著者
西上 智彦 池本 竜則 山崎 香織 榎 勇人 中尾 聡志 渡邉 晃久 石田 健司 谷 俊一 牛田 享宏
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A3P1018, 2009 (Released:2009-04-25)

【はじめに】前頭前野は記憶の形成などに大きく関与しており,慢性疼痛患者においても神経活動にModulationが引き起こされていることが明らかになっている.同部位の機能低下は注意力の低下,社会的認知能力の低下,意欲の低下を惹起している可能性があり,慢性疼痛患者においても治療をより難渋する要因となる.しかし,痛み刺激に対する前頭前野の脳血流量がどのようなタイミングで応答しているかについては未だ明らかでない部分も多い.また,前頭前野における脳血流の変化と痛みとの関係も明らかでない.本研究の目的は痛み刺激に対する前頭前野における即時的な脳血流変化を脳イメージング装置を用いて検討することである.【方法】対象は事前に研究目的と方法を十分に説明し,同意が得られた健常成人15名(男性9名,女性6名,平均年齢27.3±3.0歳)とした.痛み刺激は温・冷型痛覚計(ユニークメディカル社製,UDH-300)を用いて,49°Cの熱刺激をプローブにて右前腕に30秒間行った.痛み刺激終了後に痛みの程度をvisual analog scale(VAS)にて評価した.脳血流酸素動態は近赤外光イメージング装置(fNIRS,島津製作所製,OMM-3000)にて測定した.測定部位は前頭前野とし,国際10-20法を参考にファイバフォルダを装着した.測定開始前は安静とし,酸素動態が安定した後に測定を開始した.解析対象は測定開始からの10秒間(ベースライン),刺激開始からの10秒間(初期),刺激開始10秒後からの10秒間(中期),刺激開始20秒後からの10秒間(後期)の酸素化ヘモグロビン(oxyHb)のそれぞれの平均値とした.統計処理は多重比較検定を行い,ベースライン,初期,中期,後期のoxyHbの有意差を求めた.また,初期,中期,後期のoxyHbとVASの相関関係をそれぞれ求めた.加えて,痛みが少ない下位5名(VAS:25.8±8.3)と痛みが強い上位5名(VAS:72.2±5.6)の2群間の初期,中期,後期におけるoxyHbを比較した.なお,有意水準は5%未満とした.【結果】VASは平均51.6±20.6(14-83)であった.多重比較検定にて左側のBrodman area10(BA10)のoxyHbがベースライン,初期より後期において減少していた.初期,中期,後期のoxyHbとVASの相関関係は認めなかった.また,痛みが強い群は痛みが少ない群より初期における左右のBA10,中期における左側のBA 10のoxyHbが減少していた.【考察】痛み刺激によって前頭前野BA 10の脳血流量は即時的に減少した.また,痛みの感じ方が強い場合,BA10の脳血流量は有意に減少していた.基礎研究では関節炎モデルラットにおける電気生理学的解析にて,扁桃体が内側前頭前野の活動を抑制することが報告されている.以上のことからヒトにおいても,強い痛み刺激は,即時的に前頭前野の神経活動を抑制させる可能性が示唆された.
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.391-394, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
8

放射性核種の体内摂取が生じた場合,バイオアッセイ(bioassay:尿検査,糞検査等)やホールボディカウンター(Whole Body Counter:WBC),肺モニターによる測定値から摂取量を評価するために体内動態モデルは重要な役割を果たす。ICRP(International Commission on Radiological Protection:国際放射線防護委員会)は体内動態モデルを開発し,数十年にわたりその改良を続けてきた。本稿ではICRPの体内動態モデルについて解説する。
著者
岩井 敏 熊澤 蕃 石田 健二 高木 俊治 猪狩 貴史 早川 信博
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.399-404, 2021 (Released:2021-05-10)
参考文献数
14

モンテカルロ法は解析的に取り扱うことが困難な確率分布や尤度関数を扱う計算に有効に活用できる数値解法である。本稿では,別稿(連載Ⅱ)で定式化したベイズ推定法の解法として2種類のモンテカルロ法とアンフォールディング法の適用方法を解説する。
著者
久嵜 香 天谷 直貴 絈野 健一 青山 大雪 汐見 雄一郎 玉 直人 池田 裕之 佐藤 岳彦 横川 美樹 福岡 良友 森下 哲司 石田 健太郎 荒川 健一郎 宇隨 弘泰 夛田 浩
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.SUPPL.2, pp.S2_5-S2_10, 2015 (Released:2016-12-16)
参考文献数
6

症例 : 57歳, 女性. 主訴 : 動悸. SLE・高血圧にて当院通院中. 頻回の心房頻拍 (atrial tachycardia ; AT) 発作を認めたためアブレーションを施行. ATは心房頻回刺激により再現性をもって誘発された. 3次元マッピングシステム (CARTO® 3system) を用いて右房心内膜側からactivation mappingを施行. ATはfocal patternを呈し, 冠静脈洞入口部 (CSos) の局所興奮より57ms先行する最早期興奮を三尖弁輪前壁 (左前斜位 : 12時の位置) に認めた. 同部位に頻回の焼灼を試みるも一過性の抑制を認めるのみで根治は得られなかった. 本例は大動脈の著明な蛇行のために無冠尖Valsalva洞が右房前壁最早期興奮部位に近接していた. AT中の無冠尖Valsalva洞内の局所興奮はCSosの興奮に46ms先行していた. 同部位の焼灼でATは直ちに停止し, 以後誘発不能となり再発は認めなかった. His束電位記録部位は最早期興奮部位から35mm離れた部位であった. 本例は, 心外膜側に起源を有した三尖弁輪前壁起源の巣状リエントリー性ATで, 心内膜側からは焼灼不可能で無冠尖Valsalva洞内の焼灼で根治した極めて稀な症例であると考えられた.
著者
水田 拓 鳥飼 久裕 石田 健
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.91-97, 2009-05-01 (Released:2009-05-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

奄美大島の龍郷町市里原地区においてアマミヤマシギの夜間センサスを一年間行い,道路に出現する個体の数に影響を与える要因を調査した.本種の出現個体数は,繁殖期(2~8月)に多く,非繁殖期(9~1月)には少なかった.それぞれの時期において,月の明るさ,雲量,風速,気温,調査時間帯のうち,どの要因が出現個体数に影響を与えているかについて一般化線形モデルとモデル選択を用いて解析した.その結果,繁殖期,非繁殖期とも,月の明るい(月齢が15に近い)夜に本種が多く道路上に出現しているということがわかった.これは,本種が道路上で視覚を用いた活動をしているためではないかと推察される.本研究により,夜の道路に出現するアマミヤマシギの個体数から好適生息環境や個体数の推移などを調べる場合は,月齢や天候を考慮する必要があることが示唆された.
著者
石田 健二 岩井 敏 原口 和之 賞雅 朝子 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.162-167, 2021 (Released:2021-02-10)
参考文献数
14

近年,幹細胞生物学の進展が目覚ましい。特に,体内の幹細胞動態に係る研究については,国際放射線防護委員会(International Commission on Radiological Protection:ICRP)も注目し,2015年12月には発がんリスクに関する幹細胞の役割に着目したICRP Publication 131(以降「Publ.131」と記載)「放射線防護のための発がんの幹細胞生物学」を刊行した。この中で注目すべき点は,「放射線による発がんの標的となる細胞は各組織内の幹細胞,場合によってはその前駆細胞であろうと考えられている(Publ.131の第1項)」ことにある。本特集では,放射線リスク研究のブレークスルーとして最近,期待感が高まっている幹細胞研究の現状を調べ,被ばくの標的細胞を「幹細胞または前駆細胞」とみなすことによってがんリスク評価にどのような変更(パラダイムシフト)がもたらされるかを解説する。
著者
石田 健二 岩井 敏 仙波 毅 福地 命 當麻 秀樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.450-454, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
15

これまで甲状腺がんに限らず,一般に発がんのメカニズムは,「多段階発がん説」に基づいて説明されてきた。すなわち,正常な体細胞(機能細胞)に変異が段階的に蓄積し,正常な体細胞が良性腫瘍となり,それががん化して次に悪性のがんに進展するというものである。しかし近年,“幹細胞ⅰ”の研究が進むにつれて,組織や臓器の細胞を生み出す組織幹細胞が,がんの主な発生母地であるといわれるようになってきた。本稿では,変異蓄積による「多段階発がん説」のモデルと,それでは説明できない子供に多く発生する血液がんの発症メカニズムのモデルについて解説する。
著者
石田 健一郎 白鳥 峻志
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

食作用(phagocytosis)は原核生物にはないとされてきたが、我々は近年、バクテリアなどを食作用のように細胞で包み込んで捕食する2つの原核生物を発見し、培養株(SRT547株およびSRT713株)の確立に成功した。本研究では、これら2つを含む近縁バクテリアの比較ゲノム解析から、この食作用に似た捕食に関連する遺伝子を推定するとともに、それら遺伝子の機能を解析し、原核生物で初めて発見された“食作用”のメカニズムとその進化を明らかにする。これにより、真核細胞の基本性質である食作用の起源の理解に示唆を与え、真核細胞の誕生やミトコンドリアと葉緑体の獲得を含む細胞進化の理解に繋がる新知見を提供する。
著者
神戸 嘉一 武田 美加子 土屋 公幸 吉松 組子 鈴木 仁 鈴木 莊介 矢部 辰男 中田 勝士 前園 泰徳 阿部 愼太郎 石田 健 谷川 力 橋本 琢磨
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.289-299, 2013

クマネズミはthe <i>Rattus rattus</i> species complexとも称され,複数の種からなる種複合体である.日本には古くに移入した東アジア地域起源の<i>Rattus tanezumi</i>(2n=42)に加え,新規に移入したインド地域が起源の<i>R. rattus</i>(2n=38)の2系統が存在する.本研究ではこれらクマネズミ系統の日本列島における分布および移入の歴史を把握することを試みた.毛色関連遺伝子<i>Mc1r</i>(954 bp)をマーカーとし,奄美大島産を含む36個体の塩基配列データを新規に収集し,既存の配列データと合わせ,日本列島の17地点,さらに比較対象として用いたパキスタン産を含め,総計133個体のデータを基に系統学的解析を行った.その結果,小樽,小笠原諸島および東京の3地域で<i>R. rattus</i>型が認められ,これらの地点では<i>R. tanezumi</i>型とのヘテロ接合体も存在した.これらの結果から,既存系統への浸透交雑が一部の市街部,港湾部および離島で進行している実態が明示された.一方,琉球列島の自然林では,<i>R. rattus</i>型の<i>Mc1r</i>ハプロタイプは認められなかった.これは,新たな外来系統<i>R. rattus</i>の定着や浸透交雑を起こさない何らかの要因が存在する可能性を示唆する.琉球列島には独自の<i>Mc1r</i>配列の存在も認められ,他地域とは遺伝的に分化した集団として位置づけられる可能性も示唆された.<br>
著者
山口 順也 天谷 直貴 前田 千代 佐藤 岳彦 森下 哲司 石田 健太郎 荒川 健一郎 宇隨 弘泰 李 鍾大 夛田 浩
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.45, no.SUPPL.3, pp.S3_54-S3_60, 2013 (Released:2015-01-09)
参考文献数
10

発作性房室ブロックは, 心房興奮が予期せず突然に心室に伝導しなくなる病態と定義され, 長時間の心停止を生じるため, 繰り返す失神や突然死の原因となることが知られている. 本例は63歳, 男性. 主訴は眼前暗黒感・意識消失. 2010年 5月に意識消失発作あり近医を受診. 非通常型心房粗動と房室伝導能低下に伴う心室ポーズを認め, 当院に紹介. 心臓超音波検査では軽~中等度の僧帽弁狭窄を認めた. 当院入院後には心房粗動下に最大13秒の心室ポーズがみられ, その際には失神前駆症状を伴っていた. 恒久ペースメーカーの適応と判断したが, まずは心房粗動の治療を優先し心臓電気生理検査を施行. CARTOを用いてマッピングしたところ, 左房天蓋部に瘢痕領域を認めた. Activation mapにて左房天蓋部の瘢痕領域と右上肺静脈の天井との間を後壁側から前壁側に旋回する心房粗動と同定した. 瘢痕領域から右上肺静脈の天井にかけての線状焼灼にて心房粗動は停止し, 以後心房粗動は誘発不能となった. 洞調律に復帰後にはAH・HV時間の延長なく, また, 房室伝導能も正常であった. さらに, 治療後には房室ブロックに伴う心停止は消失した. その後は房室ブロックの再燃なく, ペースメーカーなしで経過している. 僧帽弁狭窄に伴う非通常型心房粗動で, 心房粗動時にのみ発作性房室ブロックした稀有な 1例を経験したので報告する.
著者
中山 卓郎 石田 健一郎
出版者
日本原生生物学会
雑誌
原生動物学雑誌 (ISSN:03883752)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.27-31, 2008

<p>It is widely believed that all known plastids originated from a single primary endosymbiosis in which a cyanobacterium was engulfed and retained by a heterotrophic protist. However, there is an interesting organism called <i>Paulinella chromatophora</i> that may change this widely accepted view.</p><p><i>P. chromatophora</i>, a cercozoan protist, is a fresh water testate amoeba that contains two cyanobacterium-like structures called "cyanelles" in the cell. Past researches have failed to cultivate the cyanelles separately from the host cells and demonstrated that the cyanelles divided within the host cells and were handed over to daughter cells. In recent studies, it has been revealed that the cyanelle of <i>P. chromatophora</i> does not share a common ancestor with known plastids but originated from a cyanobacterium that belongs to the <i>Synechococcus/Prochlorococcus</i> lineage.</p><p>These situation led the idea that <i>P. chromatophora</i> represent the second example of the primary endosymbiosis that is in progress. Further study on the symbiotic relationship between the cyanelles and the host seen in this organism would provide important insight for the mechanism of primary plastid acquisition.</p>
著者
西上 智彦 榎 勇人 野村 卓生 中尾 聡志 芥川 知彰 石田 健司 谷 俊一
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.111-114, 2008 (Released:2008-04-05)
参考文献数
20

低活動状態の1日歩行量を補填し,腓腹筋の廃用性筋萎縮を予防するために運動療法メニューの適切な運動回数を検討した。対象は健常者10名。評価筋は右側腓腹筋内側頭,腓腹筋外側頭とした。腓腹筋筋活動量の測定は(1) 端坐位片足踵上げ,(2) 立位両足踵上げ,(3) 立位片足踵上げ,(4) つま先立ち歩行,(5) 最大等尺性足関節底屈運動とした。分析方法はまず,自由歩行時の筋活動量を(1)から(5)の各動作の筋活動量で除し,各運動療法メニュー1回に対応する歩数を求めた。次に,低活動状態を想定し,6,000歩(片側3,000歩)の筋活動量と対応する各運動療法メニューの回数を求めた。結果,一般臨床で実施されている運動回数では筋萎縮の抑制効果は極めて少ない可能性が示唆された。
著者
野村 卓生 池田 幸雄 末廣 正 西上 智彦 中尾 聡志 石田 健司
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.227-231, 2006 (Released:2009-01-19)
参考文献数
20
被引用文献数
10

2型糖尿病患者におけるバランス障害の成因を明らかにするために,閉眼片脚立位時間と定量的な膝伸展筋力の関連を検討した.糖尿病患者では片脚立位時間の減少と膝伸展筋力の低下が認められ,単変量および多変量解析の結果,いずれにおいても片脚立位時間と膝伸展筋力との間に有意な関連が認められた.糖尿病患者のバランス障害の原因として,多発性神経障害による感覚障害の関与が強調されるが,今回の検討より,下肢筋力低下も関与することが明らかとなった.糖尿病患者のバランス障害に適切な対応をするためには,感覚検査に加え,筋力を定量的に捉えることが必要と考えられた.
著者
石田 健二 丸末 安美
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.392-396, 2014

<p> 日本原子力産業協会では約3年前の2011年1月,毎週発行の原子力産業新聞の紙上に,理科好きの女子高校生「ゆりちゃん」が世の中に広く利用されている放射線について質問し,ものしり博士の「タクさん」が分かりやすく回答する「原子力ワンポイント」の連載を始めた。その途中,福島第一原子力発電所事故が起こったため,2011年4月7日からは「日本の放射線・放射能基準」について,男子高校生の「ゲンくん」が質問し,ものしり博士の「カワさん」が回答する「番外編」を組み込んだ。そして事故から約2年半が過ぎた2013年9月5日,もう一度,初心にかえり,「広く利用されている放射線」についての解説を再開した。本稿では,執筆済みの中から,放射線量の数値等が独り歩きをして一般の方に誤解を与えているケースに対し,分かりやすく解説したコラムを「4編」選んで紹介する。</p>
著者
石田 健
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.10_38-10_45, 2015-10-01 (Released:2016-02-05)
参考文献数
19
著者
神戸 嘉一 鈴木 莊介 矢部 辰男 中田 勝士 前園 泰徳 阿部 愼太郎 石田 健 谷川 力 橋本 琢磨 武田 美加子 土屋 公幸 吉松 組子 鈴木 仁
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.289-299, 2013 (Released:2014-01-31)
参考文献数
44

クマネズミはthe Rattus rattus species complexとも称され,複数の種からなる種複合体である.日本には古くに移入した東アジア地域起源のRattus tanezumi(2n=42)に加え,新規に移入したインド地域が起源のR. rattus(2n=38)の2系統が存在する.本研究ではこれらクマネズミ系統の日本列島における分布および移入の歴史を把握することを試みた.毛色関連遺伝子Mc1r(954 bp)をマーカーとし,奄美大島産を含む36個体の塩基配列データを新規に収集し,既存の配列データと合わせ,日本列島の17地点,さらに比較対象として用いたパキスタン産を含め,総計133個体のデータを基に系統学的解析を行った.その結果,小樽,小笠原諸島および東京の3地域でR. rattus型が認められ,これらの地点ではR. tanezumi型とのヘテロ接合体も存在した.これらの結果から,既存系統への浸透交雑が一部の市街部,港湾部および離島で進行している実態が明示された.一方,琉球列島の自然林では,R. rattus型のMc1rハプロタイプは認められなかった.これは,新たな外来系統R. rattusの定着や浸透交雑を起こさない何らかの要因が存在する可能性を示唆する.琉球列島には独自のMc1r配列の存在も認められ,他地域とは遺伝的に分化した集団として位置づけられる可能性も示唆された.
著者
山中 英生 澤田 俊明 上月 康則 鎌田 磨人 石田 健一 山口 行一 田中 祐一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境システム研究論文集 (ISSN:13459597)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.255-266, 2000-10-13 (Released:2010-03-17)
参考文献数
23
被引用文献数
6 6

本研究では、徳島県上勝町の棚田地域を対象として、参加型計画手法であるPCM (プロジェクト・サイクル・マネージメント) 手法を導入して、棚田保全戦略を立案した。そして、PCM手法により得られた棚田保全戦略の特徴を、PCM手法の開発思想および作業特性の観点から分析した。その結果、PCM手法が、「科学的判断による分析行為」と「戦略的判断による選択行為」から構成されていることを示した。「科学的判断による分析行為」であるPCM手法におけるアプローチ抽出までの情報は、共通課題を有する場合の他の棚田地域への応用性が高いことが指摘できる。また、PCM手法は、「合意形成の対象となる情報」について複合的な「わかりやすさ」を有していることなどを示した。