著者
塩屋 雅人 月岡 祐介 立石 烈 中原 嘉則 山名 孝治 金村 賦之
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.27-30, 2022-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
10

Stanford A型急性大動脈解離に対する部分弓部人工血管置換術後に遅発性片麻痺を生じた症例を経験した.症例は65歳の男性で突然の胸痛のため近医を受診し,偽腔閉塞型のStanford A型急性大動脈解離と診断され当院に搬送された.術前の意識状態は清明で運動障害も認めなかった.左大腿動脈送血,右房脱血で人工心肺を確立し,膀胱温27°Cの中等度低体温循環停止,選択的脳分離灌流下に部分弓部人工血管置換術を施行した.Entryは上行・弓部に認めず,DeBakey IIIB型の逆行性解離が疑われた.術後経過は良好で術後8時間で人工呼吸器を離脱した.術後10時間後に右下肢の不全麻痺を起こしたため,頭部CTを施行したが急性期頭蓋内病変を認めなかった.脊髄虚血に伴う片麻痺と診断し,速やかに脊髄ドレナージとステロイドパルス,ナロキソン投与を開始した.治療開始直後より右下肢の膝立てが可能となった.リハビリを続け,術後20日目に術前のADL相当で独歩退院となった.
著者
松田 憲亮 本間 和也 吉住 浩平 永井 良治 中原 雅美 金子 秀雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.81-85, 2012 (Released:2012-02-21)
参考文献数
21
被引用文献数
2

〔目的〕皮膚冷却刺激下での中殿筋低負荷トレーニング効果と筋活動変化を検討することである.〔対象〕健常成人男性32名を対象とした.〔方法〕対照群と皮膚冷却群に分け,低負荷での股関節外転運動からなるトレーニングを6週間実施した.隔週で等尺性股関節外転最大筋力と中殿筋の表面筋電図を測定した.皮膚冷却群では最大随意収縮時および最大随意収縮時を基準としてその30%の負荷量時の積分値と平均周波数を測定し,トレーニング開始時を100%として正規化し比較した.また,冷却部位の皮下組織厚,皮膚表面,深部組織温度を計測した.〔結果〕等尺性最大筋力は皮膚冷却群で4~6週後有意に増加した.筋積分値は6週後,有意に増加したが,平均周波数の変化は認められなかった.〔結語〕皮膚冷却刺激下での中殿筋低負荷トレーニングでは,有意な筋力増強効果が認められた.筋力増強には皮膚冷却刺激による運動単位動員の促進とtype I線維における筋活動特異性や運動強度が反映されていることが示唆され,type II線維の活動増加については判別できなかった.
著者
藤田 淳也 小倉 貴志 大河内 一弥 松本 典剛 澤田 賢治 金子 修
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.142, no.3, pp.328-338, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)
参考文献数
25
被引用文献数
2

Threat modeling is a process to determine effective cybersecurity measures to secure industrial control systems (ICSs). However, deep cybersecurity knowledge is required to perform threat modeling processes and those results including prioritization of cyber attack scenarios are depended on security analysts. To reduce the dependency of analysts, it is required to express cyber attack scenarios with a structured model. In this study, a new structured model that expresses cyber attack scenarios for ICSs is proposed. The proposed model is based on the Diamond model and capable of expression behaviors of adversary in a targeted system by a structured form. The model makes it possible to express structured cyber attack scenarios and reduce dependency of analysts. This paper provides a detail of the proposed model and evaluation results of the model in terms of the usefulness of threat modeling.
著者
金子 和樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.3M5GS1205, 2020 (Released:2020-06-19)

近年, アマチュアスポーツにおいても選手のデータから試合でのパフォーマンスを容易に分析できるようなプラットフォームが求められている. アマチュアサッカーにおいても, 所属する環境や指導者の力量によらず誰もが上達することを目指し, ITツールを用いてトレーニングの向上や選手の評価を行なうアプリが実用化されている. しかしこれらのアプリでは, 人間による手動での評価を前提としており, 選手の映像から自動的に評価をすることは現状では困難である. そこで本研究ではシュートシーンの姿勢に着目して、選手の映像から自動的にプレイを評価・分類することを目標にしている. 具体的には, シュートシーンの姿勢の座標をOpenPoseによって取得し, Barfieldらが提唱したシュートの質的要点を基に特徴量を生成した. その特徴量を用いて機械学習により 85%の正解率(accuracy)で分類することができた.
著者
串崎 幸代 Yukiyo Kushizaki 千里金蘭大学 生活科学部 児童学科
巻号頁・発行日
vol.11, pp.11-17,

人は老いることによってさまざまな喪失を体験することが多い。老年期の課題については、そうした喪失などに対処し老いや死を受け入れることが挙げられるが、認知的・精神的な機能が衰退する後期高齢者や認知症の患者において、老いを生きることの意味はどのように考えるべきであろうか。文献を通して考察した結果、人生の最終段階においては他者を信頼して自己を委ねていくという課題が存在し、高齢者が認知的機能や自己意識を手放して生きることの意味や希望は高齢者を見守る側の他者に託されると考えられた。
著者
菱沼 典子 石川 道子 高橋 恵子 松本 直子 鈴木 久美 内田 千佳子 金澤 淳子 吉川 菜穂子 川越 博美
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.76-82, 2007-06
被引用文献数
1 1

目的:大学内に市民が立ち寄り活用できる健康情報サービススポットが開設されて3年目になる。この健康情報サービススポットの広報活動が,利用者の増加に有用であったかどうかを検討し,今後の広報活動への示唆を得ることを目的に本研究を行った。方法:調査対象期間は2004年4月〜2006年12月であり,健康情報サービススポットの記録と,研究者間での振り返りからデータを収集した。広報活動を時間軸に沿って整理し,来訪者数,リピーター,健康相談者数,ならびに当該地域住民,当該自治体,看護職・司書等からの協力や連携等の問い合わせ件数の推移を調べた。結果:3年間の広報活動の内容は<知ってもらう宣伝>と<来てもらう催事>に大別され,<近所付き合い>から始め<町のキーパーソンとの連携>によって推進されていた。<知ってもらう宣伝>は,ポスターやチラシ,案内板や看板,地域の行事への参加,ホームページの活用で,イメージキャラクターを用い,サービス内容を選択して宣伝内容としていた。<来てもらう催事>はハーブティや抹茶のサービス,ランチタイムミニ健康講座・ミニコンサートの定期的催しであった。健康情報サービススポットの最も重要な活動である健康相談の月平均利用者は,2004年31.7名から2006年88.4名と増加し,2005年の相談者の12%がリピーターであった。宣伝媒体を受け入れている店舗数は2006年現在,ポスター掲示が31件,カードの設置が10件で,自治体や自治体内の諸機関からの連携依頼や専門職の見学もあった。考察:これらの結果から,健康情報サービススポットの利用者が増え,その存在が広く知られてきていることが確認でき,広報活動は有用であったと考える。大学と地域との連携や,広報活動の中での健康情報サービスの実施について考察した。
著者
進藤 達也 岩下 英俊 土肥 実久 萩原 純一 金城ショーン
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1560-1568, 1995-07-15
参考文献数
16

本論文では、分散メモリ型並列計算機のための新しいデータレイアウト法としてTwisted data layoutを提案する。データレイアウトは分散メモリ型並列計算機で並列プログラムを効果的に実行させる上での重要な要素である。配列デー一タの最適なデータレイアウトパターンは、プログラム全体を通して一つに決まらず、プログラムの部分ごとに異なる場合がある。Twisted data layoutは、最適なデータ分散法に関するこのようなコンフリクトの解消に用いることができる。並列計算機AP1000を用いた実験で、Twisted data layouの性能評価を行う。
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

雪の融点近くで、短いモデル・スキー(長さ20cm)を用い、遅い滑走速度(0.001~1m/s)における摩擦係数を斜面滑走法およびトライボメータ法を用いておこなった。その結果、摩擦係数(μ)が、滑走速度と雪の温度に依存することが解った。そして、-10℃程度の低温で、速度が極めて遅い場合に最も小さなμ値を示す事を見出した。今回の実験結果で最も注目すべき点は、モデル・スキーの低速度における摩擦係数の温度依存性が、高速度で滑る実際のスキーの温度依存性と反対になった点である。また、モデル・スキーの摩擦係数に荷重依存性が測定されなかったことから、低温、低速度における小さな摩擦係数は摩擦融解による解け水の潤滑摩擦では無いと考えられる。すなわち、低温では凝着力が小さくなるために良く滑ると考えられる。
著者
カナーアナ シャリーフ ゼイターウィー ニハード 金城 美幸
出版者
東京大学東洋文化研究所
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.171, pp.188-114, 2017-03

This paper presents a commentary and a Japanese translation of Deir Yassin: The Destroyed Palestinian Villages, No. 4 (1987. Kana'ana, Sharif, and Nihad Zeitawi. Birzeit: Center for Research and Documentation of Palestinian Society.). The original book is written in Modern Standard Arabic (its descriptive part) and in the village dialect (citations from villagers' speeches). It is one of the publications from a research project conducted from 1986 to 1998 at Birzeit University, located in the West Bank of the occupied Palestinian territories. This research project aimed to collect and record Palestinian refugees' oral narratives of their native villages that were destroyed in 1948 because of the establishment of the State of Israel. The book is composed of the following four chapters: (1) The popular history of the village; (2) The clans and families; (3) The village in the 1940s; and (4) The politics, the escape, and the exodus. This project preceded a new wave of historical accounts in Palestinian refugee communities of their original village, and more than 120 similar books have been published since then, recording their homeland based on the former villagers' narratives. It is noteworthy that these books based on oral history began to be written after the Palestinian diaspora leaders were defeated in Beirut (1982). Many Israeli and Palestinian researchers have argued over the question of why Palestinian Arabs became refugees in 1948. As Israel has ruled most of the area in the region, the historiographies in Israel have dominated the Palestinian historical narrative. Especially after the 1980s, when Israeli historians started to publish their research on the cause of the refugee problem based on the then newly declassified state archives, the "positivist" historiographies gained a great influence over the historical dispute as a whole. In this renewed debate, the Palestinian oral histor y was sidelined again and was regarded as a distor ted narrative. This translated text is dedicated to the village of Deir Yassin, which will always be linked with the massacre that took place in 1948. Although Deir Yassin is the village that has most often been refer red to in the historical dispute, refugees' memor y of the village reveals the rich layers of folklore that once existed there. The villagers' narratives show us how much the destruction of their homeland means to them, a point that has long been dismissed in the traditional historical dispute.
著者
金森 紀博 小泉 雅大 野嶋 栄一郎
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.299-308, 2014-12-25 (Released:2016-08-11)

一人一台の学習端末における繰り返し学習はCAIから始まり,eラーニングまで続いているが,単なるドリル学習ではモチベーション維持が難しかった.本研究では,「見えないライバル」とネットワーク上でリアルタイムに対戦できる「つながる学習システム」を開発し,実証実験を行った.同程度のレベルのグループに分けられることにより,競争への意識が高まり,計算,算数への肯定感だけではなく,家庭学習の習慣にも好影響があることがわかった.8ヶ月にわたる実証実験の結果,本システムを利用した児童は,利用しない児童に比べ比較的短期間で計算力が向上することを実証した.また,計算力向上がみられる伝統的な習い事と比較しても同程度以上の効果があげられ,特に低学力層への効果が高いことがわかった.
著者
渡邊 勧 金子 哲 太田 理恵 菅野 早苗 廣木 祐三子
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141, 2010

【はじめに】<BR> 地域ケアシステムは、茨城県独自のシステムとして、保健、医療、福祉などの地域の他職種の人々が連携して、在宅の要介護者にサービスを提供するシステムが平成6年に創設された。現在では各市町村の社会福祉協議会を窓口として、支援を必要とする人に対して在宅ケアチームを編成し、在宅サービスの充実化を図っている。サービスの内容は、訪問・通所介護など介護保険や自立支援給付等の法的な福祉サービスに近所の方による見守り、安否確認、軽度の生活補助などを組み合わせたサービスを提供している。現在の地域ケアシステムは、介護保険適用の高齢者だけでなく、障害児(者)、子育て親、難病患者も対象となっており、地域ケアコーディネーターと呼ばれる保健・医療・福祉の従事者はじめ地域住民、ボランティアの人たちで編成されており、地域リハビリ指導においては、理学療法士がリハビリテーション指導に関わっている。今回、城里町社会福祉協議会において地域ケア及び地域リハビリテーションの相互の連携システムの推進を検討する機会を得たので報告する。<BR>【活動内容】<BR> 茨城県内地域ケアシステムは44地域における社会福祉協議会で運営され、その中で城里町では、平成21年2月に地域ケア・地域リハビリ相互連携システム推進検討委員会を発足。平成22年度の委員会では、理学療法士3名、作業療法士1名、養護学校教員3名、保護者会1名、城里町健康福祉課3名、地域ケアコーディネーター2名、社会福祉協議会事務局3名で構成され、地域活動支援センター(障害者作業所)、日中一時支援事業等利用者に対する相談介入、事例検討及び利用者への具体的介入の推進、相談を行っている。委員会会議の開催(H21年2月~H22年3月現在)は計13回である。活動報告の中では、学校と福祉の現場における壁の存在や、就学前後における個別支援計画がつながっていないこと、医療と介護(保険)の隙間に埋もれている対象者への支援活動が十分確立されていないことがあげられている。リハビリテーションにおける支援では、知名度の低さとともに、実際に病院や施設での勤務の枠を超えて地域リハビリテーションへの関わりができる人財、フィールドが限られることから、知名度の向上と、地域ケアと地域リハの相互協力が得られる体制作り、働きかけを向上していく必要性がある。<BR>【まとめ】<BR> 活動の中で、対象者と地域における課題を探り、地域を支えるための地域ケアシステムと地域リハビリテーションと継ぎ合わせが必要となる。小児から高齢者まで、より身近な地域で適切なリハビリテーションサービスを受けることができるよう、リハビリテーションのネットワークづくりを推進していくことが今後の課題となる。<BR>
著者
金光 陽子
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.29-42, 2007-09-30 (Released:2017-05-22)

This paper examines John Everett Millais's painting Bubbles, 1886, and associated reproduction. The Victorian era saw a flowering of reproduced images of paintings in parallel with the spread of photography and illustrated journals. Bubbles, showing a boy with a pipe blowing soap bubbles, was particularly disseminated as an iconic image of Victorian 'childhood' or 'cleanliness' through reproductions for Pears Soap advertisements. The aim of this paper is to situate Bubbles in diverse contexts of new and old print-making technologies and copyright, disentangling the complex interrelationships between painters, print-sellers and owners of paintings. In Britain, it was not until 1862 that a Copyright Act appeared to protect paintings. Through an examination of the historical and legal contexts surrounding the Fine Arts Copyright Act, this paper clarifies the reason that Bubbles was placed 'automatically' in the so-called 'public domain'. To date, particular emphasis has been put on the fact that Millais was outraged by the unofficial addition of a bar of Pears Soap to Bubbles. Yet in fact, Millais did not at all object to the appropriation of the painting for advertising purposes, so that it enabled numerous lower-middle class and working-class people to enjoy the image of Bubbles for free.
著者
金子 梅吉 荻島 央江
出版者
日経BP社
雑誌
日経トップリーダー
巻号頁・発行日
no.339, pp.76-80, 2012-12

私は本当に幸せ者で、せがれ夫婦や娘夫婦、孫までもうちの会社で働いてくれています。こんなにうれしいことはない。娘が社長で経営全般を、その兄である長男が製造部門、娘の夫は営業部門、長男の嫁は会計の担当です。 よく「なぜ娘を社長に据えたのか」と聞かれますが、それは私に一番性格が似ている気がしたから。
著者
岩田 祐子 桑山 健次 辻川 健治 金森 達之 井上 博之
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.221-231, 2014
被引用文献数
3

我が国で最も乱用されているmethamphetamineの塩酸塩について,押収されるまでの薬物の起源と履歴(原料,合成ルート,製造方法等)が反映されている薬物プロファイルを明らかにする薬物プロファイリングのこれまでの研究成果を報告する.アルカリ性下で有機溶媒を用いて微量成分を抽出しガスクロマトグラフィーを行う微量成分分析では,微量成分をよく検出・分離する条件を決定し,複数の内部標準物質を添加することにより,保持時間の補正精度を高めた.また,キャピラリー電気泳動法によるキラル分析では,覚醒剤や覚醒剤原料等のアンフェタミン型興奮剤9種を良好に分析する方法を確立し,methamphetamineに微量に含まれる原料ephedrine等もキラル分離して検出することが可能となった.さらに,methamphetamineの安定同位体比質量分析において,資料の関連性の評価基準を設定し,結晶ごとの測定の有効性を示した.各分析により,より詳細なプロファイルが得られ,異同識別や起源と履歴の推定に,より多くの情報が得られるようになっている.