著者
及川 亘 小宮 木代良 石津 裕之 金子 拓 黒嶋 敏 森下 徹 佐藤 孝之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本年度は公儀普請関連の史料収集と整理・分析・研究のために、以下のような研究活動を行った。①史料調査:まず、靖國神社遊就館所蔵の「名古屋御城石垣絵図」の調査・撮影を行った。これは慶長十五年名古屋城普請にかかる丁場割を示した絵図である。同種のものとして宮内庁書陵部所蔵の絵図などが知られているが、本絵図はこれまで学界未紹介のものである。併せて名古屋市蓬左文庫において関連史料の調査も行った。また熊本大学所蔵「松井家文書」および、柳川古文書館寄託の立花家重臣十時家関連の文書から、公儀普請関係の史料の調査・撮影を行った。②公儀普請関係史料目録:研究協力者の協力を得て、柳川立花家関係として『柳川市史 史料編Ⅴ』(前年度より継続)・『福岡県史 近世史料編 柳川藩初期』、福岡黒田家関係として『黒田家文書』・『福岡県史 近世史料編 福岡藩初期』、萩毛利家関係として『大日本古文書 毛利家文書』より(それぞれ刊本)、公儀普請関連の史料の抽出・目録化を行った。③『大日本古記録 梅津政景日記』のフルテキストデータベース化:『大日本古記録 梅津政景日記』の第二巻・第三巻テキストデータを加工、前年度に加工の完了していた第一巻とともに東京大学史料編纂所の古記録フルテキストデータベースに搭載し、一般公開した。④研究会の開催:研究代表者・研究協力者を中心に二回の研究会を開催した。それぞれの報告者・題目は以下の通りである。第一回(2018年9月3日 於東京大学史料編纂所)、黒嶋敏「天下普請としての秀吉の造船」、及川亘「靖国神社遊就館所蔵『名古屋御城石垣絵図』について」、第二回(2019年3月19日 於かんぽの宿柳川)、金子拓「天正四年における織田信長の洛中普請について」、黒嶋敏「『今井宗久書札留』にみる織田信長と銀山」、立石了(研究協力者)「立花家重臣十時家の公儀普請関係史料の概要」、以上。
著者
余田 敬子 尾上 泰彦 西田 超 金子 富美恵 須納瀬 弘
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.171-177, 2011

性感染症クリニックで, 淋菌・クラミジア検査を行った女性169人の職業と, 男性81人の性交渉の相手について検討した. 女性の92%を占めたソープランド (ソープ) 従業女性では, 淋菌の咽頭陽性者が性器より多く, クラミジアは性器陽性者が咽頭より多かった. ソープ以外の性風俗店従業女性においても, 淋菌・クラミジアの咽頭と性器の陽性者が存在した. 性風俗従業でない女性にも, 淋菌・クラミジアの陽性者があった.<br>男性では, 咽頭の淋菌陽性者の89%, 性器の淋菌陽性者の93%, 咽頭のクラミジア陽性者全員, 性器のクラミジア陽性者の77%が, 性風俗従業女性からの感染と推察された. また, 少数ではあるが, 特定の女性から淋菌・クラミジアに感染した人と思われた人が存在した.
著者
〓 基湖 徐 延徹 李 源哲 金 甲成
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.601-609, 2002-11-01
参考文献数
5
被引用文献数
3 1

韓国の伝統医学は「韓医学」と呼ばれており、特に韓国では韓医学の中でも漢方薬より鍼灸術に大いに期待しているのが現状である。韓国の医療体系は西洋医学と東洋医学の二本立て体制で、鍼灸士だけを養成する鍼灸 (専門) 大学はなく、韓医師と大学の韓医学部で漢方薬と鍼灸術に対して独占的な地位を占めている。韓医学では西洋医学と同様に6年間の大学教育と4年間の研修医制度をとり、世界唯一の鍼灸専門医制度を持っている。学会は大韓韓医学会が代表的な存在として最高上級機関であり、その傘下に鍼灸関連学会の大韓鍼灸学会、大韓薬鍼学会、大韓経絡経穴学会がある。最近、韓国と日本の問での鍼灸学術交流は国際東洋医学会の国際東洋医学学術大会、世界鍼灸学会連合の世界鍼灸学術大会などを通じて盛んに行われている。
著者
金子 淳一 細矢 直基 古屋 耕平
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference 2010 (ISSN:24242993)
巻号頁・発行日
pp._111-1_-_111-6_, 2010-09-14 (Released:2017-06-19)
被引用文献数
2 4

This paper discuses the way to reduce the noise and vibration of thin plate structures. This paper focuses on the musical saw, a kind of musical instrument. The musical saw is thin plate and it is need to bend the saw as S-curve, to play the instrument. Thin plate structures used for various products. In some case, curvature is laid on thin plate structures to enhance the rigidity. If musical saw and thin plate structures conditions are matched, it will be noise problem. Investigating that the relationship between the sound pressure, S-curve, boundary condition, and aspect ratio of the saw by experiment and FEA, it is discussed to apply the investigation result to the thin plate structures.
著者
金綱 正夫 関本 恒浩 関田 欣治 島田 潔
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.175, pp.227-239, 1994 (Released:2009-01-08)
参考文献数
18

This paper deals with the measured data obtained through the at-sea measurement of the TLP “EHIME”, an offshore nursery pilot firm station of Marino-Forum 21, of which tendons are parallel wire strands (PWS) protected by polyethylen sheath with specially manufactured cushion rubber rings at each ends and connected to a gravity type template through a belimouth shape structure. The measured data of the TLP dynamic responses are compared with theoretical estimation, and the strength performance of PWS as TLP tendons are discussed.The main results are as follows; 1) the TLP with the PWS mooring system has the same dynamic response characteristics as the conventional TLP with the steel pipe mooring system, 2) the mooring system by use of PWS type tendons adopted for the TLP “EHIME” exhibits sufficient strength and durability characteristics.
著者
雨宮 怜 金 ウンビ 稲垣 和希 坂入 洋右
出版者
日本スポーツ心理学会
雑誌
スポーツ心理学研究 (ISSN:03887014)
巻号頁・発行日
pp.2019-1802, (Released:2019-07-04)
参考文献数
49

The relationship between mindfulness, psychological competitive abilities and mood states were investigated among Japanese university athletes.Athletes (N=233, 169 men and 64 women, mean age 18.51 years, SD=1.16) responded to a questionnaire package comprising the Athletes Mindfulness Questionnaire, the Diagnostic Inventory of Psychological Competitive Ability for Athletes 3 (DIPCA. 3), and the Japanese version of the Profile of Moods States short version (POMS).Results indicated that athletes with high compared to low mindfulness scores had higher scores for self-control, ability to relax, concentration, confidence, decision, judgment, as well as higher total DIPCA. 3, and lower score for total POMS scores. Furthermore, mediation analyses indicated direct and indirect associations between mindfulness and total mood disturbance through self-control and ability to relax skills of the DIPCA. 3.These results suggest that mindfulness is one predictor of psychological aspects of performance and mental health of athletes.
著者
金井 嘉宏 笹川 智子 陳 峻雲 嶋田 洋徳 坂野 雄二
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.97-110, 2007-09-30
被引用文献数
1

本研究の目的は、他者のあいまいな行動に対する解釈バイアスの観点から社会不安障害と対人恐怖症を比較することであった。実験参加者を抽出するために、592名の大学生が他者からの否定的評価に対する社会的不安測定尺度(FNE)と対人恐怖症尺度(TKS)に回答することを求められた。カットオフ得点を満たした大学生40名が解釈バイアスについて調べるためのスピーチ課題を行った。FNE得点とTKS得点が高い群は14名、 FNE得点は高いがTKS得点が低い群は7名、 FNE得点は低いがTKS得点が高い群は3名、FNE得点とTKS得点が低い群は13名であった。スピーチ課題中、聞き手は予備調査によって抽出されたあいまいな行動を行った。その結果、社会不安障害傾向と対人恐怖症傾向がともに高い者は低い者に比べて、あいまいな行動を否定的に解釈していたが、社会不安障害と対人恐怖症に違いはみられなかった。
著者
金 浩星
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.470-465, 2003-12-20
著者
今川 孝久 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.145-150, 2014-10-31

UCT は囲碁やGeneral Game Playing などの応用で効果を発揮している探索手法で,多腕バンディット問題のアルゴリズムであるUCB1 をモンテカルロ木探索(MCTS) に応用したものである.多腕バンディット問題には,KL-UCB, Thompson Sampling, UCB1-Tuned などUCB1 より優れるとされる様々なアルゴリズムが提案されてきている. そこで本研究では、UCB1 に変えてそれらのアルゴリズムをMCTS に用いることを提案し,実際の性能についてP-game と呼ばれる仮想的なゲーム木を用いて分析した. 実験の結果,UCB1 よりもKL-UCB, Thompson Sampling, UCB1-Tuned がMCTS においても優れることが,期待通りに確認された.ただし,各アルゴリズムの差よりも各仮想的なゲーム木の性質に因る性能の違いの方が大きいことも同時に確認されている.本稿で用いたP-game は,広く探索アルゴリズムの性能の評価で用いられているが,MCTS の評価に用いる場合は,木の作り方に注意を払う必要がある可能性がある.
著者
金沢 吉展
出版者
明治学院大学心理学部付属研究所
雑誌
明治学院大学心理学部付属研究所年報 = Annual Report of the Meiji Gakuin Institute for Psychological Research (ISSN:18827241)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.53-65, 2019-07

心理療法の終結に関する研究においては,中断に関する研究が多く,効果的な終結に関する研究は少ない。後者の研究からは,終結時には終結行動と呼ばれる一定の行動が見られ,これらの行動と心理療法の効果との間に関連が見られることが報告されている。一方中断に関する研究においては,当初はクライエントのデモグラフィック要因に注目した研究が多く行われてきたが,最近の研究においては中断の定義の不明確さが指摘され,また,作業同盟,セラピスト- クライエント関係,そしてその関係に関わるセラピスト-クライエントの両者が中断に影響を与えていることが示されている。加えて,セラピストとクライエントの間には,心理療法の目標や期間等について認識の違いがあることが示されており,こうした認識の違いが中断に影響していることが示唆されている。最後に,これらの研究から得られる実践上の示唆と今後の研究上の課題について論じた。
著者
金子 之史
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.129-160, 2021 (Released:2021-08-26)
参考文献数
99

1910(明治43)年に渡瀨庄三郞は「外来種」であるフイリマングースHerpestes auropunctatusを沖縄本島と渡名喜島に導入した.本稿では関係史料を検討して以下の7点を得た.第1に,中川(1900)は現在でいう外来種に関する米国農務省年報を抄訳しジャマイカ島へのフイリマングース導入経過と影響を紹介した最初であったが,書誌情報は不十分であった.第2に,渡瀨と中川の経歴により両者は既知の関係と推測されたが,渡瀨(1910a,b)には中川(1900)の明示的な影響はなかった.第3に,従来不明であった中川(1900)の出典はPalmer(1899)であると判明した.ただしPalmer(1899)にある数種の外来種,立法行為の必要性,および要約は中川(1900)には訳出されていない.第4に,複数の史料間で1910年の「渡瀨講話」の内容を検討し,渡瀨のマングース導入の論理過程を明らかにした.第5に,渡瀨(1910a)は出典を明示しない講話記録であるが,渡瀨がジャマイカ島へのフイリマングース導入に関するEspeut(1882),Duerden(1896),およびPalmer(1899)を読んでいた可能性を指摘し,国立臺灣大学図書館の渡瀨文庫にPalmer(1899)の抜刷が保管されていること,またその表紙上に“S. WATASE”,“3 SEP. 1907”,および“IMPERIAL UNIVERSITY, TOKIO”のスタンプ押印を確認した.第6に,1907~1910年における渡瀨のフイリマングース導入の出来事を時系列の表にまとめた.第7に,ジャマイカ島,沖縄,他地域のマングース導入に関する当時唯一の日本語文献であった岸田(1924,1927,1931)と従来入手不能であった1910年出版の3文献の復刻版との詳細な比較によって,岸田の記述文には出典のないものがあり,また渡瀨(1910a)には地名や頭数に引用の誤りがあることを明らかにした.