文 成田 静香 野村 鮎子 濱田 麻矢 西川 真子 松尾 肇子 林 香奈
出版者
神戸学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

この研究の目的は、現代中国の中国文化(文学・演劇・映画など)に表れたジェンダーを明らかにすること、および文化の根底にある中国人のジェンダー観念を歴史的に考察することであった。我々は、平成15年度〜16年度(2003年4月〜2006年3月)にかけて、これをテーマとする研究会を計22回開催し、平均して毎回14〜15名の参加者を得た。2004年3月7日の国際シンポジウム「中国演劇におけるジェンダーの表象」では、パネリストとして、中国から中国の女性演劇である越劇の監督である楊小青氏、中国戯劇家協会の重鎮で『中国戯劇』の副主編である黎継徳氏を迎え、日本側からは中山文(神戸学院大学)、伊藤茂氏(神戸学院大学)、細井尚子氏(立教大学)が加わり、中国の越劇と日本の宝塚との比較やジェンダーの表象について討論した。また、2005年6月25日〜26日には、日中の女性演劇の比較をテーマとする国際シンポジウム「男らしさ・女らしさの作り方-越劇と宝塚」を開催した。宝塚からは、草野旦氏(演出家)・磯野千尋氏(宝塚歌劇団専科、男役)・一原けい氏(宝塚歌劇団専科、女役)、越劇(中国の女性演劇)からは、楊小青氏(演出家)・陳雪薄氏(杭州越劇院、男役)・周俊氏(杭州越劇院花旦、女役)を迎え、実演を交えて、一般にも広く公開した。このほか、研究会では、中国のジェンダーを歴史的に考察するための入門書『中国女性史入門-女たちの今と昔』(人文書院2005年3月)を編纂・出版した。この書は、中国女性の歴史を、婚姻生育・教育・女性運動・労働・身体・文芸・政治ヒエラルキー・信仰の8つのテーマに分けて解説したもので、すでに書評などで高い評価を得ている。
著者
安田 静
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究課題遂行のため,昨年度(H15年)は夏と冬の2回,科学研究費補助金によって調査研究のための出張を行い,主にフランス国立図書館付属パリ・オペラ座図書館で現物調査を行うことができた.この調査をもとに,本年度(H16年)はまず,2004年5月にロシア(サンクトペテルブルグ市)で開催された国際演劇学会で発表を行うことができた.学会のテーマは「演劇世界における演出家(ディレクター)」というもので,本研究課題と極めて密接な関わりを持つ.そこで,パリ・オペラ座バレエ団の舞踊監督(ディレクター)を務めた振付家ルドルフ・ヌレエフの代表的振付作品『白鳥の湖』をとりあげ,演出家としての彼の仕事について分析を行った.演劇の研究者主体のこの学会では,舞踊作品において,演出家による「演出」と演者の「演技」の部分とはどのように境界を見定めることができるのか,などの質疑が出された.舞踊を見慣れた者にとって,両者の区別は自明のことなのだが,活発な質疑応答を通じて,演劇とは異なり(一般的には)書かれたテクストを持たない舞踊特有の問題点を明らかにできた.2004年7月には,ブラジル(リオ・デ・ジャネイロ市)で開催された国際美学会でも発表を行うことができた.この学会では,オペラ座バレエ団にも数多くの振付作品を残しているウィリアム・フォーサイスについてとりあげ,作品のアイデンティティと保存・継承の問題について考察を行った.以上の通り本年度は,科学研究費補助金の過年度調査研究旅行で得られた知見を活用して,2つの大規模国際学会で発表を行うことができた.なお,前者の発表については,舞踊における演出の諸問題の特異性に注目して論文にまとめ,研究紀要に発表した.
著者
藤野(隠岐) 知美 鈴木 真由美 山田 静雄
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.41-50, 2007 (Released:2007-07-19)
参考文献数
44
被引用文献数
3 2

ノコギリヤシ果実抽出液 (SPE) は,ヨーロッパでは前立腺肥大症 (BPH) に対する治療薬として用いられ本邦でも健康食品として汎用されている.SPE の薬理作用には抗アンドロゲン作用などがある.臨床的には,SPE (320 mg/day) の 6 ヶ月投与により BPH やそれに伴う頻尿に有効との報告がある.排尿機能及び下部尿路受容体に対する SPE の作用を調べたところ,酢酸誘発頻尿ラットシストメトリーにおいて,SPE は排尿間隔及び一回排尿量を有意に増加させ,頻尿改善作用を示した.さらに SPE は前立腺 α1 受容体,膀胱ムスカリン性及び 1,4-ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬受容体に対し結合活性を示した.SPE は反復経口投与により,テストステロン誘発肥大前立腺における α1 受容体数の増加を抑制した.また,SPE の反復投与はラットの血液臨床検査値,肝機能及び肝薬物代謝酵素活性に影響しなかった.以上,SPE は下部尿路受容体への直接作用による BPH の機能的閉塞の解除や頻尿の抑制などの薬理作用を示すことが示唆された.
著者
木村 光雄 上田 静男 傍島 善次 青木 朗 国村 昇
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大學學術報告. 農學 (ISSN:00757373)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.15-20, 1959-09-01

1958年の8月6日&acd;10月28日にわたり, 葡萄のMuscat of Alexandria種の1年生1芽挿苗木を材料として砂耕栽培を行い, これに有機界面活性剤として, Polyoxyethyleneglycol Octyl Phenol Etherの4種類を夫々濃度を(10)^<-3>, (10)^<-4>及び(10)^<-5>としLauryl Alcohol (30mol) Ethylene Oxyde Co-polymerを濃度(10)^<-4>, (10)^<-5>及び(10)^<-6>として培養液に添加し, 有機界面活性剤の存在が葡萄の生育に及ぼす影響を調査した。その成績は次の如くである。1)有機界面活性剤の濃度がPolyoxyethleneglycol (×) Octyl Phenol Etherは(10)^<-3>, Lauryl Alcohol (30mol) Ethylene Oxyde Co-polymerは(10)^<-4>では高濃度に過ぎて供試樹は途中で枯死した。2)有機界面活性剤の濃度をPolyoxyethyleneglycol (×) Octyl Phenol Etherは(10)^<-4>, Lauryl Alcohol (30mol) Ethylene Oxyde Co-polymerは(10)^<-5>で添加すると供試樹の生育に好影響を及ぼす可能性がある。
著者
島田 繁広 近藤 邦雄 佐藤 尚 島田 静雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.349-350, 1995-03-15

CGのフォトリアリズムを追求する分野では、ラジオシティ法などの精密な計算手法により、リアリズムに関する課題はかなり解決されてきている。一方、イラストレーションに代表される画像の分野では強調省略によって理解しやすい画像を生成する研究が行われているが、アルゴリズム化しづらい分野であり研究はあまり進んでいない。本研究ではテクニカルイラストレーションを対象とするが、テクニカルイラストは形状特徴の誇張や陰影部分を強調し表現することで、形状を正しく伝えること、短時間で理解できることの2つを目的としている。また、彩色しないのだが、白黒のみでも十分に形状や質感の表現が可能である。本研究では、三次元形状モデルを利用した投影図に対して強調描画を適用する手法を提案する。
著者
小林 宏行 河合 伸 押谷 浩 酒寄 享 小池 隆夫 大西 勝憲 斎藤 玲 中山 一朗 富沢 磨須美 大道 光秀 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 荒川 正昭 和田 光一 岡 慎一 稲松 孝思 増田 義重 島田 馨 柴 孝也 吉田 雅樹 佐藤 哲夫 林 泉 宍戸 春美 赤川 志のぶ 永井 英明 渡辺 尚 馬場 基男 松本 文夫 桜井 磐 嶋田 甚五郎 堀 誠治 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 健一 平居 義裕 石丸 百合子 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 俊信 下方 薫 齋藤 英彦 成田 亘啓 三笠 桂一 三木 文雄 二木 芳人 副島 林造 澤江 義郎 仁保 喜之 大泉 耕太郎 市川 洋一郎 徳永 尚登 原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 伊藤 直美 松本 慶蔵 永武 毅 宇都宮 嘉明 力富 直人 那須 勝 山崎 透 斎藤 厚 普久原 浩 広瀬 崇興 佐藤 嘉一 熊本 悦明 河村 信夫 岡田 敬司 稲土 博右 守殿 貞夫 荒川 創一 宮崎 茂典 大森 弘之 公文 裕巳 小野 憲昭 渡辺 豊彦 村田 匡 熊澤 淨一 松本 哲朗 尾形 信雄 高橋 康一 天野 拓哉 中村 元信 山本 松男 清水 武昭 岩井 重富 国松 正彦 大塚 一秀 中川 良英 渡辺 哲弥 松山 秀樹 杉山 勇治 中山 一誠 品川 長夫 真下 啓二 真辺 忠夫 木下 博明 森本 健 久保 正二 藤本 幹夫 上田 隆美 岩佐 隆太郎 横山 隆 児玉 節 津村 裕昭 松田 静治 保田 仁介 山元 貴雄 岡田 弘二 遠藤 重厚 山田 裕彦 高桑 徹也 斎藤 和好 相川 直樹 田熊 清継 藤井 千穂 福田 充宏
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.846-871, 1997-10-25
被引用文献数
7
著者
松田 静男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.4, pp.663-676, 1997-04-25
被引用文献数
7

3本の平行電極導体で構成された結合線路形3極真空管[3](以下では真空管と略記)の3電極がプラズマ空間中に置かれた結合線路形3電極プラズマ管(以下ではプラズマ管と略記)はこれを能動的分布結合線路とみなせば二つの伝搬定数をもち, 伝搬定数はプラズマ管の構造寸法のほかにプラズマ条件(プラズマ温度, プラズマ密度, バイアス電圧)に依存し少なくとも一つの伝搬定数は利得伝搬定数(実部と虚部が異符号)となり, プラズマ周波数以下の電磁波でも振幅が指数関数的に増大しながら電極導体に沿ってプラズマ中を伝搬する可能性がある[2]. 本論文では電極導体の具体的構造を設定し, 電極導体の周囲を電子空間電荷と完全電離プラズマの混合体とみなし, その電極間静電容量と相互コンダクタンスの理論計算値[3], 能動的分布結合線路の理論[1]ならびにプラズマの等価誘電体の考え方[4]を適用し, 物理的解釈よりも工学的あるいは等価回路的考察に基づいてプラズマ管の伝搬定数を求め, 更にプラズマ管の電極間に静電容量を付加することにより一方の伝搬定数が無損失伝搬で他方が損失伝搬(安定な無損失伝搬)となるために必要な静電装荷条件, 電極の接地方式, プラズマ条件等の関係を検討する.
著者
平田 静子
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.33, no.8, pp.T64-T68, 1984-08-05
被引用文献数
4 2

誘導結合プラズマ発光分析法による標準岩石試料(地質調査所JG-1,TB-1,JA-1,JB-2)及び標準たい積物試料(NBS SRM 1645, 1646)中の13元素の同時定量法を検討した.高周波電力1.6kW,プラズマ内測光位置をコイル上16mmとし,ネブライザーはガラス同軸型噴霧器を用いた.検出限界は鉄0.004,マンガン 0.002,リン0.090,銅0.002,ニッケル0.007,クロム0.004,モリブデン0.004,チタン0.001,バナジウム0.003,アルミュウム0.005,コバルト0.001,マグネシウム0.009,亜鉛0.004 ppmであった.分析精度は標準岩石及び標準たい積物試料中の鉄,マンガン,チタン,アルミニウム,マグネシウムについては±1%以下,リン,銅,ニッケル,クロム,モリブデン,バナジウム,コバルト,亜鉛のほとんどについては±5%以下の分析精度で定量できたが,一部JG-1の銅,ニッケル,モリブデンについては存在量が微量であるために分析精度は悪くなった.正確さは共存する主要成分の分光干渉,溶液の粘性の影響を受け,JB-1,JA-1,JB-2では補正を行ってもモリブデンの定量は困難であった.
著者
佐藤 尚 近藤 邦雄 島田 静雄
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.97-98, 1994-09-20

飯高茂は1980年代後半より、Prologの持つバックトラッキングとパターンマッチの機能を利用して、数学の世界を組み立てることを行ってきた。その中で群論電卓の作成が大きなテーマとして取り上げられている。群論計算システムとして、CAYLEなどの大規模なシステムがよく知られている。飯高の群論電卓は、これらのシステムとは異なり、群論電卓の作成を通して、群論を理解することに力点がある。このような小規模なシステムでも新しい定理を発見するための具体例の計算にも使えることができる。数学では、「ある構造をもつ数学的対象の間に、その構造を保つ写像を考えつつ議論を進めるのが基本である」と言われている。飯高の群論電卓では、同時に複数の群を扱うことが出来ないので、この基本に沿った計算を実行することが出来ない。本報告では、Prologにオブジェクト指向風の拡張を施し、それを利用して複数の群を扱うことの出来る群論電卓の概要を報告する。