著者
紙谷 淳 米田 稔 新井 貴史
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.443-451, 2007-11-16 (Released:2011-06-27)
参考文献数
5

本研究では, 瓦破砕材のリサイクル方法として, 代替土壌としての有効性を見るため, 踏圧による透水性と空隙率の変化, 有効水分保持量, 有効肥料成分保持量などについて, 検討を行った. その結果, まさ土と比較した場合, 瓦破砕材は踏圧を受けることによる透水性や空隙率の変化が小さいことがわかった. また, まさ土や軽石, 活性炭などと比較した場合, 粒径2mm以下の瓦破砕材では, 肥料の保持特性でもよい結果を示した. さらに, 実際にまさ土と瓦破砕材を施工したパターゴルフ場において, 芝生の成長度を比較した結果, 瓦破砕材を施工した場合の方が根の長さは2倍ほど長く, クロロフィルaの量も2倍ほど多かった, このことから瓦破砕材は芝生育成のための代替土壌として, きわめて有効であると考えられる.
著者
田中 宏樹 神谷 淳文 大村 愛花 村松 久圭
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.7, pp.413-416, 2021-07-01 (Released:2021-07-01)
参考文献数
2

1.はじめに広島県東広島市の郊外に目を引く巨大な工場がある。マイクロンの広島工場(図1)である。マイクロンはアメリカ アイダホ州ボイシに本社を置き,世界中でさまざまなメモリの生産を行っている世界有数の半導体メーカである(図2)(1)。特に広島工場はDRAM(Dynamic Random
著者
横田 健太朗 上柿 雅裕 神谷 淳文 佐藤 匠悟 大熊 栄一
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.141, no.2, pp.99-102, 2021-02-01 (Released:2021-02-01)
参考文献数
7

1.はじめに2020年7月1日の東京駅。14番線ホームの先頭では新型車両一番列車「のぞみ1号」の出発式が行われていた。車体には金色のロゴ。東海道新幹線「N700S」の営業運転開始だった。13年ぶりにフルモデルチェンジした新型車両は午前6時,博多駅に向かって出発した。
著者
三浦 彩美 米谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.123, pp.13-16, 1999-06-18
参考文献数
6
被引用文献数
3

米谷・瀧上(1994)は日本人の表情認知構造が日本人の表情をみる場合と欧米人の表情の場合とに相違があることを指摘した。これを再検討するため、欧米の映画から選び出した81の表情刺激(音声なしの静止画像)をランダムに112名の大学生(男子83名、女子29名)に呈示し、表情表出の強さを評定させた。その結果、呈示刺激の表情により評定値が有意に変動することが確かめられ、評定者の性差や性差と呈示刺激の交互作用に有意な変動が認められた。因子分析により、欧米人の表情に対する表情認知構造は日本人の表情に対するものと大体同じだが、悲しみの認知だけが異なるという、米谷・瀧上(1994)の文化的フィルター仮説を支持する結果が得られた。
著者
大和 淳司 大谷 淳 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.2556-2563, 1993-12-25
被引用文献数
59

本論文では,画像によるモニタリングの自動化を目的として,動画像中の人物像の行動を認識する方法を提案している.実画像に対してもロバストな認識系を構築するために,幾何学的なモデルに基づくモデルフィッティングによらず,特徴量ベースのボトムアップな学習によるアプローチをとる.このために隠れマルコフモデル(HMM)を適用した時系列パターン認識を行った.HMMは音声認識で広く応用されているが,動画像への適用はほとんど例がない.本手法では,画像中の人物領域のメッシュ特徴をベクトル量子化によりシンボルに変換し,このシンボル列をHMMで学習,認識する.これにより,教師付き学習による,所与の動作カテゴリーの認識が実現できる.テニスの動作を列に,複数の被験者の動作認識実験を行い,90%以上の認識率を得た.また,不特定多数の人物動作認識を目的として,学習に用いなかった被験者を認識対象とした場合についても検討を行った.この場合,認識率の低下が起こるが,学習に用いる被験者数を増やすことにより認識率が向上することを確認した.
著者
小沢 泉太郎 鳥谷 淳 荻野 義定
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.328-334, 1988-07-01 (Released:2008-10-15)
参考文献数
22

重質油反応の経時変化測定を容易にするため, 簡易ミクロボンブ反応器を考案し, 450°C, 水素初圧7.9MPa, 反応時間9-180minの条件で, エイコサンの水素化分解反応の検討に供した。生成物は, 主に炭素数1-19のパラフィンと炭素数2-19のオレフィンであった。これら生成物の初期分布には規則性があり, 反応がC20→Cj+C20-j(j=1-10) で始まり, j=1がもっとも生じにくく, j=2がこれに次ぎ, j≧3になると, ほぼ等率で分解することがわかった。パラフィンとオレフィンの初期生成率の相互関係も, 上記分解パターンに矛盾しないものであった。液体スズ触媒は, 初期分解パターンにほとんど変化を与えないが, 分解速度を抑制する弱い負触媒作用をすることがわかった。
著者
米谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.328, pp.29-32, 2003-09-20

神戸大学大学院総合人間科学研究科対人行動研究室では、これまで10年に渡って私の指導の下に表情研究がなされてきた。われわれは表情を顔・頭部における社会的行動とみなし、通常の対人コミュニケーション場面における日本人の一般的な表情表出(Facial Display)を研究している。この報告ではそのために開発された視線や頭部の動きも含めた顔の各部の時系列的変化をとらえるための表情記述法(J-FACT)を説明し、これを用いて進めてきたわれわれの研究をレビューする。
著者
坂本 昭彦 金子 智之 金谷 淳志 木村 将貴 高橋 さゆり 山田 幸央 三宅 康史 坂本 哲也 中川 徹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.65-69, 2021-04-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

(目的) 帝京大学附属病院において,過去10年間にフルニエ壊疽と診断・加療された15例の患者背景,臨床的指標および予後に影響を与える因子を明らかにすること. (対象と方法) 2009年5月から2019年4月までの10年間に,帝京大学医学部附属病院においてフルニエ壊疽と診断・加療された15症例を対象とした.患者背景およびFournier Gangrene Severity Indexを含めた臨床的指標を記述した.生存例と死亡例における臨床的指標の比較を行い,予後に影響を与える因子について検討した. (結果) 15例の年齢中央値は67才,全例が男性であった.糖尿病合併例は9例(60%)であった.14例(93%)に対して外科的デブリドマンが施行された.精巣摘出術を要したのは5例(33%),膀胱瘻造設術を要したのは3例(20%),人工肛門造設術を要したのは3例(20%)であった.死亡例は3例(20%)であった.生存例と比較して,死亡例は有意に高齢であり(p=0.043),BMI低値であった(p=0.038).Fournier Gangrene Severity Index等の予後予測指標は死亡例で高い傾向を認めた. (結論) 当院における過去10年間のフルニエ壊疽15例の死亡率は20%であった.2010年代においても,フルニエ壊疽は死亡率の高い疾患であった.
著者
廣垣 和正 神谷 淳 木水 貢 山本 孝 田口 栄子 金法 順正 久田 研次 堀 照夫
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.93-98, 2010 (Released:2010-06-01)
被引用文献数
1 1

Cyclodextrin (CD) was fixed onto a fabric using isocyanate as a cross-linker and their durability was discussed. The CDpolymer was insoluble on water, and reaction of CD with isocyanate was characterized with infrared spectroscopy. The poly(ethylene terephthalate) fabric was dipped into a solution of Beta-CD and isocyanate, and the fabric was annealed to fix CD. Weight decrease and CD content on the fabric was followed to evaluate the wash durability of the fabric. When CD was fixed with triisocyanate showed higher durability compared with the one fixed with diisocyanate. For the fabric with the highest durability, 60% of CD remained on the fabric even after 50 times washing. Absorption capacity of the CD on the fabric was evaluated to be 80% from the adsorption of phenolphthalein on a fabric
著者
北村 尚人 中谷 淳子 中田 光紀
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.295-300, 2014-12-01 (Released:2014-12-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

勤労者の睡眠問題と主観的健康感(以下,健康感)の関連を明らかにするために,日本人43,092人(男性34,164人,女性8,928人)を対象に質問紙調査を行った.健康感と睡眠問題の関連は多重ロジスティック回帰分析により解析し,オッズ比(OR)を求めた.男女間で健康感を「あまり良くない,非常に良くない」と答えた人の割合に有意な差があったため(男性29.4%,女性34.1%,P < 0.001),男女別に解析した.睡眠問題なしの者に比べ,睡眠6時間未満(OR = 男性1.39,女性1.40),入眠困難(OR = 男性4.44,女性3.85),中途覚醒(OR = 男性5.72,女性4.85),早朝覚醒(OR = 男性3.87,女性4.25),起床困難(OR = 男性3.30,女性3.40),起床時疲労感(OR = 4.97,女性4.82)および仕事中の過度の眠気(OR = 男性2.34,女性2.11)を有する者は有意に健康感が悪かった.睡眠問題と健康感の関連の強さは男女差が認められなかった.本研究により,勤労者において睡眠問題と健康感は関連することが示された.
著者
糀屋 絵理子 樺山 舞 山本 真理子 樋上 容子 小玉 伽那 向井 咲乃 矢野 朋子 奈古 由美子 中村 俊紀 廣谷 淳 福田 俊夫 玉谷 実智夫 奥田 好成 生島 雅士 馬場 義親 長野 正広 樂木 宏実 神出 計
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.602-609, 2021-10-25 (Released:2021-12-08)
参考文献数
21

目的:多病を抱える高齢者の疾患管理において,季節変動に伴う血圧の変化が,臨床上,問題であると指摘されている.本研究では,在宅医療を受療中の在宅療養高齢者において,季節変動に伴う血圧変動の実態を把握するとともに,療養中イベントとの関連,変動に関連する要因を検討した.方法:包括的在宅医療確立を目指したレジストリー研究(OHCARE研究)の協力機関にて在宅訪問診療を受療している,65歳以上の患者,かつ初回調査と追跡調査(平均追跡日数368日)で,夏季(6/1~8/31),冬季(12/1~2/28)に調査を行った57名を対象とした.診療記録より,患者の基本属性,血圧値,療養中イベントを含む情報を収集し,季節変動に伴う血圧値を把握した.また,収縮期血圧における季節間血圧変動について,中央値を基準に,季節変動大・小の2群に分け,対象の特性を比較するとともに,療養中イベント(入院,転倒,死亡)との関連の有無を検討した.結果:対象の約60%は要介護3以上と虚弱状態であった.患者の血圧平均値は,夏季120.5±12/66.9±8 mmHg,冬季124.7±11/69.5±7 mmHgと冬季の方が有意に高値であった(P<0.01).また血圧変動レベル大小2群で特性を比較すると,変動レベルが大きい群の方が小さい群より,夏季血圧が有意に低かった.また,血圧変動レベルが大きい群の方が「療養中の入院」の発生割合が有意に高かった(P=0.03).結論:在宅医療を受ける高齢療養者において,季節間で血圧は変動し,特に夏季の血圧低下が変動に影響する可能性が考えられた.また,血圧変動性の大きさが療養中の入院イベントリスクと関連する可能性が示唆された.これらの変動を把握した上で,医療者は臨床的な諸問題を考慮し,患者個々に最適な治療,ケアを検討する必要がある.
著者
熊崎 祐介 多木 俊裕 小谷 淳二 尾崎 史朗 新井田 佳孝 美濃浦 優一 西森 理人 岡本 直哉 佐藤 優 中村 哲一 渡部 慶二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J104-C, no.12, pp.352-359, 2021-12-01

本論文では,高効率なGaN基板上GaN HEMTのデバイス開発と動作実証を行った.GaN基板の利用により結晶欠陥を大幅に低減し,電流コラプス現象が抑制できることを確認した.また,結晶成長前にウェットケミカル処理を施すことで,基板表面のコンタミを除去し,結晶成長後の基板/エピ界面のSi不純物を低減することに成功した.Si不純物の低減により寄生損失を抑制し,2.45 GHzにおいて効率82.8%と極めて高い値を達成した.これは,同周波数帯にて報告されている異種基板上GaN HEMTの効率と比較して高い値であり,GaN基板上GaN HEMTの優れたポテンシャルを示す結果であるといえる.
著者
宮城 調司 角南 由紀子 渋谷 淳 山崎 英樹 青木 由貴子 青柳 守男 樫山 麻子 寺師 聖吾 布村 眞季
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.11, pp.555-560, 2021-11-30 (Released:2021-11-30)
参考文献数
15

症例は50歳男性.46歳時に2型糖尿病と診断されたが,既に多発合併症あり,その後も治療中断を繰り返し血糖コントロールは不良であった.眼の奥の痛みを主訴に眼科・耳鼻咽喉科を受診し,副鼻腔炎の診断にて抗菌薬を開始したが改善なく入院となった.副鼻腔壊死組織の病理所見にて骨髄浸潤を伴う鼻脳型ムーコル症と診断した.リポソーマルアムホテリシンB投与開始とともに,鼻咽喉ファイバースコープ下で排膿・壊死組織除去を繰り返し治癒した.ムーコル症は,特異的な症状・所見に乏しく,診断が困難である上,血栓形成を伴う血管侵襲を特徴とすることから経過は急速で,予後不良といわれている.治療は,外科的切除および適切な抗真菌薬投与である.本症例は,血糖コントロールおよび外科的処置により,比較的限局した局所の感染制御が得られ,良好な経過を辿ったと考えられた.ムーコル症の予防・治療には糖尿病の管理が重要である.