著者
山室 匡史 宮本 重彦 立入 直紀 石井 歩 松田 駿太朗 岩田 祐子 瀬川 尋貴 桑山 健次 辻川 健治 金森 達之 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
pp.786, (Released:2020-09-14)
参考文献数
31
被引用文献数
1

The forensic identification of cannabis is performed by a combination of chemical analysis and morphological examination. Recently, molecular biological analysis using cannabis DNA information has been noticed as a new approach. In this study, the cannabis DNA detection kit using a DNA chromatography chip was developed, and the demonstration evaluation in the forensic chemical laboratory was carried out. The DNA detection kit of a “four-line version” which had the function to distinguish fiber-type from drug-type cannabis showed as high accuracy (98.3%) as the current identification method on cannabis identification. However, there was a tendency to mistake a part of the drug-type samples as “fiber-type cannabis”. In the kit of a “three-line version” which was specialized for the cannabis DNA detection, the accuracy of 99.0% was confirmed on the cannabis identification. There were no false positives throughout all evaluations. In addition, some of the combustion residues that could not be identified as cannabis by the current identification method were classified to be “cannabis positive” by the DNA detection kit, indicating the effectiveness of a new approach. As a result of this study, it was shown that the quick and accurate cannabis DNA analysis could be carried out by the DNA detection kit even by analytical chemists who didn't have expertise in molecular biology.
著者
高田 恵子 森 淑江 辻村 弘美 宮越 幸代 栗原 千絵子 長嶺 めぐみ
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.31-40, 2010-02-01 (Released:2010-03-17)
参考文献数
11

【目 的】 国際看護協力を行う際の問題点の一つとして, 派遣された国における看護に関する考え方や看護技術の日本との違いが挙げられる. 開発途上国に対する効果的な看護協力のために, ラオスで活動した青年海外協力隊看護職隊員の面接調査と活動報告書を分析し, 看護の差異を明らかにすることを目的とする. 【方 法】 看護職隊員14名の活動報告書, 5名の隊員に面接調査を実施し, 作成された逐語録から日本と異なる看護に関する記述を抽出し,「看護技術/助産技術到達目標」(厚生労働省2003) を参考に分類した. 【結 果】 日本と異なる看護の記述は「感染予防の技術」,「症状・生態機能管理技術」,「与薬の技術」に関する内容が多く, 患者の身の回りの世話は家族が行っていた. 助産技術は分娩期, 妊娠期についての記述が多かった. 【結 語】 ラオスと日本の看護の違いが明確化された. それらは, 今後の国際看護協力活動において多大に寄与するものと考える.
著者
辻 宏樹 横山 千恵 高薮 縁
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.859-876, 2020 (Released:2020-08-25)
参考文献数
44
被引用文献数
6 35

2018年7月豪雨と2017年九州北部豪雨の降水の特徴と環境場を比較した。どちらの豪雨も、梅雨末期に、台風の通過後、上層西風ジェットの南側で、上層トラフの前面において発生した。しかし、二つの事例の降水は対照的な特徴を示していた。2018年7月豪雨では、広範囲に長時間持続する、中程度に背の高い降水システムによる雨が観測された。環境場は気候値と比較して相対的に安定かつ非常に湿潤であった。朝鮮半島に存在した深いトラフは、準地衡力学的強制によって、組織化した降水システムの形成に有利な環境場を整えていた。一方、2017年九州北部豪雨では、極端に背の高い降水システムによって狭い範囲で短時間に非常に強い雨が観測された。環境場は気候値と比較して相対的に不安定かつ湿潤であったが、2018年7月豪雨時と比較して乾燥していた。朝鮮半島に存在した浅いトラフは、トラフ自身に伴う寒気によって大気を不安定化させていた。 2018年と2017年の二つの豪雨事例における特徴の対比は、先行研究Hamada and Takayabu(2018, doi:10.1175/JCLI-D-17-0632.1)による極端降水事例と極端対流事例の統計における特徴の対比と類似している。二つの豪雨事例における気温と比湿の気候値からの偏差は、先行研究が上位0.1%の極端事例の統計であるにもかかわらず、先行研究の統計解析の結果よりも数倍大きかった。この結果は、2018年7月豪雨が極端降水事例の極端現象であったことを示唆しており、2017年九州北部豪雨は極端対流事例の極端現象に相当する事例であったことを示唆している。
著者
辻 恵 渡邊 肇子 井合 瑞江
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.266, 2015

はじめに短腸症候群は小児における小腸機能障害の最多原因である。小腸移植の対象であるが、我が国の移植医療の現状では未だ経静脈栄養を半永久的に必要とする病態であり、家族・本人の抱える負担は大きい。われわれは先天性多発小腸閉鎖術後に短腸症候群となった脳性麻痺児に長期経静脈栄養管理を行った例を経験し、発達支援と管理上の問題点について検討する。症例34週2870g、Apgar scor5/7で出生。臍帯損傷による重症貧血、DICを認めた。先天性多発小腸閉鎖の診断で日齢16に回盲部を含む小腸を大量切除し残存小腸は6cmであった。短腸症候群のため中心静脈栄養管理が開始された。脳室周囲白質軟化症、症候性てんかんを合併。2歳1カ月で在宅へ移行したが、自宅での養育困難となり3歳5カ月で当施設入所。入所時の発達レベルは定頸までで、発語なし、刺激による啼泣が多く情緒不安定さが見られた。この時点で中心静脈ルート入れ替えの既往がすでに5回あった。使用したすべての中心静脈に血栓形成を認め、入所後も感染と閉塞、入れ替えを繰り返した。6歳8カ月時、左鎖骨下静脈の血栓除去術と中心静脈カテーテル再挿入後、抗血小板薬内服を開始したところ消化管出血から出血性ショック、敗血症となり集中治療を要した。6歳10カ月現在、経静脈栄養主体で少量の経腸栄養と経口摂取を併用し安定が得られている。未だ移動運動は不可であるがあやし笑い、聴覚刺激に対する表情変化や上肢の探索行動がみられ緩徐ながらも知的発達が見られている。考察脳性麻痺に加え中心静脈ライン維持の困難さは、在宅養育の難しさを容易に想像させる。度重なるカテーテル感染の完全制御は困難でエタノールロックなどの特殊対応をせざるを得ず医療依存的な状態といえる。今後は残存小腸の延長術も検討されており、安定したエネルギー供給と発達促進が期待される。多臓器に障害を抱えた本児への包括的対応が発達発育支援に不可欠であると考えられた。
著者
辻本 典央
出版者
近畿大学法学会
雑誌
近畿大学法学 (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.61-80, 2013-12

I. はじめに II. ドイツにおけるDNA型検査の法律状況 1. 立法以前の状況 2. 立法の過程 3. 現行規定 III. DNA型一斉検査 1. 同意要件について 2. 目的拘束性--「家族探索 」の許容性 IV. おわりに
著者
橋本 歩 平崎 憲範 辻本 洋行 萩原 明郎
出版者
同志社大学理工学研究所
雑誌
同志社大学理工学研究報告 (ISSN:00368172)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.82-87, 2009-07

今日、一般的に手術中の出血部位に局所投与される止血材は、動物由来のコラーゲン製材やヒト血液成分製材である。これらのコラーゲンや血液成分は体組織を構成する基本的たんぱく質であり、生体適合性に優れる。しかし、上記の製材がヒト感染性のあるウイルスやプリオンなどの感染性因子を含む可能性があることは、臨床的には重大な問題点である。この感染性因子の危険性を軽減するために、われわれは「キトサン・スポンジ」というキトサン由来の新規の止血材を開発した。キトサンは動物やヒトではなく甲殻類由来であるので、ヒト感染性因子を含む危険性は非常に低い。キトサンスポンジは、凍結乾燥法によって作成され、止血材としての基本的な二つの性質について、臨床的に最も一般的な止血材の一つであるフィブリン糊との比較において評価された。その第一番目の性質の組織接着力はせん断応力で評価し、第2番目の性質の止血力は腎臓からの出血モデルで比較した。これらの二つの性質は両者間で殆ど同じであった。これらの結果から、キトサン・スポンジは、フィブリン糊に匹敵する止血効果を持ち、「感染性因子を含まない」新規の止血材となる可能性があると考えられる。
著者
辻 京子
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.61-71, 2015
被引用文献数
2

Active discussions have taken place in Japan since the 1980s over the diversification and personalization of families and their members. The obviousness of the nuclear family as a form and modern family ideology now appears to have lost relevance. Current child abuse prevention measures regard families with no father as a defect and single-mother families as being at risk of child abuse. <br>This study examined whether public institutions have a tendency to determine single mothers as child abusers, using data on abuse cases handled by a child consultation center. Based on the results of looking at the relationships between family types and the severity of abuse as well as the number of notifications of abuse, it was found that people were more likely to notify a child consultation center of the possibility of abuse for single-mother families than two-parent families with fathers and mothers and tended to report the level of severity at the single-mother families as being "at risk of abuse" and the type of abuse as neglect. Interviews with six single mothers judged as abusers suggested the possibility that public services provided by public institutions were a burden on them. Single mothers judged as abusers are placed on the watch list of public institutions. According to the interviews, these single mothers felt that rejection of public services made the surveillance stronger and that they were rejected from the regional community. These single mothers were frustrated with the regional community. However, they neither tried to fight against the community nor become assimilated into it, in an apparent attempt to maintain a stable life. <br>JEL Classification: Z19
著者
辻田 麻紀 松下 佐知 高瀬 弘嗣
出版者
一般財団法人 日本健康開発財団
雑誌
日本健康開発雑誌 (ISSN:2432602X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.69-76, 2021-06-16 (Released:2021-06-16)
参考文献数
29

背景・目的 本課題は慢性心不全の治療に用いられる和温療法について実験動物を用いそのリポタンパク質代謝への影響について検討するものである。方法 野生型マウスを2群に分け各々をポリプロピレン製管中に保持する。WAON群は使い捨てカイロの熱赤外線下に15分間保温した後キムタオルで覆い30分間保温を続け、対照群ではキムタオルでのみ45分間保温した。以上の操作を5日間連続で行い、血清・脳脊髄液並びに肝臓を摘出し両群におけるリポタンパク質代謝に関わる因子について評価した。結果 マウスpool血清HDL-C、LDL-CはWAON群において対照群よりそれぞれ4.34、2.15mg/dL上昇し、中でもHDL-C中型粒子 (φ10.7nm) が最も増加していた。肝臓での遺伝子発現はAbca1が上昇(P=5.3E-07) しPcsk9とScarb1は低下 (P=0.001, P=0.0006)したがApoa1並びにHmgcrは差がなかった。血清並びに脳脊髄液のAβ40、Aβ42はWAON処置により増加傾向が見られたが有意差には至らなかった。考察 野生型マウスを用いた熱赤外線WAON処置により血中HDLが上昇した。肝臓ABCA1の発現上昇とSR-BIの発現低下から血中HDL新生の増加と代謝の遅延がその機序として推察され、血中HDL増加により和温療法で観察されてきた血管内皮機能の改善につながる可能性が考察される。
著者
辻 義之 田中 宏彦 大野 哲靖
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.85, no.9, pp.620-630, 2009-09-25
参考文献数
17

本章では,計測された時系列データの変動特性を解析するための基本的なツールであるフーリエ変換によるスペクトル解析の基礎について説明する.実験データにスペクトル解析を適用する際に留意すべき点を明らかにする.また相関関数とスペクトルの関係について解説し,スペクトルの理解に資する.クロススペクトルやバイスペクトルなど,さらに進んだ解析手法についても概説する.説明した手法を実際のプラズマ揺動データに適用し,得られた解析結果に対して解釈を与える.
著者
辻 英明
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.61-63, 2007-06

2006年8月に,東西両壁(窓面内側)にUVライトトラップ1台ずつを設置した540cm×360cmの室内の床面中心に,餌表面出現後1週間以内の雄雌混在成虫の入った放飼カップを置き,カップから脱出した成虫がトラップに捕獲される数を調査した.一方のトラップはランプを2球,他方は1球取り付けたものである.参考用にライトトラップ直下の壁面にフェロモントラップ1個ずつを設置した.8月23日17時30分,2個のカップに成虫を計245匹入れて設置し,翌24日17時に154匹を入れたカップ1個を追加設置,それぞれの夕方から翌日の朝までライトトラップを点灯した.設置成虫合計399匹のうち,8月25日朝までにカップから室内に脱出した個体は245匹(61.4%)であった.そのうちライトトラップに119匹(48.6%)が捕獲された.このときランプを2本つけたトラップの捕獲成虫数は,1本つけたトラップのほぼ2倍であった.この実験状況下ではUVライトトラップ直近のフェロモントラップによる捕獲成虫数は2匹ずつ計4匹(1.6%)と少なかった.
著者
辻 博之
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.147-154, 2010-01

農業技術は古来より進歩を続け、さまざまな生産上の問題を克服してきた。畑作農業にあって古くから問題となってきたのは、地力の維持と増進の問題、病害虫や雑草害による収量の不安定、連作障害などである。緑肥作物はそれぞれの時代に直面した問題に対応するために輪作に導入されてきた。もっとも、緑肥作物などの輪作は問題の最終的な克服手段とはならず、他の技術(化学肥料、農薬、抵抗性品種等)の開発と普及までのつなぎや、それらとの組合せに使う技術といって良い。しかし、時代は移り変わっても、緑肥作物には常に新しい役割が与えられてきた。現在、緑肥作物に求められている役割は、現在の技術で克服しがたい生産上の諸問題や、最新技術が引き起こす副作用、地域が抱える社会的な状況に起因する諸問題の解決にあるといえる。本稿では、畑作やその周辺で使われる緑肥作物の利用の現状を概説するとともに、その問題点と展望を述べようと思う。
著者
辻本 典央
出版者
近畿大学法学会
雑誌
近畿大学法学 (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.43-71, 2006-06

[目次] 一. はじめに, 二. 議論の動向 1.総説 2.個別的問題, 三.平成17最高裁の二件の決定 1.保釈請求却下 四.本文データは, CiNiiから複写したものである。
著者
辻 雄介 近藤 英文
出版者
特定非営利活動法人 四国自然史科学研究センター
雑誌
四国自然史科学研究 (ISSN:13494945)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.74-82, 2021 (Released:2021-06-01)
参考文献数
26

Ant fauna was surveyed in a municipal comprehensive park, ”WANPARK KOCHI” from July to October 2020. As a result, 27 species of ants from 4 families, include 1 endangered species and 7 introduced species were collected.