著者
村田 健児 金村 尚彦 羽田 侑里子 飯島 弘貴 高栁 清美 森山 英樹
出版者
公益社団法人 埼玉県理学療法士会
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.61-66, 2011 (Released:2011-03-30)
参考文献数
15

加齢により関節軟骨は退行性変化を呈し,主要構成要素であるプロテオグリカン含量やⅡ型コラーゲンの減少が認められる。この関節軟骨の退行性変化は運動がもたらす関節への機械的刺激によって抑制および修復させることが報告されている。本研究では老齢ラットモデルの距腿関節軟骨を組織学的に分析し,走行運動およびバランス運動が距腿関節軟骨にあたえる影響を検討した。結果,老齢ラット群の関節軟骨は若齢ラット群と比較してⅡ型コラーゲン及び関節軟骨厚が減少し,関節軟骨表層部に亀裂が認められた。一方で,老齢ラット通常飼育群に比較してバランス運動群の軟骨厚が増加していた。このことから加齢によって距腿関節軟骨退行性変化を呈するが,関節運動を伴う機械的刺激によって関節軟骨変性を抑制,改善に作用する可能性があることが示唆された。
著者
金 海永 鈴木 陽一 高根 昭一 小澤 賢司 曽根 敏夫
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.455-460, 1999-06-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
17

It has been shown that HRTFs (Head Related Transfer Functions) are important cues for judging the absolute auditory distance of a single sound image when the sound source is close to the listener. In order to investigate the role of HRTFs in auditory distance perception more generally, not only the absolute distance of a single sound image but also the relative distances among multiple sound images should be considered. From this point of view, two kinds of psychoacoustical experiments on absolute and relative distance perception were conducted with the same source signals for stimuli. Comparison of the results of the two experiments showed that while the absolutely judged distance of a sound image increases with the actual distance of sound source up to around 1.2 m, the results of the relative auditory distance perception showed that the perceived distance significantly increases up to 2〜3 m. This difference may be attributable to some perceptual information stored in a short-term memory provided by the comparison of auditory distances between multiple sound images, which could offer an additional cue in relative distance perception, and it may be effective to improve the resolution of the distance perception of sound images at longer distance than the limitation in absolute distance perception.
著者
江口 麻優子 野坂 俊介 植松 悟子 藤野 明浩 金森 豊 岡本 礼子 窪田 満 石黒 精
出版者
日本小児放射線学会
雑誌
日本小児放射線学会雑誌 (ISSN:09188487)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.107-115, 2019 (Released:2019-11-22)
参考文献数
18

小児の盲腸捻転は稀であるが,重症心身障害児,特にCornelia de Lange症候群(以下CdLS)での報告が多い.症状は非特異的で,画像診断の役割は大きい.早期診断は腸管壊死を回避する上で重要で,診断や治療の遅れは死亡に繋がる可能性がある.当院で経過観察中のCdLS 13例中4例に盲腸捻転を認めた.いずれも盲腸捻転に特異的な腹部単純撮影所見,もしくは過去と比較して変化を認め,引き続き行った造影CT所見から全例で術前に盲腸捻転を疑うことができた.盲腸捻転併発4例と捻転非併発9例を比較すると,併発例全例が胃瘻造設術・噴門形成術後で,これらの手術が捻転の誘因になると考えられた.また,既報告と比較して死亡率と術後合併症率は,より低率であった.CdLSで,胃瘻造設術・噴門形成術後の児が腹部症状を示す場合,盲腸捻転の併発を念頭に,腹部単純撮影に続く造影CTが早期診断と治療に有用である.
著者
大塚 義顕 渡辺 聡 石田 瞭 向井 美惠 金子 芳洋
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.867-876, 1998-12-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
28
被引用文献数
4

乳児期に獲得される嚥下機能の発達過程において,舌は中心的役割を果たしている。しかしながら,吸啜時の動きから固形食嚥下時の動きへと移行する舌の動きの経時変化の客観評価についての報告はほとんど見られない。そこで,生後20週から52週までの乳児について,超音波診断装置を用いて顎下部より前額断面で舌背面を描出し,舌の動きの経時的発達変化の定性解析を試みたところ以下の結果を得た。1.生後20週には,嚥下時の舌背部にU字形の窪みが見られ,舌全体が単純に上下する動きが観察された。2.生後26週には,嚥下時の舌背正中部に陥凹を形成する動きがはじめて見られた。3.生後35週には,上顎臼歯部相当の歯槽堤口蓋側部に舌背の左右側縁部が触れたまま正中部を陥凹させる動きが確認できた。4.生後35週から52週までの舌背正中部の陥凹の動きは,ほぼ一定で安定した動きが繰り返し観察できた。5.舌背正中部にできる陥凹の動きの経時変化から安静期,準備期,陥凹形成期,陥凹消失期,口蓋押しつけ期,復位期の6期に分類することができた。以上より,前額断面での舌運動は,舌の側縁を歯槽堤口蓋側部に接触固定し,これを拠点として舌背正中部に向けて食塊形成のための陥凹を形成する発達過程が観察できたことから,食塊形成時の舌の運動動態がかなり明らかとなった。
著者
金田 康秀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.278-286, 2014 (Released:2015-03-30)
参考文献数
60

Vogt-小柳-原田病(原田病)は,本邦では2番目に多いぶどう膜炎である。自己のメラノサイトに対する自己免疫性疾患と考えられており,汎ぶどう膜炎に加え,中枢神経症状,内耳症状,皮膚症状をきたすことが特徴的である。標準治療は全身的なステロイド大量療法である。更に不十分なステロイド剤使用は再燃や遷延化を招く。今回,B 型肝炎ウイルスキャリアに初発した原田病に対し,ステロイド剤を一切使用せずに竜胆瀉肝湯(一貫堂)と五苓散の併用が奏効した一例を経験したので報告する。症例:40歳男性。両)霧視を主訴に近医眼科を受診し,両)黄斑症を認め当科に紹介。原田病と診断し,和漢診療学的に軽度の水滞・瘀血を伴う足厥陰肝経の湿熱と捉え,竜胆瀉肝湯(一貫堂)と五苓散を投与した。結果,翌日から徐々に視力が改善し始め,ステロイド剤を使用することなく治癒した。原田病に漢方単独の治療が選択肢になり得ることが示唆された。
著者
金井 寛
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
BME (ISSN:09137556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.10, pp.806-811, 1987-10-10 (Released:2011-09-21)
参考文献数
6

本年5月, 関係者の努力が実って「臨床工学技士法」が成立した. これはクリニカルエンジニアリング (CE) 担当者の国家資格制度を定めたもので, 世界最初の制度として注目される. ここでは本法の概要と, その周辺における問題点について解説したが, 関係者各位の理解を深める一助となれば幸いである.
著者
金城 弥生
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.86-90, 2021-04-01 (Released:2021-06-01)
参考文献数
4

2001年より20年近く、機道具や機織りに関する調査と復元製作、特に竹筬の製作と、苧麻や大麻などの繊維を糸にし、機で織る活動を続けている。その中で、文献調査、実測調査、そして様々な職人や技術者から聞き取りを実施し、そのデータや映像をアーカイブとして保存し、伝承する活動を行ってきた。2020年にはCOVID19の影響のため、従来の伝達方法以外の仕方を考える必要もでてきた。ここでは、今までに行ってきたデータ収集とアーカイブ製作、さらに蓄積してきたデータの管理および活用方法とオンラインを利用した技術伝承について、「伝統技術に携わる当事者」の視点より具体的な例をあげ、述べている。
著者
郭 潔蓉 杉本 雅彦 森下 一成 金塚 基
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.181-189, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)

本報告は、2018年4月より2019年3月までに実施された「足立区菓子業界の魅力発信事業」において、東京商工会議所と足立区の菓子業界団体と東京未来大学との協働により行った産学連携事業を活用した実践型教育の事例報告である。足立区の地場産業である菓子業界を取り上げ、その伝統と文化を国内外に情報発信を行うことで足立ブランドの魅力を広く伝えることを目指した本事業は、学生参加型の産学連携事業としても、実践型教育としても新しい試みであり、学生にとっても得られる知見が多い事業であったことは特筆すべきである。本連携事業がどのような背景で発足し、事業を推進する過程においてどのような成果と課題が得られたのか、本稿において報告を行うものとする。
著者
奥田 みのり 一戸 達也 金子 譲
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.156-159, 2001-04-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
4

市販の未開封局所麻酔薬バイアル,全身麻酔薬バイアルおよび輸液ボトルのゴム栓の無菌性と,消毒用アルコール綿によるゴム栓清拭の意義について検討した.また,これらの薬剤が菌によって汚染された場合にどのような発育を示すのかについても観察した.バイアルのカバーを取り除いた直後のゴム栓には,細菌および真菌が検出されなかった.しかし,アルコール綿で清拭した後では,20%に真菌の集落が検出された.リドカインバイアルにstaphylococous aureusならびにCandidaalblcansを播種したところ,生菌数は経時的に減少した.しかし,プロポフォールバイアルや輸液ボトルに播種された菌は24時間以降有意に増加した.
著者
金 秀日
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済体制学会会報 (ISSN:18839797)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.83-89, 2001

ハイエク(Friedrig August von Hayek,1899~1992),レプケ(Wilhelm Röpke,1899~1966),山田盛太郎(1897~1980)の三者は共に19世紀末に生を受け,ナチズムと軍国主義の台頭という歴史の激流に抗しつつ壮年期を経た経済学者として知られている。ハイエクはネオ・リベラリストの,レプケはオルド・リベラリストの,山田は日本の講座派マルキストの重鎮である。<BR>1989年11月ベルリンの壁崩壊以後,市場経済に対する信頼が喧伝されて来た。結果的にロシア・東欧の厳しい賃金危機と(ハイパー)インフレーションを招きながらもなお,ドイツにおける社会国家解体論,日本における新自由主義(あるいは新保守主義)改革必要論が勢いを増している。ロシア・東欧のみならず,旧西側の住人の我々にも市場経済の有効性を再検討する意義が高まっている。本稿はこうした間題意識に立ち,社会哲学者としてのハイエク,エアハルトの経済顧問としてオイケンと共に実際家としても活躍したレプケ,日本の農地改革プラン作成に大きな影響を与えた山田の認識を市場を軸として比較検討し,その思想を整理するものである。
著者
金城 明美 浦崎 武 Kinjyo Akemi Urasaki Takeshi
出版者
琉球大学教育学部附属発達支援教育実践センター
雑誌
琉球大学教育学部発達支援教育実践センター紀要 (ISSN:18849407)
巻号頁・発行日
no.4, pp.119-127, 2012

知的に遅れのないKくんは、普通学級という集団の中で、指示的な言葉に反応し、注意の持続が難しい。周囲の言葉や態度に怒りを表出させ、行為は暴言と人を叩くという問題行動を引き起こしていた。トータル支援教室では、個別支援の中でKくんの関係形成が行われ、集団支援でKくんの特性に添った集団活動が行われてきた。支援学生の記録や母親へのインタビュー等を分析した結果、5学年に入り、Kくんの集団支援に見られる姿は、書字体験へ挑戦する姿、負けたくない自己を表現し、自己を認めてもらいたいという姿であった。そして、穏やかな動きと他者を認めようとする姿が見られるようになった。集団支援における様子に触れながら個別支援について検討することで今後の課題として書字読字支援の継続、家族支援の必要が挙げられた。
著者
藤掛 和広 田中 貴紘 吉原 佑器 米川 隆 稲上 誠 青木 宏文 金森 等
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.134-141, 2019 (Released:2019-01-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1

本研究では,ドライバエージェントによって運転行動が変容するのか検証した.エージェントのサポートは,「運転支援」「フィードバック」「運転支援とフィードバック」の3種類とした.その結果,エージェントを使用することで運転行動が改善された.運転行動が最も改善された条件は,「運転支援とフィードバック」だった.
著者
中村 好成 原 道也 張 敬範 花田 弘文 江本 玄 金宮 毅 内藤 正俊
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.758-761, 2000-09-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

We evaluated the use of manipulation under anesthesia in 5 knees as part of a retrospective study on 72 total knee arthroplasty cases (TKA) with osteoarthritis between September 1995 and May 1999. Manipulation was considered when intensive physiotherapy failed to increase flexion to more than 90° of ter 3 weekspostoperatiuly.The mean active flexion before manipulation was 67°. The mean final flexion achieved 104°. The mean gain was 37°.Between the manipulated patients and pativents requiring no manipwlatiow, the following parameters were assessed and compared; age, flexion, JOA, FTA, lateral release, and polyethylene?The manipulated patients in showed significant changes in FTA and used thick polyethylene.None of the patients showed supracondylar fracture, avulsion of the patellar tendon, myositis ossificans, and wound breakdown.
著者
生田 太 出口 広紀 岡本 貢一 名古屋 幸司 佐藤 史也 水沼 由貴 金子 礁 新井 恵実 蒲田 和芳
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.339-344, 2015 (Released:2015-07-07)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

〔目的〕変形性膝関節症(膝OA)を有する高齢者の膝内転モーメントや活動性に対するRRR(膝回旋エクササイズ)プログラムの効果を明らかにすることを目的とした.〔対象〕膝OAを有する女性高齢者を無作為に割り付け,被検者数は慣習エクササイズ群12名,RRRプログラム群9名であった.〔方法〕介入前後で歩行時の膝内転モーメントとKOOS,SF-36の計測を実施した.〔結果〕SF-36はRRRプログラム群の方が有意に向上した.KOOSと膝内転モーメントに群間差は認められなかったが,膝内転モーメントはRRR群にて減少傾向であった.〔結語〕RRRプログラムは膝OA患者の生活向上に効果的であることが示された.