著者
坂口 竜己 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.1060-1067, 1995-08-20
被引用文献数
35 8

従来の人物顔表情認識では, 静止画像の複雑な処理が必要であった.これに対し, 静止画像内の特徴と, 時系列の特徴を統合して認識率を向上させる検討を行った.画像内特徴には, 雑音や撮影環境に比較的ロバストな周波数特性として, ウェーブレット変換により得られる帯域内平均電力を用いている.時系列処理には, 信号系列を時間的変化の特徴によってカテゴリー分類する際に有用な隠れマルコフモデル(HMM)を採用し, 学習による認識を行っている.また特徴量の量子化には, 表情のように認識対象カテゴリー間の類似度が高い場合に, 有効なカテゴリー別VQとカテゴリー外コードワード選択追加によるコードブックの作成を提案する.これにより, 特定被験者の4表情の認識実験では, 平均93.7%の正答率が得られた.
著者
栃折 泰史 大谷 淳 江畑 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.469, pp.1-6, 2010-03-08
参考文献数
2

本論文では,パン・ティルト・カメラから獲得された動画像における各フレームでのカメラの姿勢(回転パラメータ)を推定する手法を提案する.特に,撮像対象シーンに動物体を含む場合への対処法を検討する.まず検出・追跡した2つの特徴点を,カメラの光学中心を中心,焦点距離を半径とした仮想球体上に投影を行い,仮想球体上の特徴点2個と光軸と仮想球の交点が作る三角形の合同を利用して,回転パラメータを推定する.動物体を含む撮像シーンにおいてもロバストに推定するために,特徴点が物理空間上で静止物体・動物体のいずれかに対応しているかの識別を,特徴点2点間の距離がパン・ティルト後も等距離を保つかどうかを判断することにより行う.本論文では提案手法についてシミュレーションと実画像を対象とする実験を行い,その有効性を検証する.
著者
坂口 竜己 森島 繁生 大谷 淳 岸野 文郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.439, pp.61-68, 1994-01-26
被引用文献数
17

よりユーザフレンドリーなコンピュータとのコミュニケーション環境実現のため、顔表情動画像を用いたインタフェース構築の研究を進めている。筆者らはすでにモデルベース手法を応用した表情動画像の作成について提案しているが、この表情変形規則は2次元的な計測を基に作られたものであったため、満足な性能は得られていなかった。本稿では、顔表面の3次元計測により、各表情表出時の顔面皮膚の移動量を求め、新たな移度制御点(特徴点)の設定と移動規則の決定を行なっている。3次元計測では正面・側面画像を利用する手法を採用し、誤差±1.2%程度の精度を得ている。更に得られた特徴点位置についての測定結果よりFACSのAUの定量化を見直し、特徴点以外の点の補間法を検討してより自然な画像合成を行なっている。
著者
柴田 碧 神保 努 水谷 淳
出版者
地域安全学会
雑誌
地域安全学会論文報告集
巻号頁・発行日
no.4, pp.3-11, 1994-08

本論文は昨1993年11月のSTECH'93において,その手法の概要を,そして本年1994年7月に日本機械学会D&D Conferenceにおいて,その中核をなす脱線車両の動力学についての発表予定の2論文をまとめたものである。最近,新幹線の速度向上は目ざましいものがある。また在来線についても160Km/h程度までの高速化が考えられている。しかし,東海道新幹線をはじめ,在来線では築堤上をはじめ,支持基盤の弱い線路区間が多くある。これらが強震程度以上の地震時にどのような状態になるかは,過去の多くの地震の事例で明きらかである。これについては,京大亀田のリポートもあり,高い密度で運転されている列車がこのような区間に突入する可能性は高い。一方,整備されたが高架区間でも,地震動はかなり激しくなると考えられ。たとえ線路支持構造物は健全であっても,高速の列車が脱線する可能性は大きい。本論文,前半では上述のような事象の多様性に対し,確率論的立場からどのような解析を行ったらよいかを,地震発生から,死傷発生の全過程について述べ,後半では脱線後の列車(車両列)の挙動に関する実験的研究について述べる。結果の一つの特徴としては,同一条件で脱線しても,車体の挙動はある単一の統計的分布をなすのではなく,複数の正規分布などで表わされる状況になり,理想化した条件下でも,その結果は非常にばらつき,いわゆるカオス的状況になる。このことはさらに,線路周辺の状況が千差万別の実路線における,事故の確率論的予測にはかなり特別の手法の導入を必要とするということを意味している。
著者
米谷 淳 棚橋 美代子 大野 雅樹 猪崎 弥生 西 洋子
出版者
神戸大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

平成19年度も昨年度に続き国内外の調査研究と実践的研究の2本柱で、子どもの情緒と社会性の発達支援に関する予備的研究を進めた。小児病棟における子どもの発達支援に取り組む保育士や英国チャイルドプレイスペシャリストやチャイルドライフスペシャリストについて、その現状と教育システムについて、兵庫県立こども病院、浜松大学付属病院、英国キングフォード病院の担当者にインタビューをした。また、日本初のチャイルドプレイスペシャリスト養成コースを立ち上げた静岡県立大学短期大学部のコース責任者や、英国マンチェスター市ボルトンコミュニティカレッジの養成コース責任者と会い、プログラムの詳細と今後の展開について意見交換した。これらの作業を通して、日本の病院に適した保育専門職の養成のためには、さまざまな資格や背景をもって日本の病院の小児病棟に務めている保育者が互いに交流しながら、研究者とともに教育プログラムの研究開発を進め、独自なものをつくりあげていくべきことが示唆された。保育者養成プログラムに関する実践的研究としては、京都女子大学発達教育学部の「保育技能実習」における専門家による人形劇指導と、棚橋ゼミ生を中心とした人形劇団「たんぽぽ」の巡回公演等を観察し、指導者と学生へのインタビューを行った。また、子どもの情緒と社会性の発達支援としての人形劇の意義と可能性を検証するために、専門家(人形劇人)が幼稚園・保育園で公演した人形劇を鑑賞している園児をビデオ撮影して分析した。こうした作業の結果、専門性の高い保育者としての資質を高める上で人形劇の実習と実践が非常に有効であるだけでなく、保育に人形劇を活用することは子どもとのコミュニケーションや子どもの情緒や社会性の発達を促進する上でも有効であることが確かめられた。また、子育てサークルづくりの観察を通して子育て支援の方法、とくに、ファシリテーターの役割を検討した。
著者
西嶋 尚彦 鈴木 宏哉 大塚 慶輔 田中 秀典 中野 貴博 高橋 信二 田渕 裕崇 山田 庸 加賀谷 淳子 福永 哲夫 久野 譜也 松田 光生
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.213-224, 2003-08-01
参考文献数
37
被引用文献数
3 2

The purpose of this study was to confirm the causal structure model of muscle, motor and living functions utilizing structural equation modeling (SEM). As subjects, 103 community-dwelling older men and women, aged 65.7±6.9 years of age, participated in the study to measure muscle cross-sectional area, maximum voluntary contractions, muscle power, 4 physical performance tests, and 16 questionnaires regarding ability of activities of daily living. The causal structure model of muscle, motor and living functions was hypothesized to be a hierarchical causal structure. The causal structure model of muscle function was hypothesized to be a hierarchical causal structure consisting of 3 sub-domains of muscle mass, muscle strength, and muscle power. Data analysis procedures were as follows : a) testing of construct validity of muscle function variables using confirmatory factor analysis (CFA) in SEM ; b) testing of causal structure using SEM ; c) testing of factor invariance using multi-group analysis for gender. The highest goodness of fit indices was obtained in the causal structure model of muscle, motor and living functions (NFI=.928, CFI=.978, RMSEA =.061). The causal coefficient of muscle function to motor function was. 98 (p<.05), followed by .34 for motor function to living function. From the results of multi-group analysis, the measurement invariance model indicated the highest goodness of fit indices (TLI=.968, CFI=.977). It was concluded that the hierarchical causal relation was among muscle, motor and living functions, and in which muscle function was consisted of 3 sub-domains.
著者
杉万 俊夫 米谷 淳 佐古 秀一 三隅 二不二
出版者
大阪大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1987

災害時の避難誘導方法として, 指差誘導法, 吸着誘導法という2つの対照的な誘導法をとりあげ, それらの誘導法によって引き起こされる群集全体の行動パターンを解析した. 指差誘導法とは, 誘導者が, 大きな声と動作で避難方向を指示して誘導する方法で, 従来, 避難訓練の場で最も広く用いられてきた代表的誘導法である. 一方, 吸着誘導法とは, 各誘導者が, 自分のすぐ近辺にいる1名ないし2名の少数の避難者に対し, 自分についてくるよう働きかけ, それら少数の避難者を実際に引きつれて避難するという方法である. したがって, 吸着誘導法においては, 誘導者が出口の方向を具体的に指示したり, 多数の避難者に対して大声で働きかけるようなことはしない. 第1に, 現場実験により, 吸着誘導法の方が, より迅速な避難誘導を達成できる場合があることが見いだされた. しかし, いかなる場合にも, 吸着誘導法が有効であるわけではない. 特に, 誘導者と避難者の人数比を操作した実験を行なったところ, 誘導者対避難者の人数比が比較的小さいときには, 吸着誘導法がきわめて有効であるが, 人数比が大きくなりすぎると, 吸着誘導法では十分な避難誘導を実現できなくなり, むしろ, 指差誘導法の方が有効であった. 第2に, 2つの誘導法を比べると, 誘導によって生起する群集全体の行動パターンに著しい違いが見いだされた. すなわち, 吸着誘導法が成功する場合には, まず, 誘導者, および, その直接的働きかけを受けた1名ないし2名の避難者から成る即時的小集団が形成され, その即時的小集団が「雪だるま式」に周辺の避難者を巻き込むことによって, 出口に向かう一本の群集流が形成された. 一方, 指差誘導法においては, 吸着誘導法の即時的小集団に相当するような特定の核が形成されることなく, 個々の避難者が, ばらばらのまま, 均質的に出口方向に移動した.
著者
三隅 二不二 ハフシ モハメッド 米谷 淳 橋口 捷久
出版者
奈良大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

災害時、もしくは災害警戒期における人々の対応や態度を社会的なネットワ-クの観点から分析することが本研究の課題である。昭和64年には、スモ-ルワ-ルド・メソッドというネットワ-ク調査手法で焼津市を予備的に実験調査することによって、市役所・消防署などの防災機関と一般市民との間に潜在するネットワ-クを実験調査した。その結果、防災関係者と一般市民との間には、平均2〜3ステップ程度の連鎖のリンクでもって双方を連結させてやることが可能であろうことや、防災→市民ル-トよりも、市民→防災ル-トの方が連鎖が完成しやすことなどを明らかにした。平成1年度には、伊東市で生じた海底噴火に対する住民の災害時の行動や態度と日常のネットワ-クについてヒアリング・郵送調査をもって検討した結果、ネットワ-クの密な地区と疎な地区とでは、防災訓練への参加度や防災意識の高低などが、密な地区のほうが疎な地区よりも高い傾向があることが見いだされた。本年度は、再び伊東市の自主防災組織のリ-ダ-や市役所・消防などの防災関係機関、特にガス・電気・電話等のライフライン組織の責任者などに、おもにアンケ-トの結果を評価してもらうヒアリングを実施するともに、様々な機関が公式・非公式に、海底噴火当時の対応を記録した資料などを収集・分析した。その結果、災害時情報を、時期別・地区別・ネットワ-クの質別(近隣・親類・役所関係者・町内会関係者・自分の仕事関係者など7項目)分析した結果、地域防災上の相談のような部分的・短期型の情報の場合は、近隣・仕事関係ネットワ-クが利用される割合が高いのに対して、観光が伊東市に及ぼす影響といった全体的・長期的情報の場合は、親類関係ネットワ-クが利用されていた。また、災害時に流れた様々な噂を分析したところ、噂の内容には、「〜が地割れしている・〜の人々が避難した」といった地域密着情報の場合は、近隣ネットワ-クが、「富士山が噴火する・津波がくる」といったマスコミ報道の反復的な情報の場合は、親類・近隣を中心として不特定なル-トが利用され、「魚が異常な行動や大漁だった」という特殊な情報な場合は、魚業関係者のル-トが利用されるという傾向などがあった。
著者
越後谷 淳一 菊池 弘昭 鎌田 康寛 小林 悟 村上 武
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中性子照射材・模擬材について,動的磁気特性を計測し,ナノ欠陥と磁壁挙動との関係について考察を行うとともに,照射析出による溶質元素の濃度変化評価を目的としたモデル化と定量的解析を行った.また,ローレンツ電子顕微鏡や磁気光学カー効果顕微鏡により,照射モデル材・シミュレーション照射材の格子欠陥と磁壁とのミクロレベルでの相互作用挙動を調べ,欠陥と磁壁とのダイナミックスを解明するとともに,マクロ領域における照射損傷組織と磁壁との相互作用について検討した.
著者
生野 壮一郎 神谷 淳 齋藤 歩 多田野 寛人 伊東 拓
出版者
東京工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,有限要素法や境界要素法の問題点を克服する手法として注目されている,有限節点法(FiniteNodeMethod,FNM)と境界節点法(BoundaryNodeMethod,BNM)の領域形状表現と補間関数の構成を完全分離することにより,新しい解法スキームを考案し,電磁界解析等の分野への同法の適応可能性を調べることに成功した.その際,FNM,BNMの新しい定式化を完了し,様々な境界条件を付加することが可能となった.また,完全メッシュレス法の応用技術として,MeshlessTimeDomainMethod(MTDM)の開発を行い,任意形状導波路内の電磁波伝播解析を行った.
著者
谷 淳
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:06272997)
巻号頁・発行日
vol.63, no.6, pp.850-855, 1995-03-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
森 大樹 内海 章 大谷 淳 谷内田 正彦 中津 良平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.102-110, 2001-01-01
被引用文献数
27

非同期多視点画像を用いて人物追跡を行う手法を提案する.提案手法では, 多視点で非同期に得られる観測情報をカルマンフィルタにより統合し人物追跡を効率的に行う.試作システムは, 非同期に動作して各視点の画像を処理する複数の観測ノードと人物の追跡を行う追跡ノード, 発見を行う発見ノードからなる.各観測ノードは追跡ノードから送られる予測観測値に基づいて画像特徴と追跡モデルの対応付けを行う.モデルに対応づけられた画像特徴は追跡ノードに送られ, 追跡モデルの更新が行われる.対応づけられない画像特徴は発見ノードに送られ, 新規人物の発見に用いられる.本手法により, 同期型システムに見られる視点数の増加による処理効率の低下, 観測間の冗長性の増大といった問題の発生を抑制しながら, 大規模な追跡システムの構築が可能になる.実画像を用いた実験により, 本手法の有効性を示す.