著者
佐藤 豪 伊藤 琢也 庄司 洋子 三浦 康男 見上 彪 伊藤 美佳子 倉根 一郎 SAMARA Samir I. CARVALHO Adolorata A. B. NOCITI Darci P. ITO Fumio H. 酒井 健夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.747-753, s-ix-s-x, 2004-07-25
被引用文献数
2 37

ブラジルで採取された狂犬病ウイルス株14検体を用いて,病原性および抗原性状に関連するG蛋白遺伝子およびG-L間領域(シュートジーン)について遺伝子および系統学的解析を行った.分離株は,ヌクレオ(N)蛋白の解析によって犬型狂犬病ウイルス(DRRV)または吸血コウモリ型狂犬病ウイルス(VRRV)の2系統に分類された.これらのG蛋白コード領域とジュードジーンの塩基相同性およびアミノ酸(AA)相同性は総じてエクトドメインのものよりも低かった.両領域において,VRRVの塩基およびAA相同性はDRRVに比べて低かった.また,DRRVとVRRVの推定AA配列においては,3箇所の抗原認識部位およびエピトープ(サイトIla,サイトWB+およびサイトIII)に相違があり,両系統が抗原性状により区別できることが示唆された.シュードジーンおよびG蛋白コード領域の系統樹とエクトドメインの系統樹を比較すると,翼手類および肉食類由来株グループの分岐は異なっていた.一方,DRRVまたはVRRVのグループ内において分岐は明らかに類似していた.また,VRRV分離株はブラジルのDRRVよりも近隣中南米諸国の翼手類分離株により近縁であった.これらの結果は,N遺伝子と同様,G遺伝子およびG-L間領域の解析においても,ブラジルの狂犬病分離株がDRRVまたはVRRVに分類できることを示した.
著者
酒井 正子
出版者
川村学園女子大学
雑誌
川村学園女子大学研究紀要 = The journal of Kawamura Gakuen Woman's University (ISSN:09186050)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.123-142, 2005-03-15

日本本土の葬儀は一般に厳粛さを尊ぶ。対照的に琉球弧(奄美・沖縄)の島々では,死者に対して声をあげて泣き,うたい,語りかけることは別れに不可欠な行為とされた。声をかけることは情けをかけることであり,それにより死者も鎮まると考えられていたのである。本稿でとりあげる<葬送歌>とは,死後四十九日ころまで葬送に直接関わってうたわれる,無伴奏の歌謡群である。それらは葬儀での儀礼的な<供養歌>と,死後四十九日頃までの個人的な<哀惜歌>に分けられ,様式的には泣きじゃくりに近い不定型な弔い泣きから,有節的な短詞型歌謡までを含む。歌謡の生成と様式化を考える上でも,また「死の受容」を考える上でも重要なジャンルであるが,1970年代以降しだいにうたわれなくなっている。中でも最も廃れている沖縄諸島の<葬送歌>の習俗を,文献から検証する。幕末のフランス人宣教師の記録,国王やノロ(神女)そして一般庶民のための葬送のウムイ(神歌),ムヌイーナチ(物言い泣き),別れあしび(若者仲間の葬宴)などに言及し,琉球弧の他地域と比較しつつその位置づけをさぐる。また明治近代化による沖縄的習俗の撲滅運動の一環として「泣き女」がやり王にあげられた背景を,ジェンダー的な視点から考察する。
著者
木村 努 佐藤 健 酒井 崇 本田 宗央 高見澤 一裕 岡田 邦宏 小島 淳一
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集 第38回地盤工学研究発表会
巻号頁・発行日
pp.2319-2320, 2003-03-05 (Released:2005-06-15)

土壌汚染対策法の施行により、土木建設を行うためには土壌汚染対策は重要である。重金属による汚染土壌の対策として、浄化や封じ込めが行われてきた。浄化は、二次汚染物の発生や浄化のための費用が高くなるなどの問題点がある。さらに、土壌汚染対策を市民と合意し行うためには、それらの問題の解決が重要である。そこで、本研究では、環境への負荷が少なく、比較的コストのかからない植物を利用した浄化(Phyoremediation)に注目し、鉛汚染土壌への適応を目的とする。本論文では、植物による鉛汚染土壌の浄化機能についてのラボ実験の結果および射撃場跡地の鉛汚染土壌の分析より植物による浄化の現地適応の可能性について報告する。
著者
酒井 康成
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.299-302, 2020 (Released:2020-10-06)
参考文献数
46

発達を支えるメカニズムに関して情報量が急速に膨らみ, ヒトとその他の哺乳類との差異について考える機会が増えてきた. 次世代シーケンサーによる希少疾患の診断精度は年々高くなり, これまで診断未確定であった症例の臨床徴候が, 遺伝的診断により再認識されることも少なくない. 診断後, 患児とご家族に喜んでいただける治療方針にたどり着くまでに, 小児神経科医はどのような役割を果たすと良いのだろうか. 今回, 遺伝学と連動して発展してきた, 自閉症分野の分子生物学に焦点をあてて考察する.
著者
岡本 玲子 岩本 里織 西田 真寿美 小出 恵子 生田 由加利 田中 美帆 野村 美千江 城島 哲子 酒井 陽子 草野 恵美子 野村(齋藤) 美紀 鈴木 るり子 岸 恵美子 寺本 千恵 村嶋 幸代
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.47-56, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
24

【目的】本研究の目的は,東日本大震災で津波災害を受けた自治体の職員が,震災半年後に印象に残ったこととして自発的に語った遺体対応業務とそれに対する思いを質的記述的に解釈することである.【方法】対象は一自治体の職員23名であり,個別面接により被災直後からの状況と印象に残ったことについて聴取した.【結果】自治体職員として行った有事の業務に関する262のデータセットのうち遺体対応に関するものはわずか21であった.遺体対応業務には,震災後,直後からの遺体搬送,約2か月間の遺体安置所,約3か月間の埋火葬に係る業務があった.それぞれの業務に対する職員の思いは,順に,「思い出せない,どうしようもない」,「精神的にやられた,つらい」,「機能マヒによる困惑」が挙がった.【考察】避難所と物資の業務については,創意工夫や今後の展望などが具体的に語られたのに比べ,遺体対応については非常に断片的であり,話すことにためらいが見られた.遺体対応業務は通常業務とは全く異質なものであり,準備性もないまま遂行した過酷なものであった.我々は有事に起こるこのような状況について理解し,今後に備える必要がある.
著者
北田 博之 酒井 裕也 駒走 仁哉 高橋 智一 鈴木 昌人 青柳 誠司 細見 亮太 福永 健治 歌 大介 高澤 知規 引土 知幸 川尻 由美 中山 幸治
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2018年度精密工学会秋季大会
巻号頁・発行日
pp.742-743, 2018-08-20 (Released:2019-02-20)

蚊の針は細いが穿刺時に折れず,皮膚にたわみが生じない.本研究では,麻酔したマウスの皮膚に対する蚊の穿刺を顕微鏡で観察し,蚊の針が皮膚を貫く仕組み,ならびに口針を包む鞘である下唇の役割を解明しようと試みた.その結果,皮膚表面における蚊の針の挿入時の下唇の動きを観察できた.
著者
大西 真輝 澤井 裕一郎 駒井 雅之 酒井 一樹 進藤 裕之
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.3O13in, 2015 (Released:2018-07-30)

近年,インターネット上での失言をきっかけに,誹謗中傷や非難が殺到する「炎上」と呼ばれる現象が大きな社会問題となっている.そこで,我々はTwitter上の発言を対象に炎上抑制を目的とする包括的なシステムを構築した.システムは,入力文に対し炎上判定を行い,必要に応じて予想される返信文の提示と炎上する表現を訂正した文の提案を行う.利用者は,炎上の危険性と,未然に防ぐ知見を得ることが予想される.
著者
酒井 五雄
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.2, pp.2_55-2_61, 2007-08-25 (Released:2011-06-03)
参考文献数
5

Bluetoothは2.4GHz帯域を使用する「パーソナルエリアネットワーク」(後述)のための近距離無線規格で,1998年4月に1Mbit/sの伝送速度をもつ基本仕様が発表された.本論文ではBluetoothのハードウェア,ソフトウェアの基本構成及び動作を説明し,「だれでも手軽に使うことを目指した無線規格」としての観点から,無線LANとの競合回避,接続時間の短縮及び伝送速度高速化というこれまでの仕様更新の要点に関して述べた後,将来に向けたBluetoothの動向を紹介する.
著者
深井 洋一 酒井 長雄 齊藤 康一
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.341-350, 2010 (Released:2014-08-22)
参考文献数
21
被引用文献数
1

平成20年に長野県農事試験場で栽培したコシヒカリを用いて,稲の収穫時期別に成熟期前から成熟期後までの6段階について,食味,外観および炊飯品質,官能評価を行った。帯緑5%は,帯緑色籾0%と比して,粒厚分布において2.0mm以上の割合が高い。外観品質は,整粒が有意に高く,胴割粒割合が有意に低い。糊化特性値はブレークダウンが有意に高く,最終粘度およびセットバックが有意に低いことがそれぞれ示された。官能評価は,帯緑5%および帯緑0%の双方ともに他の収穫時期と比して食味が有意に優れた。得られた結果について,主成分分析を行ったところ6試料は3つに大別され,帯緑5%と帯緑0%は第一および第二主成分の正に布置された。因子分析では,官能評価の「硬さ」に関連する負の因子構成,官能評価の「総合」および「味」に関連する正の因子構成がそれぞれ推定された。これらの結果から,帯緑5%の状態で稲を収穫することで,帯緑0%と比して,粒厚分布,外観品質および糊化特性が良質であることが示された。
著者
橋本 拓哉 酒井 望
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.279, 2019-03-15

肝切除は大腸癌肝転移に対して根治的治療法とされ,一般的には個数制限はないとされる。両葉多発肝転移の場合は,major hgepatectomyを含む大量肝切除後の肝不全のリスクが問題であるが,術前門脈枝塞栓術や二期的切除などを含めた工夫が考案され,より積極的な肝切除へと適応が広がっている。しかしながら,転移個数が多く大量肝切除を要する症例での術後再発率は高く,再発後の治療も踏まえた治療方針が必要となる。
著者
酒井 信彦
出版者
東京大学史料編纂所
雑誌
東京大学史料編纂所報 (ISSN:03869008)
巻号頁・発行日
no.21, pp.p7-14,図巻頭1枚, 1986
著者
酒井 俊郎 占部 峻輔 瀬尾 桂太
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.89, no.10, pp.333-339, 2016-10-20 (Released:2017-01-20)
参考文献数
31
被引用文献数
3

分散媒となる炭化水素油(オクタン,ドデカン,ヘキサデカン)に植物油(大豆油)を混合すると,界面活性剤などの乳化剤を使用しなくても油中水滴型(W/O)エマルションが分散安定化できることを明らかとした。たとえば,オクタンを分散媒としたW/Oエマルションを乳化剤を使用せずに調製した場合(乳化剤フリーW/Oエマルション),調製直後は乳濁状態であるが2時間経過するとほぼ透明状態となる。つまり,乳化剤フリーW/Oエマルションは調製後2時間程度で油と水に分離する。一方で,オクタンに大豆油を重量分率で0.2混合すると,調製後12時間を経過しても乳化剤フリーW/Oエマルションは乳濁状態を維持していた。さらに,オクタン中の大豆油の含有率が増加すると,乳化剤フリーW/Oエマルション調製後12時間を経過しても乳濁状態はほとんど変化しないことが明らかとなった。また,高級脂肪酸(リノール酸,オレイン酸,ステアリン酸,パルミチン酸)をオクタンに混合しても,乳化剤フリーW/Oエマルションの分散安定性が向上することも明らかとなった。