著者
浅岡 章一 藤田 勇次 甲斐 里穂 益田 桃花 福田 一彦
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.30, 2020-03-15

本研究では,睡眠時の姿勢が夢の内容に与える影響について,質問紙調査とREM 覚醒法による夢聴取を用いて検討した。質問紙調査では,一般大学生を対象に普段の睡眠姿勢とともに,見る夢にどのようなものが多いかについて夢特性評定尺度上への回答を求めた。その結果,仰臥位で眠る頻度の高い学生は,奇異性の高い夢や,活動性の高い夢を見る頻度が低いことが示された。また,就寝時に腹臥位であることが多い学生や,覚醒時の睡眠姿勢が側臥位であることの多い学生は,活動性の高い夢を見る頻度が高いことも示された。続いて,同一個人内においてもREM 睡眠中の睡眠姿勢によって報告される夢の特性が異なるかを検討するために,REM 覚醒法を用いた夢聴取データの再解析を行った。その結果,側臥位からの覚醒の際と比較して,仰臥位から覚醒した際に報告された夢の方が,夢の「強烈さ」がより高く評価されている事が明らかとなった。質問紙調査を用いて検討した際と,REM 覚醒法を用いて検討した際で,夢の特性と睡眠姿勢との関連の仕方が異なることから,今後,実験的な手法を用いた更なる研究が必要と考えられた。
著者
竹内 朋香 犬上 牧 石原 金由 福田 一彦
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.294-304, 2000-09
被引用文献数
1

不眠, 不充分な睡眠や付随する疲労は, 行動問題や情動障害に関連し, 二次的な学業問題, 集中力欠如, 成績悪化などに結びつく。そこで本研究では, 睡眠問題発現の予防学的側面をふまえ第1に, 睡眠習慣調査の因子分析により大学生の睡眠生活パタンを総合的に把握する尺度を構成した。第2に, 尺度得点のクラスター分析により睡眠習慣を分類し, 大学生の睡眠衛生上の潜在的問題点を検討した。因子分析により睡眠に関する3尺度-位相関連(朝型・夜型と規則・不規則関連9項目), 質関連(熟眠度関連6項目), 量関連(睡眠の長さと傾眠性関連6項目)-を抽出し, 通学など社会的要因との関連を示唆した。分類した6群のうち4群は, 睡眠不足, 睡眠状態誤認, 睡眠相後退など睡眠障害と共通点を示し, 時間的拘束の緩い大学生活から規則的な就業態勢への移行時に睡眠問題が生じる危険性を示唆した。また本研究のような調査票による, 医学的見地からみた健常範囲内での睡眠習慣類型化の可能性を示唆した。分類結果に性差を認め, 短時間睡眠で高傾眠群, 睡眠の質が悪いが朝型, 規則的で平均睡眠量の群で女子の, 夜型, 不規則, 睡眠過多な群, 夜型, 不規則で睡眠の質が悪い群では男子の割合が高かった。従来の知見をふまえ生物学的要因の関与を推測した。
著者
毛利 仁美 福田 一史 ジュヒョン シン
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.7, no.s2, pp.s43-s46, 2023 (Released:2023-10-20)
参考文献数
7

国内におけるビデオゲームアーカイブに関連する研究では、その保存や情報組織化といったトピックが活発であるが、展示以外の利用・提供に関する研究は数少ない。そこで本研究では、調査や学術活動の支援に資するゲームアーカイブの検索・提供サービスのあり方、利用を通じたアーカイブの機能について探索的に検討するという目的のもと、立命館大学ゲーム研究センターの所蔵資料を用いたゲームアーカイブの提供サービスを実施した。本発表では、提供サービスにおいて実施された質問票調査やレファレンスカウンターの対応記録等より分析された、ユーザの利用状況や資料探索行動、オンライン目録サービスの評価を報告する。
著者
江原 謙介 藤本 淳也 福田 一儀 松永 敬子 鳥山 稔 河野 真輝
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_183-2_196, 2021-04-01 (Released:2021-04-26)
参考文献数
26

This research compared university student-athletes and other university students to analyze differences in attitudes towards COVID-19. The objective was to examine the impact of student-athletes′ attitudes on their future athletic activities and perform verification that will contribute to the deliberation and creation of university support measures for student-athletes. Google Forms were used to administer an online questionnaire to university students nationwide. The responses to questions on the questionnaire were recorded on either 5 or 8 point scales, as well as open-ended questions without word limitations at the end of the questionnaire. The results were analyzed by separating results into two cohorts; student-athletes and other university students, and then categorizing responses to each question as positive or negative. Cross-tabulation was used and then Fischer′s exact test was performed. To analyze the open-ended questions, KH-Coder3 software, which excels at Japanese analysis and is used in a great deal of research, was used. The analysis found a significant difference for some questions. In particular, a greater percentage of student-athletes than other university students felt unease regarding infection at university facilities, the impact of infection on university life, and the impact on activities from April 2020 onwards. Some of the reasons for the higher percentage of responses indicating unease were the lack of transparency in student life, with universities not defining clear approaches.
著者
大郷 貴之 東 隆介 宇津木 一弘 福田 一郎
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.11_42-11_49, 2009 (Released:2012-03-27)
参考文献数
1

第二吾妻川橋梁は,JR吾妻線の付替え工事として計画された3径間連続PRC斜版中路箱桁橋と単純PRC中路箱桁橋からなり,半径600mの曲線を描いて一級河川吾妻川を渡河する橋梁である。中央スパン167mは,完成すると斜版橋では国内最長となる。本稿では,3径間連続PRC斜版中路箱桁橋の上部工の施工について報告する。
著者
清水 洋 福田 一史 井上 明人 鴫原 盛之 松井 彩子
出版者
Institute of Innovation Research, Hitotsubashi University
巻号頁・発行日
2018-12

ゲーム産業生成におけるイノベーションの分野横断的なオーラル・ヒストリー事業
著者
高野 雅典 福田 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

ヒトは多様なコミュニケーションシステム(社会的グルーミング方法)を使いこなす.それは複雑な社会において効率的に社会関係を構築維持するためである.本研究では,ヒトはどのように多様な社会的グルーミング方法を使い分けているか? それによって社会構造はどのような影響受けるか? を説明するモデルを提案する.それは13個の多様な社会データにもとづいて構築される.
著者
福田 一義
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.433-438, 2000-09-15
被引用文献数
2

ゲルマニウム (Ge) γ線スペクトロメータシステムを用いて, 北海道内で消費される輸入食品の放射能調査を実施した。<BR>1989年から1999年までに採取した480試料の放射性セシウム濃度 (<SUP>137</SUP>Cs+<SUP>134</SUP>Cs) において, 暫定限度 (370Bq/kg) を超えるものはまったく認められず, 441試料 (92%) では1Bq/kg未満のきわあて低いレベルであった。また, 最大値は, 紅茶 (中国産) について, <SUP>137</SUP>Csが62.4Bq/kg, <SUP>134</SUP>Csが3.8Bq/kgであった。<BR><SUP>137</SUP>Cs濃度とセシウム単位の関係から, セシウム単位の値が0.40Bq/g-Kを上回った24試料については, チェルノブイリ原子力発電所事故に由来する寄与を定性的に評価した。また, <SUP>137</SUP>Csとともに<SUP>134</SUP>Csが検出された16試料については, この事故に由来する<SUP>137</SUP>Csの寄与率を算出した。
著者
重田 眞義 高田 公理 堀 忠雄 豊田 由貴夫 福田 一彦 藤本 憲一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

これまで科学的側面に偏っていた人間の睡眠行動に関する研究を、人間の文化的行動=「睡眠文化」として考究する新しい学問的な視座の確立と普及につとめた。医学、心理学などの分野でおこなわれてきた最新の睡眠科学研究の成果をふまえながら、アジア、アフリカにおける睡眠文化の多様性とその地域間比較をおこなった。また、現代社会において、睡眠をめぐるさまざまな現象が人間の健全な生活に対する「障害」としてのみ問題化されている現実をふまえ、生物医療的観点に偏りがちな睡眠科学による知見を文化の観点から相対化してとらえなおす作用を備えた「睡眠文化」という視点を導入した。
著者
関 喜史 福田 一郎 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

SNSなどのWebサービスにおいて、ユーザ同士の交流を活性化させるためにユーザ推薦機能がある。 過去提案されてきた手法は既存の友人関係ネットワーク全体を利用するものがほとんどだが、本研究では多くのSNSに存在するコミュニティ機能のネットワーク構造を利用し、関係の属性を生かしたユーザ推薦手法を提案する。
著者
五十嵐 敦 福田 一彦
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,勤労者のメンタルヘルス問題のメカニズムについて,交代制勤務による睡眠問題と職場適応の問題について実証的なアプローチを試みたものである。特に,3交代制から2交代制に移行を予定している病院の看護職の調査をメインに,地方自治体職員や一般企業との比較調査を行った。結果,初回調査では2交代制が3交代制の看護職者よりよい状況であった。しかし,3交代者が2交代に変更した後の状況については良好な状況になっていることは確認できたが,縦断調査への協力者の数が少なかったことで統計分析に十分耐えるものではなかった。3交代からの変更者が少なかったこと,交代制自体が状況によってサイクルが不安定に変更されている状況があったと見られる。自治体においては労働時間よりも作業遂行の問題や日中の眠気・入眠の問題などが精神的健康には有意に関連していることが明らかとなった。また,人材育成としての研修への積極的態度も重要な要因であった。一般企業では抑うつ傾向に対して休日の眠気や希望的態度が抑制要因となっており,Karasek(1979)のコントロール感の重要性が確認された。
著者
引地 謙治 森野 祐直 福田 一郎 松本 壮樹 瀬崎 薫 安田 靖彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.413, pp.17-24, 2000-11-02
被引用文献数
10

現在, 触覚フィードバックデバイスの開発が盛んに行われており, 今後は, 触覚メディアも徐々に普及していくものと思われる.我々は, 触覚を含むマルチメディアをネットワークを通じて取り扱う方法について検討し, ネットワークを通じて共有する環境の構築を目指している.現在, 我々は触覚メディアを含んだネットワークサービスに対してのネットワークの影響について議論するための基礎実験の一環として, 触覚や視覚メディアの遅延やパケット損失, 同期の乱れがQoS(Quality of Service)に与える影響を調査している.本稿では, これらの調査の結果をもとに触覚ディスプレイ(PHAMToM)をネットワーク応用するにあたってのシステムの構成を提案し, 持に遅延に対する影響について考察する.
著者
細井 浩一 福田 一史
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

文化資源としての「デジタルゲーム」の保存活動の基盤となるデータベースにおいて、今後も増え続けていくゲームタイトルを継続的に捕捉し、その関連情報の信頼性を担保しつつ継続的に更新していくことが可能なスキームを構築することを目的として、①学術界・産業界における実用的なゲームのメタデータに関するニーズ調査とそれに基づくメタデータ設計、そして ②「作品」を用いた外部とのデータ接続と、データセットの収集・統合の自動化を目的とした実装を行う。
著者
浅岡 章一 福田 一彦 山崎 勝男
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.35-43, 2007-04-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
46
被引用文献数
4 2

日本人の平均睡眠時間はこの40年間で約1時間短くなっている。この傾向は児童・学生においても認められ, 児童・学生の日中における眠気の訴えは成人よりも強いことが明らかにされている。このような睡眠時間短縮に代表される睡眠習慣の悪化は, 児童・学生の様々な問題と関連している。そこで, 本稿では乳幼児期から大学生までの睡眠の発達について概観するとともに, その年代における睡眠習慣の悪化が, 日中の活動に対してどのような悪影響を与えるかについて先行研究の結果を紹介する。さらに児童・学生の睡眠習慣を悪化させる社会的要因についても紹介する。