著者
福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

3歳から5歳までの保育園児を対象に、保育園での昼寝の効果を検討する目的で、平日から週末にかけて、活動量記録装置(ActiWatch)を用いて活動量の連続記録を行った。4歳児では、週末に自宅で自発的に昼寝をとる子どもの割合は3割を下回る。活動量のデータから、自然な状態で昼寝をしない子どもに約1時間半の午後の長い昼寝を課すことで、夜間睡眠の開始時刻が1時間以上後退することが明らかとなった。
著者
高野 雅典 和田 計也 福田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
pp.30-6_JWEIN-D, (Released:2016-01-28)
参考文献数
30
被引用文献数
3

Cooperative behaviors are common in humans and are fundamental to our society. Theoretical and experimental studies have modeled environments in which the behaviors of humans, or agents, have been restricted to analyze their social behavior. However, it is important that such studies are generalized to less restrictive environments to understand human society. Social network games (SNGs) provide a particularly powerful tool for the quantitative study of human behavior. In SNGs, numerous players can behave more freely than in the environments used in previous studies; moreover, their relationships include apparent conflicts of interest and every action can be recorded. We focused on reciprocal altruism, one of the mechanisms that generate cooperative behavior. This study aims to investigate cooperative behavior based on reciprocal altruism in a less restrictive environment. For this purpose, we analyzed the social behavior underlying such cooperative behavior in an SNG. We focused on a game scenario in which the relationship between the players was similar to that in the Leader game. We defined cooperative behaviors by constructing a payoff matrix in the scenario. The results showed that players maintained cooperative behavior based on reciprocal altruism, and cooperators received more advantages than noncooperators. We found that players constructed reciprocal relationships based on two types of interactions, cooperative behavior and unproductive communication.
著者
浅岡 章一 山本 隆一郎 西村 律子 野添 健太 福田 一彦
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.32, pp.145-152, 2022-03-15

これまで反応時間の計測を伴う認知課題は,専用ソフトウェアがインストールされたPC を用いて実験室等において実施されることが殆どであった。しかし,近年では無料で利用可能な認知課題作成ソフトウェアPsychoPy と,認知実験用サーバーサービスであるPavlovia を組み合わせることなどにより,参加者に自身のPC を用いてインターネットブラウザを通じたオンラインでの認知課題参加を求めることが可能となってきている。本稿では,このPsychoPy とPavlovia の利用に関する著者らの近年の取り組みについて報告するとともに,これらを大学での研究および教育に継続的に利用していくにあたっての管理・運営上の課題についても考察した。
著者
福田 一史
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.8, pp.299-306, 2022-08-01 (Released:2022-08-01)

IFLA図書館参照モデルなど新しい書誌データモデルの採用・実装が進んでいるが,それらモデルによる書誌データ作成の方法論やコストについて議論の余地が大きい。本研究はビデオゲーム資料の目録作成においてゲーム作品の典拠構築にWikidataを活用した事例を通じて,オンラインコミュニティが生成したデータ活用の方法論について,網羅性・粒度・記録の完全性という3つの観点から検討した。ここでは所蔵資料の半数強のデータが接続され,コストや外部接続性について有効性が確認できた。一方で特定のデータセットだけを利用することによる課題と複数データセットの統合戦略の有効性が示唆された。
著者
高野雅典 和田計也 福田一郎
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MPS-95, no.20, pp.1-6, 2013-09-19

最近のソーシャルゲームでは,ユーザはギルドというチームを組み協力して課題を達成することを目的としたものが多い.このとき,同じギルドのユーザは基本的には協力関係にあるが,他方の振る舞いが必ずしももう一方にとってプラスになるとは限らず,複雑な社会関係が存在している.本稿ではそのような社会構造を持つソーシャルゲームの特定の状況に焦点を当て,ユーザの関係性や振る舞いを分析する.その状況を分析した結果,その特定の状況におけるユーザ間の関係は SnowDrift ゲームに類似しており,そこでのユーザの振る舞いに基づきユーザを利他的・非利他的という性質で分類できた.また,利他的なユーザ同士はある程度固まってギルドに所属しており,利他的なユーザ同士で協力し合い,効率のよいゲームプレイをしていることがわかった.
著者
福田 一史 北島 顕正 井上 奈智
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s47-s50, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
14

近年、多くのボードゲームが制作・頒布されるようになった。しかし、これらゲームは未だ図書館など既存のアーカイブ機関のスコープには入っておらず、すでに多くのゲームが失われつつあり、保存スキームの構築が急務である。本研究では、そのような背景を踏まえ2022年に設立された一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会による、所蔵品検索システムの開発を軸として、その資料の整理・記述・デジタイズ・アクセス提供といった施策について述べる。 同機関はゲームユーザの集合で成り立つ自律的でグラスルーツ型の組織であるため、低コストな事業推進が一つの命題となる。そのために如何に低コストで効果的なアクセス提供が可能となるか、そのための効率的なフロー構築について集中的に検討と試行をすすめてきた点に特徴がある。 本施策を通じて明らかになったノウハウや課題を整理することで、メディアを介在した地域に限定されないコミュニティのためのアーカイブ構築の方法論への知見を整理する。
著者
福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

保育園児では昼寝の日課があるために、昼寝の平均持続時間および回数が多く,午後の長い昼寝の習慣は,夜間睡眠の就床時刻を遅らせ,さらに寝起きの悪さや午前中の機嫌の悪さと関連している可能性が示唆されている。では,このような幼児期の睡眠パターンは,児童期の睡眠パターンに影響を与えるのであろうか。かつて保育園と幼稚園のいずれかに通園していた児童を対象に,現在の睡眠パターン等について調査を行った。その結果、小学校1年生と4年生において,平日の就床時刻がかつて保育園に通園していた児童で有意に遅く、2年生で遅い傾向があった。平日の睡眠時間は1年生と4年生で,幼稚園出身児童に比較して保育園児出身児童で有意に短かった。1週間あたりの昼寝の頻度と起床時の気分と夜更かしの頻度に関してはどの学年においても両群間に差は認められなかった。以上を要約すると,夜間睡眠の就床時刻と夜間睡眠の長さに関しては,保育園出身児童で就床時刻が後退しており、夜間睡眠時間も短かったが、回帰直線の傾きからは、その差が加齢とともに減少していく傾向が読み取れた。それに対して、幼児期に保育園児の就床時刻を決定する主要な原因であると考えられた昼寝の頻度に関しては、両群の間に統計的に意味のある差は認められなかった。また、就床時刻の後退とともに保育園児に認められた起床時の気分の悪さや、高頻度の夜更かし傾向などについても両群の間に有意な差は認められなかった。このことから、睡眠パターンを規定する要因であった昼間睡眠の習慣がなくなり、昼間睡眠それ自身も習慣として定着することは無かったにも関わらず、就床時刻や夜間睡眠の長さといった要素は,小学校に進学した後も数年間はその状態が持続する可能性があると考えられ、幼児期の睡眠の習慣がその後の睡眠習慣の形成に対して重要な位置を占めていると考えられた。
著者
高野 雅典 和田 計也 福田 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
2015
被引用文献数
3

Cooperative behaviors are common in humans and are fundamental to our society. Theoretical and experimental studies have modeled environments in which the behaviors of humans, or agents, have been restricted to analyze their social behavior. However, it is important that such studies are generalized to less restrictive environments to understand human society. Social network games (SNGs) provide a particularly powerful tool for the quantitative study of human behavior. In SNGs, numerous players can behave more freely than in the environments used in previous studies; moreover, their relationships include apparent conflicts of interest and every action can be recorded. We focused on reciprocal altruism, one of the mechanisms that generate cooperative behavior. This study aims to investigate cooperative behavior based on reciprocal altruism in a less restrictive environment. For this purpose, we analyzed the social behavior underlying such cooperative behavior in an SNG. We focused on a game scenario in which the relationship between the players was similar to that in the Leader game. We defined cooperative behaviors by constructing a payoff matrix in the scenario. The results showed that players maintained cooperative behavior based on reciprocal altruism, and cooperators received more advantages than noncooperators. We found that players constructed reciprocal relationships based on two types of interactions, cooperative behavior and unproductive communication.
著者
石原 金由 宮下 彰夫 犬上 牧 福田 一彦 山崎 勝男 宮田 洋
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.87-91, 1986-06-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
9
被引用文献数
55 77

Morningness-Eveningness Questionnaire (MEQ) developed by Home & Östberg (1976) was translated into Japanese, and then, MEQ and Life Habits Inventory were administered to approximately 1500 university students. The distribution of MEQ scores was essentially normal, and the reliability of this questionnaire was high (γα=.702). Comparing among the morning, evening, and intermediate types, it was found that the morning type retired and arose significantly earlier than other types, although there was no significant differences in sleep length. Furthermore, there were significant differences between the morning and evening types in sleep latency, mood on arising, adequate amount of sleep, frequency and duration of nap, and number of staying awake all night per month. These results suggested that the evening type had more irregular sleep-waking habits than the morning type. Since the above results were obtained only from student population, further investigation on various populations is requested.
著者
福田 一史 井上 奈智 高倉 暁大 高橋 志行 橋崎 俊 日向 良和 藤倉 恵一 松岡 梨沙
雑誌
じんもんこん2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.275-282, 2020-12-05

近年,多くのテーブルトップゲームが創作され消費されるようになった.また図書館でのボードゲームの活用が進むなど文化資源として注目が集まっている.すでにいくつかの民間のデータベースなど実践が存在するが,体系的な目録作成や利用には課題がある.本研究は,1) 既存DBの記述要素分析,2) サンプル資料の分析,3) 産学で組織したワーキンググループでの検討,を通じて概念モデルを策定した.記述テストにより本モデルの有効性が確認できたものの,その妥当性検証や精緻化などの課題が示唆された.
著者
平野 雄一 鳥海 不二夫 高野 雅典 和田 計也 福田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

オンラインでの交流は便利である一方で、特に未成年を初めとしてネットいじめや性犯罪の被害に合う等の事件に発展するリスクがある。そのため、ユーザーが未成年者かどうかを推定する技術は未成年者をリスクから守るためには必要不可欠である。そこで、本研究では、年齢が分からないチャットデータから年齢層を推定し、年齢情報から未成年者と他世代の交流を分析し、特に大人との交流に危険性が高いことを示した。
著者
髙見澤 こずえ 福田 一史
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.41-46, 2022-02-01 (Released:2022-03-22)
参考文献数
12

1980年代から家庭用ゲームを中心に急速に普及したビデオゲームは、プレイによる消耗や新製品への代替わりによる陳腐化が懸念されており、四半世紀以前に発売されたゲーム機本体およびパッケージ化されたゲームソフトのうち不具合なく作動するものの確保は今後ますます厳しくなると想定される。ビデオゲームの保存としてマイグレーションやエミュレーションなどが急務とされるなか、その前提として実物保存もまた不可欠である。本稿では博物館における資料保存の観点から、ビデオゲームの劣化要因と対策、保存環境ほか実物保存の方法論について述べる。
著者
竹内 朋香 犬上 牧 石原 金由 福田 一彦
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.294-304, 2000-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
37
被引用文献数
1 7

不眠, 不充分な睡眠や付随する疲労は, 行動問題や情動障害に関連し, 二次的な学業問題, 集中力欠如, 成績悪化などに結びつく。そこで本研究では, 睡眠問題発現の予防学的側面をふまえ第1に, 睡眠習慣調査の因子分析により大学生の睡眠生活パタンを総合的に把握する尺度を構成した。第2に, 尺度得点のクラスター分析により睡眠習慣を分類し, 大学生の睡眠衛生上の潜在的問題点を検討した。因子分析により睡眠に関する3尺度一位相関連 (朝型・夜型と規則・不規則関連9項目), 質関連 (熟眠度関連6項目), 量関連 (睡眠の長さと傾眠性関連6項目) 一を抽出し, 通学など社会的要因との関連を示唆した。分類した6群のうち4群は, 睡眠不足, 睡眠状態誤認, 睡眠相後退など睡眠障害と共通点を示し, 時間的拘束の緩い大学生活から規則的な就業態勢への移行時に睡眠問題が生じる危険性を示唆した。また本研究のような調査票による, 医学的見地からみた健常範囲内での睡眠習慣類型化の可能性を示唆した。分類結果に性差を認め, 短時間睡眠で高傾眠群, 睡眠の質が悪いが朝型, 規則的で平均睡眠量の群で女子の, 夜型, 不規則, 睡眠過多な群, 夜型, 不規則で睡眠の質が悪い群では男子の割合が高かった。従来の知見をふまえ生物学的要因の関与を推測した。
著者
福田 一彦
出版者
江戸川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

約2500名の幼児を対象とした調査で、3歳児で70%、4歳児で80%、5歳児で90%、6歳児で95%の子どもが自宅では昼寝をとらない事が明らかとなった。アメリカのデータでは3歳児の40%が昼寝をとらないとされてきた。今回の結果は、この数字をはるかに上回る割合の3歳児が昼寝をとっていないという事が明らかとなり、昼寝の消長についてより詳しい調査を行う必要があると考えられた。昼寝の中止後には、就床時刻の前進、寝つきや、朝の気分の改善が認められた。夕食の時刻、入浴の時刻は幼児の就床時刻と高い相関を示したが、母親自身の就床時刻には非常に低い相関しか認められず、重回帰分析の結果、最初に除外対象となった。
著者
水流添 覚 山元 章 平島 義彰 福田 一起 梶原 伸宏 西田 周平 下田 誠也 荒木 栄一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.837-842, 2014-11-30 (Released:2014-12-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

症例は65歳の2型糖尿病男性で経口薬・インスリン併用中だが,高血糖,肥満が是正されないためSGLT2阻害薬を導入すべく入院となった.メトホルミン,利尿薬内服を中止の上でイプラグリフロジン50 mg開始.血糖改善は良好で2日目から約10 %のインスリン減量を実施.3日目に全身性皮疹,腎機能障害(Cr 1.6 mg/dl),ケトーシス(3-OHBA 626 μmol/l),軽度代謝性アシドーシス(PH 7.348, HCO3- 18.3 mmol/l)に加え高度高K血症(7.3 mEq/l)を来した.症例は高K既往,K高含有食品(昆布)常用,ARB内服など高Kを呈しやすい素地があった.これに利尿薬中止,SGLT2阻害薬開始後の腎機能低下,アシドーシス,インスリン作用不足によるK細胞外シフトが加わり高Kを発症したと推察する.高Kを呈しやすい背景の患者へのSGLT2阻害薬導入ではK値に注意を要する.