著者
伊藤 隆 木村 容子 大田 静香 山本 昇伯 須田 憲男 中澤 一弘
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.244-249, 2015 (Released:2015-11-05)
参考文献数
15
被引用文献数
4 4

こむら返りに対する芍薬甘草湯の効果は知られているが,近年,偽アルドステロン症の副作用が多く報告されている。こむら返りに用いることのできる漢方製剤で,甘草を含まないものが期待されている。今回,こむら返り患者26例(平均年齢70.7 ± 12.1歳)に対して,甘草を含まない漢方製剤である四物湯エキスを投与したところ,改善18例(69%),不変8例(31%)であり,前者の腹力は後者よりも推計学的に有意に低い結果であった。また,特に今回の有効例のうち,代表的な4例について詳述した。四物湯は貧血様症状に用いられてきたが,こむら返りには用いられて来なかった。四物湯は,芍薬甘草湯と同等の有効率であり,実証ではない高齢者で緊急性が求められない場合にはより用いられてよい方剤と考えられる。
著者
石田 静香 高木 領 藤田 直人 荒川 高光 三木 明徳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AbPI2070, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】外力によって損傷を受けた骨格筋は、Caイオンの流入により生じる二次的な損傷部と非壊死領域の間に境界膜を形成する(松本, 2007)。筋は損傷を受けると変性、壊死後、再生する、という過程をたどる(埜中, 2001)ことから、再生の前段階である変性、壊死という二次損傷を最小限に抑えることは、次に続く筋の再生過程にも大きく影響すると考えられる。臨床場面、特にスポーツの現場では筋損傷後に寒冷療法を用いることが多い(加賀谷, 2005)。われわれは筋損傷後に与える温度刺激が筋の再生にどのように影響するのかを調べてきた。高木(2009)は、寒冷刺激によってマクロファージの進入が遅れることから、骨格筋の再生が遅延する可能性を報告した。また、Kojimaら(2007)は温熱刺激が筋損傷後の再生に重要な役割を担うと報告している。そこで、われわれは実験動物に筋損傷を惹起させた後、その二次損傷と再生過程が温度刺激によってどのように変化するのかを、寒冷、温熱双方の刺激を加えることで確かめることとした。【方法】8週齢のWistar系雄ラット15匹の前脛骨筋を用いた。動物を筋損傷のみの群(C群:n=5)、筋損傷後寒冷刺激を与える群(CI群:n=5)、損傷後温熱刺激を与える群(CH群:n=5)の3群に分けた。前脛骨筋を脛骨粗面から4mm遠位で剃刀を用いて約2/3の深さまで横切断し、筋損傷を惹起した。筋損傷作製から5分後に20分間の寒冷刺激あるいは温熱刺激を加えた。寒冷刺激は高木ら(2009)の方法に倣い、ビニール袋に砕いた氷を入れ、筋を圧迫しないように下腿前面に当てた。温熱刺激は約42度に温めた湯を入れたビニール袋を下腿前面に当てた。湯を入れたビニール袋は2分毎に交換した。これにより、筋温は寒冷刺激で約20度低下し、温熱刺激で約10度上昇した。筋切断から3,6,12,24,48時間後に、動物を灌流固定し前脛骨筋を採取した後、浸漬固定を行い、エポキシ系樹脂に包埋し縦断切片を作製した。厚さ約1µmで薄切し、1%トルイジンブルーで染色して光学顕微鏡で観察した。【説明と同意】全ての実験は所属施設における動物実験に関する指針に従って実施した。【結果】損傷3時間後、全群で損傷部とその周辺に染色性の低下が見られた。これは48時間後まで徐々に進行した。CH群での染色性の低下が著明で、CI群では低下が抑制されていた。損傷3時間後から、全群で境界膜形成が進行し、12時間後には大部分の筋線維で境界膜が形成された。非壊死領域で、筋線維の長軸方向と平行に伸びる細長い空胞が3,6時間後に観察された。1視野あたりの空胞数の平均を調べたところ、C群1.0個、CI群2.3個、CH群4.3個であった。CI群、CH群ではC群と比較して大きな空胞が観察された。損傷3時間後、全群で単核の細胞が損傷筋線維内に観察され、本細胞は形態学的にマクロファージであると判断できた。筋線維内に進入したマクロファージ数は48時間後まで増加し続けた。筋衛星細胞は6時間後から全群で観察され、24時間後まで増加した。12時間後において全群で肥大化した筋衛星細胞が観察された。CH群では24時間後に、C群では48時間後に筋芽細胞が明らかに観察できたが、CI群では48時間後でも明らかな筋芽細胞は観察できなかった。【考察】損傷3時間後から観察された壊死領域の染色性の低下は、Caイオン流入による蛋白分解を示していると考えられる。CH群において染色性の低下が進行していたことから、今回の温熱刺激は蛋白分解を促進した可能性がある。CI群では染色性の低下が抑制されたことから、寒冷刺激は蛋白分解を抑制したと考えられる。損傷3,6時間後、境界膜が不完全な領域で、筋線維内に空胞が観察された。すなわち、この空胞は境界膜が不完全な段階でCaイオンが筋線維内に部分的に流入したために生じたと考えられる。CH群で多くの空胞が観察されたことは、温熱刺激により蛋白分解が促進され、境界膜形成前に二次損傷が進行した現象であろう。CI群における多数の空胞形成は、寒冷刺激により蛋白分解が抑制されたものの、境界膜形成や細胞小器官の集積がそれ以上に遅延したために生じたと考えられる。CH群における24時間後の筋芽細胞の出現は、骨格筋の再生過程の初期には温熱刺激が効果的である可能性を示唆していると考えられる。【理学療法学研究としての意義】本研究により、損傷急性期に与える温熱刺激は二次損傷を助長するが、再生過程においては効果的であることが示唆された。今後の臨床応用に興味深い示唆を与えたと思われる。
著者
菅田 良仁 東家 一雄 大西 基代 黒岩 共一 戸田 静男 木村 通郎
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸短期大学年報 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.43-45, 1988-04-01

Clinically, it has been recognized that moxibustion with artemisia stimulates the internal parts of the body without a burn on the skin. Recently, Matsuyama et al. reported that the maximum temperature of moxibustion varied with every change of size, mass, hardness, quality, and humidity of moxa. The purpose of this study was to investigate experimentally the temperature-changes in vivo with moxibustion by using laboratory animals. Male mice of the C57BL/6CrSlc strain (30 weeks old) and chromel-alumel thermocouples (0.32 mm diam. and 0.5Ω electric resistance) were used. Following autoclave sterilization, the chromel-alumel thermocouples were surgically set in the subcutaneous and the muscle layers of the mice. Three weeks later, the temperature-changes in the mice with 50 mg of Ibuki-moxa were registered by a calibrated recorder. As illustrated in Fig. 1, maximum temperatures diminished in the following order ; on the skin (A), in the subcutaneous layer (B), and in the muscle layer (C). And the time occupied on the temperature restoration in the body became longer than that on the skin. As illustrated in Fig. 2, a series of three moxa-cauterizations induced the maximum temperatures to diminish on the skin (A), and to augment in the subcutaneous (B) and muscle layer (C). The former is caused by the barriers of prior moxa tar, sap, and ash to the heat conduction, while the latter is due to the accumulation of previous moxibustion heat. These results indicate that a series of three moxibustions enhances the stimulation not to the shallow parts but to the deep parts of the body. However, it should be made to clarify whether this conclusion holds good for clinical cases.

14 0 0 0 OA ほや

著者
太田 静行
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.117-120, 1975-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
17
著者
太田 静行
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.469-488, 1980-07-20 (Released:2009-11-10)
参考文献数
90
被引用文献数
4 4

10 0 0 0 OA 灸研究の現在

著者
會澤 重勝 校條 由紀 東家 一雄 仲西 宏元 戸田 静男
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.601-613, 2003-11-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
12
被引用文献数
3 4

灸の生体に及ぼす作用についての研究は, いまだ十分とはいえない.全日本鍼灸学会学術大会では, 1997年にミニシンポジウム, 1998年にパネルデイスカッション「ここまで判った灸の科学」, 2001年にシンポジウム「鍼灸と免疫」などの特集が組まれて, それに対する研究成果の議論がなされてきた。そして, 年を追うごとにその内容が深まってきているといってよい。このようなことから, 2003年の第52回全日本鍼灸学会学術大会 (香川大会) では, 現在日本での最先端の研究者によるシンポジウム「灸研究の現在」が企画され, 以下のようにまとめられた。會澤重勝 : 灸基礎研究の概観では, 各種データベースにもとついて現在までの研究論文について述べられている。灸の特に基礎的研究は, 免疫学, 解剖学, 生化学, 神経生理学その他さまざまな方面から研究が試みられている。そして, その研究者の多くは全日本鍼灸学会で発表をしている。そのことから, 本学会の灸研究に果たしている役割は, 多大なものといえる。校條由紀 : 施灸部位の組織学的検討では, 施灸後の皮膚組織が変化する範囲が施灸部位を中心として見られた。その範囲は, 施灸終了60分後も拡大していた。特に, 皮下組織の変化の範囲は文の底面の広さを長時間経過しても超えていた.このことは, 施灸刺激の程度を決定する上で参考になる。東家作雄 : 灸の免疫系への作用が, 実験動物を用いて施灸皮膚所属リンパ節におけるサイトカインmRNA発現様式について検討された。作L-12, IFN-γのようなサイトカンのmRNAに発現様式が認められ, その作用機序に文含有成分の関与することが示唆された.仲西宏元 : 温灸の作用機序の検討から, 灸刺激特に温灸は鍼刺激とは異なる伝達系があり, 灸刺激の局所的な刺激が生理活性物質を奮起し, 機能の活性を引き起こし, この効果が神経系にも影響を与えると考えられた。ただし, 灸の原料であるヨモギの産地によって, 含有する金属元素の含有率の違いが大きく認めたことから, 同質重量の刺激を行ってもその治療効果に差が生じるのではないかと推測された。以上のように, 日本ではさまざまな角度から灸研究がなされているといってよいであろう。今回のシンポジウムは, 「灸研究の現在」を情報提供することが出来, 鍼灸医学の発展に寄与出来たものと思われる。
著者
富田 賢吾 林 瑠美子 錦見 端 三品 太志 村田 静昭
出版者
大学等環境安全協議会
雑誌
環境と安全 (ISSN:18844375)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.91-100, 2017 (Released:2017-11-23)
参考文献数
10

実験研究を行う大学において、火災事故が多数発生しており、防火教育の必要性が高まっている。本研究では、より効果的な防火教育のための教材、手法を開発することを目的として、学内の解体予定の建物を活用し、実験室で起こる火災事故を模擬した火災実験を実施した。火災発生からわずか3分程度で、煙は通常の人間の呼吸域に達し、視界も煙によって遮られることや、室内で発生した煙は廊下、階段室、上階にまで拡散すること、煙の流動に伴って温度の上昇が起きること、入口扉や防火扉によって煙の拡散が遮断されること、防火扉が火災感知器のセンサーと連動して閉鎖すること等を建物内各所に配置したビデオカメラや温度センサーによって確認した。これらの得られた教訓を元に、撮影した映像を編集し、防火・防災教育のためのビデオ教材を作成した。学内で行われている化学物質や火災対応向けの講習、講義等に活用しており、高い教育効果が期待できる。
著者
山田 静之 木越 英夫
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.13-21, 1995-01-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
22

Synthetic studies on the bracken ultimate carcinogen (3) and its artificial analogues (32, 33) are described. The synthesis of (-) -ptaquilosin (2) the aglycon of a potent carcinogen ptaquiloside (1) from bracken and its (+) - enantiomer (ent- 2) was achieved starting with (+) -dimenthyl (1R, 2R) -cyclopentane-1, 2-dicarboxylate. Dehydration of ptaquilosin (2) under weakly basic conditions led to the ultimate carcinogen (3). DNA cleaving activities of both enantiomers (3) were compared, the one (3) derived from natural (-) -ptaquilosin (2) being more efficient. Reactivities of the ultimate carcinogen (3) toward DNA are described. DNA was shown to be alkylated at the particular sites of purine bases and to undergo cleavage. The molecular mechanism of DNA cleavage with the ultimate carcinogen (3) was disclosed using deoxytetranucleotide d (GTAC) as a model DNA substrate.
著者
菅田 良仁 東家 一雄 大西 基代 戸田 静男 黒岩 共一 木村 通郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.241-245, 1989-06-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

われわれは, 前報で透熱灸が生体内にあたえる温度変化について報告した。その際, 皮下では50℃以上に上昇することを示したが, 今回の隔物灸 (生姜および大蒜灸) でも同様に, 皮下で50℃をこえる温度変化が認められた。しかも, 透熱灸にくらべ50℃以上の状態を維持する時間が長く, 温熱刺激を緩和すると考えられている隔物灸が, むしろ透熱灸より強い刺激をあたえている可能性があることがわかった。また, その隔物灸の生体内におよぼす温度変化は, 隔物の含水量と皮膚組織の含水量の影響を強く受けることが予想された。
著者
太田 静佳 宇野 彰 猪俣 朋恵
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.9-15, 2018 (Released:2018-03-15)
参考文献数
5
被引用文献数
10 8

文字教育を行っていない幼稚園3園に在籍する年長児230名を対象に,国立国語研究所(1972)および島村,三神(1994)の調査と同様の方法で,ひらがな71文字についての音読課題,書字課題,拗音,促音,長音,拗長音,助詞「は」「へ」についての音読課題を実施し,現代の幼児のひらがな読み書き習得度について検討した.ひらがな71文字における平均読字数は64.9文字,平均書字数は43.0文字であり,島村,三神の調査結果と近似していた.また,本研究における71文字の音読,書字課題成績について,性別および月齢による違いを検討するため分散分析を行った結果,71文字の書字課題のみで性別の有意な主効果が認められ,男児に比べて女児の成績が高かった.月齢の影響はなかった.書字において女児の成績が男児の成績に比べて高かった点で,先行研究を支持していた.
著者
宇野 彰 猪俣 朋恵 小出 芽以 太田 静佳
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.260-264, 2021-09-30 (Released:2022-07-04)
参考文献数
9

本研究では, ひらがな音読に焦点を当て, ひらがな習得困難児の出現頻度, 年長児の習得度, 年長児への指導の効果, 年長時に習得が困難だった幼児の追跡調査結果を報告する。その結果, ひらがな音読困難な小学生児童は 0.2% ( ひらがな書字に関しては 1.4% ) であった。年長児では, 70% 以上の幼児が拗音以外の 71 文字のうち 1 文字読めないだけか, 全て読むことができた。年長児を対象に, ひらがな音読成績を従属変数とした重回帰分析の結果, 認知能力のみが有意な予測変数であり, 環境要因は有意な貢献を示さなかった。別な集団でも同様の結果であった。また, 介入研究として統制した指導をしても, 指導群と非指導群との成績間に有意な差が認められなかったことから, 年長児へのひらがな指導は効果的ではないと思われた。この結果も別の集団にて再現性が認められた。しかし, ひらがな習得度の低い年長児の 90% は小学1 年時の夏休み直後に追いついていたことから, ひらがな習得に関するレディネスはそのころに完成するのではないかと思われた。
著者
寺島 滋 今井 登 冨永 衛 平田 静子 谷口 政碩
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.319-324, 2000-05-05
被引用文献数
4 10

微量元素の存在形態が明らかな土壌標準試料の作製方法を研究した. まず, 徴量元素を含む31種の試薬類(主として酸化物)と長石粉末を混合・粉砕して微細化し, これをつくば市の関東ローム層から採取した源土壌(黒ボク土)に添加し, 大型ボールミルで粉砕・混合した. ふるい分け, 均質化操作を行った後, 約80g入りの試料1400本を調製した. 各元素の添加量は, 平均的土壌中元素濃度の10〜100倍を目安とし, 約1000 μg/g(As, Co, Cr, Cu, Mo, Ni, Pb, V, W, Y, Zn, Zr), 100μg/g(B, Be, Bi, Br, Cd, Sb, sn, Ta),10μg/g(Ag, Hg, I, In, Se, Te, Tl), 1 μg/g(Au, Pd, Pt, Rh)とした. 試料の均質性を検討するため, 分割番号の異なる10本の試料を抜き取り, その0.1gを前処理して主成分(Fe, Mn, Mg, Ca, Na, K)と微量成分(Cr, Cu, Ni, Pb, V, Zn)を定暈した結果, 相対標準偏差は最大2.08%で不均質は存在しないと考えられた. 調製した標準試料について鉱物組成を明らかにするとともに, 異なる研究機関で協同分析を実施し, 主・微量成分含有量の推薦値又は参考値を提示した.
著者
大西 基代 戸田 静男 菅田 良仁 東家 一雄 黒岩 共一 木村 通郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.420-422, 1988-12-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7

隔物灸は, その温熱刺激と隔物の作用を生体に与え, 治療効果を得ていると考えられている。そこで, 隔物の灸により溶出する含有成分の検出を thin layer chromatography を用いて行った。その結果, 隔物として用いた生姜, 大蒜より各々の含有成分の溶出が確認された。このことは, 隔物から溶出する成分の薬理作用が, 温熱刺激とともに重要な役割を持つことを示唆している。
著者
諸原 雄大 近藤 邦雄 島田 静雄 佐藤尚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.329-337, 1995-02-15
被引用文献数
8

人がデザイン画についての善し悪しなどの印象を受け取るとき、その基準となる物理的特徴は大きく分けると色と形の二つである。著者らの研究の目的は、色と印象との関係を求めることである。このために、イメージ・カラーを選定する方法を提案する。イメージ・カラーとはデザイン画において用いられている色のうち、特に印象に影響の与える度合が強い色の組合せをいう。イメージ・カラーを選定することによる利点は、デザイン画を見ることにより得られる印象が、イメージ・カラーを見ることにより得られる印象とほぽ同じものとなることである。デザイン画のイメージ・カラーの抽出の方法は配色カードを用いて求めており、経験を必要とする作業である。もしも・イメージ・カラーの自動選定が行えれば、誰にでもデータベースに登録されている画像のイメージ・カラーを求めることができ、新しいデザイン画に他のデザインのイメージを与えることが簡単にできるようになる。本論文においては、デザイナーのイメージ・カラー選定法を参考に、計算機におけるイメージ・カラーの選定法を提案する。デザイン画像はRGBの3原色、各8ビット階調により表現されているものを用いた。このデザイン画像において便用されている色を色空間上でまとめていくことにより色の限定を行い、その中から目立つ色を取り出した。この方法により、計算機においてイメージ・カラーを選定することができるようになった。