著者
中溝 智也 多田 憲正 宇田川 智宏 菊池 絵梨子 亀井 宏一 森 崇寧 蘇原 映誠 松岡 健太郎 白井 謙太朗 渡辺 章充
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
pp.cr.2022.0206, (Released:2022-10-26)
参考文献数
34

Galloway-Mowat症候群(GAMOS)は小頭症を伴う精神発達遅滞とステロイド抵抗性ネフローゼ症候群(SRNS)などの腎症を呈する疾患である.GAMOSにおける腎症は,治療抵抗性のため生命予後を規定する.今回シクロスポリン(CsA)で長期間の寛解を維持しているGAMOSの1例を報告する.1歳健診で精神発達遅滞,小頭症を指摘された.2歳時に蛋白尿を認め,5歳時にSRNSの基準を満たし,腎生検で巣状分節性糸球体硬化症を認めた.以上よりGAMOSと診断した.SRNSに対してCsAを導入したところ尿蛋白は減少し,7歳時に不完全寛解した.寛解維持した後にCsAの中止を試みたところ蛋白尿が増悪したため,CsAが尿蛋白減少に寄与していると判断した.腎毒性軽減のため8歳時から1日1回の投与へ変更し,14歳時の腎生検で明らかな腎毒性は認めなかった.CsAの単回投与は腎毒性を抑制し,GAMOS腎症のような遺伝性SRNSの予後改善に有効な可能性がある.
著者
白井 滋 岡村 収
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.139-150, 1992-09-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
11

ワニグチツノザメの内部形態 (骨格・筋肉系) を詳細に記載した.摂餌機能に関しては, 特殊な顎歯の状態から, 本種は餌を上下の顎で捕捉し, これを丸のみするものと考えられる.内臓弓およびこれに関係する筋肉構造には, こうした摂餌機能の向上に関連すると思われるいくつかの特殊な状態が観察された.これらの特殊な状態は, 同時に本種の系統的位置の解明をはなはだ困難にしている.しかし, 口唇軟骨が2本の離れた要素からなることなど, 本種は3つの派生状態をカラスザメ亜科と共有する.カラスザメ亜科全体との姉妹関係, カラスザメ亜科内に想定されている2っの姉妹群 (カラスザメ属とハシボソカラスザメ属およびAculeola属とカスミザメ属) それぞれとの類縁性について考察した.
著者
白井 紀充 高橋 守 田代 俊文 古田 千香子 二井 愛介 堀井 郁夫
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第33回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.280, 2006 (Released:2006-06-23)

【目的】NMDA受容体は、中枢神経の主要興奮性伝達物質であるグルタミン酸に対する受容体のサブタイプの一つである。NMDA受容体拮抗薬の毒性は、MK-801によるラット大脳の神経細胞障害が知られているが、イヌでの報告は乏しい。我々は、あるNMDA受容体拮抗薬を投与したイヌで認められた大脳病変をMK-801によるラットでの変化と比較検討した。【材料と方法】ビーグル犬4例にNMDA受容体拮抗薬の一定用量を単回、静脈内投与し、投与48時間後における脳の病理組織学的検査を実施した。脳は灌流固定後、全体を一定間隔で切り出し、各組織片についてHE染色標本を作製して観察した。また、神経細胞の壊死を同定する目的でFluoro-Jade蛍光染色による観察も行った。ラット大脳病変については、MK-801の4.4 mg/kgを単回、皮下投与したSD系雌8例における投与4時間後(4例)および24時間後(4例)の脳を病理組織学的に観察した。【結果と考察】イヌ1例が、投与直後より間欠性のjaw snapping(顎をがくがくさせる)・流涎を呈し、投与2日後には自発運動の減少を示した。この動物では、海馬および大脳底部の嗅脳皮質における神経細胞壊死が認められた。他の3例は、投与直後より投与1日後にかけて間欠性のjaw snappingを呈したが、脳に形態学的変化はなかった。イヌ脳病変は1例にみられたのみであったが、NMDA受容体拮抗薬によりイヌの大脳神経細胞に障害が起こる可能性が示唆された。MK-801を投与したラットでは、大脳の膨大部後方皮質における神経細胞空胞化および神経細胞壊死が、それぞれ投与4時間後、投与24時間後に全例で認められ、既に報告されている結果と符合した。MK-801のラット大脳病変は膨大部後方皮質に限られ、イヌでの報告はない。しかし、NMDA受容体は大脳皮質や海馬に広く分布していることから、NMDA受容体拮抗薬による病変の発現部位は拮抗薬の種類あるいは動物種に依存して、多様であると推察された。
著者
阿部 稚里 今井 具子 瀬崎 彩也子 宮本 恵子 川瀬 文哉 白井 禎朗 眞田 正世 位田 文香 加藤 匠 下方 浩史
出版者
名古屋学芸大学管理栄養学部
雑誌
名古屋栄養科学雑誌 = Nagoya Journal of Nutritional Sciences (ISSN:21892121)
巻号頁・発行日
no.5, pp.23-29, 2019-12-25

【目的】乳癌は女性にとって主要な癌の一つである。これまでに、乳癌と乳製品摂取との関連がメタアナリシスによって検討されているが、一貫した結論が得られていない。その理由として、食事調査の手法や乳製品摂取量の評価が論文間で異なること、調査地域が限られていることが挙げられる。そのため、乳製品と乳癌の関連をさらに明らかにしていくためには、地球規模で同一手法を用いた乳製品摂取量の調査による研究が必要と考えられる。そこで本研究では、現在公表されている国際データを用い、乳癌と乳製品の関連を地球規模による国際比較研究で縦断的に明らかにすることを目的とした。【方法】乳癌発症率および乳癌死亡率は、Global Burden of Disease( GBD) 2017データベースから各国の10万人当たりの年齢標準化された値を入手した。生産から家計までのすべての段階における減耗を除く、各国の食品供給量と総エネルギー供給量は国連食糧農業機関データベース(FAOSTAT)から入手し、乳製品の供給量を求めた。調整変数として、人口、国民一人当たりの国内総生産(GDP)、高齢化率(以上世界銀行データベース)、平均BMI、喫煙率、教育年数、身体活動量(以上GBD データベース)を入手した。全てのデータが得られた100万人以上の人口を持つ139カ国を対象とし、共変量を調整した線形混合モデルを用いて、乳製品供給量と乳癌発症率および乳癌死亡率との1990年から2013年までの23年間の縦断的関連について解析を行った。解析にはR 3.6.1を用いた。【結果】すべての共変量を調整したモデルにおいて、乳製品供給量と乳癌発症率の間に有意な正の関連があった(β= 7.393、標準誤差1.553、p<0.001)。同様に、すべての共変量を調整したモデルにおいて、乳製品供給量と乳癌死亡率の間にも有意な正の関連があった(β= 2.123、標準誤差0.613、p<0.001)。【結論】乳製品供給量と乳癌発症率および乳癌死亡率が正の関連を示すことを、比較的近年のデータを用いて縦断的に明らかにした。このことから、乳製品を多く摂取する食生活は、地球規模において乳癌発症率や乳癌死亡率を上昇させる可能性が示された。今後さらに、乳製品を低脂肪と高脂肪に分けて解析を行うことが必要である。
著者
曽我 太佐男 佐々木 秀昭 白井 貢 九嶋 忠雄
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.380-394, 1993-07-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1 2

プリント配線板上に搭載される電子部品のスルーホール継手構造について, 温度サイクル加速試験による信頼性評価を行った。スルーホール継手のコネクタなしのピン構造におけるクラック進展要因を明らかにし, クラック進展を低減するための対策を示した。この構造では, 汎用のガラスエポキシ基板に対して, ピンと基板間の熱膨張差で生ずるはんだの最大せん断歪とクラック発生率との相関性は得られないことがわかった。そこで, ピン, 基板, はんだ間の熱膨張差で発生する軸方向に作用する最大応力で評価した結果, 最大応力とクラック発生率との相関性を見出した。その結果, 応力が大なるほどクラック発生率が高いこと, ガラスエポキシ基板の場合, ピン径が大なるほど応力は小さく, クラック発生率が低いこと等を明らかにした。他方, 実用的な構造であるコネクタ付ピン継手のクラック進展についても検討した。クラック進展の主な駆動力は, コネクタとプリント配線板との基板面方向の熱膨張差で生ずる曲げによる歪である。コネクタ両端部のピン継手におけるクラック進展は中央部ピン継手に比べ顕著に大であり, コネクタの構造, 寸法効果が大きいことがわかった。一般的に, スルーホール継手構造においては, ピンが穴の周囲で拘束されるため, 初期にフィレット部でクラックが早期に発生しても, クラック進展速度はクラック進展と共に低下してくる。このため, スルーホール継手はフリップチップ形, フラットパッケージ形継手と比べ, 高信頼構造であると考えられる。
著者
白井 睦訓
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

細胞内寄生性細菌である肺炎クラミジア(我々が同菌日本株の全ゲノムを初めて解読し、種々のユニークな機能を解明)は、肺炎の主要原因菌で動脈硬化病変部にその感染がほぼ100%検出される。クラミジアは約3日間の生活環で動物細胞内で、封入体を形成した後、細胞外へ放出されることから、その生活環とアポトーシスとの関係も解明が期待される。また、同菌は感染細胞内で封入体膜を形成して、数日のlife cycleを経て増殖し細胞外に放出されるが、これまでに我々はアポトーシス制御因子Apaf-1欠失細胞ではクラミジア増殖が高度促進されており、この封入体膜タンパクの1つIncA2(カスパーゼをリクルートするドメインCARDを持つ)がcaspase-9の活性を増強したり、ミトコンドリアタンパクとの相互作用により宿主細胞アポトーシスを制御して菌の増殖を制御していることを発見している。21年度では封入体膜タンパクIncA2がApaf-1やcaspase-9などからなる宿主アポトゾームをいかなる機構により制御されていることがわかった。すなわちApaf-I欠失細胞で肺炎クラミジア感染増幅、caspase9欠失で感染低下があり、caspase9阻害剤による肺炎クラミジア増殖抑制機序の解明ができた。また、クラミジア封入体膜・IncA2と宿主アポトソームの相互作用も確認できた。22年度はさらにApaf-1のクラミジア感染抑制に機能するドメインの同定を試みたが、とくに特定の部位としてクラミジアに特異的に作用するものではなく、Apaf-1のもつカスパーゼ活性化の制御によるアポトーシスの制御によってクラミジアの増殖が影響されることが解明された。またクラミジア封入体内にcaspase9の存在が形態的にとらえることができ、クラミジアが増殖にcaspase9を利用しているか、細胞質内のcaspase9を減少させてアポトーシスを制御することがクラミジアの増殖に関係していることが示唆された。caspase3やcaspase8の変化は2時的なものでクラミジアの増殖に直接的に関与するものでないことも示された。
著者
新庄 貞昭 高橋 誠史 木村 秀敬 白井 暁彦 宮田 一乗
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.167-178, 2007 (Released:2008-05-27)
参考文献数
42

本解説では,グラフィックプロセッサ(GPU)を取り巻く環境やその利用法,開発環境の現状,およびGPUのコンピュータビジョンへの適用事例を紹介し,GPUコンピューティングの可能性を探る.GPUはプログラマブルシェーダの導入後,シェーダのバージョンアップにあわせてスペックの向上が行われてきた.またCPUと比較して制約は多いが,プログラミングを工夫することにより速度向上が可能である.GPUは幅広く利用されているが,特筆すべき適用事例としてコンピュータビジョン,物理シミュレーションがあり,汎用計算においては分散コンピューティングによるナノテクへの応用も報告されている.本解説では,GPUに加えて最近のCPUアーキテクチャの革新であるマルチコアプロセッサCPUについても触れるとともに,最新OSのひとつであるWindows Vistaでのグラフィックユーザインタフェースへの利用にも触れ,今後の応用の可能性を探る.
著者
白井 暁彦 長谷川 晶一 小池 康晴 佐藤 誠
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.117-124, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
9
被引用文献数
3 4

我々は「タンジブル・プレイルーム」の実証コンテンツとしてインタラクティブ作品「ペンギンホッケー」を開発した.このシステムは,プロジェクタを用いた接触可能な映像空間,大空間が扱えるフォースフィードバックディスプレイを持った通常の何もない子供部屋である.子供たちはコンピュータによって生成されたオブジェクトだけでなく,友達や実空間の物体とともにインタラクションすることができる.ペンギンホッケーは,人工知能ペンギンと遊ぶ,シンプルな3次元ホッケーゲームである.プレイヤはコンピュータで生成されたオブジェクトと,友人といっしょにインタラクションを楽しめる.このコンテンツは小学校程度の低年齢層の子供に体験者層を設定している.このシステムは複合現実感のアプリケーションの1つとしてだけではなく,自然な生活空間への触知の実装でもある.
著者
白井 展也 樋口 智之 鈴木 平光
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.88-94, 2015-02-15 (Released:2015-03-31)
参考文献数
26

緑茶抽出物と魚油の6ヶ月間の同時摂取が,高齢者の認知機能と血漿脂質に与える影響について実験した.緑茶抽出物と魚油の同時摂取は,摂取前に比べて,6か月後の知能評価スケールを有意に改善した.また,緑茶抽出物と魚油摂取群の6か月後の知能評価スケールの増加は,プラセボ群に比較して,有意に高かった.これらの事から,緑茶抽出物と魚油の同時摂取は,高齢者の認知機能を改善している可能性が示唆された.血漿中のDHAおよびEPAの割合は,両群とも摂取前に比べて6ヶ月目で高くなった.しかし,3ヶ月目において,緑茶抽出物および魚油摂取群のDHAおよびEPAの割合は,プラセボ群に比べて,有意に増加を示した.これらの変化は,途中,試験群による違いが見られるものの,最終的に食材に提供される魚介類の増加が影響したと考えられた.血漿中の中性脂肪含量は,緑茶抽出物および魚油摂取群において,摂取前に比べて,6ヶ月目に有意な低下が示され,高齢者においても,緑茶抽出物および魚油同時摂取は中性脂肪の低下に有効である可能性が示唆された.これらの事から,緑茶抽出物と魚油の同時摂取は認知機能の改善に有効である可能性が示唆され,また,高齢者においても中性脂肪の低下に有効であると考えられた.

1 0 0 0 三人仲よく

著者
白井 鉄造[作詞]
出版者
ビクター
巻号頁・発行日
1941-11
著者
古田 真緒 白井 暁彦
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.52-54, 2016-11-05

体験者とAIがペアを組んでロボットを操作して将棋をプレイするツール「A.I.See」を提案する。体験者は専用の眼鏡をかけることでAIからヒントを貰い、将棋を楽しむと共に、強くなった感覚を得る事ができる。観戦者は、体験者同士が繰り広げるゲームやロボットの動きを見て楽しむ。表向きは人とAIが一緒に遊び、人を成長させる体験であるが、本ツールの真の目的はシンギュラリティを迎えた人類とAIの関係を体験可能にすることである。