著者
近藤 康史
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.36-59,263, 2006 (Released:2010-04-30)
参考文献数
57

In the study of comparative politics, we need a theory that is applicable in analyzing of a ‘political change’ or ‘institutional change’. This article attempts to gain a view of such comparative politics theory, focusing on ‘ideational approaches’. Through the review of existing various ideational approaches in political science, this article argues the potential of ideational approaches for analysis of political change.First, for ideational approaches, it is necessary to highlight not only the existence of ideas per se but also the function of ideas in the political processes. Specifically, we need to focus on the process in which an idea gains wide support from various political actors and thereby coalitions for a political change are built. Second, in case of such coalition building, we need to specify the influences of an idea from the point of view of ‘preference formation’. Third, for more persuasiveness, it is important to take into account the interrelation between ideas and institutions. Finally, this article discusses the possibility of ideational approaches that mediate rationalists, culturalists, and structuralists in comparative politics.
著者
加瀬 友喜 近藤 康生
出版者
国立科学博物館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

1.“生きている化石"モクレンタマガイの解剖学的研究を行った結果、この巻貝は原始的な神経系をもち、多くの点で淡水性のリンゴガイ科の巻貝に近縁であることが明らかとなった。また、モクレンタマガイは肉食性ではなく、植物食であったことが明らかとなった。この発見により、タマガイ類は白亜紀中頃に出現し、従来三畳紀から知られているモクレンタマガイ類とは類縁が薄く、しかもそれらは他の貝類に穿孔して捕食しなかったと考えられる。その結果、タマガイ類とその捕食痕の化石記録は調和的となり、従来のタマガイ類の捕食の起源についての2説のうち、白亜紀中期起源説が正しいことがわかった。2.タマガイ類の捕食痕を調査した結果、それらの中には他の原因で似たような穴ができることがわかった。1つはカサガイ類による棲い痕で、白亜紀のアンモナイトの殼表面に多く見つかった。これらは小型のカサガイ類が殼表面の1ヶ所に定住する為、その部分が殼形と同じ形に凹むためにできたと思われる。穴はタマガイ類の不完全な捕食痕のようにパラボラ形で中央がやや凸となるが、形は大きくやや不規則な点などで区別ができる。従来、モササウルスの噛み痕といわれているプラセンチセラス属アンモナイトの穴も同じ起源と考えられる。その他、無生物的にタマガイ類の捕食痕に似た穴ができることもわかった。3.巻貝各種のタマガイ類の捕食痕を調査した結果、殼形により捕食の様式が異なる1例を見出した。これは巻貝の殼形態が長く伸長することが捕食から身を守る適応形態となっていることである。つまり、殼の伸長度と捕食痕の数の頻度を調べた結果、殼形が長くなると捕食痕数も増加することがわかった。従来捕食痕をもつ個体の頻度で捕食圧を推定した研究例は再評価する必要がでてきた。
著者
金沢 謙一 近藤 康生 神谷 隆宏
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

中生代日本産ウニ類はすべて日本固有種からなり、大部分の属がテチス地中海地域と共通で北米との直接関係は疑わしい。白亜紀末へ向けてインド-マダガスカル地域との関連が強くなり、また日本固有の属が出現する。新生代になると始新世-漸新世イベントを経て北西太平洋温帯域に適応した属レベルで他に類を見ないウニ類フォーナが出現した。この独特のフォーナの成立には熱帯域における巻貝による捕食が深く関わっていると考えられる。中新世の温暖化と日本海の出現によってこのフォーナは縮小して一部が日本海に残存し、太平洋側には現世へと続く新たなフォーナが成立した。更新世の気候変動により日本海のフォーナは崩壊し、太平洋側のフォーナに置き換わった。
著者
深谷 孝紀 有薗 信一 小川 智也 渡邉 文子 平澤 純 三嶋 卓也 古川 拓朗 谷口 博之 近藤 康博 田平 一行
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.71, 2012 (Released:2013-01-10)

【目的】 間質性肺炎患者(IP)の運動耐容能と労作時低酸素血症は、予後予測因子である。また、経皮的酸素飽和度(SpO2)や骨格筋機能が運動耐容能に関連があると報告されている。しかし、IP患者における運動中の骨格筋の酸素消費とSpO2の関連については明らかになっていない。そこで、本研究の目的はIP患者における漸増運動負荷時の外側広筋の骨格筋酸素消費の指標と運動中のSpO2の変化の関連性を検討することである。【方法】 対象は全身状態の安定したIP患者、男性20名(平均年齢:65.9±9.7歳、%VC:94.3±19.8%、%DLCO:67.0±21.9%)とした。自転車エルゴメータを使用し心肺運動負荷試験(CPX)を実施した。CPXは0Wで3分間のwarm upを行った後、10watt/分のramp負荷で症候限界性に実施した。CPX中にSpO2をパルスオキシメータにて測定し、同時に近赤外線分光法(near-infrared spectroscopy:NIRS)を使用し、外側広筋の組織酸素飽和度(tissue oxygen saturation:StO2)を測定し、骨格筋での酸素消費の指標(SpO2-StO2)を算出した。安静時と最大負荷時のSpO2とStO2を測定し、それぞれ最大負荷時の値から安静時の値を減算したΔSpO2とΔStO2を算出した。安静時と最大負荷時の間でSpO2, StO2, SpO2-StO2の比較と、ΔSpO2とΔStO2の比較を対応のあるt検定を用いて検討した。SpO2とSpO2-StO2の関係をピアソンの相関分析を用いて検討した。【結果】 SpO2は安静時の95.8±1.8%に比べ、最大負荷時は88.7±6.0%に有意に低下した(p<0.05)。StO2は安静時の55.9±5.3%に比べ、最大負荷時は53.0±7.3%に有意に低下した(p<0.05)。安静時と最大負荷時の差であるΔSpO2は-7.1±5.5%であり、ΔStO2は-2.9±4.7%であり、ΔSpO2の方がΔStO2に比べ有意に高値を示した(p<0.05)。安静時のSpO2-StO2は39.8±4.7%で、最大負荷時のSpO2-StO2は35.9±9.7%と両者では差を認めなかった。SpO2とSpO2-StO2の関係では最大負荷時で相関関係を認め(r=0.676, p<0.05)、安静時では相関関係を認めなかった。【考察】 StO2は安静時より最大運動時の方が低値を示したが、低下量はSpO2より小さかった。運動時に肺での酸素を取り込む能力が低下しても、骨格筋での酸素を抜き取る能力が補おうとしたと考えられた。骨格筋での酸素消費を表すSpO2-StO2と最大負荷時のSpO2との間に正の相関関係を認めた。これは運動終了時の労作時低酸素血症の程度が、骨格筋の酸素消費に影響することが示唆された。
著者
山下 敦 近藤 康弘 藤田 元英
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.1023-1033, 1984-12-01
被引用文献数
35 25

歯科接着性レジンを用いて装着した接着ブリッジ等が, 長期間機能を営むためには, 従来のリン酸セメントによる装着法とは基本的に異なった被着歯面および金属の前処理が必要である. 著者らは先にNi-Cr 系合金と接着性レジンを強固に接着させる金属被着面前処理法を考案したが, 本法は貴金属合金に適していないため, 接着技法を補綴領域に広く発展させることを目的に, 貴金属合金に適した前処理法を種々検討した. その結果, 母合金表面にSn元素を析出させると強固な接着強さと耐求性の得られることがみい出させた. 本報告は, 歯科用金合金と歯科接着性レジンとの接着に関した基礎実験結果について述べたものである.
著者
近藤 康生
出版者
日本古生物学会
雑誌
化石 (ISSN:00229202)
巻号頁・発行日
no.64, pp.54-60, 1998-07-20
被引用文献数
1

Transgressive-regressive cycles, or depositional sequences can serve as fundamental units for taphonomic, paleoecololgical and evolutionary analyses of fossil assemblages. For benthic animals, formation of a depositional sequence means temporal changes of substrate condition, that is, erosion, condensation and rapid deposition. These are critical environmental attributes controlling colonization by benthos. Characteristics of the fossil assemblage are closely related to the stratigraphic and geographic position within the depositional sequence. This means that characteristics and patterns of change in composition of the assemblage, as well as taphonomic processes are predictable from the stratigraphic position within a depositional sequence.
著者
近藤 康生
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.121-140, 1985-02-15
被引用文献数
5 7
著者
米田 穣 阿部 彩子 小口 高 森 洋久 丸川 雄三 川幡 穂高 横山 祐典 近藤 康久
出版者
東京大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、全球大気・海洋モデルによって古気候分布を復元し、旧人と新人の分布変動と比較検討することで、気候変動が交替劇に及ぼした影響を検証した。そのため、既報の理化学年代を集成して、前処理や測定法による信頼性評価を行い、系統的なずれを補正して年代を再評価した。この補正年代から、欧州における旧人絶滅年代が4.2万年であり、新人の到達(4.7万年前)とは直接対応しないと分かった。学習仮説が予測する新人の高い個体学習能力が、気候回復にともなう好適地への再拡散で有利に働き、旧人のニッチが奪われたものと考えられる。
著者
近藤 康久
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

研究課題である縄文時代網漁の再評価に向け、第2年度は地理情報システム(GIS)によるデータ解析を中心に、以下の通り研究を実施した。1縄文遺跡・漁網錘データベースの拡充を図った。これは今後の考古学の研究基盤を整備したという点において重要な意義を有する。この中から、これまでに少なくとも354遺跡から11,657点の漁網錘が出土している東京湾西岸帯を重点分析対象地域に選定した。2上記の数量は、(1)遺跡ごとの発掘面積のちがいと(2)自治体間の調査頻度のちがいに起因するバイアスを被っている。そこでまず(1)を補正するために、遺物検出率と遺跡の未掘面積・発掘面積比から遺跡あたりの遺物存在期待値を求める方法を考案した。次に(2)の問題を空間的自己相関分析の手法を用いて検証した結果、存在期待値は報告実数にみられた自治体間のバイアスを低減する方向に作用することが明らかになった。3対象地域内の自然遊歩道でGPS歩行実験を行い、その結果に基づいて分析地域に適用する移動コスト推定式を設定した。この式を用いて錘具出土地点から谷筋沿いに最寄りの大規模集落を特定するアロケーション分析を行い、大規模集落の漁撈活動領域を推定した。その上で、集落領域ごとの錘具の特徴を調べたところ、海岸に近づくほど土器片錘の比率が増し、上流にさかのぼるほど石錘の比率が増すというパターンを明確にとらえることができた。4解析結果を総合的に検討した結果、時間的には土器型式の細別段階レベル、空間的には1kmメッシュレベルの精度で、縄文時代網漁業の時空間動態を復元することに成功した。特に西南関東では、縄文前期の黒浜式期以降段階的に発展した網漁業が、中期中葉の勝坂I式期から中期後葉の加曽利EII式期にかけて極相に達し、後期初頭の称名寺式期の一時的な落ち込みと後期前半堀之内I式期の回復を経て、低調に転じることが明らかになった。