著者
中村 恵子 鱒見 進一 安東 俊介 竹内 敏洋 久保 雅晴 安元 和雄 金藤 哲明
出版者
九州歯科学会
雑誌
九州歯科学会雑誌 (ISSN:03686833)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2.3, pp.77-81, 2007 (Released:2008-09-16)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2

下顎隆起は骨性の隆起で,原因としては,遺伝,咀嚼圧,パラファンクションなどが挙げられるが,明確なことは分かっていない.今回,下顎隆起と咬合力およびパラファンクションとの関係を検討するために,当科受診の患者に対し,デンタルプレスケールを用いて最大咬合力,咬合接触面積を測定するとともに,パラファンクションに関するアンケートを実施した結果,下顎隆起の有無と最大咬合力との間には統計学的有意差が認められた.また,下顎隆起の有無と咬合接触面積との間にも統計学的有意差が認められた.アンケートの結果より,パラファンクションの中でもくいしばりおよび硬性食品嗜好と下顎隆起との間に統計学的有意差が認められたものの,歯ぎしりや筋痛およびストレスについては関連性は認められなかった.
著者
金政 祐司
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.398-406, 2007-10-25 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
8 2

This study was conducted to examine intergenerational transmission of attachment styles between late-adolescent children and their mothers. The purpose of the study was to reveal whether the two attachment dimensions, “Anxiety (about relationship)” and “Avoidance (of intimacy)” were related between children and their mothers, and whether these relations were mediated by the both children's and mothers' perceptions of parenting. Participants were 209 pairs of late-adolescent children and their mothers. Results revealed that the attachment dimensions of “Anxiety” and “Avoidance” in children significantly correlated to the same dimensions in their mothers. Based on attachment theory, it was hypothesized that intergenerational transmission of attachment styles was caused by the influence of the following factors: “(a) mothers' attachment styles, (b) mothers' perceptions of parenting, (c) children's perceptions of their mothers' parenting, and (d) children's attachment styles”, and possible causal models of the influence processes among those variables were developed and tested in the data analyses. The results showed the validity of these processes for the intergenerational transmission of attachment styles. These results are discussed in terms of the relationships between children and mothers and late-adolescent/adult attachment styles.
著者
杉本 真也 長沼 誠 福田 知広 吉松 裕介 緒方 晴彦 岩男 泰 金井 隆典
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.908-915, 2020-06-25

要旨●筆者らは,植物から抽出された生薬である青黛の潰瘍性大腸炎患者における粘膜治癒促進の有効性を報告してきた.一方で,自己購入した青黛の服用による肺動脈性肺高血圧症や腸重積といった有害事象の存在が明らかとなってきた.青黛による腸重積や非特異性腸炎などの腸病変は右側結腸に好発する.多彩な内視鏡像を示すが,孤発性の潰瘍形成や虚血性腸炎様の発赤・浮腫状粘膜などが特徴である.発症のメカニズムはまだ明らかでないが,病理組織学的に小血管における静脈炎の存在が示されており,吸収された青黛代謝産物が虚血性病変を来す一因となった可能性が示唆される.何よりもまず,青黛について知り,その有害事象の可能性を疑うことが重要である.

2 0 0 0 悪性黒色腫

著者
栗原 浩幸 金井 忠男 金井 慎一郎 金井 亮太 赤瀬 崇嘉 中村 圭介 高林 一浩 神藤 英二 上野 秀樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.996-998, 2018-06-25

疾患の概念 悪性黒色腫(malignant melanoma)は,神経堤起源細胞でメラニン産生細胞であるメラノサイトに由来する悪性腫瘍であり,本邦における悪性黒色腫の罹病率は1.12人/10万人とされている1).消化管の悪性黒色腫は非常にまれであり,大部分は皮膚を原発としたものの転移である.消化管原発の悪性黒色腫の主な部位は,食道と直腸肛門部であり2),肛門部の悪性黒色腫は,全悪性黒色腫の0.2%,直腸肛門部の悪性腫瘍の0.5%と極めて少ない3).好発年齢は50〜70歳代で,女性に約2倍多いとされる4). 症状は肛門出血が最も多く,肛門部腫瘤,肛門痛,便通異常などを訴える5).悪性度が極めて高く,早期からリンパ行性はもとより血行性に肺・脳・骨・肝などに転移を来す.

2 0 0 0 VEC pattern

著者
金光 高雄 八尾 建史
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.607, 2017-05-24

定義 VEC(vessels within epithelial circle)pattern(円形上皮内血管パターン)とは,NBI併用拡大内視鏡観察において,正円形(circular)の腺窩辺縁上皮(marginal crypt epithelium ; MCE)で囲まれた円形の窩間部上皮下に血管が存在する所見である1)(Fig. 1,2). NBI併用拡大内視鏡により視覚化される正円形の上皮は,組織学的に乳頭状すなわち指状の突起部を縁取る腺窩上皮に対応する(Fig. 3).また,内視鏡で捉えられた円形上皮内の血管は,組織学的に指状の突起部の上皮下の間質に増生した血管に対応する(シェーマ).
著者
金光 高雄 八尾 建史 宮岡 正喜 小島 俊樹 中馬 健太 長谷川 梨乃 池園 剛 大津 健聖 小野 陽一郎 植木 敏晴 太田 敦子 田邉 寛 原岡 誠司 岩下 明德
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.215-220, 2019-02-25

要旨●乳頭腺癌は管状腺癌と比べ,病理学的に生物学的悪性度が高いと報告されている.しかし,従来の通常内視鏡観察では乳頭腺癌を診断することは不可能であった.筆者らは,拡大内視鏡観察において円形の腺窩辺縁上皮で囲まれた円形の窩間部上皮下の間質に血管が存在する特徴的な所見を“vessels within epithelial circle(VEC)pattern”と呼称し,乳頭状の分化腺癌に特徴的な所見であると報告した.以前筆者らの報告した症例対照研究より,術前に分化型癌と診断された早期癌において,NBI併用拡大内視鏡により視覚化されるVEC patternが組織学的乳頭状構造を診断するうえで有用であったと報告した.さらに,VEC pattern陽性の早期胃癌の約1/4の病変に未分化型癌の混在や粘膜下層浸潤を認め,VEC patternが術前に癌の高い悪性度を予測するうえで有用なマーカーとなる可能性が考えられた.
著者
松浦 倫子 石原 立 河野 光泰 嶋本 有策 福田 弘武 岩上 裕吉 中平 博子 七條 智聖 前川 聡 金坂 卓 竹内 洋司 東野 晃治 上堂 文也 北村 昌紀 中塚 伸一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.501-512, 2020-05-24

●「考える内視鏡診断」のポイント・食道表在癌の治療方針を決定するためには,拾い上げ診断,範囲診断,深達度診断が重要である.範囲診断にはNBI観察,ヨード染色が有用である.深達度診断には,通常観察,拡大観察,さらにEUSを行い診断する.・特殊型食道癌は頻度が極めて少なく,まずは食道扁平上皮癌の典型的な拾い上げ,診断を行い,その特徴に合致しない病変に特殊型を疑うという診断体系が肝要である.・特殊型食道癌を疑う通常内視鏡像として,隆起を主体とし,上皮下発育を呈する場合が多いこと,特徴的な色調・表面性状を呈する病変が多いことが挙げられる.
著者
桑原 聡 金井 数明
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1109-1115, 2007-10-01

はじめに 筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis:ALS)は進行性に,上位および下位運動ニューロンに系統変性を来す代表的な神経難病である。その臨床症状の特徴として,筋萎縮とともに線維束性収縮(fasciculation)が挙げられる。線維束性収縮は古典的に下位運動ニューロン徴候とされてきたが,多くの神経原性筋萎縮性疾患の中で実際に広範な線維束性収縮を認めるものはALSのみであり,脊髄性筋萎縮症,頸椎症性筋萎縮症や軸索変性型ニューロパチーにおいて,線維束性収縮は稀にしかみられない。このことは線維束性収縮が筋萎縮性疾患の中でALSにかなり特異的に生じており,ALSにおける運動ニューロン死に関与している可能性を示唆している。 線維束性収縮は運動単位(運動神経軸索)の自発発射により生じる1)。したがって,ALSにおける軸索興奮性は増大していることが推定される。ほかに線維束性収縮を特徴とする代表的疾患として,Isaacs症候群と多巣性運動ニューロパチーが挙げられる。Isaacs症候群は軸索の電位依存性Kチャネルに対する自己抗体が原因であることが確立されており,この疾患でみられる線維束性収縮やミオキミアは,Kチャネルの機能低下に起因する軸索の自発あるいは反復発射である2)。K電流は基本的に外向き(outward)の電流であり,陽イオン(K+)が軸索外に出ることにより膜電位は過分極側に偏位する。すなわちK電流は,軸索興奮性にとって抑制性のコンダクタンスであるといえる。多巣性運動ニューロパチーにおける線維束性収縮のメカニズムは明らかではないが,病変部軸索の静止膜電位が脱分極側に偏位していることが仮説として提唱されている3)。軸索の自発発射を来す興奮性増大のメカニズムとして,①Naチャネル(特に持続性Naチャネル;下記参照)の活性化,②Kチャネルの機能低下,③静止膜電位の脱分極側への偏位,などが挙げられ,ALSにおける軸索興奮性にどのメカニズムが関与しているかが注目されてきた。 1990年代に英国国立神経研究所のHugh Bostockにより開発された,threshold tracking法を用いた軸索機能検査法は,1990年代後半から臨床応用が広まり,NaあるいはKチャネル機能を含めた軸索特性を非侵襲的に評価することが可能になった4,5)。この手法は,これまでパッチクランプなどの観血的な方法でしか得られなかった軸索イオンチャネルに関する情報を,簡便に得ることができる画期的な手法として普及しつつあり,英国,日本,豪州などの研究グループにより多くの報告がなされるようになっている6)。本稿ではこの方法を用いてALSにおける軸索興奮性の変化について,これまでに得られた知見について概説する。結論を先に述べると,ALSでは持続性Na電流の増大と,K電流の減少という2つの軸索特性の変化が存在し,相乗的に軸索興奮性を増大させて線維束性収縮の発生に関与していると考えられる。
著者
伊藤 明久 今井 順一 金子 正秀
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.33, no.11, pp.21-24, 2009-02-28

実生活空間において人間と共存するロボットは,歩行者が存在する動的環境を認識し,歩行者との衝突を回避するように移動することが求められる.周囲環境の認識のためにはステレオ視による距離情報が有用であるが,距離情報を得られない領域の存在や距離情報に差が無いと物体を認識できないという問題がある.本論文では,距離情報と色情報を統合することでより頑健に周囲環境のモデルを生成し,それを基にロボットの移動経路を自律的に決定することを可能にする手法について述べる.室内で歩行者がいる動的環境においてロボットに歩行者と衝突することなく移動させる実験を行い,本手法の有効性を検証する.
著者
金 善美
出版者
日本都市社会学会
雑誌
日本都市社会学会年報 (ISSN:13414585)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.30, pp.43-58, 2013
被引用文献数
2

This paper aims to examine the role of Art in revitalizing city's run-down area. For this purpose, this paper draws upon empirical work in Mukoujima, known as former industrial zone and typical 'Shitamachi' area of east Tokyo.<br> Art movement in Mukoujima started at late 1990s. At the first time, it was experimental solution for abandoned houses and shops, mainly to reduce the risk of arson. However, the movement has continued for 10 years, bringing more and more young artists and trendy places for them. Up to now, Mukoujima gradually came to be known as "Hidden Art town in Tokyo's traditional area".<br> By analyzing the interaction of various actors, this paper reveals two points.<br> Firstly, Experiencing decline and redevelopment at the same time, 'revitalization of local' means vary from each actor. Therefore, art movement as revitalization strategy has always been placed in tension and conflict between actors. Secondly, positioning art movement within the context of urban change, you can see an opposite role of art in present stage: Consumption of space which reminiscent of gentrification, on the other hand, one form of diversifying local culture due to local change.
著者
金井 隆典
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.9, pp.1939-1945, 2019-09-10 (Released:2020-09-10)
参考文献数
8