著者
箱崎 順一 東村 栄之助 豊田 静子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.887-891, 1968-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6

官能基としてN-ブトキシメチルアミドと酸アミド基を含む反応性アクリル系高分子の橋かけ反応についてTorsional Braid Analysis (TBA) を用いて検討した。TBA 法は今までは主に高分子の粘弾性の熱的変化の測定に用いられていたもので,,橋橋かかけけ反応については定性的な反応過程の追跡がわずかに行なわれているに過ぎない。本報ではアクリル系高分子の橋かけ反応の速度論について化学的手法との対比において剛性率を用いる速度式によって定量的な取り扱いを可能にした。その結果,この系では反応初期では2次反応式に従い,活性化エネルギーと官能基の相互反応性も通常の化学的手法から求めた値と一致した。そして官能基の反応率の変化は橋かけ反応の進行と対応することがわかった。
著者
大田 静香 前田 ひろみ 伊藤 ゆい 上田 晃三 吉村 彰人 土倉 潤一郎 岩永 淳 矢野 博美 犬塚 央 田原 英一
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.23-27, 2014 (Released:2014-07-22)
参考文献数
17

症例は68歳女性,当科受診の1年前に環状肉芽腫症を発症し,トラニラストで改善傾向にあった。しかし肝障害が出現し継続困難となり,皮疹が悪化したため漢方治療を試みることとなった。のぼせ,舌,皮疹の性状から熱候が示唆され,黄連解毒湯を開始し,改善傾向にあったが,入院3日目から治癒が横ばいになった。裏寒の存在を疑い,麻黄附子細辛湯の併用を開始したところ,開始5日目から急速に肉芽の縮小を認めた。臨床的に改善を認めたことより,陽証と陰証の併存があったと考える。
著者
古賀 三紀子 世良田 静江 世良田 邦彦 関聡
出版者
久留米信愛女学院短期大学
雑誌
久留米信愛女学院短期大学研究紀要 (ISSN:13487310)
巻号頁・発行日
no.34, pp.131-136, 2011-09

The aim of this thesis is to clarify the reflection of childcare from the view-point of collegiality and growth of teacher in a case study of a kindergarten.Our conclusions are as follows:1. Collegiality puts both an individual power and collaborative power onto a higher level.2. It is necessary to actualize latent collaboration in daily eduational practice.
著者
池田 静香
出版者
長崎市遠藤周作文学館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

申請者は、主に遠藤周作が作家を志したフランス留学(昭25~28年)から『沈黙』(新潮社昭41年3月)上梓までの間に、彼が中心的な執筆意図として抱えていた「「戦中派」の戦後の生き方」という問題に考察の焦点を定め、国立国会図書館・日本近代文学館等を利用し、昭和20年~昭和30年代までの遠藤の著作を出来る限り収集することに努めた。その調査の中で、遠藤がフランス留学中に興味関心を示し帰国後はサド論を書きたいとまで考えながらその生涯のなかでもかなわなかった「サド」への興味・理解にのなかに、遠藤が戦中派として体験した第二次世界大戦を乗り越える可能性を示し、またその思想と格闘していることが具体的にわかった(「遠藤周作にとっての「悪」-昭和30年代までの戦争への態度とサド理解を中心に」(「遠藤周作研究」第3号に発表)。また一方で、遠藤の著作のなかで「第二次世界大戦」を扱ったものを収集、整理することに努めた。その成果として、フランス留学中の「フォンスの井戸体験(注、第二次世界大戦下で行われた同胞虐殺事件のあった井戸)」を元にした『青い小さな葡萄』(「文学界」昭30年1~6月号)だけでなく、遠藤が文学的回心をするきっかけとなり加えて『沈黙』を書くための母体ともなったと言われている生死の境をさまよった大患(昭35~38年)を中心的な素材とした『満潮の時刻』(「潮」昭40年1~12月号)にも、作家が「第二次世界大戦を戦後文学としてどう描くのか」という流れのなかで『沈黙』へと筆を進めていったであろう軌跡を見出し、その変遷を朧ながら明らかにした(「「呻き声」の彼方-『沈黙』への道」(「九大日文」第17号に発表(※印刷中))。一年間という限られた時間のなかでの作業ではあったが、遠藤周作という一人の作家が小説家としての出発期に抱えた「戦争をどう乗り越えるのか」という問題意識の変遷を詳らかにする土台を形成することに努めたことは、それがとても小さな第一歩だったとしても、今後遠藤文学研究に新たな視座を導入するきっかけとなるはずだと考える。
著者
松山 優治 岩田 静夫 前田 明夫 鈴木 亨
出版者
日本海洋学会
雑誌
沿岸海洋研究ノート (ISSN:09143882)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.4-15, 1992-08-29
被引用文献数
3

相模湾では時々,急潮が発生し,沿岸に設置された定置網に破損・流失という甚大な被害を与える.本研究では急潮を三例紹介し,その特徴について報告する.二例は沿岸域で急激な水温上昇と水位上昇を伴い,岸を右に見ながら湾を反時計回りに移動することが示された.観測点間の上昇の時間的なズレから,水温変化の移動速度は0.6〜1.0m/sで,水位変化の移動速度は2.0〜3.0m/sと推算された.二例のうち一例(1975年4月23日の急潮)は,黒潮の相模湾への接近が原因と考えられた.他の一例(1988年9月18日の急潮)は台風通過に伴うエクマン輸送で沖合水が沿岸に蓄えられ,それが移動したと推論された.発生原因は異なるが伝播特性は非常によく似ており,水温変化は非線形の内部ケルビン波あるいは回転系での沿岸密度流として,また水位変化は陸棚波の移動として考えると説明ができる.もう一例は反時計回りの循環流に半日周期の内部潮汐が重なって強い流れとなって,網の流失を引き起こした.最大流速は0.8m/sを越え,60m深での水温変化の全振幅は8℃にも達した.
著者
太田 静行 古堅 あき子 日下 兵爾 森 一雄
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.122-126, 1983-06-20
被引用文献数
1

食塩の塩から味に及ぼす香辛料の辛味の影響を見る目的で,香辛料として胡椒を選び,塩から味に関する両者の相互関係を味覚検査法により調べた。 味覚検査の内容としてはi)一定濃度の食塩水溶液に胡椒を加えた液が,塩から味においてどの程度の濃度の食塩水溶液に相当するか,ii)コショウを加えた場合,食塩水溶液の濃度差識別能力に影響があるか,を調べ,妙飯についても実験を行なった。この結果,胡椒の辛味と食塩の塩から味は別の味であって,胡椒の辛味は塩から味に関して食塩の塩から味を補う効果はないか,あっても少ない。胡椒を加えると食塩の量が少くてもすむように見えるのは,胡椒の存在が塩から味に関する食塩の濃度差識別を困難にするためであることがわかった。
著者
鈴木 英二 島田 静雄 近藤 邦雄 佐藤 尚
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.50, pp.185-186, 1995-03-15
被引用文献数
3

本研究の目的は句読点、特に読点の最適な配置ルールを提案し、それを計算機上で実現することである。わかち書きをしない日本語文章にとって、句読点の役割は大きい。しかし、句読点の用法、特に読点の用法は著者に一任されているのが現状である。熊野らは、英日機械翻訳システムで自然な日本語を生成するための句読点の挿入基準を提案した。しかし、この方法では英文中の単語数を利用するため、基本となる英文が必要である。本研究では、従来の句読点の用法を改めて調査した。そして、読点と読点で区切られる文字列の長さに注目した読点の挿入規則を提案する。なお研究対象を漢字仮名混じりの科学技術論文に限定した。また、なるべく簡単な形態素解析で処理を進めていくことを目標としている。
著者
藤野(隠岐) 知美 鈴木 真由美 山田 静雄
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.41-50, 2007
被引用文献数
2

ノコギリヤシ果実抽出液 (SPE) は,ヨーロッパでは前立腺肥大症 (BPH) に対する治療薬として用いられ本邦でも健康食品として汎用されている.SPE の薬理作用には抗アンドロゲン作用などがある.臨床的には,SPE (320 mg/day) の 6 ヶ月投与により BPH やそれに伴う頻尿に有効との報告がある.排尿機能及び下部尿路受容体に対する SPE の作用を調べたところ,酢酸誘発頻尿ラットシストメトリーにおいて,SPE は排尿間隔及び一回排尿量を有意に増加させ,頻尿改善作用を示した.さらに SPE は前立腺 α<sub>1</sub> 受容体,膀胱ムスカリン性及び 1,4-ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬受容体に対し結合活性を示した.SPE は反復経口投与により,テストステロン誘発肥大前立腺における α<sub>1</sub> 受容体数の増加を抑制した.また,SPE の反復投与はラットの血液臨床検査値,肝機能及び肝薬物代謝酵素活性に影響しなかった.以上,SPE は下部尿路受容体への直接作用による BPH の機能的閉塞の解除や頻尿の抑制などの薬理作用を示すことが示唆された.<br>
著者
山田 静雄
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は過活動膀胱における病因を膀胱における神経伝達物質受容体異常の面から検証し、その有効かつ安全な薬物療法を確立することを目的とするもので、当該期間で以下の研究成果を得た。1)背椎損傷ラットモデルにおいて、過活動膀胱の徴候である膀胱の不随意収縮波形及び膀胱重量の有意な増大が認められた。2)背椎損傷ラット膀胱への[3H]NMS特異的結合Bmax値の有意な増加が認め、この増加は、膀胱機能曲線の不随意収縮曲線波形における振幅と発現頻度(過活動膀胱の程度)と良好に相関した。3)テストステロン投与による前立腺肥大症モデルラット膀胱において、重量の有意な増加と[3H]NMS特異的結合Bmax値の有意な増加が認められた。以上の結果から、背椎損傷ラットおよび前立肥大ラットの両過活動膀胱モデルにおいて、膀胱ムスカリン性受容体異常が認められ、本病態における抗コリン薬の有効性が示唆された。4)ラット膀胱の受容体標品において、[^3H]αβ-MeATPは飽和性の特異的結合を示した。αβ-MeATP、βγ-MeATP、MRS2273、PPADSおよびsuramineは、いずれも膀胱への[^3H]αβ-MeATP特異的結合を濃度依存的に抑制し、その結合親和性はαβ-MeATP>βγ-MeATP>suramine>PPADS>MRS2273の順であった。これより、ATP(P2X)受容体がラット膀胱に存在することが示され、本受容体は創薬標的分子となることが示唆された。5)トルテロジン(Tol)は経口投与により膀胱mAChRに結合し,その結合様式はOxyと比べ緩徐かつ持続的であった。またTolの唾液分泌抑制作用は,オキシブチニン(Oxy)と比べ有意に減弱することが示された。以上の結果より、TolはOxyよりヒトにおいて口渇の副作用が減弱することが示唆された。
著者
太田 静男
出版者
三重県立松阪工業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、夜間定時制高校に在籍している生徒のうち、非行歴や犯罪歴のある者へのさまざまな問題に接近しようとした研究である。高等学校では、不登校やいじめ経験をはじめとする不適応や何らかの病理や障害を抱えた生徒について、臨床心理学の専門的知見を用いたスクールカウンセラー等の支援によって、有効な手立てがなされつつある。一方、非行歴や犯罪歴のある生徒については、一般の高等学校では排除の対象であったりすることが多いのも事実である。カウンセリング領域においても、教育モデルというよりは司法矯正モデルであるべきという見方があるためか、必要とされる支援が不十分であるという現状でもあり、夜間定時制高校で学ぼうとする非行歴や犯罪歴のある生徒の情緒や行動の理解を促進するための研究を行うことには意義があると考えた。筆者は、在学中に医療少年院に措置された生徒との心理面接過程を通した研究を行なった。生徒は「妹に暴力をふるい逮捕されたが、逮捕された時期が近づくと胸が苦しくなってきて、気分が沈んだり、フラッシュバックが起きる」という主訴で来談した。生徒が卒業するまでの約6ヶ月間の50回の面接について実践的研究を進めた。面接は逐語録をつくり、精神分析的心理療法士とのスーパービジョンという形で議論を進め、この生徒の行動や情緒に関する理解を深めるとともに、そこでは生徒と筆者との間に生じた転移や逆転移をもとにした理解を進めた。精神分析的な理解や臨床心理学的な知見を用いて、指導にあたる教員が非行歴や犯罪歴のある生徒の情緒や行動を理解しようとしたことは、おそらく生徒にとっては受容された経験でもあったであろう。また、心理療法を通して、非行歴や犯罪歴のあるこの生徒が、自らも被虐待経験者であることもわかった。さらに、矯正施設としての医療少年院生活での経験の意義についても考えることができた。
著者
若林 緑 MCKENZIE COLIN ROSS 菅 万理 坂田 圭 玉田 桂子 吉田 恵子 梶谷 真也 暮石 渉 関田 静香
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、われわれは家計行動や家計の労働供給行動に関して家計全体ではなく家計のそれぞれの行動を考慮に入れて分析を行った(たとえば親子同居や家族の金銭的、被金銭的援助について分析を行った。われわれは理論モデルを構築しそれに関して日本のマイクロデータを用いて議論した。われわれは家計のメンバーそれぞれの行動について分析することがunitary modelよりも重要であることを発見した。
著者
三根 有紀子 佐藤 香代 浅野 美智留 石村 美由紀 吉田 静 鳥越 郁代 野中 多恵子 宮野 由加利 藤本 清美
出版者
福岡県立大学
雑誌
福岡県立大学看護学部紀要 (ISSN:13488104)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.89-99, 2006-03
被引用文献数
1

目的 : 「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラス」を実践する人材育成のための教育プログラム開発の資料として,福岡市で開催した医療者向けセミナーの評価と考察を行った.方法 : 2006年2月26日に福岡市で行われた「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラス」医療者セミナーの参加者128名を対象に,質問紙調査を行った.結果 : 質問紙の回収率は93.8%であり,以下のような結果が得られた.1.セミナーの参加動機は「興味・関心」,「マザークラスの変革」,「学びたい・知りたい」が上位を占めた.また,101名(84.2%)がマザークラスの運営に困難を感じていた.2.セミナーの満足度は108名(90.1%)が「満足」と回答しており,その理由として「自分自身が体験できたこと」,「快」,「身体感覚活性化(世にも珍しい)マザークラスを知った・わかった」の3つが上位を占めた.「少し不満」「非常に不満」「どちらでもない」と回答した者は7名(5.8%)であった.3.今回のセミナーを今後のマザークラス運営に「役立てられる」と回答した者は99名(82.4%)であった.活用方法としては「身体感覚の刺激・"感じる"こと」が最も多く,ついで「妊婦同士の交流の場づくり」,「助産哲学・考え方」の2つが占めた.4.今後のセミナーやリカレント教育に参加の意思を持つ者はそれぞれ117名(97.5%),107名(89.2%)と高率であった.結論 : 参加者は現行のマザークラスのあり方を模索し,関心を寄せている現状が明らかとなった.参加者が「満足」であった理由は主催者側のセミナーの目的と一致していた.妊婦あるいはスタッフで参加した者の体験談は,マザークラスの概要や助産哲学理解の一助になっていると考えられる.したがって今回のセミナーの目的は達成されたと考える.しかし妊婦と同様の経験はできたが,根底に流れる助産哲学を用いてマザークラスを実践する段階までには至っていない。その実践の習得には,段階を追った継続したプログラムが必要であることが示唆された.
著者
亀 節子 前田 〓子 戸田 静男
出版者
関西鍼灸大学
雑誌
関西鍼灸大学紀要 (ISSN:09129545)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-12, 2005-05-03

『古写本鍼灸秘書 全』は、独立した内容の三部から成立しており、第一部は、禁忌や経穴を中心とした治療法、第二部は、針治諸虫論、第三部は、中世の病理観や鍼の治療法が記されている。内容、及び字体から判断して、17世紀初頭の写本であると認められるが、この時期は、我が国独自の近世医学の興隆期に相当する。現代では、1989年に開催されたジュネーヴのWHO本部での会議の結果を受け、経穴や経絡を巡って、ほぼ世界共通の認識がなされている。しかし、経穴に関しては、依然流動的な要素もあり、また逆に、有効な治療穴でありながら、時代の波の中に消えてしまった経穴の存在も考えられ得る。従って本写本は、医史学的研究の対象としてばかりでなく、現代の正穴との比較、更には有効と思われる治療法の発掘という見地からも、価値を有すると考えられる。そこで、この写本の翻字を試みた。