- 著者
-
玉浦 有紀
赤松 利恵
藤原 恵子
西村 一弘
柄澤 美季
酒井 雅司
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.3, pp.89-101, 2020-06-01 (Released:2020-07-17)
- 参考文献数
- 21
【目的】高齢者の社会的フレイル改善で重要視される「社会参加」に焦点を充て,参加状況とその背景にある実態(課題・ニーズ)を把握する。【方法】都内1地域の集合住宅839世帯を対象に,自己記入式質問紙調査を実施した。質問紙では,世帯構成(属性),社会参加状況,日常生活動作(activities of daily living: ADL),社会的フレイル状況(ソーシャルサポート)の評価に加え,これらの回答理由と現状改善に向けた要望を自由記述で求めた。解析は,65歳以上が居住する世帯の社会参加状況で,ADLやソーシャルサポートに相違があるかをχ2 検定,又はFisherの正確確率検定で検討した。また,社会参加に関する課題・ニーズを,自由記述の回答から,質的記述的検討で整理した。【結果】世帯構成を含む回答を得た281世帯(有効回答率33.5%)の内,65歳以上が居住する世帯は224世帯(79.7%)であった。社会参加状況(地域の組織・活動との関わり)で,「関わりたいが関われない」「関わりたくない」と回答した世帯(37.0%)は,ADLやソーシャルサポートで,不安や課題を有する割合が高かった。これらの世帯では,「体の不調(体調)」や「加齢に伴う体力・気力低下,不安」など身体的フレイルを疑う状況がうかがえた。【結論】社会的フレイル状況の改善には,身体的フレイルの存在も踏まえた評価と介入が望まれる。