著者
柴田 和也 越塚 誠一 酒井 幹夫 谷澤 克治 辻本 勝
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.125-136, 2010 (Released:2011-01-28)
参考文献数
19
被引用文献数
1

A transparent boundary condition was developed for calculating water waves propagating to a distant area by using a particle method. In front of the boundary, the incident waves were analyzed by Fourier analysis, and the particles on the transparent boundary were forced to move to absorb the incident waves. The characteristics of this study are to introduce the technique of wave analysis used for the wave tanks to the particle simulation and to reduce the calculation cost by employing an inflow and outflow boundary. Water waves were calculated in two wave periods by the developed transparent boundary condition. As the results, it was shown that this transparent boundary transmitted the incident waves without the reflection waves. It was also shown that the calculation cost was smaller than that of the ordinary high viscosity boundary condition.
著者
酒井 晴香 関 玲
出版者
全国大学国語教育学会
雑誌
国語科教育 (ISSN:02870479)
巻号頁・発行日
vol.88, pp.21-29, 2020

<p>本研究は、大学生のアカデミック・ライティングの運用能力について、レポートの文末モダリティ表現(「と考えられる」等)に焦点を当てて問題を明らかにするものである。文末に出現する推量、蓋然性、証拠性に当たるモダリティ表現を分析対象とし、学術論文と大学生のレポートを収集して作成したコーパスを用いて調査を行った。</p><p>その結果、1)動詞の形態に関して、学術論文ではラレル形が多く使用される一方、レポートではル、タ、テイル形の使用が多いこと、2)レポートでは漢語動詞のバリエーションが少なく、また学術論文には出現しない「と考察される」が特異的に使用されていること、3)「のではないか+と考える」のようなモダリティ重複表現がレポートに多く出現していることが明らかとなった。さらに、この結果から、学術論文では文末モダリティ表現がより広範な用法で使用されていること、レポートではモダリティ重複表現が定型化している可能性を指摘した。</p>
著者
酒井 健夫 伊藤 琢也 鈴木 由紀
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

南米では吸血コウモリが狂犬病ウイルス(RABV)を家畜やヒトに伝播している。しかし、分子進化学的な解析から、吸血コウモリは、食虫コウモリであるTadarida brasiliensisからRABVが伝播され、その後、南米に生息する吸血コウモリの集団間で感染が拡大した可能性が示唆されている。本研究は吸血コウモリ由来RABVの詳細な疫学に用いるRABVゲノムの全長塩基配列の決定を、次世代シーケンサー(NGS)を用いて進めている。しかし、NGSによる解析の過程で全長の塩基配列を決定することができない検体も存在したため、サンガー法によりシークエンスを行い、今年度は新たに4検体の全長配列を決定した。さらに、吸血コウモリ由来RABVと遺伝的に近縁な食果コウモリ由来RABVゲノムの全長配列の決定も行った。また、これまで9組のプライマーペアを用いたマルチプレックスPCRのアンプリコンシークエンスを行っていたが、より簡易に塩基配列を決定する為にプレイマーペアの再検討を行い、4組のプライマーペアを用いたアンプリコンシークエンスに切り替えて、ブラジルの広範囲の地域で採取された吸血コウモリ由来RABVのライブラリ調整を進めた。さらに、吸血コウモリおよびTadarida brasiliensisから分離されたRABVのN遺伝子領域を用いて分子系統樹解析を行った。その結果、Tadarida brasiliensisは北米から南米にかけて広範に分布しているが、吸血コウモリは、北米と中南米に分布する2つのT. brasiliensisの集団からRABVが伝播され、その後、RABVは中米から南米にかけて南下しながら吸血コウモリに拡散し、その過程で食果コウモリ(Artibeus属)にもRABVが伝播したことが明らかになった。
著者
酒井 弘憲
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.800-801, 2014

暑さ真っ盛りである.突然のゲリラ豪雨や竜巻の発生など,10年前には考えられなかったような気候になっている.こんなに暑いと体調を崩したり,亡くなったりする方も多かろう.<br>日本では死亡理由の第1位はがんである.報道でも日本人の2人に1人はがんになるということを見聞きされることであろう.実際にがんセンターの発表でも,生涯で何らかのがんに罹患する確率は,男性で58%,女性で43%とそれぞれ確かに2人に1人の割合である.さらに男性の4人に1人,女性の6人に1人ががんで死亡している.<br>しかし,自分の身の回りで2人に1人という高い割合でがんを患っている人がいるだろうか? 確かに死亡理由でみると2人に1人ががんで亡くなっている.しかし,がんの罹患率をみると完全に年齢に依存しているのである.男女とも50歳代から徐々に罹患が増え始め,60歳代から急増する.同じくがんセンターの公表資料に「現在年齢別がん罹患リスク」がある.例えば,30歳の男性が10年後にがんに罹患する確率はわずか0.5%,20年後に罹患する確率は2%しかないのである.50歳の男性でも10年後にがんに罹患する確率は6%,20年後に罹患する確率は18%なのである.つまり,必要以上にがんに罹ることを怖れることはないというのが今回のお話のオチである.だからといって勝手気ままな生活をして,あえて罹患リスクを高める必要はないわけで,運動や食生活に気を付けてがんに罹りにくくすることが肝要である.<br>しかし,不幸にもがんに罹ってしまった場合,やはり不安に駆られてしまうのが人情であろう.著者は,幸いにも入院するような大病に罹ったことはないが,人一倍臆病なのでそういう状態で入院した場合,看護師さんはきっと天使のように見えることであろう.<br>「クリミアの天使」と呼ばれたフローレンス・ナイチンゲールのことは,皆さんよくご承知のことと思う.しかし,彼女が看護師としての業務に就いたのは,90年の生涯のうち,わずか2年でしかないということをご存じだろうか.
著者
清水 賢二 酒井 浩 木村 匡男 田後 裕之 髙橋 守正
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.495-502, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
13

要旨:聴覚失認とは,聴覚による言語や環境音の認知が困難になる状態であり,横側頭回や聴放線の損傷によって生じるとされている.今回,聴覚失認を呈した60歳代の症例を経験した.もともと社交的な本症例であったが,聞き取りの困難さから周囲との交流を避けるようになっていった.作業療法において読話を用いた視覚的代償戦略を用いることで,聴覚失認の症状自体は変化を得られないなかでもコミュニケーションの困難さを克服しだし,周囲との交流を取り戻し始めた.コミュニケーションの障害を言語機能障害ととらえず,生活障害としてとらえて,作業療法士も積極的に介入していく必要がある.
著者
酒井 康行 成瀬 勝俊 長島 郁雄 武藤 徹一郎 鈴木 基之
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.18-23, 1995-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
2

体重10-15kgの肝不全ブタ用のハイブリッド型人工肝臓モジュールに必要とされる細胞数の1/4(2.5×10<sup>9</sup> cells)に相当する初代培養ブタ肝細胞スフェロイドを, 酸素供給用シリコンチュー・ブを装着した1-Lスケールのスピナーフラスコを用いて, 約1日で形成させることができた. このスフェロイドをディッシュレベルにおいて, さまざまな培養形態で10日まで培養した. スフェロイドをそのまま緩やかに浮遊培養(旋回培養)すると細胞数の減少が起こるが, 細胞当たりの機能発現は単層培養細胞の3-5倍であった. コラーゲンゲル包括スフェロイドは, 浮遊培養と比較して機能発現が低下する傾向にあった. 100%のブタまたはヒト血漿と直接接触させながら浮遊培養しても, スフェロイドのアンモニア除去能は合成培地中と比較しても, 全く低下が見られなかった.
著者
不破 泰 北辻 佳憲 酒井 清一郎 松永 彰 大河 亮介
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.200-209, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
10

山岳登山ブームの中,遭難者の増加が問題になっている.このことを背景に,我々は登山者見守りシステムを開発している.このシステムは,登山者の位置ログを作成し,このログから遭難の発生を自動的に判定し,安全・迅速に救助することを目的としている.そして,通信システムとして山全体をカバーするLPWA と,特定の遭難者の状況を高精細映像等で把握する5G を組み合わせて採用している.実際に中央アルプスにおいて,2018 年7 月からLPWA の実証実験を行い,更に2019 年10 月には5G 総合実証(評価実験)を行った.本稿では,主にこの5G の評価実験について述べ,5G の有用性とカバレージについて論じる.
著者
酒井 英行
出版者
静岡大学人文学部
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.23-70, 2001-07-31

1 Sense of guilt of the hero for the girl in kobe is nothing but that for Naoko. 2 Hatsumi is the woman who makes the hero remember yearning in his boyhood, and feeling of fullness of those days is described by the vivid light of innumerable fireflys. 3 Through the relationship between Reiko and the hero, the relationship of reciprocal help, which is the most important theme of Noruuei no Mori, is described.
著者
酒井 達也 A. Jones Mark Smirnoff Nicholas 岡田 清孝 O. Wasteneys Geoffrey van der Honing Hannie 西岡 美樹 上原 由紀子 高橋 美穂子 藤澤 紀子 佐治 健介 関 原明 篠崎 一雄
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.716, 2008

キネシンモータータンパク質は様々な生物において細胞の先端成長及び細胞の形の決定に関与していることが知られている。シロイヌナズナゲノム中には 61 遺伝子のキネシン関連遺伝子が存在することが明らかになっているが、その多くは機能が明らかになっていない。我々はアルマジロリピートドメインを持つ植物特異的キネシン関連タンパク質 ARK1 がシロイヌナズナ根毛の先端成長に関与することを明らかにした。ark1 突然変異体根毛は波状、時に枝分かれの表現型を示し、内側の微小管はより重合して量及び長さが促進されていた。すなわちARK1は根毛内部の微小管量を限定する働きを持ち、これが根毛の先端成長を制御することが示唆された。ARK1 はARK2 及び ARK3 の二つのパラログ含む遺伝子ファミリーをシロイヌナズナゲノム中で形成しており、ARK2 が根の表皮細胞の形態形成に関与することを明らかにした。さらにARK タンパク質と結合する因子として NEK6 タンパク質リン酸化酵素を同定した。nek6 突然変異もまた、シロイヌナズナ表皮細胞の形態形成に多面的な影響を与えており、NEK6 が ARK キネシンに関連した微小管機能を介して細胞の形態形成に関与することが示唆された。
著者
片山 晴善 酒井 理人 加藤 恵理 中島 康裕 木村 俊義 中右 浩二
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 39.5 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.19-26, 2015-01-26 (Released:2017-09-22)

我々は、非冷却赤外検出器を応用した宇宙用赤外イメージャーの実証センサとして地球観測用小型赤外カメラ(Compact Infrared Camera: CIRC)を開発してきた。CIRCの主要目的は,東南アジア諸国やシベリアなどで頻発する森林火災の検知、火山観測、都市部のヒートアイランド現象の把握である。本稿では平成26年5月24日に打ち上げられた「だいち2号」に搭載のCIRCについてその概要と地上試験、および軌道上の性能評価結果等を紹介する。
著者
酒井 智宏
出版者
東京大学大学院人文社会系研究科・文学部言語学研究室
雑誌
東京大学言語学論集 (ISSN:13458663)
巻号頁・発行日
no.30, pp.195-214, 2010-09-30

この論文の目的は主観性に基づくトートロジーの分析(主観性仮説)を解体することである。主観性仮説は、(i)一般に文が表す主観性はその文が持つ情報量に反比例する、(ii)トートロジーは情報量がゼロである、という二つのテーゼからなり、(i-ii)によりトートロジーが豊かな主観性を表すという事実を説明しようとする。このうちテーゼ(i)を取り上げ、それがさまざまな言語学的・哲学的難問を引き起こし、そうした難問を回避するべく(i)を修正していくと、結局、主観性仮説自体が解消されてしまうことを示す。論文 Articles
著者
酒井 大輔
出版者
北見工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、物理的・化学的に安定しており、高い透過率を有するガラスの中で、世界的にもっとも普及しているソーダライムガラスに対し、微細な屈折構造を形成し、光学機能を付与する方法の確立と実現を目的とした研究を行う。従来、ガラスに対する微細構造形成には、大掛かりで高価な装置が必要であったが、本研究では、より安価な装置で処理が可能な独自の電界プロセスによる構造形成を目標としている。4年間での研究遂行に向け、・電圧プリント法の確立・選択堆積法の発展・微細屈折構造の光学機能計算・実装・評価の3点に着目した研究を計画している。初年度となる2018年度は、まず、電圧プリント用実験装置を作製した。電圧印加プロセスにおける昇圧タイミングを制御し、その際に流れる電流値を収集する必要があったため、LabVIEWを用いた機器制御プログラムとデータ収集プログラムを開発した。必要となる高圧電源などは過去の研究で用いた装置を流用し、ヒーター並びに徐冷機構を備え、温調も可能とした。作製した装置を用い、電圧プリント実験を行った。正極には荒い周期構造を加工した金属を用い、ソーダライムガラスとの間に微細な凹凸構造を形成した樹脂をはさみ、電圧印加を行った。電圧印加後、ガラス表面をレーザー顕微鏡により観察した結果、ガラス上には正極の荒い周期に応じて、樹脂上に形成されていた微細な構造を転写できていることが明らかとなった。加工の容易な樹脂上に形成した構造を加工の困難なガラスに転写できる新たな手法となり得るため、特許出願を行い、国際会議などで発表を行った。
著者
遠藤 貴司 永野 邦明 佐々木 都彦 千葉 文弥 我妻 謙介 早坂 浩志 佐伯 研一 佐藤 浩子 酒井 球絵 中込 佑介
出版者
宮城県古川農業試験場
雑誌
宮城県古川農業試験場研究報告 (ISSN:09172904)
巻号頁・発行日
no.13, pp.19-44, 2018-03

「だて正夢」は,「東北189号」(のちの「げんきまる」)を母,北海道の「おぼろづき」由来の低アミロース遺伝子Wx1-1を保有する中生の「東1126」を父として交配し,その後代より育成した良食味の中生水稲粳品種である。宮城県では,中生に属し,稈長は「ひとめぼれ」とほぼ同じで,稈長はやや長く,穂数は少なく,草型は中間型,耐冷性が"強",いもち病真性抵抗性遺伝子型はPibと推定され,いもち病ほ場抵抗性は,葉いもち,穂いもちともに"不明"である。「ひとめぼれ」と比べて,収量性は並から劣り,玄米品質は優れ,玄米の大きさは小さく,千粒重は約20gと軽い。耐倒伏性は"やや強",穂発芽性は"やや難",ふ先色は"白"である。精白米のアミロース含有率は約10%で,食味は粘りが強く良好で,冷めても食味の低下が少ない。栽培適地は,東北中部以南である。