著者
鈴木 幸子 岩立 京子
出版者
日本保育学会
雑誌
保育学研究 (ISSN:13409808)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.180-191, 2010-12-25

本研究は,幼稚園の帰りの集まりにおいて,3歳児が「別れのあいさつ」のルーティンを学んでいくダイナミックな過程を,幼児と保育者,幼児と他児のやりとりにおける言葉や仕草,表情を詳細に記録し,心情面も含めて考察した。その結果,まず,子どもは個人の楽しさや自分の思いを表現するために教師の提示したルーティンを破り,共に行動する楽しさによってルーティンに戻る。保育者はあいさつのルーティンの要素間の間合いを短くすることで,子どもがルーティンを実行するように援助をしていた。次第に,子ども同士がルーティンの実行を互いにうながすようになっていった。この変化の様相から,子どもが自発的にルーティンを学んでいくためには,子ども同士が影響し合うこと,また,その基盤としての子どもと保育者との信頼関係が重要であると考察された。
著者
階堂 武郎 鈴木 幸子 本田 靖 本城 綾子 前倉 亮治
出版者
日本健康学会
雑誌
日本健康学会誌 (ISSN:24326712)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.85-93, 2017-05-31 (Released:2017-06-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

A cohort study was conducted on 27 patients suffering from chronic obstructive pulmonary disease (COPD) and visiting outpatient medical facilities within Osaka Prefecture, to elucidate meteorological factors related to their complaints of dyspnea and disease exacerbation.Measurements in patientsʼ bedrooms made daily between 00:00-06:00 from July 1 to August 31, 2012 showed that the percentage of patients exposed to a wet-bulb globe temperature (WBGT) of ≧ 28°C increased between mid- and late July, reaching a one-day peak of 21%. In addition, 62.5% of patients experienced a WBGT of ≧28 °C at least once during the monitored hours in the same period. The results of applying a logistic regression model to data from June 1 to September 30, 2012 showed that the minimum WBGT in a patientʼs bedroom, even when controlled for daily minimum temperature, has statistically significant association with complaints of dyspnea and bad physical condition. This finding demonstrated that regulating a patientʼs bedroom environment is very important in the summer season.
著者
鈴木 幸子
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
甲殻類の研究 (ISSN:02873478)
巻号頁・発行日
no.10, pp.61-68, 1980-11

アカテガニの脱皮に及ぼす歩脚除去の影響を眼柄を切除した場合と熱処理の場合とで比較した。アカテガニを脱皮直後に2(1対),4(2対)あるいは6(3対)本の歩脚を除去すると次の脱皮は正常(歩脚を除去しない)個体よりも促進され,脱皮率も上昇する。この脱皮の促進は除去した歩脚数に比例する。一方眼柄を切除した場合には今まで十脚類で報告されたようにアカテガニでも脱皮を誘発し歩脚除去よりも著しい効果を示す。眼柄と歩脚を同時に除去すると次の脱皮は眼柄だけを切除した個体よりも遅延する。この脱皮の遅れる程度は除去歩脚数と比例関係にあった。FINGERMAN and FINGERMAN(1974)はUca pugilatorで,McCARTHY and SKINNER(1977a)はGecarcinus lateralisでそれぞれ無眼のカニから歩脚を除去すると脱皮は遅延することを認めているが,アカテガニによる結果とは多少相違している。
著者
有田 悦子 鈴木 幸男 竹下 啓
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、医療者-患者間のコミュニケーションギャップに注目し、臨床現場での有意義なインフォームド・コンセントの実現に還元すると共に、医療スタッフや薬学部生を対象とした医療コミュニケーション能力養成のための教育プログラム構築にも寄与することを目的として「がん患者への医療者からの説明」について質的検討を行った。その結果、同じ内容の説明をしたとしても、個々の患者の治療に対する感じ方や理解度などにより受け取り方は異なり、医療者が患者の個別性を尊重する重要性が示唆された。
著者
亀谷 哲治 鈴木 幸夫 伴 千恵子 三沢 薫 高田 信子 叶田 清 本多 利雄
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, pp.63-70, 1987

Chiral cyclopentane derivatives have widely been employed as important starting materials in the syntheses of naturally occurring compounds. Development of an efficient preparation of a chiral cyclopentane derivative from readly available substances with both (+)- and (-)-forms is therefore desirable. We have established an efficient procedure for the preparation of chiral 2-isopropeny1-5-methyl-4-oxocyclo-pentane-1-carboxylate(1) and (2), whose substituents would be transformed into variety of functional groups, from readily avairable (-)- and (+)-carvone. First, the (-)-isomer(1) was employed in the synthesis of (+)-tecomanine (7), an antipodal form of hypoglycemic monoterpene alkaloid, where the aminylium ion-induced cyclization played an important role. Whereas, N-acetyl-L-acosamine (32), found as a structural component of glycosidic antibiotic, was also derived from the (+)-isomer (2) by utilizing the Beckmann rearrangement and Baeyer-Villiger oxidation as key reactions. Finally, Melillo's lactone(34), a key intermediate for the synthesis of carbapenem antibiotic (+)-thienamycin, was prepared from (-)-isomer(1) by manipulation of its substituents in reasonably high-yield.
著者
鈴木 幸寿
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.83-85, 1957-02-25 (Released:2009-11-11)
著者
嶋津 賢士 清水 基久 鈴木 幸一 桑野 栄一
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.337-339, 1996-08-20
被引用文献数
4

1, 5-二置換イミダゾール類と同様に1-置換イミダゾール類にも早熟変態誘起活性があることを見いだした.1-直鎖アルキルイミダゾール類ではデシルやドデシルの場合に活性が高く, これらより炭素数の増減したアルキル鎖では活性は低下した.1-アルキルオキシフェニルイミダゾール類は弱い活性であった.一方, 1-[3-(4-エチルフェニル)プロピル]イミダゾールに高い活性が認められたが, イミダゾール環窒素と酸素間の炭素数が2や4個では活性は著しく低下した.ベンゼン環上の置換基では4-エチルと4-プロピル基が強い活性を示した.これらの1-置換イミダゾール化合物の早熟変態誘起活性は1, 5-二置換イミダゾール化合物の場合と同様, メトプレンやテブフェノチドの同時局所施用により消失した.
著者
芳賀 理佳 鈴木 幸一 松川 浩 田中 結子 一ノ瀬 昇 竹中 玄 藤田 早苗
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-291, 2010-12-20 (Released:2012-12-20)
参考文献数
4

香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
著者
鈴木 幸人
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

「天神在地縁起(在地説話)」(各地域、各天満宮に独自の縁起説話)に関わる造形作品についてデータの収集につとめた。とくに、各地の天満宮に関わりをもった松浦武四郎の活動に着目して、その作成になる双六、「聖跡二十五霊社順拝雙六」について、天満宮の選択、図様の源泉等の観点から分析考察を試みた。また掛幅形式の天神縁起絵の未紹介作例として「京都・吉祥院天満宮十二幅本」について、その独自要素、図様の特質等を指摘して、同本が太宰府系縁起絵と弘安本系図様の複合的な作例であり、従来知られていない近世期における掛幅縁起絵の存在を示唆するものとの見解を得た。
著者
鈴木 幸平
出版者
常葉大学外国語学部
雑誌
常葉大学外国語学部紀要 = Tokoha University Faculty of Foreign Studies research review (ISSN:21884358)
巻号頁・発行日
no.32, pp.89-109, 2016-03-31

イギリスの電話相談センターChildLine の『Why Me?: Children Talking to ChildLine about bullying』は、いじめ解消に腐心されている学校ばかりでなく、青少年相談施設などの行政機関にも、具体的かつ有益な示唆を与えてくれる貴重な資料の一つであると考えられる。第1 章から第5 章までは序章的側面が多いため、第6 章から第8 章を以下のとおり翻訳する。なお、第9 章以降については紙幅の制限により別稿とする。また、原書の全体構成は次のとおりである。第1 章 序 文第2 章 チャイルドライン調査第3 章 学校における事例第4 章 「いじめ」とは何か第5 章 いつ、どこで、どのくらい起るのか第6 章 誰がなぜいじめるのか第7 章 いじめの影響と結果第8 章 助けを求めること第9 章 いじめに対する学校の行動計画と対応第10 章 結論 子どもからのメッセージ救済:言葉から行動へ
著者
鈴木 幸仁 井筒 正義 釜道 紀浩 石川 潤 古田 勝久
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.77, no.776, pp.1413-1428, 2011 (Released:2011-04-25)
参考文献数
10
被引用文献数
2

There are many researches to identify operator's dynamic characteristics in manipulating human-machine interaction systems. Analyses of operator's dynamic characteristics provide a clue to develop human-friendly systems that assists skill development. However, these researches mainly discuss single hand operations, and there seems to be little researches for two hand (bimanual) operations. To develop useful operational systems, the analyses of operator's dynamic characteristics in bimanual operation are indispensable. This research aims to clarify proficiency of operator's skill in bimanual operation. Concretely, the proficiency is evaluated by using an experimental human-machine interface for bimanual operations that provides three different mechanical impedances. The characteristics of operators are evaluated by tracking performance to references generated randomly and skills to draw geometric patterns in a two dimensional plane. In the experiment, the extent of proficiency was also compared with each other for the three different mechanical impedance models. It has been confirmed that the proposed evaluation method can successfully clarify the extent of proficiency of operators' skills. It was also observed that there was little difference in the extent of proficiency among the three mechanical impedances.